【特別企画】

VRゲームに生まれ変わって恐怖度、臨場感爆上がり! Oculus Quest 2版「バイオハザード4」プレイレポート

プレーヤーの動きがゲームと完全連動、プレイすれば気分はレオン!!

【Oculus Quest 2版 バイオハザード4】

10月21日23時 配信予定(日本時間)

価格: 3,990円(税込)

 ゲームキューブ用ソフトとして2005年にカプコンがリリースしたサバイバルホラーゲーム「バイオハザード4」が、Oculus Quest 2専用のVRタイトルとなって蘇った。

 「バイオハザード4」は当時としてはかなりの革新的な作品で、シリーズのアイコンともいえるゾンビを大胆にも廃止し、寄生生物・プラーガに支配された人間、ガナードが新たなる敵として登場した。ゲームシステムの面でも大きく変わり、固定視点であった従来作のゲームデザインを一新し、TPS視点へと変化を遂げた。それにともないアクション性が格段に上がり、ホラー要素だけではなく、戦闘部分の面白さでもファンの心をガッチリ掴んだ。

 そんな「バイオハザード4」のさらなる進化系ともいえるOculus Quest 2版を、今回先行プレイすることができた。どのようなVR体験が待っているのか、気になるゲーム性やVRならではのプレイ体験をお伝えしよう。

【Oculus Quest 2版 バイオハザード4 | ゲームプレイトレイラー | Oculus Quest 2】

かつての「バイオ4」とはまるで別世界! VRならではの恐怖が待ち受ける

 プレーヤーは主人公のレオン・S・ケネディとなって、誘拐された大統領令嬢であるアシュリーの救出を目指すのが本作の主な目的。アシュリーの目撃報告のあったヨーロッパの不穏な村へ向かうシーンからゲームが始まる。道中では人の気配が無く、導入から良い意味で不気味な空気が漂っている。

「バイオハザード2」では新米警官だったレオンが、本作では凄腕のエージェントとして成長している

 イベントシーンの映像は過去に発売されたHDリマスター版と同じフォーマットのまま表示されるが、ゲーム本編が始まるとレオン目線の一人称視点となり、筆者の目の前には陰鬱とした光景が広がっていた。

 ゲーム中のグラフィックスは、本作用に立体視可能な映像へ調整されている。もとは16年前のゲームなのでプレイステーション 4の「バイオハザード7 レジデント イービル(以下、「バイオハザード7」)」のVRと比べると映像面では少々見劣りするが、草木や建物などのオブジェクトが実際にそこにあるかのようなリアルな立体表現は「バイオハザード7」に引けを取らないクオリティだ。

 「バイオハザード4」自体は、初代のゲームキューブ版とプレイステーション3のHDリマスター版をプレイ済みなので見慣れた景色ではあるのだが、レオンの背中越しではない自分の目線で見るだけで印象がガラリと変わり、かつてのものとはまったくの別世界のように感じられた。装着したヘッドセットの動きと連動して視線が移り、灰色の空から崖の谷底まで、全周囲360度見渡すことができる。かつてブラウン管越しに見ていた世界に今自分が入り込んでいることに素直に感動した。

ゲームの舞台である村。ここで大きな事件に巻き込まれる
顔の動きで視線が変わる。顔を上げれば空を見ることもできる
写真だと伝わりづらいが、崖から下を覗き込むとかなりの迫力

 リアルなVR映像だけに臨場感も桁外れだ。「バイオハザード4」は、従来のシリーズと比べるとホラー要素は控えめの作品ではあるのだが、俯瞰でゲームの世界を見るのと自身がゲームの世界に入り込むのとでは全く別物であった。

 どこに敵が潜んでいるのか分からない閑散とした村を探索していくのは想像以上に緊張が走る。特に薄暗い屋内や地下道は、進むのが憂鬱なほど不気味さが増していた。

村のそこいらに敵が潜んでいると思うと、歩みがなかなか進まない
屋内もゾクゾクするほどの不気味さである

 本作はサウンド面も強化されて三次元音響となっており、音のした方向がハッキリとわかるほどリアルな音の響き方をする。背後からしのび寄る足音や、カラスの鳴き声が聞こえたときはもちろん、蠅の羽音ごときにも正直ビビらされた。

