【特別企画】

格ゲー界最大の祭典「EVO Japan 2020」の醍醐味はサイドトーナメントにあり!

サイドトーナメントはまるで格ゲー全盛時代のゲームセンター!! 夢のような2日間をレポート

1月24日~26日開催

会場:幕張メッセ 国際展示場

 日本最大の格闘ゲームの祭典「EVO Japan 2020」が1月24日から26日の日程で開催された。

 EVOが日本に上陸して今年で3回目となるこの大会は、幕張メッセ国際展示場ホールを会場に、6つのメイントーナメントで実施された。メイントーナメントに選ばれたタイトルは、「BLAZBLUE CROSS TAG BATTLE【554】」、「SAMURAI SPIRITS【535】」「SOULCALIBUR VI【510】」、「ストリートファイターV アーケードエディション【1471】」、「大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL【2988】」、「鉄拳7【963】」の6タイトルでエントリー総数は5,550人にも達する(【】内はsmash.gg当日最終エントリー数)。

 とりわけ「大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL」は、エントリー数が多過ぎたため、EVOの基本理念である“エントリー無制限”から3,074人までに制限し、かつできるだけ多くの選手に参加して貰えるように、参加できなくなった選手の積極的なキャンセルの要請まで行なわれたほどだった。

【メイントーナメント】
EVO Japan制覇は、格ゲープレイヤーの欲しいタイトルの1つ。写真はメイントーナメントである「鉄拳7」に挑むプロゲーマーたぬかな選手
初日からメインステージを使って注目カードの対戦が行なわれている

 そんな中、筆者が注目したのは同時に開催されるサイドトーナメントの存在である。メイントーナメントは各メーカーの認可のもと、EVO Japanの実行委員会が進行を行なう“eスポーツ大会”だが、サイドトーナメントは、個人または愛好団体が主催で運営をすべて行なう“ゲーム大会”である。彼らは、自分たちが日頃から開催してきたゲーム交流イベントの経験を活かし、格ゲー好きが集まるEVO Japanで、自分が愛するゲームの面白さを、他の格ゲー好きに発信しようと、手弁当で運営しているのだ。

 本稿では、EVOのもう1つの主役である「サイドトーナメント」について、大会参加者、そして運営者の2つの立場からご紹介してみたい。

予想を超えたサイドトーナメントの数。ゲーマー達のゲーム愛がメイントーナメントを脅かす

 今年、EVO Japan 2020の会場が幕張メッセに決定して、筆者が期待したのは、サイドトーナメントエリアの充実である。

 筆者は地方都市に在住し、日頃から格ゲーイベントの運営を行なっているが、現役のメジャータイトル以外に、10年以上前のゲーム交流会の希望が多く寄せられる。格ゲーブーム全盛期を体験した筆者世代は、現在のスタンダードの格ゲーも遊ぶが、昔遊んだゲームも遊びたい欲求にかられるのだ。幕張メッセであれば、2018、2019年のEVO Japanよりも広いスペースをサイドトーナメントに確保されるのではと期待は膨らんだ。

 そして結果が下記のリストだ。このリストが2日間で行われるサイドトーナメントの一覧である。

【1日目 1月24日(金)】
1. FOOTSIES
2. SNKヒロインズ
3. カオスブレイカー
4. ギルティギアXX ACORE PLUS R
5. ザ ランブルフィッシュ2
6. サムライスピリッツ零スペシャル
7. ストリートファイターII' ターボ
8. タツノコ VS. CAPCOM CROSS GENERATION OF HEROES
9. デモンブライド
10. ドラゴンボールボールゼノバース2
11. ブレイブルーセントラルフィクション
12. ブレードアークス フロムシャイニングEX
13. ブレードアークス フロムシャイニングリベリオン
14. ブレードストレンジャーズ
15. 餓狼 MARK OF THE WOLVES
16. 堕落天使 THE FALLEN ANGELS
17. 北斗の拳
18. 幕末浪漫第二幕 月華の剣士)

