【特別企画】

値段以上の価値がここに! 人気高まる「高級アクションフィギュア」の世界

メーカーが心血を注ぐ看板商品。ユーザーの信頼の源となるその凄さをご紹介!

 数万円のアクションフィギュアが人気である。「フィギュアに数万?」と思う人は少なくないと思う。一方で先日受注が開始された「METAL BUILD エヴァンゲリオン初号機 [EVA2020]」は受注開始数分で注文が殺到、アッという間に売り切れるほどになってしまった。もちろん"転売"という話もあるだろうが、転売は欲しい人がいるからこそ成立する。それだけ多くの人がこの商品を欲しいと思っているのだ。

「METAL BUILD エヴァンゲリオン初号機 [EVA2020]」発売は8月。価格は28,600円(税込)。6月発売の1次受付は開始直後注文が殺到し、在庫なしになった。今回は2次受付分だ

 以前はフィギュアは限られた人の趣味だった。それがより多くの人が手に取るようになったのはフィギュアのクオリティが上がり、ふんだんに可動領域を備えたアクションフィギュアが誕生し、より楽しく遊べる様になったからだ。そして高級アクションフィギュアには、高価な金額に見合う、ユーザーを満足させる魅力が詰まっている。それは実際に購入しないと伝わらないところも多い。

 そこで今回は「そもそも高級アクションフィギュアってなに?」という基本的な定義から、高級アクションフィギュア市場を牽引する存在であるBANDAI SPIRITSコレクターズ事業部から、その主力商品であるブランド「METAL BUILD」の「METAL BUILD クロスボーン・ガンダムX2」をサンプルに、そこから見える開発者のこだわりや、高級アイテムを入手したときの愉悦、遊びの楽しさを語っていきたいと思う。

 高級アクションフィギュアはキャラクターに思い入れがある人はもちろん、そのフォーマット自体が大きな魅力だ。金属パーツを多用した堅牢で幅広い可動域による豊かなポージング、高い技術を持ったモデラー作品のようなカッコイイディテール表現、高品質なアイテムを手にした喜び……これらがない交ぜとなり、優れたアイテムを手にした幸福感をもたらしてくれる。この世界に飛び込んでみてはいかがだろうか。

今回取り上げる「METAL BUILD クロスボーン・ガンダムX2」は、プレミアムバンダイ専売商品で発売は2019年11月。価格は26,400円(税込)。黒い機体がカッコ良く、オプションパーツが充実してプレイバリューの高い商品だ

メーカーとユーザーの進化が実現した絢爛たる高級アクションフィギュアの世界

 まず、「高級アクションフィギュア」とはなんだろう? アクションフィギュアとは、手足の関節が動き自由にポーズを取ることができるフィギュアである。これによりユーザーは自由にフィギュアのポーズを取らせることができる。

 アニメの1シーンやマンガの一コマを再現したり、見本写真やイラストを参考にした決めポーズを取らせても良い。この時ユーザーは"監督"に、アクションフィギュアは"役者"となる。劇中のキャラクターをそのままトレースしても良いし、オリジナルの活躍シーンを創造してもいい。この脳内でフィギュアが自由にポーズを変えていく様子こそ、"ブンドド"である。

 筆者は以前このアクションフィギュアで想像の翼を羽ばたかせるブンドドの楽しさを語った。そしてメーカーがいかにユーザーの想いに応えてきたかを「手のひらで広がるめくるめく想像の世界! 大人の「ブンドド」講座(後編)」で解説した。アクションフィギュアの楽しさは、自分の思うとおり、そしてそれ以上にカッコ良くフィギュアが自由にポーズを変え、様々なシーンを再現できるところにある。

 その上で「高級」となぜつけるのか? 「しっかりした関節構造」、「高レベルのモデラーの作品のようなディテール表現と細かい彩色」、「手に持ってわかる遊んで楽しめる玩具としての楽しさ」というところは、アクションフィギュア全体が目指す方向性である。実際、BANDAI SPIRITSコレクターズ事業部の「ROBOT魂」や「S.H.Figuarts」、メディコム・トイの「MAFEX」、海洋堂の「リボルテック」など様々なアクションフィギュアが存在する。これらの価格も上昇しており、正直"高級"とそうでないアクションフィギュアとの境目は消滅しつつある。

