【特別企画】

2日目は「サクラ」、「ペルソナ」、「テイルズ」! 「TOKYO GAME MUSIC FES」、2日目レポート

25年前の名曲達の素晴らしいアレンジの数々に、心の中でスタンディングオベーション!

【TOKYO GAME MUSIC FES】

10月2日、3日開催

会場:サントリーホール

 CESA(コンピュータエンターテインメント協会)は10月2日、3日の2日間、東京ゲームショウ25周年を記念して、数々のゲームの名曲たちをこのコンサートでしか聴けないアレンジで楽しむことができるゲーム音楽コンサート「TOKYO GAME MUSIC FES」をオンラインで開催した。

 2日目である10月3日は、「サクラ大戦」、「女神異聞録ペルソナ」、「マリーのアトリエ / ライザのアトリエ 2」、「テイルズ オブ ファンタジア」、「スターオーシャン/スターオーシャン First Departure R」、「バイオハザード」、「NiGHTS into dreams...」、「ワイルドアームズ」、「アークザラッドII」、「幻想水滸伝」などの楽曲が演奏された「TGS 25th Annivery STAGE」が配信されたので、そのレポートをお届けしよう。

 2日目の特徴は、今から約25年前――1996年前後に発売されたタイトルが集められている点。中にはシリーズを通してのメドレーなどもあるが、ほとんどが今から約25年前の楽曲で構成されている。いくらオーケストラで新たなアレンジとなっているとはいえ、いずれも今から25年も前に作られたとは思えないほど全く色褪せない楽曲ばかりが並んでいるので、多くのゲームファンに見てほしいコンサートだ。

「TGS 25th Annivery STAGE」セットリスト

サクラ大戦

1. 檄!帝国華撃団
2. メイン ・ テーマ
3. 愛ゆえに
4. がんばれ ! 帝国華撃団
5. 花咲く乙女

女神異聞録ペルソナ

1. 全ての人の魂の詩
2. 通常戦闘
3. サトミタダシ薬局店のうた
4. 神話覚醒
5. 死線

マリーのアトリエ / ライザのアトリエ 2

1. 好きだった絵本
2. 只今お仕事中!
3. シアの願い事
4. 酒場の親父の曲
5. 冒険者の唄
6. 星風
7. いにしえの足音
8. 帰還するもの
9. 新しい大冒険 ~ from ひと夏の大冒険~(ライザのアトリエ2)

テイルズ オブ ファンタジア

1. THE STREAM OF TIME
2. RAISING A CURTAIN
3. TAKE UP THE CROSS
4. FINAL ACT
5. FIGHTING OF THE SPIRIT
6. 夢は終わらない~こぼれ落ちる時の雫~

スターオーシャン / スターオーシャン First Departure R

1. REUNION
2. DEPARTURE
3. CALM TIME
4. One Challenge
5. PAST DAYS
6. FOR ACHIEVE
7. TENSE ATMOSPHERE

-休憩-

バイオハザードシリーズ

1. First Floor Mansion
2. Raccoon City
3. Krauser
4. Revelations -Previous Story
5. Metamorphosis
6. Go Tell Aunt Rhody
7. Village of Shadows
8. Yearning for Dark Shadows

NiGHTS into dreams...

1. NiGHTS
2. Paternal Horn
3. The Amazing Water
4. She Had Long Ears
5. Growing Wings
6. DREAMS DREAMS

ワイルドアームズ

1. 荒野の果てへ
2. 世界にひとりぼっち
3. 街
4. 荒野の渡り鳥(ロディのテーマ)
5. 勇気(ダンジョン)

アークザラッドII

1. アークザラッドのテーマ
2. エルクのテーマ
3. 四将軍戦闘
4. LAST BATTLE

幻想水滸伝

1. 幻想の世界へ
2. 美しき黄金の都
3. 魔物たちとの対決
4. 月夜のテーマ
5. 最強の敵
6. REQUIEM
(約150分)

前半は「サクラ大戦」や「女神異聞録ペルソナ」、「アトリエ」、「テイルズ」「スターオーシャン」らが登場

 オープニングを飾ったのは、1996年に発売された「サクラ大戦」より「檄!帝国華撃団」。きっとゲームファンならば一度は耳にしたことがあるであろう、有名曲だ。この楽曲は耳馴染みのよい横山智佐さんのボーカルが際立つが、ボーカルをサックスで置き換えてのアレンジだが、思わず歌詞を口ずさみたくなる。途中でギターソロも入るという、カッコよさが前面に出るアレンジに。

