【特別企画】
オーケストラで楽しむゲーム音楽「TOKYO GAME MUSIC FES」、1日目レポート
尺八、筝、三味線――様々な楽器がゲームの音楽を再現し、新たなアレンジを魅せる
2021年10月2日 21:04
- 【TOKYO GAME MUSIC FES】
- 10月2日、3日開催
- 会場:サントリーホール
CESA(コンピュータエンターテインメント協会)は10月2日、東京ゲームショウ25周年を記念して、数々のゲームの名曲たちをこのコンサートでしか聴けないアレンジで楽しむことができるゲーム音楽コンサート「TOKYO GAME MUSIC FES」をオンラインで開催した。
1日目である10月2日は、「ファイナルファンタジーX」や「METAL GEAR SOLID 4」、「原神」、「ファンタシースターオンライン」、「三國志 覇道」、「信長の野望・新生」、「ソニックカラーズ アルティメット」、「モンスターハンター」などの楽曲が演奏された「TGS2021 Special STAGE」が配信されたので、そのレポートをお届けしよう。
このコンサートのために特別に編成されたスペシャルオーケストラでは、三味線や尺八、筝や二胡などオーケストラではあまり見ることのない楽器も多く登場したアレンジも取り入れられ、非常に聞きごたえがあり、オリジナルの楽曲を知っていることで新たな楽曲の魅力を発見できるようなアレンジもあれば、感嘆の声が漏れるような仕込みも各所に散りばめられている。もちろん原曲を知らない人でも楽しめる工夫がされており、ぜひ多くのゲームファンに見てほしいコンサートとなっている。
「TGS2021 Special STAGE」セットリスト
FINAL FANTASY X
1. ザナルカンドにて
METAL GEAR SOLID 4
1. Love Theme
2. Guns of the Patriots
3. ENCOUNTER
4. Tanker Incident
5. Snake Eater
6. Old Snake
7. Father & Son
8. Metal Gear Saga
原神
1. 原神メインテーマ
2. 追奔逐北
3. 安寧の天光
ファンタシースターオンライン
1. Phantasy Star Online OPENING THEME ~ The whole new world ~
2. Day dawns
3. Versus2 -A longing to ancient times
4.Growl, from the depths of the earth
5.“IDOLA” have the divine blade
6.Rose Confession
7.A World Beyond The Sky - Opening Ver. -
- 休憩 -
シブサワ・コウ 40周年「三國志 覇道」
1. 桃園の誓い
2. 覇道、その黎明
3. 剣戟
4. 天地神明
シブサワ・コウ 40周年「信長の野望・新生」
1. Overture
2. 新生、高らかに叫ばん
3. 攻防、鬩ぎ合う
4. 清新、旧きを払い
ソニックカラーズ アルティメット
1. Theme of Sonic Colors
2. Reach For The Stars (Re-Colors)
3. Tropical Resort - Act 1
4. Starlight Carnival - Act 1
5. Sweet Mountain - Act 1
6. Planet Wisp - Act 1
7. Aquarium Park - Act 1
8. Terminal Velocity - Act 1
9. vs. Nega-Wisp Armor - Phase 2
10. Cutscene - Yacker’s Goodbye
11. Speak With Your Heart
モンスターハンターシリーズ
1. 星に駆られて
2. Lioleus/ 咆哮
3. 牙を剥く轟竜 ~ ティガレックス
4. 闇に走る赤い残光 / ナルガクルガ
5. 閃烈なる蒼光 / ジンオウガ
6. 光蝕む外套~ゴア・マガラ
7. 古龍を脅かす獣牙~ネルギガンテ
8. 英雄の証
(全120分)
前半は「FF」、「MGS4」、「原神」や、「PSO」などから選りすぐりの名曲たちが登場
オープニングを飾ったのは、2001年に発売された「FINAL FANTASY X」より「ザナルカンドにて」。
学校の音楽の教本にまで使われているというほどの楽曲で、「ファイナルファンタジー」シリーズの楽曲としては恐らく「メインテーマ」と同じくらい「プレイはしたことなくとも知っている曲」のひとつではないだろうか。
ピアノのフレーズからしっとりと始まり、そこに物悲しい弦楽器の旋律が重なる。ゲームの中核を担う曲でありながらオープニング曲でもある「ザナルカンドにて」は、プレイした人ならば誰もが「最後かもしれないだろ?」というティーダの声が聴こえてくるだろう。
続いては2008年に発売された「METAL GEAR SOLID 4 GUNS OF THE PATRIOTS」からオープニングムービーなどで使用されている「Love Theme」。ひずんだ弦楽器のソロを、やがてピアノが追いかける。原曲では女性のボーカルが印象的な曲だが、このアレンジではコールアングレという木管楽器でコーラスを上手く表現していた。