BANDAI SPIRITSコレクターズ事業部、「S.H.Figuarts 仮面ライダーバルカン シューティングウルフ」、4月18日で、価格は6,050円(税込)。「S.H.Figuarts」には、「真骨彫製法」という、上位ブランドが存在する
メディコム・トイの「MAFEX IRON SPIDER (ENDGAME Ver.)」、9月発売で、価格は7,800円(税別)。MAFEXはアメコミヒーローや、エヴァンゲリオン、鉄人28号などモチーフのチョイスがユニークだ
海洋堂「アメイジング・ヤマグチ 018 緑谷出久」。8月発売で、価格は7,500円(税別)。かつては低価格もセールスポイントだったリボルテックシリーズだが、他のアクションフィギュアシリーズ同様、昨今は造形、彩色と非常に凝ったものとなり、価格も上がっている

 それでもあえて「高級」とつけるのは、値段、つまり商品に掛けられるコストの幅が1つのポイントだ。ブランドとしての高級感、その高いコストを支払ったユーザーを満足させるためのプレイバリューなど、メーカー側が「最高峰」を見せる商品としての「高級アクションフィギュア」という価値観は揺らいでいないと筆者は考えている。千値練の「RIOBOT」や「METAMOR-FORCE」、threezeroの「ロボ道」、アートストームの「EX合金」、タカラトミーの「マスターピース」など、様々な商品がある。

千値練、「METAMOR-FORCE “BARI”ATION 超獣機神ダンクーガ ファイナルダンクーガ」。価格は45,000円(税別)で、7月発売予定
threezero、「ロボ道 機動警察パトレイバー イングラム2号機+3号機 コンパチブル・セット」。価格は16,000円(税別)で、9月発売予定
アートストーム「EX合金 REIDEEN THE BRAVE ULTIMATE GODBIRD Set」、価格は44,800円(税別)で、2018年2月に発売された
タカラトミー「MP-48 ライオコンボイ(ビーストウォーズ)」、価格は20,000円(税別)で、2月に発売された

 このジャンルの代表的な存在としては「ホットトイズ ムービーマスターピース」があるだろう。「マーベルヒーローズ」、「DCヒーローズ」、「スターウォーズ」など映画に登場するキャラクターがまるで目の前にいるかのようにリアルな造形で立体化されている。

 このシリーズは3万円から6万円近くするまさに"高級"と呼ぶのにふさわしいアクションフィギュアだ。映画のスーツそのままなのに可動もある程度でき、フィギュアによっては"膝立ち"まで可能だ。ヒーローのマスクを取った役者の顔そのままのヘッドや各種武器など内容も充実しているところも、ユーザーを満足させている。

ホットトイズの「【ムービー・マスターピース DIECAST】1/6スケールフィギュア アイアンマン・マーク47」。価格は55,000円(税込)で、2021年1月に再販売予定

 そしてBANDAI SPIRITSコレクターズ事業部は、「METAL BUILD」を始め、「GUNDAM FIX FIGURATION METAL COMPOSITE」さらには「DX超合金」など様々な高級アクションフィギュアブランドがある。これらはアクションフィギュアの1つの"源流"ともいえる「超合金」から派生したブランドで、金属パーツを多用し、堅牢な関節構造と、玩具技術の最先端の造形、彩色、そしてこだわりに満ちた商品仕様で多くのユーザーを獲得している。

 これらの商品は価格から言って気軽に買える商品ではない。ユーザーは吟味し、逡巡し、そして意を決して商品を買うのである。メーカーはそのためらいと後悔を満足に変えるため、そのときの技術、思い入れのある企画、ギミックの"最高峰"を商品につぎ込む。ユーザーがその出費に見合う「満足」を得られなければそのブランドはなくなるかも知れない。

 玩具開発者にとっても「高コスト商品」は"夢"なのである。彼らの商品開発のコスト計算は厳格で厳密だ。しかし採算ばかりを考えた商品を出し続けていればユーザーは商品を買ってくれなくなる。だからこそ価格帯以上に価値を感じてもらう商品を作り続けなくてはいけない。

