【特別企画】
伝説の新ヒーローは……俺?「マーベル ミッドナイト・サンズ」ファーストインプレッション
カードを用いてライトに奥深く楽しめる、マーベル祭りシミュレーションRPG
2022年11月18日 22:11
- 【マーベル ミッドナイト・サンズ】
- 発売日:2022年12月2日
- 価格:
- PC:8,250円(税込)~
- PS5/Xbox Series X|S:9,350円(税込)~
「マーベル ミッドナイト・サンズ」はマーベルコミックスのスーパーヒーローたちが多数出演するシミュレーションRPG。開発は「XCOM」シリーズを手掛けた開発スタジオ、Firaxis Games。
とにかく本作は、マーベルコミックス好きにはたまらない1本となっている。先ず登場するヒーローたちがゴージャスだ。ドクター・ストレンジやブレイドらが本作のストーリーの中心にいるほか、アイアンマン、スパイダーマンなどの超メジャーなマーベルヒーローたちも登場する。
これまでもマーベル作品がテーマのゲームは数多く出ているが、戦略重視のシミュレーションRPGというタイプでの登場は珍しいのではないだろうか。しかも、本作の主人公として位置付けられているヒーローの「ハンター」は、プレーヤー自身が外観などを自在にカスタマイズして遊べる。自分の分身がマーベルヒーローの一員になるという、正に夢のような1作だ。
「マーベル ミッドナイト・サンズ」は12月2日発売で、今回は先行して2KよりPC版のコードを提供いただけた。本稿ではプレイできた序盤の内容を、ファーストインプレッションとしてお伝えする。本作はどのようなシミュレーションRPGになっているのか。早速その所感について語っていこうと思う。
出てくるキャラクターはどれもマーベルヒーローたちばかり!
本作に冠する「ミッドナイト・サンズ(Midnight Suns)」のタイトル名だが、これは1992年初出のコミック「ミッドナイト・サンズ (Midnight Sons)」を原作としているから。本作では、この原作で登場する悪魔リリスをゲームのラスボスとして復活させている。
ただし、原作をそのまま再現しているわけではなく、「Son」の部分は「Sun」と英語表記が変更されており、ブレイド以外のメンバーも刷新されるなど、独自の進化を遂げたオリジナルストーリーが楽しめる1本となっている。
本作の特徴は、何といってもマーベルコミックスのヒーローやヴィラン(悪役)たちがガンガン登場するところだろう。ゲーム開始直後のカットシーンでは、いきなり初代ゴーストライダー(1972年原作初出)とドクター・ストレンジ(1963年原作初出)、アイアンマン(1963年原作初出)という、知名度の高い3人の会話が始まる。いきなりゴージャスなんですけど!? なお、ゴーストライダーは原作版ミッドナイト・サンズの初期のメンバーだった点も興味深い。
ゴーストライダーことジョニー・ブレイズはカットシーン後にどこかに去ってしまい、チュートリアルでは、ドクター・ストレンジとアイアンマンの2人を操作して敵を倒すバトルシーンからのスタートとなる。
シミュレーションRPGである本作は、行動時にアビリティカードを使うカードゲームバトルの要素が入っている。戦闘が開始すると、画面下部にプレイするヒーローが描かれたアビリティカードが配られるほか、自身のターンで利用可能なカード枚数を示す「カードプレイ」のポイント数が表示される。
アビリティカードには通常攻撃をするアタック、特殊能力を使うスキル、そしてヒーロー固有の特殊アクションであるヒロイックの3種類が用意されている。ヒーローごとに複数のカードがデッキ化されていて、配られる内容はランダム。使用するカード(行動)と対象を決めると、ヒーローが移動とアクションを開始し、行動が終わればカードプレイのポイントが減少。ポイントがすべてなくなるとターンエンドだ。
カードを利用して攻撃やスキルを利用すると、ヒロイズムのポイントが貯まる場合もある。前述のヒロイックカードを使うためには、通常のカードプレイのポイントとは別にこのヒロイズムが必要になる。ヒロイズムは行動時にカード記載のポイントが累積する仕組みになっている。
そして、ヒロイックカードによる攻撃やスキルはいずれも超強力! 例えば、アイアンマンの持つ「制空権」というヒロイックカードでは、フィールド上の全ての敵に全体攻撃を仕掛けてすごい威力を発揮する。敵ユニットにはミニオンとエリートと呼ばれる種類があり、ミニオンについてはライフの概念がなく、何らかのダメージを加えることで即死する。そのため、ミニオンが大量にいるようなシーンでは、ダメージが低くても全体攻撃可能なスキルやアタック、ヒロイックは非常に有効だ。
