【特別企画】

次世代MSXプロジェクト第1弾「MSX0」量産試作機を解説する

1月15日開始予定のクラウドファンディングの準備着々

 西和彦氏は、次世代MSXプロジェクトの第1弾「MSX0」の量産試作機が自分の元に到着したことをTwitterで明らかにした。

 次世代MSXプロジェクトとは、MSX3(エムエスエックススリー)、MSX0(エムエスエックスゼロ)、MSX turbo(エムエスエックスターボ)という3つのプロダクトを開発するプロジェクト。MSX0は、その第1弾として開発が進められており、2023年1月15日から「CAMPFIRE」によるクラウドファンディングが開始される予定だ。

 年明けに次世代MSXプロジェクトについて現時点で明らかにされたことをまとめた記事を掲載したところ、予想を上回る反響があり、西氏にも記事を高く評価していただいた。次世代MSXプロジェクトの全体像については、下記の記事を見ていただきたいが、本稿では西氏が公開したMSX0の最新写真について解説していく。

【講演会での西和彦氏】
ブラジルの人向け次世代MSXプロジェクトに関する講演会での西氏(YouTubeから切り出し)

MSXブルーのMSX0量産試作機がついに完成

 前回の記事では、MSX0のベースとなるハードウェア「M5Stack Core2」の開発・製造元であるM5Stackが、2023年1月6日にTwitterで公開した写真を記事に掲載したが、その写真はまさにできたばかりのもので、その時点ではまだ日本には到着していなかった。その後、西氏はM5Stackから送られてきた写真を公開し、2023年1月10日についにMSX0量産試作機が手元に届いたことを明らかにした。その写真には、クラウドファンディングで頒布予定の基本セットに含まれるパーツ類が写っていたので、その中身を解説する。

 基本セットには、本体と周辺パーツ類をすべて収納できるプラスチックケース、M5FacesIIボトムベース、本体であるM5Stack Core2、QWERTYキーボード、ゲームパッド、固定用ビス、シール、充電ベース、USBケーブルが含まれている。さらに西氏によれば、クラウドファンディングではTシャツやシール、ストラップなどの“おまけ”も付ける予定とのことだ。MSX0で使われるM5FacesIIは、第2世代のFacesであり、初代Facesの問題点が解消され、使い勝手や機能も向上している製品だ。ボトムベースにM5Stack Core2を装着し、下部にQWERTYキーボードやゲームパッドを装着して利用する。ボトムベースには600mAhのリチウムポリマーバッテリーが搭載されており、本体に電源を供給する。付属の充電ベースにボトムベースを載せることで、バッテリーの充電が可能だ。

 ボディカラーは特注のMSXブルーで、半透明になっているので中身が少し透けて見える。ゲームパッドと合体させると、任天堂の携帯型ゲーム機「ゲームボーイ」に似た外観となるが、サイズは縦が108mm、横が54mmなので(厚さは不明だが30mm未満だと思われる)、初代ゲームボーイを小型化したゲームボーイポケット(127.6×77.6×25.3mm)よりもさらに一回り小さい。画面サイズもゲームボーイポケットの2.51型より小さい2型となるが、MSX0の解像度は320×240ドット、フルカラー表示が可能なのに対し、ゲームボーイポケットの解像度は160×144ドット、モノクロ4階調なので、表現力はMSX0の液晶のほうが格段に上だ。

【MSX0の量産試作機】
MSX0の量産試作機と周辺パーツ。これが基本セットとしてクラウドファンディングで頒布される。さらにおまけとしてTシャツやシール、ストラップなどが付属する予定だ。左上から時計回りに、基本セットが収納できるケース、M5FacesIIボトムベース、M5Stack Core2、QWERTYキーボード、ゲームパッド、固定用ビス、シール、充電ベース、USBケーブルである
左がM5Stack Core2とM5FacesIIボトムベースを合体させたもの。下に見えている白いのはリチウムポリマーバッテリーで、容量は600mAhである。中央がQWERTYキーボードとゲームパッド、右が充電ベースである
M5Facesボトムベースの下半分にQWERTYキーボードやゲームパッドを合体させることができる。
ゲームパッドを装着するとゲームボーイのような外観になる。縦が108mm、横が54mmで、ゲームボーイポケット(127.6×77.6×25.3mm)よりも一回り小さい
M5Facesボトムベースと合体させた状態の裏面。下に充電とインターフェース用の端子が用意されている

クラウドファンディングへの準備は万端

 MSX0の一般への販売は、2023年1月15日に開始予定のクラウドファンディングが最初となる。西氏は以前、クラウドファンディングの締め切りは2023年3月31日で、2023年4月20日から製品を発送開始する予定だと表明していた。この種のハードウェアのクラウドファンディングは、出資金を集める時点ではまだ量産に漕ぎ着けていないものが多く、締め切り後、早くて数ヶ月、場合によっては半年以上も後に量産品が出資者に送られることもある。また、手作りの試作機はできていても、量産でトラブルになり、予定から1年以上遅れてしまうことも度々ある。

 3月31日に締め切って4月20日から発送開始予定というのは、ハードウェアのクラウドファンディングとしては非常にタイムラグが短い、出資者にとってありがたいスケジュールである。今回のMSX0のクラウドファンディングプロジェクトでは、M5Stackが全面的にバックアップし、製造を担当しているため、量産経験のないスタートアップと違って量産時にトラブルが起きる心配がない。クラウドファンディング開始前に量産試作機が完成し、すでに日本に到着しているというのは、クラウドファンディングでは異例ともいえるが、安心して出資できる。

 筆者はM5Facesの実機を触ったことはないが(M5Stackは展示会などで触れたことがある)、Facesの実機を入手した人のレビューなどではボディの剛性や精度も高く、しっかりした製品だという評価が多い。もちろん、クラウドファンディングが始まったら筆者もすぐに出資するつもりだ。

 ハードウェアの準備は整ったため、クラウドファンディングに向けてソフトウェアの完成度を高めることに注力すると西氏は明らかにしており、クラウドファンディングの時点でもかなり完成度の高い製品になりそうだ。もちろん、クラウドファンディング終了後もソフトウェアのバージョンアップなどは継続して行われ、クラウドファンディングで入手したユーザーによる自作ソフトウェアなども公開されるようになるだろう。

 なお、クラウドファンディング終了後は、Amazonなどを通じて一般販売される予定だが、一刻も早くMSX0に触れてみたいと思っている人は、クラウドファンディングへの出資をオススメする。クラウドファンディングの目標台数は3,000台で、3,000台に到達しない場合はプロジェクトが中止となるとのことだが、一連の記事の反響を見る限り、十分到達すると考えている。

 なお、前回の次世代MSXプロジェクトに関する記事を評価していただいた西氏から、次世代MSXプロジェクトについてじっくりと話をしたいので独占インタビューをやらないかという、とてもありがたい提案をいただいた。筆者も西氏にインタビューできることをとても楽しみにしている。もちろん、そのインタビュー内容はGAME Watchで記事として公開予定なので、もうしばらくお待ちいただきたい。