 そこから「メイン ・ テーマ」ではヴァイオリンが軽やかに旋律を奏で、金管が力強いメロディを後押しする。華やかな楽曲が2曲続いたあとは、ムーディな「愛ゆえに」へ。こちらもボーカルが印象的な曲だが、サックスがボーカルのメロディを奏で、より一層昭和の時代のような和風ジャズテイストなアレンジに身を委ねていると、戦闘パートで流れる「がんばれ ! 帝国華撃団」で再び熱が上がる。最後はエンディングテーマ「花咲く乙女」ではクラリネットやギターの音色が柔らかく響かせ、途中に再び「檄!帝国華撃団」のフレーズなどを挟めつつ、”グランドフィナーレ”というムードたっぷりにメドレーを終えた。

 続いては1996年に発売された「女神異聞録ペルソナ」から、ベルベットルームで流れる「全ての人の魂の詩」。ピアノソロがどことなく不穏な雰囲気を漂わせ、クラリネットのソロがメインの旋律を刻み、合成シーンで流れるBGMも挟まれるという、ゲームの場面そのものを再現したアレンジが素晴らしい。

 そこから一転、ドラムとエレキギター、エレキベースが鳴り響き、「通常戦闘」へ。原曲のロック感を、オーケストラアレンジで見事に再現。そこから「サトミタダシ薬局店のうた」を経て、「神話覚醒」。「神話覚醒」ではドラムがパワフルな音を響かせ、そこからエレキギターのアドリブが唸るという、完全にロックコンサートのような雰囲気に。最高潮の盛り上がりから、ボス戦闘時の曲である「死線」へと雪崩れ込む。神秘的なメロディが際立つ前奏から再びロック全開のアレンジに入り、途中ではシリーズでも人気の高い「ペルソナ3」の「全ての人の魂の戦い」のようなアレンジも差し込まれ、思わず鳥肌が立った。このメドレーを締めくくるのは、やはり「全ての人の魂の詩」。ハープが静かに旋律を奏でて、心静かに終わる構成となっていた。

 次は、1997年にリリースされた「マリーのアトリエ」から、タイトル画面で流れる「好きだった絵本」。落ち着いた曲でありながら、まるで雷のように鳴るティンパニが印象的である。そこから「只今お仕事中!」へ。アトリエ内で流れる軽やかなリズムで刻まれるカントリー調の楽曲は、爽やかな風を彷彿させる。

 メドレーはマリーの親友シアのテーマである「シアの願い事」から「酒場の親父の曲」、ヴィラント山で流れる「冒険者の唄」と続き、通常戦闘曲の「星風」へ。アップテンポな曲が続き、エアフォルクの塔の曲「いにしえの足音」ではドラムが激しく鳴り響くアレンジに。

 ボス戦闘曲の「帰還するもの」からエンディング「始まりの朝」のフレーズを挟んで、どこか西部劇にも似た雰囲気を感じさせる「マリーのアトリエ」のメドレーが終わり、ラストはシリーズ最新作「ライザのアトリエ2 ~失われた伝承と秘密の妖精~」から「新しい大冒険 ~from ひと夏の大冒険~」へ。スネアが軽やかなリズムを打ち、ストリングスが重なり、広大な自然を彷彿させるような、爽やかな締めくくりとなった。

 次の演奏曲は、1995年に発売された「テイルズ オブ ファンタジア」からオープニング曲の「THE STREAM OF TIME」。ハープをメインに据えた神秘的なアレンジから、一気に行進曲のような力強さを持つフィールド曲の「RAISING A CURTAIN」へと移り変わる。そのまま通常戦闘曲「TAKE UP THE CROSS」へ流れ込むのは、まさにフィールドから敵とエンカウントした時のムードそのままという、アレンジだ。ギターやトランペットなどが、小気味良いリズムを刻むアップテンポなバトル曲に、テンションが上がる。

 そして”未来”のフィールド曲「FINAL ACT」は原曲からかなりイメージを変えたアレンジとなっており、前半はピアノが前面に出るジャズのようなムードに、後半は一気にドラムなどが入り、メロディアスなロックとなっている。

 精霊との戦闘曲「FIGHTING OF THE SPIRIT」では熱いリズムをそのままに勢いのあるアレンジになっており、そのまま主題歌である「夢は終わらない~こぼれ落ちる時の雫~」へ。当時はSFCからボーカルが流れるという画期的な試みが為された楽曲で、SFC時代のメロディを忠実に再現するような、懐かしさがこみ上げるアレンジとなっていた。

 続くは1996年に発売された「スターオーシャン」及び2019年にリメイクされた「スターオーシャン First Departure R」から、「REUNION」。エンディングで流れる曲とあって、いきなりこれでクライマックス感のあるスタートだが、原曲とはかなり違うピッコロとハープを中心としたアレンジになり、全体的に勇ましい曲調が多い「スターオーシャン」シリーズのメドレーの最初を飾るに相応しいアレンジへと変貌。