ターン開始時のカード配布はランダムなので、手札に通常のアタックやスキルがなく、ヒロイックばかりになってしまうと、使いたくてもヒロイズムが不足して使えない場合も発生する。このような場合はカードを破棄して引き直すこともできる。こちらも画面端にある「引き直し」ポイントの分だけ引き直しが可能だ。
カードを使う以外にも、キャラクターがフィールド内を移動する場合などはカード消費せずに行なえるが、こちらもカードプレイなどと同様に回数制限があり、ポイント数以上の移動は行なえない。他にも、フィールド上のオブジェクトを使った「環境利用攻撃」といった攻撃方法もある。例えば、フィールド内の岩などを敵に投げつける投擲などで、カード消費なく行動できるので、積極的に活用したい。ただし、行動時にヒロイズムを消費する場合もあるため、こうしたカード以外の行動も加味して戦略を立てていく必要があり、なかなか戦略性が高い。
もちろん細かい事を考えずに、使えるカードでガンガン攻撃を仕掛けていくスタイルでも十分に楽しめるバランスとなっているが、より有利に戦いを展開するなら使える物はなんでも使っていくのがいいだろう。
ミッドナイト・サンズ登場!メンバーたちも原作出身の曲者揃い!
その後も物語は進み、本作ではドクター・ストレンジの弟子となっているスカーレット・ウィッチ(1964年原作初出)や、キャプテン・マーベル(1967年原作初出)なども登場。キャプテン・マーベルの会話の中では、ハルク(1962年原作初出)の人間時のブルースという名前のみ会話のシーンで出てきており、この後のハルク登場にも期待が持てる。
ここで2度目のチュートリアル戦闘が発生。前述の引き直しや環境利用攻撃などの使い方を学びつつ、敵を殲滅していく。すると、ここでラスボスと思われる悪魔リリスがいきなり登場! 凶悪なビジュアルがお目見えし、明らかにこの先々、苦労しそうな印象を与えられる。そしてこの悪魔リリスに対抗するための組織として、ドクター・ストレンジが案内するのが、リリスに対抗する組織として結成されたミッドナイト・サンズの集う大聖院なのだ!
ここでは、現在のミッドナイト・サンズを結成したケアテイカー(1992年原作初出)や、現在のミッドナイト・サンズのメンバーであるブレイド(1973年原作初出)やニコ・ミノル(2003年原作初出)、ゴーストライダー(ロビー・レイエス)(2014年原作初出)、マジック(イリアナ)(1975年原作初出)らヒーローたちが登場する。そしてこの大聖院が今後の拠点となり、ここで機能を強化したりといった各種カスタマイズが行なえるようになる。
ストーリーを進めるにつれ見えてくる新たな謎と物語を進める上で重要なキャラクターたちの登場。しかもキャラクターの多くが過去にマーベルコミックスで活躍したヒーローたち。このように本作はゲームというだけでなく、マーベル新作タイトルを自身の手でプレイしながらまるでコミックを読み進めるような喜びが噛みしめられる作りになっている。
そして、いよいよここで主人公「ハンター」が登場する。ハンターは本作オリジナルのマーベルヒーロー。ラスボスと思われる凶悪なヴィラン、悪魔リリスの子供であり、本作のストーリーでは、何世紀も前にリリスを倒したヒーローの1人とされ、ケアテイカーとも過去からの交流があるようだ。
ハンターの初期カスタマイズは男性っぽい肉体と女性っぽい肉体の2種類のボディタイプを選択、あとは顔のパターンと肌の色、目の色、髪型と髪色、まゆ毛、髭などの顔に関する物のみとなっている。こうしてキャラクターを確定させると、いよいよ本作の主人公、ハンターの物語がスタートする。
筆者はいつもの通り、スキンヘッドでキメてみた。メインの顔の種類が4種類とかなり少なめなため、髪型と髭と色味で調整が必要な点はなかなかハード。だがうまく決まると、自身がヒーローになった気分で心地よい。
復活後はこうしたメンバーたちとの顔合わせを終えて、ミッションに突入することになるのだが、個人的にはすぐにミッションを始める前に、是非戦略室内に集結したヒーローたちの会話を楽しむことをおススメしたい。というのもヒーローたちはこちらから話しかけなくても、そこにいるメンバー同士で適当な会話を続けており、近くにいればその会話が耳に入ってくるからだ。それらを聞いているだけでもアメコミらしい、ウィットに富んだ話は笑えるし、キャラクター間の関係性なども分かってくるので、こうした会話からもマーベルの世界にやってきた雰囲気が十分に伝わってくる。
