【特別企画】

話題のゲーミンググラス「HawkEye」を使ってみた! レンズを交換してさらに自分好みにアレンジ

3人が実使用し、その使用感を検証

【HawkEye】

8月30日 先行予約販売受付終了(Makuake)

価格:19,800円(税込、早割価格)

※先行販売終了後については未定

 eスポーツの振興、イベント開催などを主な業務とするNTTe-Sportsが、東京・秋葉原UDX内の同社イベントスペース「eXeField Akiba」を舞台にゲーミンググラス「HawkEye」の新製品発表会を開催したのは、6月30日のこと。

 それから約1か月半。入手した3本の「HawkEye」を、筆者を含めた編集部の3人が実使用し、それをまとめたのが本稿だ。先に結論を書いてしまうと、鼻当てを廃して独自の形状を採用した「HawkEye」はよく考えられ、練り込まれた非常に合理性の高いものであることは間違いない。従来の一般的な眼鏡フレームと比較してあらゆる面で絶対的に優れているとは言えないが、しかし、特にある特定の状況下では確実にそれを上回る実用性を発揮してくれる。現在大手チェーン店を利用すれば眼鏡はとても安く入手できることと比較すると、約2万円前後の「HawkEye」は少々高価とも言えるが、価格分の価値は十分にあると筆者は考える。

 さて、「HawkEye」とはいったいどんな製品なのか? そして3人はこれを使い、どう感じ、先のような結論に達したのか。興味がある方はしばしお付き合い願いたい。

「クアッドリフトフレーム」を採用

 まずは「HawkEye」についてあらためて解説しよう。

 NTTe-Sportsが発売するこの「HawkEye」は、福井県鯖江市の眼鏡フレームメーカーとともに、スポーツグラスをベースに協同開発した「ゲーミンググラス」だ。「ゲーミンググラス」に明確な定義はないが、ゲーマー必須のヘッドセットとの干渉度合いやゲーマー好みのデザイン、軽さやブルーライトカット機能を備えたレンズが標準搭載されたものがその範疇となる。その中で「HawkEye」はヘッドセットとの相性の良さやズレにくさ、長時間の使用に耐える快適さにフォーカスしたプロダクトだ。

 最大の特徴は、「クアッドリフトフレーム」と名付けられたその構造にある。ノーズパッドがなく、側頭部を抱き込むような形状のツルと、左右2カ所の頬パッドでフレームが頭部に固定されるようになっている。ツル×2+頬パッド×2の4カ所で支えるから「クワッドリフト」というわけだ。ツルはおおよそ目の脇からツムジを目指すような斜めの角度を取り、一般的な眼鏡フレームのように耳に乗せるわけではない。

 なぜにこのような形状になったかといえば、それはずばり、「ヘッドセットとの干渉を解消するため」だ。

 eスポーツ選手をはじめ、コアなゲーマーは、ゲームへの没入感とプレイ精度の向上を狙い、密閉型のヘッドセットを装着することが多い。眼鏡をしながらこうしたヘッドセットやヘッドフォンを利用すると、ツルを挟み込んだ形で耳が側頭部に押さえつけられ、痛むのである。何より、ヘッドセット利用時は眼鏡の着脱も一苦労。レンズを拭くにもいちいちヘッドセットを外す必要があるからだ。

 一般的な眼鏡のフレームは、ツルで側頭部を挟み込むことで軽減されはするが、基本的にはその重量を左右の耳と鼻で支えることになる。人によっては長時間かけ続けると、耳や鼻が痛くなったり、鼻にパッドのあとがついたりといったことが起こるが、「HawkEye」ではそれがない。ノーズパッドがなく、鼻が押さえ込まれる感覚とは無縁のかけ心地は、眼鏡とはまったく異なるものだ。

 また、「HawkEye」には可視光透過率97%という明るさながら、紫外線は99%、ブルーライトは21%をカットするという無色透明のレンズが入っている。ブルーライトとは、波長が380~500nm(ナノメートル)の青い光のこと。可視光としてはもっとも波長が短いこの光、特に長時間見続けるモニターやテレビから発せられるものが目に有害であるという説があり、それをカットしようという意図である。しかし近年はその有害説には「根拠がない」という見方が一般的。厚労省も、体内時計のペースを狂わせる可能性があるために寝る前には画面をあまり見ないようにという警告はしているが、ブルーライトが目に直接的な被害を与えるとは言っていないことには留意したい。

「HawkEye」のカラーバリエーションはマットブラック、スケルトングレー、ピンクグレーの3色。ツムジに向けて側頭部に回り込む長めのツルと、蝶番近くにあるL字型の頬パッドでフレームを支える「クアッドリフトフレーム」方式を採用している

