WQHD&165Hz湾曲モニターは没入感が違う!PS4もPCもOK、次世代機も見据えた頼れる相棒 「MSI OPTIX MAG272CQR」レビュー

MSI OPTIX MAG272CQR

ジャンル:
  • ゲーミングモニター
発売元:
  • MSI
開発元:
  • MSI
価格:
49,800円(税込)
発売日:
2020年5月28日

 プレイステーション 5、Xbox Series Xの発売を11月に控え、熱気に包まれているゲーミング業界。これら次世代機はいずれも8K、4K/120fpsの映像出力に対応している。しかし、その美麗な映像をユーザーの目に伝えられるTV/モニターが非常に少ないというのが現状だ。

 次世代機向けのTV/モニターは、8K解像度と4K解像度+120Hzのリフレッシュレートを備え、かつHDMI 2.1に対応したものがベストだ。10月末現在発売されている製品では、ごく一部の大型テレビがこうした要件を満たしているものの、サイズや価格の観点から、多くのゲーマーにとってハードルが高いアイテムとなっている。

 PCおよびゲーム用のモニターとしてコストパフォーマンスと実用性のバランスを考えると、現在は「27型」、「WQHD解像度」、「高リフレッシュレート」の製品が狙い目と言える。今回紹介する「MSI OPTIX MAG272CQR」はその条件をすべて満たし、しかも没入感のある湾曲タイプ。価格は実売で5万円を切っており、比較的手を出しやすい。本稿では最新の湾曲モニターが持つ魅力を検証していく。

人間の視野にフィットするカーブと映像鑑賞にも満足いく表示性能を両立

「MSI OPTIX MAG272CQR」。50,000円を切る価格で手に入るので、次世代ゲーム機とのコストバランスも悪くない

 「MSI OPTIX MAG272CQR」は、27型サイズでWQHD解像度のゲーミング液晶だ。165Hzの高リフレッシュレート、1ms(MPRT)の応答速度と高速表示に対応。曲率は1,500Rと湾曲モニターでも最も曲がっている部類となる。曲率は数字が小さいほど湾曲が大きいことになり、視野の左右にモニターが入りやすくなり、より没入感が増す。人間の視野が1,000R相当とされており、本機の曲率はその値に近いものとなる。

 液晶パネルには、コントラスト比が高く、黒の表現を得意とするVA方式を採用。視野角は178度と十分広い。表示色は8bit+FRCをサポートし、約10億7,300万色に対応する。映画撮影に用いられている色空間「DCI-P3」のカバー率90%、標準的な色空間「sRGB」のカバー率100%、「HDR Ready」と呼ばれるHDR10規格(以下、HDR)のサポートもあり、ゲームだけではなく映像を楽しむのにも最適だ。

 ティアリング(画面ズレ)を防ぐディスプレイ同期機能はAMDのFreeSync Premiumに対応する。NVIDIAのG-SYNC Compatibleへの対応はうたわれていないが、筆者が試す限り、問題なく動作し、ティアリングも防げていた。

リフレッシュレート165Hzに対応
NVIDIAのG-SYNC Compatibleも有効化でき、問題なく動作した
【MSI OPTIX MAG272CQR - 165Hzスローモーション】
165Hz設定にした「MSI OPTIX MAG272CQR」を480fpsで撮影し、スローモーションで表示させたもの。165Hzになるとコマ数が格段に増えているのが分かる

暗部補正、残像軽減などゲームをより快適にする機能が豊富

 HDRをサポートしているので、HDR対応ゲームなら、より高輝度、高コントラストでプレイできるほか、暗部を明るくする「ナイトビジョン」、映像の残像感を軽減する「アンチモーションブラー」なども備えている。ナイトビジョンは、通常、強い、最も強いの3段階で調整できるほか、画面に合わせて自動調整する「A.I.」設定も用意されている。

ナイトビジョン無効の状態
ナイトビジョンを「最も強い」設定にした場合、暗部がかなり見やすくなった

 アンチモーションブラーは、フレーム間に赤色を挿入(目には見えない)することで残像感を軽減する。ディスプレイ同期機能とは同時使用できないので、ティアリングを軽減するか、残像感を軽減するかは好みやゲームタイトルに合わせて選ぶのがよいだろう。

設定でイライラ……とはオサラバ! アプリで⼿軽に設定可能

 なお、ディスプレイに関する設定はディスプレイ背面にあるスティックで呼び出せるOSDメニューで行なえるが、Windows上から操作できるアプリ「Gaming OSD」が便利だ。輝度やコントラストの調整はもちろん、画面の照準を表示する「スクリーンアシスタンス」や「ナイトビジョン」、「アンチモーションブラー」など各機能の有効、無効もマウスで手軽に設定できる。

OSDメニューは背面のスティックで呼び出しと操作が行なえる
Windows上で設定が行なえるアプリ「Gaming OSD」

ゲーマーの実用を考えたスタンドとヘッドセット⽤ハンガー

 スタンドは、高さを13cmの間で調整でき、チルト(下方向-5度、上方向+20度)も備えている。スイーベルやピボットには非対応だ。左側面にはヘッドセットを置くための「ヘッドセットハンガー」を搭載。使わないときは格納できるのが便利だ。また、背面にはRGB LEDも搭載されている。発光色や発光パターンは前述した「Gaming OSD」で設定が可能だ。