また、大聖院の中は自由に移動して他のヒーローたちと会話したり、アイテムを回収したりといった自由行動ができる。会話の中には選択肢が登場するものもあり、この会話の選択次第で、ヒーローたちとの友情レベルが変化していくのもポイントだ。現段階でこの友情レベルが何の役に立つかは分かっていないが、仲良くしておいて損することはないので、相手のキャラクターの性格を考慮したチョイスで友情レベルを上げていこう。
バトルはますます本格化。そしてついに強敵(ヴィラン)ヴェノムが登場!
最初のミッションを開始すると、ドクター・ストレンジの拠点であり、弟子のスカーレット・ウィッチが守っていた筈のサンクタム・サンクトラムにて何らかのトラブルが発生している事が分かる。そこに向かうのは、ドクター・ストレンジとブレイド、そしてこれが数世紀ぶりの戦闘となる、主人公のハンターだ。
ここでマジックも再登場。彼女が支配するリンボ界との扉を利用して、ニューヨークにあるサンクタム・サンクトラムに向かうという展開なのだが、こういった細かい設定をフルに活かして物語を作っている点は非常に好印象だ。マジックの力で現代のニューヨークにハンターが出現して、芝居の衣装として扱われるといった描写もマーベルらしくて非常にユニーク。そうこうしていると敵が出現し、戦闘が開始となる。
この戦闘では、カードに備わるクイックの効果について説明がある。クイック表記のあるカードで敵を倒すと、なんとカードプレイポイントが消費しないのだ。つまりミニオンのように一撃与えれば確実に倒せる敵に対して使えばカードプレイポイントを消費することなく、敵を1体減らせるというわけだ。
こうして敵を殲滅すると、ついにサンクタム・サンクトラムの結界が破られ、そこに悪魔リリスが再登場。ところが、ドクター・ストレンジやブレイド、ハンターたちはそこにたどり着けず、行く手を遮るのはなんと、人気ヴィランの1人、ヴェノム(1988年原作初出)が、フォールン・ヴェノムと名前を変えてこちらを襲撃してくるのだ! 魅力的なヴィランが多いのもアメコミ作品の魅力の1つだが、ここでヴェノムとは……。
本作では敵がどのキャラクターを狙っているかという情報が提示されていたのだが、ヴェノムはこれまで登場した敵とは異なり、ターゲットが表示されない。また行動回数が2回になる場合もあるなど、厄介な相手だ。
なお、ここでミッションの目標が「フォールン・ヴェノムを倒す」に変更になったが、このように倒す相手が明示化されている場合は、その敵を倒した段階でミッション達成となり、他の敵は退散する。そのため、余裕がある時は他の敵も倒しつつ進めればいいと思うが、強敵とのバトルなどでギリギリの攻防が展開するような場合は、倒すべき標的にのみ集中して倒してしまうのがいいだろう。
実際にフォールン・ヴェノムとのバトルはかなり厳しい展開だ。フォールン・ヴェノムの使う「シンビオートの拘束」は、対象キャラクターを1人、行動不能にしてしまう厳しい特殊能力で、解除するには他の仲間による攻撃が必要になる。特に本作の場合、攻撃のメインがカードによるものだが、拘束されたキャラクターのカードばかりが手札にあるような場合だと、行動できるパターンが大幅に制限されてしまう。しかもカードの中には攻撃以外の補助系スキルやヒロイックなど使用条件のあるカードも含まれるため、手順を誤ると何もできずにターンエンドにもなりかねない。
もう1つ、フォールン・ヴェノムは範囲内の味方全員に攻撃を与えるエリア攻撃を使ってくるのも厄介だ。これはターン終了時に発動するものなので、うまく戦いつつ、攻撃対象の範囲を離れる必要がある。このような時には前述の移動が役に立つ。移動はポイントを消費する代わりに、1度移動したキャラクターは他のキャラクターの行動を挟まなければ好きなだけ移動ができる。これを有効に使う事で、体力の低い仲間をちょっと遠くに逃したりといった戦略が行なえる。そうまでさせるほど、名のあるヴィランはここまで凶悪か。
ということで、体力も高く、攻撃手段も厄介なフォールン・ヴェノムをなんとか撃退するとカットシーンにて、再び主人公のハンターがフォールン・ヴェノムに捕まってしまい絶体絶命の大ピンチ!ところが、ここでヴェノムの口にはどこからともなく飛んできた白色のクモの糸が貼りついてふさいでくれた。ん?この展開、まさか……?