【2日目 1月25日(土)】
1. ARMS
2. CAPCOM VS. SNK 2 MILLIONAIRE FIGHTING 2001
3. Fantasy Strike
4. FIGHTING EX LAYER
5. MARVEL SUPER HEROES
6. MARVEL VS. CAPCOM: INFINITE
7. MELTY BLOOD Actress Again Current Code
8. THE KING OF FIGHTERS XIV
9. ULTIMATE MARBEL VS. CAPCOM3
10. UNDER NIGHT IN-BIRTH Exe:Late[st]
11. アクアパッツァ アクアプラスドリームマッチ
12. あすか120%スペシャル BURNING Fest.Ver.2
13. あつまれ!金魚すくい~緊急SOS外来種から金魚をすくえ~
14. アドヴァンスト ヴァリアブル・ジオ2
15. ヴァンパイアセイヴァー
16. ウルトラストリートファイターⅡ
17. ウルトラストリートファイターⅣ (3on3)
18. ウルトラファイトだ!キャン太2
19. エヌアイン完全世界
20. カオスコード ニューサインオブカタストロフィ
21. キャサリン・フルボディ
22. ギルティギア Xrd Rev2 (3on3)
23. キン肉マン マッスルタッグマッチ
24. サイキックフォース2012
25. スーパーストリートファイターⅡX
26. ストリートファイターⅢ 3rd STRIKE
27. スーパーボンバーマン
28. ストリートファイターZERO3
29. ティンクルスタースプライツ(PS2版)
30. デジモンテイマーズ バトルエボリューション
31. ニトロプラスブラスターズ
32. バーチャファイター5ファイナルショーダウン
33. パネルでポン!
34. ファイナルソルジャー
35. ぷよぷよeスポーツ
36. ポップンミュージック
37. マリオテニスACE
38. マリオブラザーズ
39. ミリオンアーサー アルカナブラッド
40. らんま1/2 超技乱舞篇
41. 電脳戦機バーチャロン オラトリオ・タングラム
42. 東方非想天則 ~超弩級ギニョルの謎を追え
43. 熱血高校ドッジボール部
44. 燃えろ!ジャスティス学園(家庭版)
45. 美少女戦士セーラームーンS 場外乱闘!?主役争奪戦
(全63タイトル)

 EVO Japan 2019が27タイトルに対して、今年は63タイトル。この結果は筆者の予想を上回っていた。あまりのタイトルの多さに、筆者がすべてのタイトルを網羅できなかったことをお詫びしておきたい。各メーカーが販売するゲームに指定したジャンルが、対戦格闘ゲームとされていないタイトルまで、サイドトーナメントが行なわれるのである。まさに格闘ゲームファンの熱意には頭が下がる。そして、事前申請を必要としない持ち込み可能のBYOCエリアにまで、イベントが広がっているため、その熱の総量は計り知れない。

 仮に各タイトルのエントリー数を少なく見積もって32人と仮定しても、サイドトーナメントだけで2016名の参加者がいることになり、本大会唯一エントリー制限を受けた大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIALの次に多い参加者となることがわかるだろう。

【サイドトーナメント】
サイドトーナメントの設営風景。ホワイトボード、「ストゼロ3」、「ヴァンパイアセイヴァー」、「あすか120%」。「あすか120%」の主催は、あすか120%のトッププレイヤーのみやざき氏。筆者も面識がある宮崎県民である

【会場の割り振り】
イベントスペースの割り振りにも注目したい。奥がメイントーナメントの予選エリア、手前がサイドトーナメント及びBYOCエリア。ほぼ同等の割合であることがわかる

【BYOCエリア】
ゲーム機を自由に持込み可能なBYOCエリア。運営からの貸出モニターがないことを想定した、持ち運び可能な液晶モニターを持参するプレイヤーもいた

 やや余談だが、サイドトーナメントで、話題を集めていた出来事を1つ紹介しよう。

 そのタイトルは「バーチャファイター5 ファイナルショーダウン (以下 VF5FS)」である。Twitter上で「VF5FS」の開催の情報が入ってくると、それに伴い続々と個人や団体企業から協賛品の提供が発表され、最終的には36品種にも及ぶ賞品が集まり、「VF5FS」コミュニティの熱さを格闘ゲーム界に見せつけた。個人的には、「バーチャファイター」の続編を期待する気持ちもあったのではないかと思っている。筆者もその1人だ。

サイドトーナメント「スト2ターボ」。京都スサノオ 中野サガット氏と筆者が対決。青春の日々に受けた興奮が蘇る!

 初日は平日の金曜日ということもあり、主催団体は15と比較的少なめであり、大会以外の交流時間を多く取れる状況であった。筆者は「ストリートファイターⅡ’ターボ(以下 スト2ターボ)」に当日エントリーできたため、参加することにした。

【スト2ターボ】
主催は 銚子ゲーマーズコミュニティ 農家さんから優勝賞品としてお米30kgを贈られる

 エントリー後も大会まではイベントスペース内で対戦して遊べる余裕がある。他の参加者の対戦を観戦して楽しんでいると、中野サガットの選手名で知られる京都スサノオ代表取締役中野貴博氏が会場に訪れていた。中野氏もサイドトーナメントに参加するとのことで、仕事の合間に会場に立ち寄ったようだ。

