【特別企画】

頑張るおじさんRPG「ELEX II」は予習が大事! にこやかにプレイを始めるための役立ちガイド

プレイするほど深みにハマる。最序盤を乗り越える知っておきたい前知識

【ELEX II エレックス2】

3月1日 発売予定

価格:
PS5/PS4版 7,590円(税込)
Steam版 6,550円(税込)
Xbox Series X|S/Xbox One版 7,600円(税込)

 3月1日に発売されるオープンワールドRPG「ELEX II」。「Gothic」シリーズのPiranha Bytesが開発した、重厚なRPGだ。本作では主人公ジャックスを操作して、オープンワールドの世界を旅し、様々な派閥の人間たちと関わりながら世界の脅威へと立ち向かっていく物語が描かれる。

 本作の魅力はなんといっても、濃厚で重厚に楽しめるストーリーだ。決して楽観的な世界ではなく、数多く存在する敵モンスター以上に、人間同士、派閥同士の争いが繰り広げられている。

 ジャックスは最初、装備も能力も何も持ちあわせていない。それでも各地に向かい、複雑な関係にある派閥をまとめ、連合軍を作る使命を与えられる。ジャックスの信用はゼロから始まるので、交渉したり裏切ったりして上手く取り入りながら使命を果たさなくてはならない。そこでジャックスは誰に協力するか、どんな行動をするか、どんな会話の選択肢をとるか。それによって分岐していく物語に深い味わいがある。

【『ELEX II(エレックス2)』紹介トレーラー】

 そうした点を最初から理解していれば、「ELEX II」のオリジナリティを思う存分楽しめることとと思う。ただ唯一惜しいのが、特に最序盤で「もう少し説明してくれたら、世界観に浸りやすいのにな」と思ったところだ。

 例えばストーリーは、前作からの続きになっている。簡単に前作を復習するムービーが入るものの、それでもいきなり主人公の自宅が襲撃されて急展開するため、人によっては面食らってしまうかな、と思う。

 またゲームシステム面で言えば、ほぼ裸一貫でボロボロの鉄パイプを持ってフィールドに投げ出され、正体不明のクリーチャーと戦うシーンから始まる。移動や攻撃、回避などの操作の説明は最低限に留めて「あとは色々試しながら楽しんで」という形式なので、そこで戸惑ってしまう場合もあるだろう。

 しかし、ここで止まってしまうのはとてももったいない! その2点さえ突破すれば、プレイすればするほど本作の魅力が増してくる。そこで本稿では、「ELEX II」を存分に楽しむための“予習”として、ストーリー面とゲームシステム面からポイントを紹介していきたい。

おじさん主人公ジャックス、頑張る。ポイントを押さえて独特な世界観を思いっきり楽しみたい!

ストーリーはざっくり前作を押さえておけばOK!

 まずストーリーについて。こちらは、前作を簡単に振り返っておくことで多くのことがわかる。

 「ELEX」シリーズの舞台は「マガラン」という惑星だ。発展した文明があった惑星だが、彗星の衝突で文明の大部分は失われている。わずかに生き残った人類は旧文明の廃墟の中で、3つの派閥に分かれて戦うことになる。それが「バーサーカー」、「クレリック」、「アウトロー」という3派閥だ。

 単なる3派閥の戦いであればわかりやすいが、彗星の衝突によってもたらされた新しい物質「エレックス」がその戦いをさらに熾烈で複雑なものにする。「エレックス」は使用者に生命の進化を変え、新しい能力を与える力を持っていた。

 そして3派閥に所属する人々は「エレックス」を求め、彼らは人間を超えた新たな能力を身に着ける。一方で「エレックス」の力は強く、影響を受けすぎて中毒に陥るとクリーチャーへと変貌する危険性も孕んでいた。

 しかし、その中毒をコントロールできる者も現われた。「エレックス」は彼らに感情を対価に力と集中力、そして体力を与える。その彼らこそ「アルブ」という新たな派閥であり、その派閥の司令官だったのが「ジャックス」、本作の主人公である。

 前作では彼が何者かに裏切られるところから物語は始まり、大きな運命の渦に巻き込まれていく。そしてその彼の物語が前作の「ELEX」で完結したあと、改めて本作「ELEX II」でのストーリーが始まっていくのだ。

ゲームが開始直後に前作のストーリーのおさらい、そして今作のストーリーの始まりについて語られる。100%理解できればそれに越したことはないが、「マガラン」という惑星が舞台で、複数の派閥が争いあっているという状況がわかれば最低限OK。本作を楽しむ障害にはならない

 大体以上のことがわかっていれば、前作を改めてプレイしなくても大丈夫。全体のメインストーリーそのものは独立しているし、「ELEX II」では「ELEX II」ならではの状況がある。派閥内の状況や派閥同士の争いは、イチから「何が起きているか」を探ることになる。汗をかきながら地道に情報を手に入れていく感じや、その先で思いがけないことが起きたりと、むしろ「何もわかってない」からこそ楽しかったりもする。言ってしまえば、前作「ELEX」をまったくプレイしていなくても何らも問題ない。

 一方で前作プレーヤーのために、「ELEX II」に引き続き登場するキャラクターもいる。様々なNPCと会っていると、以前の関係性を持ち出してきたり、「以前こういう話をしたが……」などと話しかけてくることもある。ただし、あくまで“前作を知っていればより楽しめる”くらいの味付けだ。話しているうちに以前のことが気にならなくなるくらいに濃いキャラクターばかりなので、そこはどんどんコミュニケーションしていくといいだろう。

 筆者が特に注目しているのはゲームを始めた直後に登場し、主人公を助けてくれるNPC「アダム」だ。派閥同士のいざこざを収め、この惑星を救うためには主人公の力が必要だと話す。つまりジャックスにやるべきことを教えてくれる重要なNPCなのだが、プレイを進めると彼と因縁があるらしいことがわかってくる。

