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「MSX0」の新ラインナップが発表。指輪サイズの携帯型ゲーム機も登場

MSX0用プロジェクトEGGは月額無料に!

 IoTメディアラボは10月16日、都内で発表会を開催し、MSX0の新モデルを多数発表した。11月1日より新しいクラウドファンディングを開始し、価格は14,800円より。

 MSX0とは、ホビーパソコンMSXの生みの親 西和彦氏が主導する次世代MSXプロジェクトの柱の1つで、基本的にはIoT向けデバイスという位置付けの製品だが、MSX/MSX2/MSX2+エミュレータを搭載しており、MSX/MSX2/MSX2+用に開発されたソフトの大部分がそのまま動作する。そのため、以前遊んだMSX/MSX2/MSX2+用ゲームをまた遊んでみたいという層も少なからず存在する。

 次世代MSXプロジェクトの残りの柱は、ホビーパソコンMSXの正当後継となる「MSX3」とパーソナルスーパーコンピューターを目指す「MSX Turbo」の2つである。プロジェクトの進捗状況についてだが、MSX0は最初のプロダクト「MSX0 Stack」がクラウドファンディングで目標金額を突破し、9月からリターン品の配送がスタートしており(センサー類は後送となっているが)、10月中にもほぼ配送が完了する見込みであり、製品化の第一段階はクリアしたといってもいいだろう。ホビーユーザーが本命視している「MSX3」については、2023年12月に開発者向けのSDKが発表される予定であり、一般ユーザー向けの製品が発表されるのは2024年半ば以降になると思われる。MSX Turboについてはさらにその先のプロジェクトになるだろう。

 MSX0は、当初からさまざまな形状の製品が登場すると予告されており、今回の記者発表会では、そのMSX0シリーズに追加される新製品についての情報が明らかにされた。新製品の一つとして超小型ゲーム機「MSX0 ATOM BOY」も登場した。また、すでに支援者への配送が開始されたMSX0 StackやMSX0シリーズに追加される新モデルのハードウェア開発・製造を担当している中国のベンチャー企業M5Stack CEOのJimmy Lay氏も登壇し、MSXプロジェクトを推進するIoTメディアラボラトリと今後も協業していくというメッセージを発した。さらに、レトロゲームの会員制配信サービス「プロジェクトEGG」を運営するD4エンタープライズの鈴木直人社長も登壇し、MSX0用プロジェクトEGGの最新情報を明らかにした。ゲームユーザーが気になる情報が多数公開された記者発表会の内容をまとめておきたい。

【西和彦氏】
次世代MSXプロジェクトを推進している西和彦氏

11月1日からきびだんごでスタート。支援額は14,800円から

 最初に西氏が登壇し、第2次クラウドファンディングについて説明を行なった。

 第2次クラウドファンディングは、クラウドファンディングサイト「きびだんご」で11月1日から1月31日までの期間で行なわれる。

 支援メニューは、「MSX0 Card」をベースにした「MSX0 Card+無線モデム3兄弟セット」が4種類、腕時計バンドが付く「MSX0 Watch 3兄妹セット」が2種類、超小型の「MSX0 ATOM」をベースにした「MSX0 ATOM 3兄妹セット」が1種類、切手サイズの「MSX0 Stamp」を中心とした「MSX0 Stamp開発用セット」が3種類で合計10種類となる。

 メニューと金額は以下の通りだ。

 ・<A2-1> MSX0 Card単体 19,800円
 ・<A2-2> MSX0 Card+LORAモジュール 29,800円
 ・<A2-3> MSX0 Card+LTEモジュール 39,800円
 ・<A2-4> MSX0 Card+モデムカード 49,800円
 ・<B2-1> MSX0 Stack+MSX0 Stick+MSX0 ATOM Watchセット 39,800円
 ・<B2-2> MSX0 Stack用Watchベルト+MSX0 Stick+MSX0 ATOM Watchセット 19,800円
 ・<C2> MSX0 ATOM BOY+MSX ATOM RING+MSX0 ATOM Netukeセット 29,800円
 ・<D2-1> MSX0 Stamp+MSX0 Capsule 14,800円
 ・<D2-2> MSX0 Stamp×5+MSX0 Capsule 32,500円
 ・<D2-3> MSX0 Stamp×10+MSX0 Capsule 49,800円