 そこから本作のタイトル画面で流れる「DEPARTURE」へ。神秘さが際立つアレンジとなっており、この曲を今までたくさん聞いてきたファンにとっても目から鱗が落ちるようなアレンジだろう。

 クラート村の曲「CALM TIME」では、クラリネットがのどかな村の旋律を奏でる。そして惑星ロークのフィールド曲「One Challenge」はストリングスやトランペットがメインフレーズを刻み、そこからアストラル大陸などで流れる「PAST DAYS」へ繋がる。「PAST DAYS」から更に戦闘曲「FOR ACHIEVE」と繋がる2曲は「スターオーシャン4 ―THE LAST HOPE―」版に近いアレンジとなっており、金管楽器の厚い音、ティンパニなどが際立っていた。

 最後はシリーズ屈指の人気曲である、ボス戦の「TENSE ATMOSPHERE」へ。これぞ桜庭統氏のロックという代表的な楽曲を情感たっぷりなオーケストラで見事に描き、非常に心が高まる演奏で、前半は終了した。

後半は「バイオ」、「NiGHTS」、「ワイルドアームズ」、「アークザラッドII」、「幻想水滸伝」と更なる名作が続く

 第二部のOPを飾ったのは、1996年発売の「バイオハザード」を始めとした、「バイオ」シリーズ一連のメドレー。まずは初代「バイオハザード」の洋館で流れる「First Floor Mansion」。不気味さを彷彿させる特殊演奏から、セーフルームの音楽「Peace of Mind」を挟み、「バイオハザード2」から「Raccoon City」へ。壮大な物語を彷彿させる盛り上がりから、「バイオハザード4」の「Krauser」に繋がる。クラウザーとの戦闘時に流れる重厚感たっぷりの曲は、ティンパニの音がズシリと腹に響く。

 「バイオハザード リベレーションズ」から「Revelations -Previous Story-」、そして「バイオハザード RE:3」からネメシスとの戦闘時の楽曲「Metamorphosis」へとメドレーは展開していく。強大な敵であるネメシスと対峙する恐怖感や、物語のクライマックス感を彷彿させるアレンジは、切なさを感じるピアノのフレーズを挟みながら、「バイオハザード7 レジデントイービル」の主題歌である「Go Tell Aunt Rhody」へと続いていく。チェロのソロや、各種弦楽器が不穏な唸りを上げ、「バイオ」ならではのホラー感を掻き立てる。

 メドレーの最後は、シリーズ最新作の「バイオハザード ヴィレッジ」から、まず「Village of Shadows」。ゲームのオープニングで、娘のローズマリーに絵本を読み聞かせてあげる心和むシーン……で流れるBGMにしてはあまりに不穏な雰囲気には、ゲームプレイ時に思わず背筋がぞっとしたプレイヤーもいるのではないだろうか。この恐怖感を非常に忠実に再現した演奏は、いよいよイーサンの物語が終わるその最後を飾った本作の主題歌「Yearning for Dark Shadows」へと続き、チェロのソロが物悲しく響いた。

 不気味さや物悲しさを押し出したスタートだった第二部のムードを一気に変えたのは、「NiGHTS into dreams...」。本作は1996年に発売されたタイトルで、自由に空を飛び回るゲーム性を表した軽やかな楽曲が奏でられる。「NiGHTS」では、元々4分ほどある原曲を、ほぼそのままに再現。ステージ選択時の「Gate of Your Dream」のフレーズを挟み、スプリングバレーで流れる「Paternal Horn」へ。原曲と異なり、ピアノが際立つアレンジとなっており、跳ねる金管楽器がこのBGMの明るさをより前面に押し出す。

 スプラッシュガーデンの「The Amazing Water」から、ボスのナイトメアン戦「She Had Long Ears」へと、演奏は続く。アラブ音楽のような雰囲気を持つ楽曲は、後半からジャズアレンジとなり、やがてはビッグバンドのような演奏へと変貌していく。

 そして最終ステージで流れる「Growing Wings」から「Sowing Seeds」を挟んで、本作屈指の人気曲である「DREAMS DREAMS」へ。本来はコーラスが入る曲だが、女性パートをアルトサックス、男性パートをテナーサックスで表すという、アダルトなムードで再現された。キレのあるビート感と、スウィングしたくなるようなリズムで盛り上げ、「ここが会場だったならばスタンディングオベーション確実」というほど壮大なアレンジで、メドレーを締めくくった。

 続くのは、1996年に発売された「ワイルドアームズ」から「荒野の果てへ」。本作特有の口笛のメロディは、ピッコロで描かれた。

 「世界にひとりぼっち」は、タイトルの通り、ソロで奏でられるアコースティックギターが寂し気な雰囲気を醸し出している。そしてメドレーは「街」~「荒野の渡り鳥(ロディのテーマ)」~「勇気(タンジョン)」と繋がっていった。

