【特別企画】

オートバトルが超優秀!「ニーアレプリカント ver1.22474487139...」先行プレイレポート

グラフィックス向上、より洗練されたアクション、新エピソード追加、楽曲アレンジ……

4月22日 発売予定

価格:8,580円(税込)

※Xbox One版はDL販売のみ。

※Steam版はDL販売のみ。4月24日配信予定

 世界累計出荷・ダウンロード販売本数が2021年3月現在で550万本という記録的な大ヒットとなったアクションRPG「NieR:Automata」(以下、「オートマタ」)。

 この「オートマタ」が、2010年にプレイステーション 3/Xbox 360で発売された「NieR Replicant/Gestalt」(以下、「レプリカント/ゲシュタルト」)の続編であることは、多くの人が知っているだろう。そして、恐らく「オートマタ」で初めて「ニーア」シリーズに触れたという人も多いはずだ。

 というのも、「オートマタ」の累計出荷本数が550万本という驚異の数字なのに対し、「レプリカント/ゲシュタルト」の本数は70万本程となっている。この数字を、意外と少ない、と思うだろうか。そもそも「ニーア」シリーズというのは、一部の人たちがその魅力に憑りつかれはしたもののニッチなゲームという立ち位置だった。だが、「オートマタ」の爆発的なヒットの影には間違いなく、「レプリカント/ゲシュタルト」という下地があったのだ。

 「オートマタ」で「ニーア」の世界に初めて触れた人ならば、「レプリカント/ゲシュタルト」もプレイしてみたいと、少なからず思っただろう。しかし旧世代のハードの壁を超えることは、なかなかに難しい。プレイをしたくても遊べる環境がない――そんな人たちのため(だけではないが)、「レプリカント」のバージョンアップ版「ニーアレプリカント ver1.22474487139...」が4月22日に発売される。

 バージョンアップ版が発売されるのは「レプリカント」のみなのだが、「レプリカント/ゲシュタルト」は何が違うのかというと、主人公が異なっている。

 PS3で発売された「レプリカント」は、主人公(名前は自由につけられる。「ニーア」と呼ばれることも多いが、実は「ニーア」は公式の名前ではない。記事上でも、表記は”主人公”で統一する)とその”妹”ヨナの物語となっているのに対し、Xbox360で発売された「ゲシュタルト」は主人公とその”娘”ヨナの物語となり、主人公の見た目、年齢、ヨナとの関係性に違いがある。つまり兄妹版が「レプリカント」、父娘版が「ゲシュタルト」で、物語の展開は関係性による若干のセリフの違いなどがあるものの、基本的なストーリーは全く同じだ。今回新たに発売されるのは兄妹版となる。

少年期と青年期の主人公

オートバトル搭載で、アクションが苦手な人も遊びやすくなった

 「レプリカント ver.1.22474487139...」(長いので、”新「レプリカント」”とでもしておこう)の最大の魅力は、ただのHD版ではなく、大幅にゲーム内容に手が入れられている点だ。

 アクションゲームとして非常に洗練された出来だった「オートマタ」に比べ、実を言うと「レプリカント」のアクションは、少々粗さのある内容だった。また、難易度もそこそこに高く、アクションゲームが得意な人はともかく、不得意な人はレベルの暴力で殴るくらいしか選択肢がない割にレベルがなかなか上がりにくいという、癖の強いゲームだったのだが、新「レプリカント」ではかなり「オートマタ」の手触りに近いアクションの調整がされている。

 「アクションゲームは好きなのだが、腕前は下手寄り」という筆者の力量で語らせてもらうと、旧「レプリカント」はボス前のセーブは必須で、ゲームオーバーはもちろんのこと、ボスに何十分も時間がかかってしまうようなこともあった。ボスに時間がかかると、必然的にボタン連打で指が痛くなる。アクションゲームの宿命だ。

 「10年前だからまだついていけたけれど、もう年齢的にあのアクションは厳しい……」と思っていたところ、本作ではなんと「オートバトル」が追加。難易度「EASY」に設定すれば、「オートマタ」と同じように「オート攻撃」、「オート魔法」、「オート回避/防御」、「オート武器切替(青年期のみ)」などが、自在にオンオフできるのだ。