高さは13cmの間で調整でき、チルトは-5度から+20度まで動かせる
左側面には格納式の「ヘッドセットハンガー」がある
背面にはRGB LEDを内蔵
発光は「Gaming OSD」でコントロールできる
スタンドの下部にはケーブルをまとめておける穴が用意されている
スタンド固定部分はVESAに対応。モニターアームの取り付けも可能だ

 映像の入力はHDMI 2.0×2、DisplayPort 1.4×1、USB Type-C(DP Alt mode)を備える。そのため、PCと家庭用ゲーム機を同時に接続できるほか、USB Type-Cの映像出力に対応したノートPCとも接続しやすい。このほか、ヘッドホン出力やUSB 3.0対応のハブ(2ポート)も用意されている。

背面の端子類

格別の没入感。PS4 ProでFPS/TPSをプレイしてみる

 ここからは、実際にゲームをプレイしてみたい。まずは、PS4 Proで人気タイトルの「Apex Legends」と「フォートナイト」で遊んでみた。PS4 Proは4K出力とHDRには対応しているが、フレームレートは最大60fps。165Hzの高リフレッシュレートは活かし切れない。

PS4 Proで「Apex Legends」と「フォートナイト」をプレイ

 実際FPS/TPSをプレイすると応答速度が1ms(MPRT)というともあり、キビキビと描画する印象だ。それに、湾曲していることもあり、没入感はかなり高い。パッとみた感じでは、それほど湾曲しているように見えないが、実際モニターを前にすると印象はかなり変わる。筆者は普段、フラットな27型のモニターで仕事をしているが、視野の左右まで画面を感じることはない。それが、「MSI OPTIX MAG272CQR」なら視野全体に画面があるような感覚になる。ゲームに集中しやすいのは、大きなメリットだ。

 ただ、PS4 Proで残念なのは解像度の設定にフルHDと4Kはあるが、WQHDはないこと。PS5では、4K/120fpsだけではなく、WQHD/120fps設定もあることを願わずにはいられない。そうすれば、「MSI OPTIX MAG272CQR」の解像度と高リフレッシュレートが活きるというものだ。

PS4版「Apex Legends」のゲーム画面。画面サイズは16:9のWQHD解像度だが、湾曲により画面端まで注意を向けやすくなった
PS4版「フォートナイト」でも同様。一般的な縦横比を崩さずに視覚的な優位性が生まれる

165Hzのヌルヌル映像で勝率アップ! PCでFPS/TPSをプレイする

 続いて、PCでもプレイしてみたい。PS4と比較するため1本は「Apex Legends」、もう1本は「レインボーシックス シージ」をプレイした。PCならば、WQHDと165Hzのリフレッシュレートをフルに活かせる。ただし、PCがそれだけのフレームレートを出せる性能が必要である点は忘れてはならない。WQHDの解像度で165fpsを出すには、それなりに高い性能が必要だ。今回の検証では、CPU「Intel Core i9-10900K」、GPU「NVIDIA GeForce RTX 2080」搭載のマシンを使用している。

PCで「Apex Legends」と「レインボーシックス シージ」をプレイ

 まずは「Apex Legends」だが、165Hzのリフレッシュレートが効いて、PS4とは描画のなめらかさがまったく異なる。1秒間のコマ数が2.75倍にもなるので当たり前ではあるが、素早く視点を移動させても格段にまわりの状況を掴みやすくなる。ディスプレイ同期機能を使えば、ティアリングも発生せず、実に快適なプレイが可能だ。

PC版「Apex Legends」は最大144fpsに対応。モニターのリフレッシュレートをほぼ最大限活用できる

 「レインボーシックス シージ」も同様だ。お互いが一瞬でも見えたときの判断が勝敗を決めるシビアなゲームだけに、高リフレッシュレートのほうが断然有利だ。窓やドアを通過する敵をとらえるには、1秒間のコマ数が多いほうがよいに決まっている。

 また、「レインボーシックス シージ」では「ナイトビジョン」機能が効果的だ。屋内での銃撃戦など、同作では特に暗いシーンが多くある。明るい屋外から暗い建物への突入など、暗所に隠れた敵の姿をいち早く発見しなければならない場面では非常に役立つ機能だった。簡単な操作で段階を変更できることから、マップに応じてモードを変更できる点もありがたい。

「レインボーシックス シージ」では比較的暗いシーンでの銃撃戦も少なくない。「ナイトビジョン」機能を使えば有利に立ち回れる

次世代機でも快適な長く使える1台に

 165Hzの高リフレッシュレートに1msの高速応答、湾曲による没入感とゲームに没頭するにはピッタリの1台だ。120fpsに対応する次世代機にも向いており、WQHD解像度があり、色域も広いのでのでPCで文書作成やクリエイティブな作業にも十分対応できる。「MSI OPTIX MAG272CQR」は、ゲーミング液晶として長く使える1台となってくれるだろう。