【特別企画】
「ハースストーン」新拡張版「灰に舞う降魔の狩人」環境をプレイ!
新クラス「デーモンハンター」の強さと楽しさを実感
2020年3月18日 02:15
- 2月18~21日開催
- 会場:AV Irvine
Blizzard Enterteinmentは米国時間の2月18日~21日に、本社のある米国アーバイン(カリフォルニア州)のイベントスペース「AV Irvine」にて、全世界のメディアおよびコミュニティリーダーを集めて、同社のデジタルカードゲーム「ハースストーン」の2020年の計画を発表するプライベートイベント「Hearthstone Summit 2020」を開催した。
メインのプレゼンテーションに関する記事は別途掲載済みだが、会場には4月8日のリリースに先駆け、新拡張版「灰に舞う降魔の狩人」環境を試遊できるスペースが設けられ、自由に試遊することができた。
まだ、新拡張版のカードの詳細などは公開されていなかったので、あくまで筆者が触った限りにおいてだが、新クラスの「デーモンハンター」デッキをプレイした感想や、公式から提供されたプレイ動画(英語版だが)を紹介したい。なお、筆者がプレイしたカードは、正式リリース前であり、効果や名称などが変わる可能性もある。
「デーモンハンター」デッキは異端が楽しく、攻撃とカードを使う順番が重要に
まずは、本拡張版の目玉である新クラス「デーモンハンター」デッキのプレイ感想を紹介する。会場に並んだ試遊機には、新拡張版のカードを使った各クラスのデッキが用意されていた。デーモンハンターのデッキには、デーモンハンター専用のキーワードである「異端」持ちのカードが複数入っていた。
異端とは、下に並んでいる手札の右端または左端からカードを使うことで、追加の能力や効果が得られるというものだ。異端持ちのカードが手札の右端または左端にある場合、カードの縁が黄色く光って教えてくれる。具体的な動きとしては、次の動画を見てほしい。
この動画では、最初に1マナでヒーローパワー「悪魔の爪」を使い、相手の左端の挑発持ちミニオンに攻撃をおこない、次に「異端」持ちの「Eye Beam」(魔眼光)を異端により0マナで使っている。Eye Beamは本来3マナで使う呪文だが、異端なら3マナ分も得になるのだ。異端が有効になっている状態では、カードの縁が黄色に光っているのがわかるだろう。また、その次に2マナで「Furious Felfin」(憤怒のフェルフィン)を使っているが、Furious Felfinは、雄叫びで「このターン、自分のヒーローが攻撃していれば、攻撃力が+1され、急襲を持つ」という能力を持っているため、ヒーローが攻撃してから使うほうが得だ。Furious Felfinのカードの縁が途中で黄色く光り出すのは、ヒーローが攻撃したという条件を満たしたからだ。
デーモンハンタークラスのカードは、このFurious Felfinのように、ヒーローが攻撃することで、強くなるものが多く、1マナのヒーローパワーを使うことで、武器を装備してなくても攻撃できるというイリダンの特性とシナジーを形成している。デーモンハンターがアグレッシブなクラスだということがよくわかる。ヒーローが自ら戦闘に立って戦うデーモンハンターは、ライフも減りがちだが、生命奪取を持っているカードも多いので、ガンガン戦って、ガンガン回復するというのが、デーモンハンターの基本的な立ち回りであろう。
デッキのトップを固定するカードと組み合わせれば、異端を確実に使える
デーモンハンターデッキでしばらくプレイしていて気づいたのは、デッキトップを固定するカードと異端持ちカードとの相性の良さだ。例えば、2マナのミニオンで「盲目の監視者」というカードがある。盲目の監視者は、雄叫びで「自分のデッキのカード3枚を表示する。1枚を選び、デッキの一番上に置く。」という能力を持っている。この雄叫びで表示される3枚の中に、異端持ちのカードがあればそれを選択することで、次のドローで確実に異端を使える(デッキトップから引いたカードは、必ず手札の右端に来るため)。
筆者が試遊したデーモンハンターデッキの中で、異端持ちで強いと感じたのは、5マナのドロー呪文「グルダンの髑髏」である。このカードは、通常なら5マナでカードを3枚引くだけであり、マナレシオ的には特別優れているとはいえないのだが、異端で使うと、その引いた3枚のカードのマナコストをすべて3減らす効果が加わる。このマナコスト軽減は、そのターンだけでなく、手札にそのカードがある間永続的に有効になるので、かなり強力だ。3枚合計では9マナ分軽減できることになるわけだ。