そのまま流れるように、「Guns of the Patriots」へ。ドラムの静かな立ち上がりから、ヴァイオリンなどがこの楽曲が持つ緊張感を際立たせてゆく。そしてひと時の静寂から、ラスボス戦の第1ラウンドで流れる「ENCOUNTER」へと繋がる流れは見事。そのままラスボス戦の第2戦となる「Tanker Incident」と、熱いバトル曲が続く。そしてラスボス戦メドレーは「Snake Eater」へ。サックスの情熱的なメロディがボーカル部分を奏でる。そしていよいよ「Old Snake」へ。本作のメインテーマとも呼べる楽曲のひとつだ。ハープのソロが際立つアレンジからエンディング曲の「Father & Son」へと繋がる。そして最後は壮大な「Metal Gear Saga」。全楽器が全力で曲を盛り上げてからのハープの静かな音色、そこに重なるサックスに後ろ髪を引かれる余韻を残しつつ、全8曲に及ぶ長いメドレーとなった。
続くは、 2020年にリリースされて以降、全世界で人気を誇るMMO「原神」から「原神メインテーマ」。ハープのアルペジオとヴァイオリン、ゆったりとした演奏からスタート。やがては目の前に広がる冒険の壮大さを表すかのように盛り上がり、そしてバトル曲である「追奔逐北」へ。尺八や箏などが使われ、どこか和風のような、それでいて異国のような雰囲気もある不思議な民族調の楽曲となっており、プレイヤーを鼓舞するようなメロディが印象的だ。続く「安寧の天光」は尺八のソロからスタート。こちらも民謡調の、目の前に広がる稲穂畑のようなものを彷彿させるメロディとなっている。楽曲中でところどころ響く尺八と箏の音に、始終聞き入ってしまった。
次の演奏曲は、「ファンタシースターオンライン」。2000年12月にドリームキャストで発売され、その後も様々なプラットフォームで発売されたオンラインRPG。現在も「PSO2ニュージェネシス」がサービス中で、根強いファンを持つタイトルだ。
オープニングで流れる「Phantasy Star Online OPENING THEME ~ The whole new world ~」は宇宙を想起させる広大な楽曲。トランペットから、オーボエ、金管楽器と重なり勇壮なメロディを奏でた後、ロビーで流れる「Day dawns」へ。星の瞬きのようなどこか揺らぐ雰囲気の音色に身を委ねていると、そこから突然バトル曲「Versus2 -A longing to ancient times-」に導かれ、一気に気持ちが盛り上がる。そのままボスバトル曲の「Growl, from the depths of the earth」へと続き、打楽器を始めとした小気味良いアレンジに気持ちを高めたところで、「EPISODE 2」におけるラスボス「オルガ・フロウ」の第二形態の楽曲「”IDOLA”have the divine blade」へと繋がった。イントロに第一形態の曲を挟む仕込みが憎い。ヴァイオリンが、ラスボスへの恐怖とスピード感が合わさったようなこの楽曲を、際立たせてくれている。
激しいバトル曲が連続した後は、ピアノがヒロイン「リコ」のメインテーマである「Rose Confession」の旋律を穏やかに刻み、ヴァイオリンらがピアノの音を影から彩る。
そしてこのメドレーのラストを飾るのは、2021年6月にサービス開始となった最新作「PSO2 ニュージェネシス」のオープニングムービー楽曲である「A World Beyond The Sky - Opening Ver. -」。本来はボーカル入りの曲だが、このコンサートではインストアレンジとなっている。颯爽としたフレーズに聞き入ること、間違いなしだ。
後半は「三国志」や「信長の野望」、「ソニック」、「モンハン」。歴史ドラマからビッグバンド風サウンドらが、駆け抜ける!
第二部のOPを飾ったのは、「三國志 覇道」。まずはオープニング曲の「桃園の誓い」。二胡のソロから始まり、そこからオーケストラらしい雄大なアレンジになっている。そしてメインテーマ曲「覇道、その黎明」。この楽曲でも二胡が際立つアレンジに。心地良い2曲から続いたのは、出陣中に流れる「剣戟」、そして戦闘時の「天地神明」へ。二胡や金管楽器が熱くメロディを奏で、戦乱の世を描くに相応しく、プレーヤーの士気を上げていく大迫力のアレンジとなっていた。
そして次もシブサワ・コウ氏の代表作、「信長の野望」から4曲が演奏された。シブサワ・コウ氏の40周年記念作品として発売予定の「信長の野望~新生」からのメインテーマ曲の「Overture」、タイトル画面の楽曲「新生、高らかに叫ばん」、合戦中の優劣の狭間で流れる「攻防、鬩ぎ合う」、織田信長のテーマ曲「清新、旧きを払い」。三味線と尺八がエネルギッシュな音色を奏で、時には高らかに、時には静かに、戦国の世界を駆け抜ける。それはまるで、長い長い歴史ドラマを見ているようでもあった。
続くのは、「ソニックカラーズ アルティメット」。「ソニックカラーズ」は2010年にセガから発売されたアクションゲームで、今回演奏されるのは2021年9月9日に発売されたばかりのリマスター版。