独特な形状ながら、レンズは交換が可能

 これまで一般的な眼鏡フレームとの比較でその利点を書いてきたが、なぜかと言えば、それはこの「HawkEye」が好みのレンズに交換可能な構造であるためだ。もちろん度付きのレンズも入れれば「HawkEye」を近視用眼鏡や老眼鏡としても利用できる。

 NTTe-Sportsでは、レンズ交換対応確認済みの眼鏡店として「愛眼」、「OWNDAYS」、「JINS」、「PARIS MIKI」、「メガネスーパー」の5店を挙げている。しかし、「HawkEye」は全体の構造こそ個性的ではあっても、レンズの装着方法には比較的よくある手法が用いられている。眼鏡店としてきちんとした技術を持ったところであれば、個人経営の店でもレンズの交換を引き受けてくれるはず。詳しくは後述するが、筆者も前述の大手5店ではない、町の眼鏡店でレンズ交換を行なった。

 購入時そのままの状態でもそうだし、レンズを交換すればなおのこと、「HawkEye」ユーザーがその快適なかけ心地を味わう前に直面するのが、フィッティングの難しさだ。

 発表会の記事でも触れたが、「HawkEye」はその独特の構造故に、通常の眼鏡とはフィッティングの感覚や手順がまったく異なる。発表会のときも、ほとんどの参加者がベストの状態を知るまで若干の苦労を味わっていた。

 というのも、最初は従来の眼鏡のクセでツルが水平近くになるようにかけてしまうために、レンズがどうしても上を向いてしまうのだ。特に標準状態ではレンズに度が入っていないので、こうしたおかしな角度になっていても見え方ではなかなか気付けないのである。

鏡の前でフィッティング中の筆者。かけ心地が一般的な眼鏡とかなり違うので、フィッティングにはかなり試行錯誤が必要だ。レンズが垂直、あるいはごく僅かに下向きになるように調整するのがいいだろう

フィッティングには鏡が必須

 「HawkEye」にはマットブラック、スケルトングレー、ピンクグレーとカラーバリエーションが3パターンある。個人的にはこの3色のなかで独特の形状がもっとも生きるカラーはスケルトングレーだと思っている。

 しかし、実は筆者は「HawkEye」をスポーツグラスとして屋外で利用するつもり。日中だとスケルトングレーは日差しが乱反射しそうで敬遠。また、マットブラックはせっかくの個性的なフレーム形状が今ひとつ目立たなそうと感じ、結果的にピンクグレーを選択した。個人的にこういうものは似合うかどうかを気にしすぎるより、どんな色を身に付けたいかを優先するほうがいいと思っている。50過ぎのおっさんではあるがなかり気に入っていて、とても満足している。

 実物をあらためて手に取って見ると、耳にかけるのではなく、側頭部を抱き込むような形になるため、ツルは一般的なフレームより長めで、たたんだ時のシルエットも大ぶりだ。そのため、専用ケースが付属する。ついでに述べておくと、ほかに使用上の注意などが書かれた紙と、オリジナルのメガネ拭き、さらにくもりどめクロスが同梱されていた。

 大ぶりなフレームであることを考えるとかなり軽く感じるが、実測値で約34gあった。表面にはビス以外の金属は見られないが、ツルや頬パッドのなかにはステンレスの芯材が入っているため、これくらいの重さになるということなのだろう。全体的に安っぽさはない。名前の由来のひとつともなっている頬パッドの形状が独特で際立っている。

 さて、フィッティングの手順だが、筆者が採った方法を説明していこう。

 まずは頬パッドを若干外側に曲げ、鏡の前で「HawkEye」を装着。レンズが垂直になり、目との距離が近すぎず遠すぎず、という位置を探す。このとき、目とレンズの距離が左右とも同じくらいになるよう注意。位置が決まったら、ツルを頭に沿わせるように押さえ込み、ツルがなるべく広い面積で頭に触れるようにする。

 あとは頬パッドとツルを少しずつ内側に曲げ、キツくない程度に絞り込んでいく。フィッティングが決まり、ツルの位置の感覚に慣れてしまえばすっと正しい位置でかけられるようになるだろう。

「HawkEye」」の同梱品一覧。右上の白い箱のなかにこれだけのものが入ってくる。左上の「minedai」は、本体下に敷いた黒いメガネ拭きとは別についてくる、くもり止めクロス。拭くだけでくもり止め効果を発揮するスグレモノ。筆者は偶然にも「HawkEye」と出会う前からこれを愛用している

ノーズパッドのない開放感

 やはり「HawkEye」のかけ心地は独特だ。何よりノーズパッドがないことの違いが大きい。長時間かけても鼻や耳が痛くなったりしないし、何より目と目の間にパーツがないので、すっきりと開放感があるのだ。