赤い魔法弾――通称”イクラ”。ボスとのバトル時は、もっとすごいイクラ弾幕がくる。もちろん当たるとダメージを食らうので、以前は回避+攻撃+魔法の3つのボタンを連打しまくることも多かった

 もちろんオート中でもこちらの入力は受け付けてくれるので、設定しておいた魔法を自分で撃ったり、攻撃したりすることもできる。

少年期のオート設定。青年期では、ここに「オート武器切替」が加わっていた。

 オートアイテムもあり、HPが減ると自動的に薬草などの回復アイテムを使ってくれるという便利な機能なのだが、オート回避を使用している場合はほぼHPが減らないため、不要にも見える。だが、主人公は泳げないため、水に落下するとHPが減ってしまう。このような”HPメーターを気にしていない”時でも、オートアイテムならば自動的に回復アイテムを使用してくれるので、意外とオンにしておいて損はない。

 ちなみに回復アイテム、特に薬草は敵からのドロップやマップで拾えるアイテムなどでも多く出現するため、すぐに持ち物の上限所持数から溢れてしまう。そのため、溢れた薬草を売り続けることで、金策もできる。有事に備えてひとつ薬草を持っていれば充分遊べるくらいに、オート回避は優秀だ。

 だが、片手剣しか使えない少年期はともかく、片手剣、両手剣、槍の3種が使える上に魔法の幅も広がる青年期では、オート頼みばかりではもったいない。武器を切り替えるとコンボの動きなどもまるで変わってくるので、どの機能をオンにしてどの機能をオフにすると遊び勝手が良いのかは、自分自身の手で色々試して遊んでみてほしい。

 なお、オートバトルは難易度EASYであれば、R3ボタンでいつでもオンオフの切り替えが可能。一方、難易度NORMAL以上では使用できないので、注意したい。そのほか、例えばバトルを避けて目的地までダッシュで移動したいとき、オート機能で近くの敵と戦ってしまうことがある。とにかく急ぎたいだけの場合は、オートバトルをオフにしてしまおう。

 もう少し踏み込んだバトルの話は後述するので、そちらも見てほしい。

グラフィックスの向上は驚愕、特にカイネは……ヤバい!

 新「レプリカント」は前述の通り、ただのHD化ではないバージョンアップ版であり、グラフィックスもただHD化されているのではなく、キャラクターの3Dモデルデザインまで全て新たに作り直されている。

 この言い方をすると「本当に筆者はニーアが好きなのか?」と思われてしまいそうだが、旧「レプリカント」はお世辞にもグラフィックスがすごく綺麗な作品、というわけではなかった。もちろん、本作ではクリエイティブ・ディレクターとなったヨコオタロウ氏の作品ならではの独特の世界観があり、画作りにも魅せられるものがあったのだが、グラフィックスの美しさが売りになるような類の作品ではなかった。

 だが、本作では前述のキャラクターの3Dモデルデザインに加え、フィールドのグラフィックスも装い新たになり、特に主要キャラクターたちの3Dモデルデザインは想像していた以上に遥かに美しかった。少年時代の主人公のツンツン髪がかなりなだらかになってしまったのは、少々残念だが……より自然になったとも言える。

主人公の少年期(右)と、その妹のヨナ(左)。ふたりとも、服の細かい装飾まで非常に丁寧に描かれている。

 本作で新たになった3Dモデルデザインで目覚ましい変身(?)を遂げたのは、物語の途中で出会うことになるカイネだ。今回筆者がプレイしたのはロボット山~崖の村までの序盤あたりと、ゲーム中盤の青年期の最初の部分なのだが、崖の村でカイネと出会った時はそれはもう驚いた。

 カイネというキャラクターを知らない人に説明すると、カイネはとある事情で下着姿をしている。その恰好の際どさは、当時からなかなかのものだったのだが、グラフィックスが美しくなることで、カイネの下着のレースや、そしてぷりんとしたお尻が……それはもう大変に美しく、正直なところグラフィックスが粗いくらいのほうが直視できたな……というほどである。二刀流の女剣士らしく引き締まったカイネのボディは、今回の試遊で最も衝撃を受けた部分といっても過言ではない。