メインテーマ曲の「Theme of Sonic Colors」はホルンの音色が楽曲の中核を担うアレンジに。そして主題歌の「Reach For The Stars (Re-Colors)」~「Tropical Resort - Act 1」~「Starlight Carnival - Act 1」~「Sweet Mountain - Act 1」~「Planet Wisp - Act 1」~「Aquarium Park - Act 1」~「Terminal Velocity - Act 1」~「vs. Nega-Wisp Armor - Phase 2」~「Cutscene - Goodbye」~「Speak With Your Heart」と、なんと11曲ものメドレーが演奏された。
「ソニックカラーズ アルティメット」では、テンポの良いピアノにエレキギター、エレキベースも重なり、金管楽器やドラムも熱い、ビッグバンドのようなアレンジとなっており、全曲を通してノリノリなソニックサウンドを楽しむことが出来た。その中でも「プラネットウィスプ」にて流れる「Planet Wisp - Act 1」は他の楽曲よりもエレクトリカルなアレンジが印象的だったり、「Aquarium Park - Act 1」や「Terminal Velocity - Act 1」では原曲でも聴くことが出来た三味線や尺八のような音色をそのまま津軽三味線と尺八で演奏するというアレンジに、感動することひとしきり。
「vs. Nega-Wisp Armor - Phase 2」からは、これまでのビッグバンド風なムードは維持しつつも、より壮大なアレンジとなっており、正統派オーケストラらしい一面を見せてくれる。「Cutscene - Goodbye」ではこれまでの盛り上がりから一転、ムーディなバラードとなっており、ピアノを中心にしたアレンジに。
この日のステージの最後を飾ったのは、2004年にカプコンから第1作目が発売された「モンスターハンター」シリーズ。一曲目は「モンスターハンター:ワールド」のメインテーマ「星に駆られて」。「MHW」の中核たる一曲だけあり、本作の要素を一曲の中にぎゅっと押し込めたような楽曲は、異国のような日本のような郷愁感漂うメロディからハンターたちを鼓舞するメロディまでが刻まれている。
そこからリオレウスの狩猟曲「Lioleus/ 咆哮」。歴代作品の全てに登場する看板モンスターとも言えるリオレウスの楽曲は、まるで牙と爪が襲い掛かってきそうな独特の雰囲気だ。続いては「牙を剥く轟竜~ティガレックス」~「闇に走る赤い残光 / ナルガクルガ」。どちらも「MH」シリーズの代表的なモンスターで、疾走感の強い曲。特にナルガクルガはモンスターそのものも人気が高いが、楽曲の人気も高く、ナルガクルガが出ないシリーズではこの曲がゲーム中で聴けないことに心底がっくりするほどのハンターも数多くいたほどの名曲だ。
「閃烈なる蒼光/ジンオウガ」は「MH」シリーズでも初めて和の要素を大きく取り入れておりエレキギターも印象的な楽曲だが、今回はあえてエレキギターや和楽器を入れないアレンジとなっており、より新鮮は気持ちで聴くことが出来た。
「光蝕む外套~ゴア・マガラ」~「古龍を脅かす獣牙~ネルギガンテ」と、ハンターを苦しめた強敵の曲が続く。
そしてこのコンサートの最後を飾る曲は、もう言うまでもないだろう。本作のメインテーマである、「英雄の証」だ。マーチのリズムは、まさに”英雄の行進”に相応しい。壮大なメロディを従え、「星に駆られて」のフレーズを一瞬混ぜこんだ本コンサートならではのアレンジが加えられた演奏で、本コンサートは幕を下ろした。
筆者もさすがに全てのタイトルに通じているわけではないのだが、その中でも特に心を奪われたのは「原神」のBGMだった。実はサービス開始初日に触れたきりとなっていたのだが、こんなに素晴らしいBGMが聴けるのならば改めてプレイしてみたいと思えるほど、そのインパクトに撃ち抜かれた。
かつて筆者は、こういった様々なジャンルのゲーム音楽を演奏するコンサートで、タイトルを知らないまままずBGMに触れ、その楽曲に衝撃を受けてゲームをプレイするに至ったということが何度もある。ゲームのBGMとは体験に基づくものではあるが、中にはその逆から入るものがあっても良い。そして自分が好きになった曲がゲーム中で実際にかかった時の感動は、ゲームから触れる時とは違った体験をもたらしてくれる。
この「TOKYO GAME MUSIC FES」は、チケットを購入すれば、10月31日23:59まで好きなタイミングで何度でも楽しむことが出来る。チケットの種類と価格は以下の通り。
・2STAGE通し+特典付き 8,250(税込)
・10月2日配信分 TGS2021 Special STAGE 特典付き 4,950円(税込)/特典無し 3,850円(税込)
・10月3日配信分 TGS25th Anniversary STAGE 特典付き 4,950円(税込)/特典無し 3,850円(税込)
となっているので、興味がある人はぜひ購入してほしい。また、「サクラ大戦」や「女神異聞録ペルソナ」「スターオーシャン」「バイオハザード」「幻想水滸伝」などまだまだ様々なタイトルが演奏される10月3日配信分のレポートも追ってお届けするので、そちらも楽しみにしていてほしい。
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