 全編で、”なるけ節”とも呼ばれている独特の民族音楽のムードを大事にしたアレンジとなっており、アコースティックギターやピアノがふんだんに使われ、あえて長いアドリブソロなども入れられており、思わず手拍子を入れたくなるリズムも健在。まさに荒野を旅する本作の雰囲気をそのままに、次々と景色が変わる様を楽しんでいく幻想的なメドレーとなっており、熱くなった心をそのままに高いテンションのままビシっと終わるラストは、聴きごたえ抜群だった。

 次は、1996年に発売された「アークザラッドII」から、「アークザラッドのテーマ」。打楽器の力強さに惹き付けられながら、「エルクのテーマ」へと移る。まずはヴァイオリンソロが美しくメインのメロディを奏で、そこに更に他の弦楽器などが重なってくるアレンジに。そして「四将軍戦闘」~「LAST BATTLE」と、一気にメドレーは進んでいく。

 本作のバトル曲は、バトル曲でありながらテンポを上げるということでプレイヤーのテンションを高めるのではなく、重厚なメロディでバトルへの緊張感を高めるBGMとなっており、他のゲームではあまり感じることのできない手に汗握る戦いをBGM面でも後押しされるが、まさにそれに相応しい展開のアレンジだ。

 メドレーは再び「アークザラッドのテーマ」を奏でて、勇壮な締めくくりとなった。

 この日の最後を飾ったのは、1995年に発売された「幻想水滸伝」。まずはメインテーマの「幻想の世界へ」が演奏された。ハープの神秘的な演奏からオーボエが楽曲の印象的な音色を刻み、そこから「美しき黄金の都」へと繋ぐ。異国情緒漂うメロディに手拍子も取り入れられ、思わずステップを踏みたくなるようなアレンジとなっていた。

 「大草原の小さなキャラ」をほんのワンフレーズ挟み、通常戦闘音楽「魔物たちとの対決」へ。バトルのテンポが良い本作ならではのリズム感をそのままに、打楽器などが楽曲を激しく盛り上げる。

 だがそこから一転、次は優美な「月夜のテーマ」が視聴者を包み込む。ピアノと弦楽器のみで演奏される楽曲は、神秘さを際立たせる。しっとりとした楽曲に酔いしれていると、突如「激突!」の高らかなフレーズを挟み、「最強の敵」へ。ティンパニが高らかに鳴り、不協和音のようなピアノが楽曲の不気味さを一層盛り上げる。

 最後はエンディングの「REQUIEM」へ。「幻想水滸伝」ならではの出会いと別れを象徴する物悲しさを感じるアレンジは、じわりと心にしみる。「ADERTUNERIO ANTES LANCE MAO ~戦いは終わった~」のフレーズを挟んだ後、再び情熱的な「幻想の世界へ」を奏で、本公演は幕を閉じた。

 本日演奏されたタイトルの多くを約25年前当時、ほぼリアルタイムに経験してきた筆者にとっては、思い出を振り返るのに非常に良い公演だった。

 いつの時代になっても色あせることがないというのが、ゲーム音楽の大きな特徴のひとつだ。「サクラ大戦」では昭和歌謡のような懐かしいムードを持つ曲があるが、ではそれを今聞いたからといって”古臭い”とはならない。もちろん全ての楽曲が25年後の現在の感覚でアレンジされているから、という点を含めても、原曲を聞いたところでやはり古いと思うファンはいないだろう。

 今回のコンサートは、原曲にかなり寄り添ったものから斬新なアレンジまで様々なものが取り入れられていたが、そのどれもが「当時聞いても新しかった曲で、今聞いても新しさを感じられる」と思えるものばかりで、ゲーム音楽のより一層の可能性を深く感じられた。

 特に「女神異聞録ペルソナ」では「全ての人の魂の戦い」のようなファンが思わず立ち上がってしまうようなアレンジを挟んできたり、「スターオーシャン」ではSFC版というよりは「SO4」に近いアレンジの楽曲も聴けたり、「バイオ」では特殊な技法を使った演奏がふんだんだったりと、様々な面からファンを楽しませようとしてくれる内容になっており、感謝の念に堪えない。

 この「TOKYO GAME MUSIC FES」は、チケットを購入すれば、10月31日23:59まで好きなタイミングで何度でも楽しむことが出来る。チケットの種類と価格は以下の通り。

・2STAGE通し+特典付き 8,250(税込)
・10月2日配信分 TGS2021 Special STAGE 特典付き 4,950円(税込)/特典無し 3,850円(税込)
・10月3日配信分 TGS25th Anniversary STAGE 特典付き 4,950円(税込)/特典無し 3,850円(税込)

 となっているので、興味がある人はぜひ購入してほしい。