 第一次クラウドファンディングでは、本体はMSX0 Stack1種類で、付属センサーや通信モジュールの有無によってメニューが分けられていたが、今回は、本体も以前のMSX0 Stack(ただしベースが最新世代のM5Stack CoreS3になる)だけでなく、その半分のサイズのMSX0 Stick、さらに半分のサイズのMSX0 Atom、さらにそれを半分(Stackの1/8)にしたMSX0 Stampと、バリエーションが一気に増えた。ただし、これらは形状は異なっても、搭載CPUなどは同じで、全てのモデルでMSX0システムソフトウェアが動作し、MSX/MSX2/MSX2+のエミュレーターが利用できる。ただし、液晶の解像度は製品によって異なり、Stampについては液晶もないため、すべてのMSX/MSX2/MSX2+用ソフトウェアが正常に動作することが保証されているわけではない。

 ここではゲーム用途だと西和彦氏が明言した「MSX0 ATOM BOY」について、より詳しく見てみたい。MSX0 ATOM BOYは、その名の通り、ゲームボーイを彷彿させるデザインだが、サイズは非常に小さい。液晶のサイズは0.85インチで、解像度は128×128ドットである。こんなに小さくてもWi-Fiをサポートしており、6軸センサーも搭載している。MSX/MSX2/MSX2+用のソフトウェアが動作するといっても、液晶解像度が低いため、「テトリス」のようなかなり画面がシンプルなゲームか、MSX0 ATOM BOY専用に作られたゲームでないと満足に遊べないと思われるが、親指サイズの端末でどんなゲームがプレイできるのか、考えるのも面白い。

 なお、前回のクラウドファンディングでは、All-in方式を採用しており、目標金額を達成しなくても製造が行なわれ、支援者にリターン品が届いたが、今度のクラウドファンディングでは、各ハードウェアの最低ロットが1,000台と定められており、例えば、MSX0 CardならMSX0 Cardの支援数の合計が1,000に達しないとリターン品は送られてこず、支援金は全額支援者に返還される。

 リターン品の発送は、クラウドファンディングの終了後、数ヶ月から半年程度かかるのとのことであり、2024年後半と考えればよいだろう。第2次クラウドファンディングのMSX0は、すべてESP32S3と呼ばれる新型CPUを搭載しており、第1次クラウドファンディングのMSX0 Stack(M5Stack Core2ベース)よりも処理性能が最大2倍向上していることがポイントだ。MSX/MSX2/MSX2+用ソフトウェアを実機より高速で動作させられる可能性がある。

【第2次クラウドファンディングの説明】
第2次クラウドファンディングの支援メニュー一覧
MSX0 Card+無線モデム 3兄妹セットは4種類のメニューが用意される
MSX0 Cardを手にする西和彦氏
MSX0 Watch 3兄妹セットは2種類のメニューが用意される
MSX0 ATOM 3兄妹セットのメニューは1種類のみ(MSX0 ATOM S3が3個含まれている)
MSX0 ATOM BOYを手にする西和彦氏
MSX0 Stamp S3開発用セットは3種類のメニューが用意される
第2次クラウドファンディングのスケジュールなど

M5StackのJimmy氏のプレゼンと山岡氏によるMSX0 Cardでゲームを動かすデモ

 続いて、M5StackのCEOであるJimmy Lay氏がM5Stackの特徴や製品展開について説明した。M5Stackは2015年にJimmy氏が設立したベンチャー企業で、5×5cmの小型マイコンモジュール「M5Stack」やその関連製品、より小型のIoT向けデバイスなどを驚くべきペースで開発・投入し続けている。2023年10月14日~15日に東京ビッグサイトで開催された「Maker Faire Tokyo 2023」にM5Stackはブースを出展し、大人気であった。