 VRになったことであらゆる面において恐怖度が増し、真のサバイバルホラーへと進化を遂げている。「バイオハザード4」はホラー要素が物足りないと思っていた人には嬉しいポイントである。

音による恐怖演出もあるので、ヘッドフォンをしてプレイするのを推奨する
腐った鍋に近づくと、激しい蠅の羽音が。思いがけない伏兵に本気で驚かされた

 Oculus Quest 2のTouchコントローラーもゲームの世界へ引き込むことに一役を買っている。コントローラーを握ってグリップ部のボタンを押すことで、ドアや落ちているアイテムなど様々な物を掴むことができるのだ。リアルでのグリップを握る動きとゲーム中で物を掴むアクションが見事にシンクロしており、没入感がハンパじゃない。

物を掴むというアクションが、プレーヤーをゲームにぐいぐい引き込む

 自分の両手を使ったアクションで筆者的にグッときたポイントは他ならぬ“セーブポイント”だ。シリーズ定番のセーブポイントであるタイプライターは本作も健在で、セーブ時に響き渡るあの小気味よいタイプ音は「バイオ」シリーズファンなら脳裏に焼きついていることだろう。

 そして本作では、シリーズ史上初となるセーブ時のタイプライターを自らの手で打つことが可能なのだ。セーブ内容の詳細を自由に入力をすることができて便利なのもあるが、それ以上に“あのカシャカシャ”を自分で打っていることにニヤニヤが止まらない。

あのタイプライターを自分の手で打てる。これぞ最高のファンサービスである

没入感を加速させる、レオンになりきれるゲーム性!

 VR用の立体的な映像も本作ならではの売りだが、それ以上に筆者が一番推したいのは“自分自身がレオンになりきって戦う気持ち良さ”である。「バイオハザード7」のVRはあくまで立体映像を売りにしていた作品のため、ゲーム自体は通常のコントローラー操作であった。なので、ゲーム内とプレーヤーが連動する面白さは「バイオ」シリーズでは本作でしか体験できない。

 本作の武器管理モードは、メニューを開いて装備を選ぶ「クイック選択」と、体に装着した武器を手に取る「イマーシブ」の2種類が用意されているのだが、筆者は断然イマーシブでプレイするのをおすすめする。

 胸にナイフと手榴弾、腰にハンドガンと弾薬、そして背中にはショットガンやライフルと、まさに武器人間といえるほどレオンは全身に武器を身に付けている。それがプレーヤーとシンクロしており、自分の腰や背中などに手を持っていきグリップを握れば、身に付けている武器を装備することができるのだ。グリップのボタンを離すと武器が手から落ちるなど、リアル過ぎる作りになっている。

クイック選択では、表示されたアイコンから武器を選ぶ
胸元からはナイフを取り出せる。グリップのボタンを離すと武器を手放すというこだわりっぷり

 イマーシブの良さは、状況によって瞬時に武器を持ち変えられるテンポの良さと、そしてなによりレオンのアクションを自ら行なう“なりきり感”である。

 腰から銃を抜き、マガジンを込めてスライドを引く。この一連のアクションを流れるように行なっている瞬間が(脳内では)最高にカッコよく、正直家族や友人に見せたいほどだ。これを読んで「このナルシストが」と鼻で笑った人にこそ、レオンになりきれる爽快感を味わってもらいたい。

腰からマガジンを取り出す
ハンドガンにマガジンをセット。慣れるまではここで結構もたつく
最後にスライドをカシャっと引く。体験してもらわないと絶対に伝わらないと思うが、この一連の動作が想像以上に気持ち良い

 ゾンビに変わって登場した雑魚敵のガナードは人間の知能を持っているため、ゾンビと比べて移動速度が早く、武器なども使ってくる。数で襲ってくることが多く、なかなかに手強い相手である。

