【特別企画】

不気味な東京で起こる一大オカルトエンタメ! 「Ghostwire: Tokyo」プレビュー

渋谷には「カゲリエ」や「429」が登場。街は「縦方向」にも探索可能

【Ghostwire: Tokyo】

3月25日 発売予定

価格:
通常版8,778円(税込)
デラックス版10,978円(税込)

 プレイステーション 5/PC用アクションアドベンチャーゲーム「Ghostwire: Tokyo」の最新情報が本日解禁となった。解禁となったのは、事前に実施されたプレビューイベントの内容だ。

 2月4日に公開された「Official Showcase」とはまた異なる内容となっており、30分にも及ぶ最新のゲームプレイ映像や、ディレクター木村憲司氏やプロデューサー木村雅人氏ら開発陣によって語られた新情報が明らかにされた。筆者もこのプレビューイベントに参加し、本作の特徴やその物語の一端を確認することができた。

 「Ghostwire: Tokyo」を開発したTango Gameworksは、「バイオハザード」の生みの親である三上真司氏率いるゲームスタジオ。これまで同スタジオは、ホラーゲーム「サイコブレイク」シリーズなどを手掛けてきた。この度発売される「Ghostwire: Tokyo」はホラーゲームではなく、謎の霧によって人口の99%が消えた東京を舞台に、日常に潜む“非日常性”・“違和感”・“気配”を大切に作られたアクションアドベンチャーゲームだという。プレーヤーは、人の代わりに不気味な存在が跋扈する東京を一人称視点で冒険し、超常の力“霊技”を使い敵を倒していくこととなる。

 本稿では、開発陣の「普段目には見えないが、“そこにある”という感覚」を体験してほしいという思いから開発された「Ghostwire: Tokyo」の妖しい魅力やその特徴的な世界観などについて、プレビューイベントにて確認できた最新情報と共に、動画も交えて記していきたい。なお、「Ghostwire: Tokyo」は3月25日発売。価格は通常版が8,778円(税込)、デラックス版が10,978円(税込)となっている。

舞台は人が消え去った不気味な渋谷の街

 プレビューイベントが始まりまず目に飛び込んできたのは、雨上がりの夜、渋谷の街の風景だ。本作での渋谷は、人のいた痕跡は確かにあるのに誰もいない。現実の渋谷では考えられないような静けさがあるが、ネオンや電灯には明かりがともっており、道には服が散乱している。辺りの状況から唐突に人々が消えたことが感じられ、不気味さに拍車をかけている。

【「Ghostwire Tokyo」どこか違う東京】

 街には人の代わりに「マレビト」と呼ばれる不気味な存在が跋扈しており、主人公に襲い掛かってくる。マレビトにはいくつかの種類があるようで、黒い傘をさした顔のないサラリーマンや、赤い傘をさした同じく顔のないOL、首のないセーラー服姿のものや、赤いレインコートを着ている3メートルはあろうかという女型のものなどが確認できた。

 またマレビト以外にも、「妖怪」が本作には登場する。猫又や天狗、河童といった妖怪たちで、彼らは決して敵対的な存在ではない。ただし、異様な存在であることには変わりなく、どのようにプレーヤーと関わっていくかを含め、本作の世界観を深める一員となっている。その種類は、マレビト同様に多く存在するという。

主人公は「暁人」。右手に宿った「KK」と脅威に立ち向かう

 そんな渋谷の生き残りのひとりが、主人公「暁人(あきと)」だ。暁人は街の様子に困惑しつつも、暁人に宿り助言を与える「KK」とともに数々の脅威と戦っていくことになる。

 デモのなかでKKは暁人に「まずは神社を祓え」とアドバイスする。周辺にあった神社は、禍々しい気配を放っており、謎の霧の正体である“あの世の瘴気”が鳥居から流れ込んで来ていた。その瘴気の発生源である鳥居を“霊技”で祓うと、中で人型の「カタシロ」と呼ばれる紙が見つかった。「KK」曰くそれは、幽霊にされた人々を中に取り込み、助けることができるという。助け方は改造された公衆電話を通じて「カタシロ」に取り込んだ人々の霊を、東京の外で待機しているKKの仲間の下へ転送するという独特なもの。人々の救出はプレイ上必須ではないが、救うことで暁人の能力強化につながるそうだ。