 MSX2/MSX2+に搭載されていたビデオチップ「VDP」の開発者である山岡成光氏が、世界にまだ1台しかないというMSX0 Cardのデモを行なった。MSX0 Cardは、M5Stackが発表したばかりの最新製品「M5Stack Cardputer」をベースにした製品だ。M5Stack Cardputerは、日本での通信販売が開始されるやいなや一瞬で完売したほどの人気製品であり、MSX0 Cardの人気も高そうだ。

 MSX0は、リモートコントロールパネルと呼ばれるソフトを利用することで、Windows搭載PCの画面とキーボードを利用して、MSX0を操作することが可能である。MSX0 Cardの液晶は1.14インチと非常に小さいが、リモートコントロールパネルを使えば、PCの大画面でMSX0 Cardの画面をそのまま再現できる。いくつかのコマンドを実行したほか、時計プログラムのデモや付属のゲームソフト「ザナック」を動かすデモが行なわれた。

【M5Stackの説明と山岡氏のデモ】
M5Stack CEOのJimmy Lay氏
Jimmy Lay氏の経歴とM5Stackについて
以前ヤマハでVDPを開発していた山岡成光氏
まだ世界で1台しかないMSX0 Card
リモートコントロールパネルをPCで動作させ、MSX0 Cardと同期させたところ
リモートコントロールパネルを操作して「ザナック」を起動
MSX0 Cardでも「ザナック」が動いている

MSX0用プロジェクトEGGは30タイトル前後で2024年開始。月額料金が不要に

 最後に、D4エンタープライズの鈴木直人社長が登壇し、MSX0の第1次クラウドファンディング発表時から予告されていたMSX0用プロジェクトEGGについて説明した。

 鈴木氏によると、当初はMSX0用プロジェクトEGGも、現行のプロジェクトEGGと同じく月額500円の会員になってゲームを購入する形を考えていたが、MSX0にはそうした仕組みは合わないのではないかと考え、無料の「アミューズメントセンター」の会員になるだけで、ゲームを購入できる形で運営することに決めたという。事実上の買い切りモデルへの移行とはいえ、MSX0ユーザーには朗報だろう。

 MSX0向けとして配信予定のタイトルとして現在30タイトルほどが候補に上がっているという。これらのタイトルは、MSX0 Stackの小さな画面でも遊びやすいものを選び、正常に動作するか検証してから配信を行なう。現在、MSX0用プロジェクトEGGのためのサーバーを新たに構築中であり、サービス開始は来年頭を予定しているとのことだ。今後、MSX0用プロジェクトEGGに関する情報は同社のサイトやXなどを通じて公開される。

【MSX0用プロジェクトEGGについての説明】
D4エンタープライズ社長の鈴木直人氏
通常のプロジェクトEGGは、月額500円の「プロジェクトEGGサービス」に加入する必要があるが、MSX0用プロジェクトEGGは、無料の「アミューズメントセンター」の会員になるだけでMSX0向けコンテンツを購入できる
MSX0向けとして配信予定のタイトル(その1)。ザナックとパイパニックはMSX0本体に同梱されている
MSX0向けとして配信予定のタイトル(その2)
MSX0向けプロジェクトEGGに関する情報は今後公式サイトやXなどで公開される

 会場に展示されていた実機(一部モックアップ)を撮影したので、最後にまとめて紹介する。

【会場に展示されていた実機】
MSX0 Card+無線モデム 3兄弟セット
MSX0 Cardの実機
MSX0 Cardの裏面
MSX0 Cardの左側面
MSX0 Cardの右側面
MSX0 Cardにモデムカードを合体させた様子。LTEとLORAに対応するほか、バッテリーも増強される
MSX0 ATOM 3兄妹セット。左からMSX0 ATOM Netuke、MSX0 ATOM BOY、MSX0 ATOM RING
超小型ゲーム機をイメージしたMSX0 ATOM BOY
MSX0 ATOM RINGを指にはめたところ。あまり違和感ないサイズだ
MSX0 Watch 3兄妹セット。MSX0 Stackは、リターン品ではM5Stack CoreS3ベースになる
MSX0 Stamp S3
MSX0 StampとMSX0 Capsule
MSX0 Capsule
MSX0 Capsuleの中味。バッテリーが搭載されている