複数人で襲ってくるガナード。囲まれると非常に危険だ
斧やダイナマイトを投げる敵もおり、油断ならない
チェーンソーを持った殺る気満々のガナードも

 銃の照準はスティック操作ではなく腕の動きで狙いを定める、非常に没入度の高い操作性となっている。

 初めは敵にうまく狙いがつけられないはおろか、思うように武器が取れなかったり、弾薬の装填にまごついたりと初歩的な所でピンチになることも多いが、操作に慣れてしまえば即座に銃を抜いてガナードの頭をぶち抜くことも容易にできる。手際良く敵を片付けられるようになると、自分の凄腕エージェント感に酔いしれること請け合いだ。

弱点の頭を狙えば、ハンドガン数発で倒すことができる
戦いに慣れれば、ハンドガンでよろけさせて、体術でダウンをとり、そのままナイフでトドメを刺すといった華麗なコンボも決められる

 「バイオ」シリーズといえば特殊なボス戦も特徴の1つ。そのなかでも特に衝撃的だったのが本作で1番最初に出会うことになる「デルラゴ」との戦いだ。ボートに乗った水上での戦闘になるのだが、迫力と臨場感は他機種版とは比べ物にならないレベルであった。

 一人称視点になったことでモーターボートを走らせる疾走感が視覚的にダイレクトに伝わり、脳が錯覚を起こしているのか実際には床に座っているハズなのだが、地に足が着いていないような浮遊感すら感じてくる。

 爆走するボートに揺られながら目まぐるしく動き回るデルラゴを、ニードルガンで狙い撃つガンシューティングのような戦闘パートになっており、このボス戦はもはやVRアトラクションともいえる面白さだ。

視覚的なスピード感とコントローラーの振動が相まって、本当にボートに乗っているような感覚に陥る
他機種版ではモリを直に投げて戦ったが、本作ではニードルガンで戦う仕様に変更されている

 モニターで遊ぶ通常のゲームでは味わうことができない、最高のゲーム体験をできるVR作品だが、激しい画面の動きから、人によってはプレイしていると3D酔いをしてしまうという難点もある。しかし本作は“酔いやすいのでまともにプレイができない”というプレーヤーを配慮した様々な設計が施されている。

 ゲームの基本となる移動は、滑らかな動きの「フルモーション」と、マーカーで移動先を決めて、指定の座標に瞬時に移動できる「テレポート」の2つのスタイルが用意されている。筆者は割と耐性があるらしく3D酔いはあまり起こらないのだが、両モードを比較してみたところ、目まぐるしく画面が移り変わるフルモーションと比べて、パッと移動先へ飛ぶテレポートの方が目の負担はかなり少ないように感じられた。

 試す前はいちいち移動の度にマーカーを出すテレポートスタイルはテンポが悪そうとも思ったが、実際に触れてみると想像以上の快適さ。フルモーションと比べると繊細な移動は少々難しいが、ゲームをプレイしていて特に遊び辛さはなかった。

 そしてもっとも酔うであろう、グルグルと視点を回す方向転換もしっかりサポートされている。酔いにくい「スナップ」のスタイルでは、視点を変えるとコマ送りのような動きで方向転換ができる。移動はテレポート、方向転換はスナップの設定で遊べば、酔いやすい人でも問題なく遊べるのではないだろうか。

3D酔い対策が万全で、すべてのゲーマーに遊んでもらいたいという気概すら伝わってくる

 これまで様々な機種に移植されてきた「バイオハザード4」だけあって、VR版になっても正直お腹いっぱいという気持ちでいたが、本作はただ一人称視点に変わっただけではなく、あらゆる面で本作用に作り直された“もはや新作”といっても過言ではない仕上がりになっていた。

 Oculus Quest 2専用タイトルということで躊躇する人もいると思うが、特別な周辺機器などを必要とせず4万円弱のOculus Quest 2本体だけで「バイオハザード4」のVRが楽しめてしまうのだ。“ものすごい安価”とは言わないが、仮にPCやコンシューマハードで0からVRゲームを始めるとなると倍以上の初期投資が必要になるのを考えるとなかなかにリーズナブルである。

 「バイオハザード4」をプレイしたことのない人はもちろん、過去に遊んだことがある人にも全力でオススメできる作品となっている。Oculus Quest 2をすでに持っている人ならば本作をプレイしない理由がない。