 2人はその後、道具を取りにKKの部屋を訪れる。部屋には事件の主犯である「般若」にまつわる資料が並べられており、KKとその仲間は以前から般若と戦っていたことが分かる。資料の中には銃の設計図のようなものもあったが、KKが暁人に使うよう言ったのは弓。どうやら、敵であるマレビトには実体がなく、銃のように一般的な武器は役に立たないが、“霊技”と特殊な武器は効果があるらしい。

 東京の街は縦横無尽に探索可能で、そこでは時折幽霊からの頼まれごとを解決したり、予想もしない超常現象に巻き込まれたりと、様々な物語が待っている。大小のマレビトと戦いながら、般若へと迫っていくことが本作の大きな目的となる。

 時折意地悪なことを言いつつもどこか優しげなKKと、素直な暁人の会話は聞いていて心地よく、2人の出会いは浅いはずなのに旧知の悪友のようだった。彼らの会話は不気味な東京において、安心感を得られるように感じた。是非彼らの会話にも耳を傾けてプレイしたいタイトルとなっている。

主人公「暁人」と黒いもやもやの「KK」
【「Ghostwire: Tokyo」ゲームプレイ公開トレーラー 「般若版」】

「Ghostwire: Tokyo」の霊技を使う特徴的な戦闘方法

 本作の見どころのひとつは、霊技(スキル)を使った「エーテルショット」と呼ばれる戦闘アクションだろう。暁人の手が印を結ぶ忍者のような動きをしたかと思うと、手からは弾のようなものが発射されてマレビトを攻撃していく。最後にはワイヤーのような光を“グイーッ”と力を込めて引っ張り、マレビトの胸の辺りにあるコアを破壊するフィニッシュ技のようなものもあった。また、マレビトに気づかれないよう背後から近づくことで、ステルスキルも可能となっている。

 霊技による攻撃には属性があり、火、水、風の3種類が今回は確認できた。爆発する火球による攻撃、水の斬撃を飛ばす攻撃、つむじ風を中距離まで飛ばす攻撃など。それぞれの特性を把握し、場面に応じた使い分けが重要となりそうだった。また遠距離なら、前述した弓を使い、さらには敵を痺れさせるなど、状態異常にできる「札」のアイテムもある。霊技と道具を組み合わせることで、戦術の幅が広がるような仕組みだ。

 なおこの霊技には弾数制限のようなものがある。しかし、敵を倒したり、マップに点在する「エーテル結晶体」から補充可能となっている。また霊技には攻撃だけでなく防御や、空中を滑空し移動できるものもあった。この霊技は、幽霊を救助したり妖怪と関わっていくことで強化可能だ。

 なお、マップ各地に点在する神社は瘴気の発生源にされており、浄化することで、様々なメリットがある。新たなアイテムを入手したり、賽銭箱にお賽銭を入れることで、自身や周囲に恩恵がもたらされるようだ。

火のエーテルショットを放つ様子
敵を痺れさせる札を構えているシーン
弓を引き絞っているシーン
敵のコアを破壊し、エーテルを取り出す様子(コア縛り中)
敵のコアを破壊し、エーテルを取り出す様子(コア破壊後)
敵のコアを破壊し、エーテルを取り出す様子(エーテル回収中)
敵のコアをつかむ瞬間の様子
敵のコアをつかむ瞬間の様子
「カタシロ」を使い幽霊を救出する様子
【「Ghostwire Tokyo」戦闘】
動画内に登場する「凛子」は、暁人の協力者の1人で、KKの昔からの仲間

エキゾチックさ全開の東京/渋谷の街に注目

 「Ghostwire: Tokyo」の東京は、真新しいビルなどが並びながらも、脇に逸れれば懐かしさを感じるような古い街並みがあったりして、多用で入り組んでいる。ギラギラと光るラブホテル街やひっそりとしたマンション、夜も街でひときわ明るく輝くコンビニなど、実際の景色を知っていても「なんてエキゾチックな街だ」と感じてしまうほど独特の雰囲気が再現されている。