 その上で「高級アクションフィギュア」はその"枷"が1つはずれる。高コストの商品を、普段やりたいと思っていたができないこと、表現できなかったディテール、採用を見送った金属パーツの採用や、関節構造を取り入れられる。立体化できなかった武器も、やれなかった塗装もできるのだ。もちろんその先では再びコスト問題が頭をもたげてくるが、それでも「今できる最高峰」を見せることこそ、ユーザーの信頼を得ることに繋がる。「高級アクションフィギュア」は玩具メーカーにとって"看板"なのである。

 「高級アクションフィギュア」の魅力、ユーザーの期待、メーカーがこのジャンルに託しているもの……これらの魅力を、今回は「METAL BUILD クロスボーン・ガンダムX2」から見ていきたいと思う。

パッケージ開封、まずは"素体"をたっぷり動かしてみよう!

 そのうえでBANDAI SPIRITSコレクターズ事業部の"看板ブランド"であるMETAL BUILDの商品を前に、「高級アクションフィギュア」というモノを考えていこう。

 METAL BUILDは、「やれることは全部やる」を目標に作られたブランドだ。モチーフとなるキャラクター(ロボット)の武器や、様々なギミック、魅力を発揮するポーズの再現など、キャラクターが持つ魅力を最大限に活かすように企画されており、プレイバリューの高さが魅力だ。

 まずパッケージである。METAL BUILDシリーズは高級アイテムなだけにパッケージが非常に凝っている。この商品の場合は、黒い機体が映える豪奢な金の背景が使われている。マットな手触りも高級感がある。

豪華な雰囲気のパッケージ。ポーズは商品で遊ぶ時の参考になる

 表紙と背表紙の機体のカッコ良さ! 本商品はプレミアムバンダイ専売なため店頭に並ぶことはなかったが、この豪華なパッケージが「自分のモノ」である幸せは手にすることで実感できる。またこれらの写真は「METAL BUILD クロスボーン・ガンダムX2」のポーズ付けの大事な"お手本"であることもしっかり心に留めておきたい。

 開けるといくつものブリスターパッケージである。筆者は以前本商品を開け組み立てているのだが、実際にはマント部分の部品はもっと細かい。知らない人は部品の多さに驚くだろう。このパーツの充実度こそがMETAL BUILDの特徴の1つとも言える。これらのパーツを活用することが、商品のポテンシャルを楽しめる"幅"なのである。

 「完成品なのに組み立てが必要なのか」と思う人もいるかも知れないが、様々なシチュエーションを再現するには、こういったパーツが必要なのだ。特に「METAL BUILD クロスボーン・ガンダムX2」は、先に発売された「X1」に2つの武器を加えたものであり、ボリュームがさらにアップしているのだ。

武器や台座など、4つのブリスターパッケージと、1つの素体が収められたボックスで構成されている。クロスボーンガンダムはギミック満載な上、布製の"マント"と、X2ならではの追加武器が封入されており、付属品はかなり多めだ。

 まず"素体"を触っていこう。METAL BUILDは全高約17cm。ガンプラのMG(マスターグレード)サイズと言えば伝わるだろうか。この大きさのフィギュアは約12cmほどの通常のフィギュアサイズより大きめでリッチな雰囲気がある。そしてMETAL BUILDは造形、ギミックがギッシリ詰まっており、金属パーツも多用されているので、手に持つと見た目以上の重量感がある。

 高級アクションフィギュアの楽しさはやはりこの箱から出したときの素体を手に取ったときが1つのクライマックスだ。造形と重量感。間接部などに見られる金属パーツ。自分の"出費"をパッケージ以上に実感できる。最初は怖いと思うが慎重に、あるいは力を込めて動かしてみよう。新品は関節が硬い。壊してしまいそうな恐怖感もあるがそれらと葛藤しつつ各部を動かしていくことで高級アクションフィギュアならではの凝った関節構造を実感できるだろう。

 ギミック山盛りの高級アクションフィギュアは「説明書」こそが生命線だ。説明書に書かれたギミックや、解説を見なければ、商品のポテンシャルを充分に発揮できない。まずこの説明書を熟読して欲しい。内容はかなり細かく、商品が持つ能力、遊びの幅を実感できるはずだ。しかしそれでも実は情報量が足りないのだ。手足の関節がどう動き、ポーズを取らせるにはどう関節を動かせばいいかまでは書いていない。こう言ったところは商品写真や自分で実際に動かして試していくしかない。