残念ながら今回公開できる画像素材にはゲーム中のカイネの全身像はないのだが、このデザイン画がかなりリアルに表現されている。存分に期待していてほしい。繰り返すが、お尻は必見です
カイネの言葉は非常に汚く、伏字になっているセリフの「ピー」音も健在

 フィールドは、全体的に緑が多い。主人公が最も多く歩くことになるだろう北平原は、まさに名前の通り広大な草原で、心地良い風を感じられるフィールドとなっている。恐らく「オートマタ」や、スマホ向けゲーム「ニーアリィンカネーション」などでフィールドの美しさに言葉を失った人々なら、本作の生まれ変わったフィールドは満足するに違いない。

 そして「ニーア」は、ただ美しいだけではなく、”荒廃した世界”も魅力のひとつ。今回の試遊で行くことが出来た一カ所目は、「ロボット山」と呼ばれる、ほぼ無人ながらもたくさんのロボットたちが徘徊するエリア。

 二カ所目は、切り立った崖に点在する家たちで作られた「崖の村」。明らかに異様な光景でありながら、「ニーア」という世界観だからこそ成立するエリアだ。特に崖の村は、旧「レプリカント」では全体が青みがかって、どこか海の底のような、空の青のような、不思議な色合いの村だったが、新「レプリカント」では青というよりも全体的に灰でくすんだような色合いになっているように感じられた。

BGMは新アレンジになって、お得感。一方、少し不満な部分も。

 本作で非常に重要なのは、”音楽”。

 「オートマタ」をプレイした人ならば、「ニーア」独特の幻想的な音楽を当然ながら耳にしたことがあると思うのだが、アクションとグラフィックスがいま一歩なのにもかかわらず、なぜ「レプリカント」の世界にそこまで惹き付けられたかというと、それは音楽の功績が非常に高い(散々言ってはいるけれど、筆者は本当に「レプリカント/ゲシュタルト」が大好きで、世界的なヒットとなった「オートマタ」よりも、圧倒的に「レプリカント/ゲシュタルト」派なのである……。グラフィックスが綺麗ならば良いゲームだなんてことは、決してないのだから)。

 筆者は特にゲーム音楽には少々うるさい部類なのだが、「レプリカント」を初めてプレイした時に「このゲームは必ず名作となる」と確信した理由が、各所で流れるBGMだった。今回の短い試遊範囲の中でも、北平原などで流れる曲、ロボット山の曲、そしてロボット山のボス戦の曲、崖の村の曲に、カイネのテーマ……数々の名曲たちと出会った。

 音楽は新アレンジとなっており、旧「レプリカント」ファンにもお得感がある。――のだが、本作はボーカル入りの曲が非常に多く、慣れ親しんだ音楽はついつい口ずさみたくなる。それが新アレンジによって少々旋律や歌の入りが変わっているため、「歌いたい曲と微妙に違っている」ところを、素直に評価しきれない部分もあった。しかし、決して改悪というわけではない。

 音楽の評価があまりにも高く、数多くのアレンジアルバムが出されている「レプリカント」のことを思えば、新たなアレンジBGMが聴けることは、充分嬉しい。それを手放しに喜べないのは、少々こじらせた原作ファンならではの感想であるため、元々「レプリカント」を遊んだことがない人ならば、全く気にならない部分だ。

 「オートマタ」がアンドロイド VS 機械生命体というSF要素の強いファンタジーを彩る音楽だったのに対し、「レプリカント」の音楽は民族音楽的な要素もある造語歌詞のボーカル及びアコースティックな楽器が多く使われており、「オートマタ」とはまた違う雰囲気の旋律を耳にすることができる。

 また、「オートマタ」でも使用されていた楽曲が多数登場するので、意外と「この曲知っている」となる場面も多いのではないだろうか(その上で「オートマタ」で使われていたシーンを思い出すと、とても泣けるのだ……)。

 ただ、できればオリジナルの楽曲と新「レプリカント」の楽曲とを、コンフィグなどで選択できるシステムを搭載してほしかった、という想いはある。オリジナルの楽曲に思い入れがある人ほど、その気持ちは強いはずだ。