 また、東京の街は全てが再現されているわけではないが、アイコニックなスクランブル交差点周辺は特に再現度高く作りこんだという。また、実際にあるヒカリエが「カゲリエ」となっていたり、109が「429」としてオマージュされているなど、名所も点在しており、観光を楽しめるようになっている。またプレイ中には、普段行けないようなビルの屋上にいけるなど、「縦方向」の探索も意識されている。知っているようで知らない渋谷を見て回るような、そういった“非日常感”を味わえるのも大きな魅力といえる。

【「Ghostwire Tokyo」世界観】

人の“不安”を反映した恐ろしくも魅力的な敵「マレビト」

 敵であるマレビトは、入学や就職など、都市伝説や人生の転機に生じる“不安”を元にデザインしているという。見た目からして異形だが、どこか共感してしまうような悲しさや切なさなど時折共感してしまうような瞬間もあり、ただ不気味で恐ろしいだけではない不思議な魅力がある。

 さらに、マレビトの魅力は見た目だけではない。傘を持ったサラリーマン風のマレビトは、プレーヤーに攻撃してくる際、走るのではなく大股で近づいてくる。また、学生服姿のマレビトは素早くアグレッシブに近づいて攻撃してくる。こういった見た目に合った多様な動きも魅力のひとつと言える。

 中でも、サラリーマン風のマレビトは、筆者の過去の姿を見ているようだった。その大股で近づく動きやスーツ姿などに思わず共感してしまい、お気に入りのマレビトとなっている。

 ちなみに学生服やセーラ服姿のマレビトには、首から上がない。頭のあるマレビトには弓矢などでヘッドショットすると大ダメージを与えられるが、前述の学生服姿のマレビトには狙う頭がない。つまり他のマレビトにある弱点がないのだ。このことで心理的な恐怖とは別に、脅威としての恐ろしさを生んでいる。実際にプレイする際には敵のビジュアルやその動きにも注目したい。

時に助けとなる「妖怪」

 「Ghostwire: Tokyo」の更なる特徴は、「妖怪」の存在だ。その存在は上記したように「敵対的な存在ではない」。では一体どんな関わり方をするのかといえば、しっぽが2本ある猫の妖怪「猫又」は、コンビニなどに表れてアイテムの売買を行なってくれる。また、「天狗」はビルの上を飛んでおり、その足にワイヤーのような光を伸ばすことで、一気に高い場所へと上る移動手段として役に立ってくれる。ほかにも、「座敷童」は、とあるミッションイベントにて呼び出すこととなる。

 このように「妖怪は」メインストーリーとの関わりは薄いようだが、サブストーリー的に楽しめたり、積極的に関わっていくことで助けとなってくれる存在であり、本作の世界観を深める大切な要素となっている。

【「Ghostwire Tokyo」妖怪】

犬だけでなく猫も“ナデナデ”できる

 以前公開された情報では犬にのみ言及されていた本作の“ナデナデ”だが、実際には猫も“ナデナデ”できることが明らかとなった。不気味な世界観の本作にとって、“やわらかい生物”との触れ合いは非常に重要になると思われる。実際にプレイする際には、是非とも積極的に触れ合いたい。

猫を“ナデナデ”しているシーン
犬を“ナデナデ”しているシーン
【「Ghostwire Tokyo」猫、犬“ナデナデシーン”】

 ここまでで「Ghostwire:Tokyo」の、バーチャルプレビューイベントにて判明した最新情報の紹介は以上となる。総合して言うならば本作は現代東京を舞台にした一大オカルトエンターテインメントだと感じた。舞台となる東京は夜の雨上がりで、その不穏な雰囲気は筆者的に大変好ましかった。

 また般若の恰好がどこかSci-Fiチックなのも印象的で、般若以外の敵のビジュアルにも期待が持てる。なにより、傘を持ったマレビトのデザインには秀逸なものを感じた。

 「Ghostwire:Tokyo」はオカルト好き、不気味な異形が好き、東京のサイバーパンクな雰囲気を楽しみたいというプレーヤーには必見のタイトルとなっている。是非とも3月25日の発売に期待したい。