遊ぶ前に説明書は読んでおきたい。どのような機能があるかなども書いてあり、遊びへの期待感が増してくる。変形するものなどは説明書を見ないとやり方がわからないものも多く、説明書はとても大事だ
最新のアクションフィギュアはびっくりするほど良く動く。どの関節がどう動くか、細かい所は説明書にも書いていないので、しっかり確認して欲しい。壊しそうで怖いが関節の可動域を知ることで遊びの幅は大きく広がるのだ

 腕、肩、腿、首……動かすことで最新のアクションフィギュアの凄さを実感できるはずだ。例えば首は引き出すことで上を向いたり、下を見たりと豊かな表情付けができる。腕は可動部分の塊と言えるほど関節が多い。そして肩装甲。こちらは前面だけが開くようになっているので、肩のラインを保ったまま腕を前に出すなど"表情付け"には欠かせないギミックだ。

 そして下半身である。METAL BUILDに限らずアクションフィギュアは膝関節の描写に力が入ったモノが多い。膝関節は言わば"最も大きなパーツが動く部位"であり、その可動はダイナミックだ。膝の二重関節を形成する金属パーツがグッとせり出してきたり、ふくらはぎパーツが干渉しないように引っ込んだり、メカニカルな描写が楽しめる。股関節の基部そのものが動く可動も初めてだとかなり驚くだろう。付け根そのものが動くことで、従来のフィギュアでは難しかった「膝立ち」が可能になるのである。

 これら関節の設計はMETAL BUILD独自のものもあるが、全体としては「これまでの玩具関係者の努力の結晶」だ。様々な商品で、多くの開発者達が工夫し、影響を与えあって発展したもので、それは玩具文化の進化そのものを語っているのだ。多くの開発者、設計者が研究し得た知見がアクションフィギュアを日々進化させている。そして高級アクションフィギュアはそういった進化を貪欲に取り入れ、発展させている。最新の玩具文化をまず実感して欲しい。

 その上で改めて各部をチェックして欲しい。繊細なディテール、エッジが立った表現、カッコイイプロポーション……その造形へ思い入れは、例えば技術を持つモデラーの自分が作ったプラモデルには叶わないかも知れない。しかし完成品という誰でも手にできる"商品"でここまで造形にこだわり、感心させられる立体物を実現していることにまず感心して欲しい。

 そしてなによりも"玩具"として遊んで簡単に壊れないように配慮されて設計されているところが素晴らしい。優れたモデラー達が作ったプラモデルのような雰囲気を持ち、ちゃんと遊べる玩具となっている高級アクションフィギュアは、玩具で遊ぶことが好きな筆者のようなユーザーの夢を実現した商品と言えるだろう。誰もが手に取れる商品であることが、高級アクションフィギュアの最大の価値だと筆者は思う。

METAL BUILDに限らず、高級アクションフィギュアはディテールが楽しい。優れたモデラーの作品に近いクオリティの立体物を手にでき、間近で楽しめるのは本当に楽しい。筆者のように模型技術が低いユーザーがこう言った楽しみを得られるようになったのは、素直にうれしいところだ。要所要所でアクセントとなる金属パーツも注目

武器や装備をまとうことで商品のポテンシャルは無限大に

 素体だけでかなり語ってしまったが、ここから本格的に遊んでいこう。ここからはフィギュアによって、キャラクターによって遊び方が大きく異なる。METAL BUILDにおいては1つの大きな通過点となるのが、「手首の交換」である。

 METAL BUILDは手首パーツは軟質パーツで作られており、腕側のピンに差し込むのだが、最初はこれが実に固い。そして力を込めてはずそうとすると壊してしまいそうでものすごく怖い。しかしここは商品の楽しさを引き出すにはどうしても超えなくてはいけない部分だ。壊さないように力を込めて、それでも細心の注意で手首を外し、交換して欲しい。馴れないときには手首をはめるのもかなり苦労する。ぜひこの難関を越えて欲しい。