遠くから振り子のような動きでやってきたのは、そう、みんなの親愛なる隣人、スパイダーマン(1962年原作初出)だー!確かにここがニューヨークである以上、何らかのトラブルに巻き込まれてなければ、この状況で彼が来ても不思議はないし、むしろ遅ぇよ!とツッコミを入れたくなるのもこらえて、ひょうひょうとしたスパイダーマンのセリフ回しを満喫。その後、ヴェノムはスパイダーマンを追いかけて去っていく流れとなり、このミッションはクリアとなった。
この後は大聖院に戻った主人公のハンターが自室で自身のスタイルをカスタマイズしたり、戦闘時に使われるヒーローの行動カードを強化したりできる「煉魔炉」についてのチュートリアルなどを挟み、さらにブレイドやキャプテン・マーベルとの会話で親交を深めたりとか色々あるわけだが、ファーストインプレッションということで、今日はここまでとしておこう。
何人出るのかマーベルスーパーヒーロー
以上、ざっくりと「マーベル ミッドナイト・サンズ」について触れてきた。近年リリースされたマーベル原作のゲームタイトルはアクションゲームのイメージが強いが、本作では戦略性が重要なシミュレーションRPGという点がポイントだ。アクションが苦手な人でもマーベルキャラクターを自由に操作し、成長させて強化してド派手なバトルが楽しめる本作はじっくりマーベルキャラクターたちを育成して遊びたいプレーヤーには待望の1本と言えるだろう。
また、原作として「ミッドナイト・サンズ」をチョイスするセンスや、マジックやニコ・ミノルといった本作の世界観を考慮したキャラクターチョイスのセンスを見ても、筆者のようなライトなアメコミファンだけでなく、マーベルコミックスの原作から映画、アニメ、ドラマなど広く深く精通しているアメコミマニアが遊んでも十分楽しめるような作りになっていると思われる。
また、この序盤の段階で早くも初代ゴーストライダーと後期ゴーストライダーのロビー・レイエスを出現させるなど、今後のストーリーでこの2人をどう絡ませるのか、間に入るケアテイカーとの絡みは?など色々期待が膨らむ作りになっており、早く続きをプレイしたい気持ちでいっぱいになる、
マーベルコミックスの場合、キャラクターのクロスオーバーが珍しい物ではないため、こうした多くのマーベルスーパーヒーローがどん!とまとめて登場する作品も珍しくはないが、それぞれが単体でも活躍するヒーローであることを考えると、いつもゴージャスに感じる。個人的には昭和の8人ライダーが総登場して敵と戦うエピソードや、ウルトラ兄弟が勢ぞろいして敵と戦うエピソードを思い出して不思議とテンションが上がる。
現段階でも、スクリーンショットなどで公開されている情報からは、「X-MEN」のウルヴァリンや、マーベルコミックスの主人公とも言える「キャプテン・アメリカ」が参戦することは間違いなさそうだ。一体どれだけの数のヒーローが登場するのか、気になって寝ずにプレイしたいレベルだ。
発売まであと2週間弱、今からもうちょっとガッツリやりこんで、発売日前にはもう1度、カードデッキの話や、キャラクターたちについても、もう少し踏み込んで語っていきたいと思う。
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