 鼻や耳に乗せるのではなく、ツルと頬パッドで押さえ込む形状であるため、調整がきちんとできると頭を振った程度ではまったくズレないのも特徴的。Makuakeのトップに置かれた動画ではジョギング中に使用しているシーンが出てくるが、まさにそういった用途にも最適である。ジョギングなどのスポーツをするときにはツルと頬パッドを少し絞ってきつめにセッティングすればさらに不安は解消されるだろう。

【HawkEye(ホークアイ)商品紹介】

 肝心のヘッドセット利用時だが、ヘッドセットをしたまま着脱できるのはやはり便利だ。筆者が利用しているのはイヤーパッドが比較的大きめなEPOSの「GSP 600」だが、ツルはまったく干渉しない。また、マスクの着脱時にも干渉しないのは今の状況を考えるとかなり大きなメリットと言えるだろう。

 ちなみに「HawkEye」を外すときは前方に引き抜き、かけるときは前から押し込むように行なう。手元に現物がないので試せないが、おそらくはフルフェイスのヘルメット着用時でも問題なくかけたり外したりができるのではないだろうか。

レンズが垂直になるように「HawkEye」を装着すると、ツルはおおよそツムジの方向にのびるような角度になる。こうして髪の毛の中にツルを差し込んでしまったほうが収まりは良い。フィッティングが決まり、ツルの位置の感覚が身につくと、一発で正しいポジションでかけられるようになる
(撮影:志田彩香)
あえて髪の上にツルを出すと、こんな角度になる。イヤーパッドの大きな「GSP 600」でもツルが当たらないのがわかるだろうか。また、耳にかける形で装着するAftershokzの骨伝導ワイヤレスヘッドフォンもこのように「HawkEye」とは干渉しない(撮影:志田彩香)

つきあいのある眼鏡店でレンズを交換

 ゲーミンググラスとして数日使ったところで筆者はレンズを交換した。”ゲーミング”からは離れてしまうが、その特性から当初より「HawkEye」に度付きの偏光レンズを入れ、外遊びで使うことを考えていたのだ。レンズ交換をお願いしたのは、目白にある「メガネのスエナガ」。このお店で偏光グラスや眼鏡を作るようになってから、もう15年くらい経つのではなかろうか。

 現在の同社代表取締役社長である末永智也氏や店長の稲毛料史氏に「HawkEye」を見せたところ、その独自な形状に驚き、その合理性に感心もしていた。しかし、前述のようにレンズの装着方法は一般的で、交換はまったく問題がないとのこと。

 ただひとつ計算外だったのは、当初入れようと思っていた偏光レンズ専門メーカーのTALEX製レンズが入れられないという点。「HawkEye」はレンズの断面に溝を掘り、そこに透明の樹脂製ラインを通し、レンズを吊り下げる構造になっている。TALEX製レンズはフィルターを2枚のガラスで挟み込む構造であるため、断面に溝が掘れないのだ。

 いろいろ相談しているうちに、老眼が出てきてたこともあり、遠近両用の度を入れたHOYA製の偏光レンズにすることに決めた。HOYAの偏光レンズは表面加工で偏光性能を実現しているので、断面に溝を掘っても問題ないのである。逆に言えば、TALEXだけでなく、複数の素材を貼り合わせる構造のレンズはどこのメーカーのものも「HawkEye」では使えないということになる。「HawkEye」を入手して筆者と同様にレンズを入れ替えるつもりの人はこの点に留意するべきだろう。

 遠近両用レンズの眼鏡を作るのはこれが初めてで未だ若干慣れきっていないが、思った以上に偏光レンズとしての性能が高く、できばえにはかなり満足している。もちろん、レンズ取り付けにもまったく問題はなく、はじめからこのレンズがついた状態で売られていたと言われても疑う要素はまったくないほど。

 「HawkEye」のレンズ交換を考えていて筆者のように付き合いのある眼鏡店があるなら、NTTe-Sportsが名前を挙げた5店へ持っていく前に、その馴染みの店に相談してみるのもオススメだ。ちなみに料金はどんなレンズを入れるか次第で大きく変わる。度ナシの偏光レンズ、近視用レンズであれば、1万円くらいで交換が可能だ。筆者の場合、偏光の遠近両用、しかもかなり高いグレードのフルオーダーのレンズを入れたので、9万円以上と約1週間の期日を要した。

今回はHOYAのフルオーダーレンズを選択した。「LLI(Lens Layout Indicator) for iPad」というアプリで正面から見たときのフレームに対する黒目の高さやフレームの角度、眼鏡装着時のレンズと目の距離などを計測。このデータを元に、その人、そのフレームに最適なセッティングでレンズを製造してくれるという
できあがりはこんな感じ。レンズに色が付くとだいぶイメージが変わる。筆者にとってはじめての遠近両用レンズということもあり、なるべく境目が滑らかな上のグレードのレンズを入れたが、にしてもちょっと奮発しすぎてしまったと、冷静になった今、少し泣きそうになっている(撮影:志田彩香)
【完成品】

編集部2名の感想は?