コアファイターを取り付けることでクロスボーンガンダムの稼動状態に。その名の通り交差した骨のようなX字のシルエットが楽しい。
METAL BUILDを遊ぶ上で大きな関門となるのがこの手首の交換。最初は固く、手首のピンを追ってしまいそうで怖いが、ここは覚悟を決めてしっかりとはめられ、外せるようになろう

 METAL BUILDは前述したように「やれることは全部やる」を目標に作られたフィギュアだ。様々な武器やオプションパーツでモチーフとなるロボットの様々なシチュエーションを再現できる。充実した武器パーツはMETAL BUILDの大きな魅力だ。そしてクロスボーンガンダムは特にギミックの多いロボットである。

 主武装となる海賊が使う偃月刀のようなビーム・サーベル「ビーム・ザンバー」はビーム・ピストル「バスターガン」と合体することでビーム・ライフル「ザンバスター」となる。さらに「METAL BUILD クロスボーン・ガンダムX2」ならではの武器として槍状の武器「ショットランサー」さらに巨大なビーム・ライフル「バスターランチャー」を装備する。

 METAL BUILDではやはり「武器を構える」というのがメインの遊び方となる。特に「METAL BUILD クロスボーン・ガンダムX2」は武器が豊富だ。今回は本商品そのものの紹介がメイン出ないのでいくつかの武器だけだが、この他にもビーム・シールドやビーム・サーベルなどがあるし、両手持ちやバインダーに角度を変えるなどポーズは無限である。

 しかもそれら武器を次々に構えさせるのは"始まり"なのだ。ここからが高級アクションフィギュアの楽しみなのである。首を傾ける、肩を上げる、胸を反らせる、背中のブースターの位置を調整する……METAL BUILDに詳しくなるほどやれることが増えていく、そしてポーズはカッコ良くなっていくだろう。

カットラスのようなビーム刀を発生させる「ビーム・ザンバー」と、ビーム・ピストルの「バスターガン」を合体させることでビーム・ライフル「ザンバスター」となる。片目を覆う眼帯のような装備は、V2ガンダムでも見られるもので、海賊らしさと、その後のモビルスーツの発展を想像させられる

 「銃 両手で構える」、「剣 二刀流」などで検索し、カッコイイポーズ、シーンを探し出し、そこに合うようにフィギュアを動かしてみるのもいい。筆者は以前、原型師である坂埜竜氏が自分が手がけたフィギュアを動かして、ポーズをつけたそのカッコ良さに強く感心させられた。

 足のつま先、力の入った肩の入れ方、首のそらせ方。坂埜氏の原型師としてフィギュアのポテンシャルを知り尽くしているからこその"遊び方"に、商品の本当の魅力を見た気がしたのだ。このポーズ付けは本当に奥が深い。自分のお気に入りの商品だからこそ、時間を掛けて、力を込めてポーズをつけて欲しい。

 そしてできれば仕事机の横など手がすぐ届くところにおいて欲しいのだ。ふとしたときに目に入るそのフィギュアは心に満足感を与えてくれるし、「次はどんなポーズを取らせよう」と考えるようになる。「日常の中にアクションフィギュアがある」ことの楽しさを実感して欲しい。他のフィギュアの部品を流用して原作とは違う武器を構えさせたり、コレクションを増やして敵役と絡ませたり、遊びは無限大に広がっていくだろう。

 高級アクションフィギュアは、数万円もする。もちろん1万円以下のフィギュアでも、食玩でも遊んで楽しいし、なかなかそれだけの金額をフィギュアにつぎ込めないというのは「当たり前」のことだと思う。しかしその踏み越えた先にはめくるめく「可能性」が待っている。払ってしまった金額、実物を手にしたときの未知への恐れとほんのちょっとの後悔が、感動と満足に変わる。それだけの価値が高級アクションフィギュアには必ずある。この絢爛たる愉悦の世界に、ぜひ足を踏み入れて欲しい。

ポーズをより派手にしてくれる大型武器。「ショットランサー」と「バスターランチャー」。肩やつま先をこだわりまくってポーズをつけたいところだ
クロスボーンガンダムは「マントをまとうガンダム」である。このマントはビームを受けると蒸発し本体にビームが当たることを防ぐ。海賊としてのケレン味もたっぷりな装備だ。マントを着けるとポーズが限られるが、これを活かしたポージングもとても楽しい