筆者は派手な展開が好きなので、盲目の監視者でデッキトップをグルダンの髑髏に固定し、次のターンにグルダンの髑髏の異端を使って、コストを軽減し、重いミニオンや呪文をガンガン使うという動きが気に入った。
「転生」ミニオンも超強力
新拡張版では、新たに「転生」ミニオンが追加される。「転生」持ちのミニオンは、盤面で死亡すると、断末魔の能力で、その転生後バージョンがデッキの中に加わる。最初から転生後バージョンのカードをデッキに入れることはできないので、出すまでに一手間かかるが、転生後のミニオンは超強力だ。なお、「転生」持ちのミニオンは、デーモンハンター以外の各クラスに登場するが、デーモンハンターでは使えない。デーモンハンターには、専用キーワードの「異端」があるため、うまくバランスをとったのであろう。
転生の動きについては、公式から提供された動画を見てほしい。「転生」ミニオンである「Kargath Bladefist」(刃拳のカーガス)は、最初に手札から使った場合は、4マナ4/4、「急襲」持ちのミニオンだが、盤面で死ぬと、「Kargath Prime」(転生カーガス)を自分のデッキに混ぜる。転生カーガスは、8マナ10/10で、急襲を持ち、このミニオンの攻撃でミニオンが死ぬたびに装甲10を獲得するという超強力なミニオンだ。スタッツも優秀だが、ミニオンを死亡させるたびに装甲10というのはとても強い。「転生」ミニオンは、レジェンドのみということだが、レジェンドにふさわしい強力な能力といえる。
「封印されし悪魔」群も盤面を一変させる可能性が
最後に紹介するのが、「封印されし悪魔」群のミニオンだ。これらは、盤面に登場してから2ターンの間は封印されて休眠状態となっており、攻撃できない代わりに、あらゆる種類の脅威の影響を受けない。2ターン後、封印が解けると、強力な効果が発揮されるというものだ。例えば、「封印されし監視者」は、盤面に出てから2ターンの間は休眠状態となるが、目覚めると敵のミニオンすべてに2ダメージを与える。こちらもうまく使えば強力であり、盤面を一変させ、劣勢を一気にひっくる返せる可能性がある。まだ公開されていないカードで、もっと強力な能力を持った「封印されし悪魔」もありそうだ。
無法者と略奪団がのし歩く世紀末的な世界観に心奪われる
新拡張版「灰に舞う降魔の狩人」を試遊しての全体的な感想だが、ドラゴン年の各拡張版の世界観とは大きく異なる世界観が新鮮であった。ドラゴン年では、浮遊都市ダラランや古代文明ウルドゥムを舞台に、通年にわたる壮大なストーリーが展開されたが、フェニックス年では、通年を通したストーリーではなく、各拡張版毎のストーリーが展開される。
灰に舞う降魔の狩人の舞台は、アウトランドと呼ばれる、これまでの世界とは別の惑星である。アウトランドは、「World of Warcraft: The Burning Crusade」の戦火によって荒廃しており、アウトランドの王を自称するイリダンが、デーモンハンターとしてこの破壊された世界の脅威に立ち向かっていくというのが、灰に舞う降魔の狩人の基本的な世界観である。クズ鉄製のトゲトゲ鎧を身にまとった無法者や悪魔の略奪団が我が物顔でのし歩く、世紀末的な世界を舞台に、新キーワードを活かすエキサイティングで頭を使うバトルと、ワクワクするストーリーの展開が期待できる。
新クラス「デーモンハンター」とその新ヒーローのイリダンも確かに強いが、これまでのクラスにも、「転生」や「封印されし悪魔」といった強力な能力持ちのミニオンが加わるため、デーモンハンター一強ではなく、より多様性に富んだ環境になることが期待できそうだ。デーモンハンターは、アグレッシブに攻めていくプレイスタイルであり、あまり考えずにプレイできると思われる方もいるかもしれないが、異端持ちカードやヒーローが攻撃したことで効果が出る雄叫び持ちのミニオンが多いため、攻撃の順番とカードをプレイする順番が重要になる。
また、バトルグラウンド用ヒーローとしてもイリダンが登場する。こちらは異端を常動型能力として持ち、自分の左端と右端のミニオンが最初に攻撃する。バトルグラウンドが好きな方にも、新ヒーローの登場はありがたいだろう。
ハースストーンからしばらく離れていた復帰プレイヤーや新規プレイヤーはもちろん、ハースストーンを継続して遊んでいるプレイヤーも、新鮮な気持ちでプレイできるだろう。4月8日の正式リリースを楽しみに待ちたい。