 さて、筆者以外の2名による「HawkEye」の使用感はどのんなものだろうか? まずは比較的強度の近視で眼鏡常用者の担当編集の使用感からご紹介しよう。

 氏は「HawkEye」をJINSに持ち込み、レンズ交換を行なったところ料金は5,500円(税込)で、レンズの在庫があったために即日で交換してもらえたとのこと。なお、受付時には「度を入れるとレンズが厚くなるので閉じきれなくなるかもしれない」、「鼻あてがないモデルなのでズレやすいかも」という案内があったそうだ。ただし、閉じられなくなることは確かにそういった向きはあるが特に気にならず、後者はそもそもそこを解決するプロダクトなので問題は感じなかったとのこと。

 交換後に実際に使用した上で氏が挙げたのは「フィット感の良さ」や「鼻周りの開放感」、そして「初回セットアップの難しさ」だ。顔に吸い付くようなフィット感や、跡が残りがちな鼻パッドから開放されるという点、大きめのレンズによる視野の広さが非常に気に入ったとのこと。一方度入りのレンズでは角度やフィッティングがよりシビアとなるため、このあたりには慣れるまである程度時間を要したそうだ。鼻パッドの代わりとなる頬パッドにははじめこそ違和感があるが、装着し続けることで慣れて気にならなくなるとも話していた。

 ちなみに編集氏、レンズを交換した当日にさっそく「HawkEye」を落としてしまい、レンズが外れるというトラブルに見舞われている。前述のようにレンズを糸で吊り下げる構造なので、衝撃にはさほど強くないのだ。その点は注意が必要だろう。

 もうひとりは、GAME Watch担当の女性営業。彼女はレンズ交換をせず、OAグラスとして利用しての感想だ。まず上がったのは「鼻あてがないことで化粧が崩れないこと」と「頬で抑えているのでズレず、加えて装着してもチークが落ちなかった」こと。メイクに対する影響はかなり貴重な意見ではないだろうか。また、彼女はいつも仕事やゲームをしているときは髪の毛を縛っているとのことだが、「HawkEye」の装着時にはフレームが太いおかげか、下ろしたままでも髪の毛が気にならなかったそう。これはツルが頭を抱き込むように装着する「HawkEye」の形状が影響しているように思う。ツルを頭髪の上に出してかけると滑ってズレやすくなるため、実際に「HawkEye」をかけるときは頭髪のなかに差し込むようにかけるのだが、それでも結果的に髪をおさえる役割も果たしているということなのかもしれない。

 一方で、「女性向けにはデザインが少々イカつい」ことや、フレームがちょうど眉の真上に位置することから眉毛のマスカラが接触してしまい、汚れが着いてしまうこと、素材的にファンデーションなどが着いてしまうと取れにくいところを気になるポイントとして挙げていた。

余談だが、「HawkEye」はツルの蝶番周りの形状が複雑なので、ストラップを付ける場合はこうしたツルの先端に装着するタイプの相性がいいように思う。が、装着時に髪の毛のなかに差し込むようにするので、これもベストとは言い難い。個人的にもよりよいアイテムを探しているところだ

この独自性にどこまで価値を見出すか

 NTTe-Sportsが運営する東京・秋葉原のeXeField Akibaへ行けば「HawkEye」の実物に触れることができ、試しにかけさせてもらうこともできるのだが、このご時世では首都圏在住でも難しいかもしれない。そこで本来のゲーミンググラスとしてだけでなく、屋外用スポーツグラス、近視用常用眼鏡と、三者三様の使用感をお伝えしたが、参考になっただろうか?

 「HawkEye」の一般販売予定価格は24,200円(税込)。8月30日まではMakuakeにて各色とも18%引きの19,800円(税込)で購入が可能で、以降の販売については現状未定となっている。締め切り間近というところだが、是非一度検討していただきたいプロダクトだと言える。

 「HawkEye」はOAグラスとしてはもちろん、眼鏡フレームとして決して安い価格ではないが、この製品でしか得られない装着感をどう評価するかでその感じ方は大きく変わるだろう。筆者は発表会で装着した感じが捨てがたく、自費で購入することを決意していたが、結果的に本レビュー企画が持ち上がったためNTTe-Sportsからの提供を受けて記事を執筆している。偏光にしてしまったがために室内での使用は難しくなってしまったが、やはりヘッドフォンとの親和性は捨てがたい。今はもう1本を買って偏光ではないレンズを入れようかと迷っている最中だ。