 彼の正確な名前はアダム・チャールズ・ドーキンス博士で、前作では戦争の火種になったキャラクターだという。こうなると前作での立ち居振る舞いも気になってくるところだが、「ELEX II」では「どうやら前作で敵だったらしい」という情報さえわかっていればひとまず大丈夫。それよりも重要なのは、“そんな彼がなぜジャックスに世界を救うことを託すのか”だ。信用していいような気もするし、怪しいような感じもある。様々な想像を働かせてプレイすると、ストーリーをより楽しめると思う。

正体不明のクリーチャーに襲われる主人公。アダムという謎の老人の手で救われ治療を受ける。だがジャックスの息子は行方不明、息子を探そうとするジャックスに対し「この惑星を救えるのはお前しかいない」と話す。彼の目的は何だろうか?

「クエストログ」と「アビリティー」を理解すれば迷わない&後悔しない!

 もうひとつ、ゲーム最序盤のハードルになりそうなのが「どこに行けばいいかわからないし、クエストの目的もわからない」というところ。ここはコツとして、クエストのUIについて説明しておきたい。

 クエスト関連では、PC版であれば「L」キーを押して「クエストログ」を表示させることがコツとなる。ここでは受託した各クエストの詳細や進行状況、目的地などが確認できる。ゲームはクエストに従って進行していくので、迷ったり確認したくなったら「クエストログ」はマメにチェックすると便利だ。

 なおクエストログから、マップにマーカーを表示できる。マップは「M」キー(PC版)で表示できるので、クエストログとマップを交互に見ていけば目的地を見失うことなくゲームを進めることができる。また表示されたマーカーは画面右上のレーダーにも表示されるので、そこを目印に進んでいくのがオススメだ。

まずはクエストログを中心にゲームを進めていくのがコツ。マーカーを表示すればマップ上にマークが出るので、そこを目指して移動していけば便利。最序盤にもらえる「ジェットパック」を使うとスムーズに移動できるのでそちらも活用したい

 ゲーム最序盤と言えば、キャラクターの成長システムについても触れる必要があるだろう。本作のキャラクター成長システムは大きく「属性」と「アビリティー」の2種類がある。

 「属性」は、一般的なRPGでいうところのステータス。「筋力」、「体格」、「敏捷」、「知恵」、「狡猾」という5種類のパラメーターがある。ここにレベルアップ時に獲得できるポイントを割り振ってキャラクターを育成していくのだ。

 わかりやすいところでいけば「筋力」にポイントを割り振っていけば近接攻撃のダメージが上がるし、「体格」にポイントを割り振れば最大HPが上昇するという仕組みになっている。それだけであればかなりシンプルなシステムなのだが、これらのパラメーターは次に紹介する「アビリティー」にも関連するので、できれば長期的な目で見てキャラクターを育成するのが良い。

「筋力」、「体格」、「敏捷」、「知恵」、「狡猾」という5種類のパラメーターにポイントを割り振っていく。ゲーム進行全体に影響を与えるので、主人公にどんな冒険をさせたいかを考えながら割り振っていくのがオススメだ

 「アビリティー」は一般的なRPGでいうところのスキルのようなものになる。こちらはレベルアップ時などに獲得できる「スキルポイント」と本作の通貨である「エレクシット」を消費することで様々な能力を獲得できるというものだ。

 「アビリティー」を獲得すると特定の武器の使用時の攻撃力が上がったり、経験値が多く獲得できる、ユニークなところでは「犯罪行為(人の所有物を盗むなど)時のペナルティが軽くなる」など様々な能力が得られる。

 どの「アビリティー」も非常に有効なものなので多く取得したいが、何点か気をつけるべき点がある。1つが「属性」の条件だ。アビリティーを獲得するためには属性が一定値以上という条件がある。ざっくり言えば、近接戦闘に関わるような体を使うようなアビリティーは「筋力」や「体力」、機械類のアップグレードなど頭脳を使うようなアビリティーは「知恵」や「狡猾」などのパラメーターが必要だ。

 そのためあまりにも偏っていたり、あまりにも特徴がない割り振り方をしていると「アビリティー」が獲得できず、結果的にキャラクターの真価を引き出せない可能性がある。後悔しないためにも、ポイントをなんとなく割り振る前に、「アビリティー」の必要条件を眺めておくことをオススメする。ある程度自分なりの生き方を決めてキャラクターを成長させたほうがゲーム全体を楽しめるだろう。

 ちなみに「アビリティー」の獲得には「トレーナー」という特定NPCの元を訪れる必要がある。トレーナーの種類によって獲得できる「アビリティー」が異なるので、通うことになりそうなトレーナーの場所はチェックしておくとよさそうだ。

アビリティーには様々な種類がある。どのアビリティーを獲得するかでプレイスタイルは大きく変わることになる。必要な属性の条件に気をつけながら獲得していこう

 ほかにも序盤は装備がなかなか充実しないなど、つまづきやすいかなと思うポイントは多数ある。が、オープンワールドにほっぽり出されるからこそ、自分なりに工夫してだんだんとやりたいことを達成していく楽しさもある。この楽しみを奪わないためにも、今回は“最低限”を意識してみた。

 今回ご紹介した2つのポイントを押さえておくだけでも、本作の入り口を突破することができるだろう。そしてこの入口を乗り越えたその奥には、濃密としか言いようのない体験が待っている。ぜひこの予習記事とあわせて、独特の味わいを持つ「ELEX II」を楽しんでいただきたい。

プレイを進めていくと、いつの間にか巨大鍋を装備していることもある。殺伐としているからこそ、こうした光景が面白い