【中野サガット選手】
時間を見て他の参加者と野試合をする中野サガット選手

 筆者が参加したサイドトーナメント「スト2ターボ」のルールは下記の通り。

ゲームタイトル
PS4版「ストリートファイター30thアニバーサリーコレクションインターナショナル」収録「ストリートファイターⅡ’ターボ」
1試合先取(2ライフ制)のシングルイリミネーショントーナメント
キャラ変更可
個人のアケコン使用可

 ゲーセンで「スト2ターボ」が稼働していた当時は「村勇者」であった筆者は、1回戦、2回戦と得意のケンを使って勝ち上がり、準々決勝で中野サガット選手と対戦することになった。対戦中はサガットの嫌がることを終始立ち回りに入れて追い込んでいるつもりだったが、中野サガット選手にあと一歩のところでミスしてしまい負けしまった。

 中野サガット選手との対戦が私にとって「激闘」であったためか、久しぶりに「スト2ターボ」の対戦に興奮している自分がいた。本大会終了後、主催者に自分の思いを伝える適切な言葉が思いつかず、チープな言葉でしか感謝を伝えられなかったことが心残りであるが、最高の経験ができた。

 私に勝った中野サガット選手は、準決勝で、こちらも中野サガット氏と同じ、1993年の国技館大会出場者のこにたま選手のザンギエフに対して冷静に立ち回り、ザンギエフの攻撃を巧みに退け決勝へ。決勝の相手は、リュウを使い波動拳を主軸に堅実に立ち回って勝ち上がてきたまるき選手となり、1993年の国技館決勝のサガットVSリュウと同じシチュエーションとなり会場が盛り上がった。試合は中野サガット選手がペースを掴み続け、まるき選手の思い通りにさせない立ち回りでリュウを圧倒し、EVO Japan2020優勝者となった。

【「スト2ターボ」大会】
中野サガット選手をケンで迎え撃つ筆者。中野サガット選手を倒して優勝を狙っていたが、日頃の練習不足が祟ってか、大事なところで昇龍拳が出ず負けてしまう
「カプエス2」の強豪GALAXY B選手がこっそりエントリーしていた
中野サガット選手はGALAXY B選手のリュウ、サガットを倒し準々決勝へ

【中野サガット選手が優勝】
優勝した3選手。本大会には、プロゲーマーのはやお選手やウル4の強豪EBI選手など他ゲーの強豪選手が参加し、サイドトーナメントを盛り上げていた

2日目はサイドトーナメントの運営。運営の内訳お教えします!

 EVO Japan 2020の2日目。筆者は初日の「スト2ターボ」大会とは逆の立場で、サイドトーナメントの運営を行なった。知人が申請した「ウルトラストリートファイターII」のサイドトーナメントの運営を手伝うことになったのである。

 サイドトーナメントの運営とは何をするのか。実は自分たちも参加したいと考えている格闘ゲームコミュニティもたくさんいるだろうから、具体的に紹介してみよう。

 まずサイドトーナメントへの参加に応募する。サイドトーナメント当選後は、機材の具体的な貸出希望数を主催側に報告する必要がある。そのためには、参加人数を想定したレギュレーションを決め、大会を“具体化”する必要がある。

1、レギュレーションを確定させる

 下記レギュレーションは「ウル2」トーナメントを4人の運営で進行することを想定している。

A. Nintendo Switch 版 ウルトラストリートファイターII(以下 ウル2)
B. 2本先取
C. ダンブルイリミネーショントーナメント(参加希望が33人以上ならシングルへ変更)
D. 隠しキャラ以外のすべてのキャラが使用可。
E. 大会参加は事前申請。プレイヤー名と1セット目の使用キャラを申告。
F. ステージ選択はランダムを利用する。
G. トーナメントはChallongeを使用
H. 個人持ち込みアケコン使用可
I. イベント中はLIVE配信 YouTube.

2、レギュレーションから総試合時間を算出し、現実的なゲーム台のセット数を決める。

・32人参加のダブルイリミネーションだと65試合。
・1試合は「3バトル+ボタンチェック」で5分。
・総試合時間は 5分×65試合 = 325分

今回はTOP8を配信で放送予定であるから11試合分の55分は別で処理する。

・325分-55分=270分

 レンタルブースの利用時間が4時間30分。撤収を考えると3時間45分以内ですべて終わらせる必要がある。対戦交流会の時間も確保する必要があるため、4セットで進行することにすると、

・大会進行時間(270分÷4台)+55分 ≒ 122分

 上記のように122分となり、おおよそ2時間で試合を消化できると予想できる。

 本来「ウル2」はフルセットフルラウンドを想定すると、4ラウンド×3試合となり5分では終わらないが、平均値を4分半と想定して計算している。またシングルイリミネーションは試合数が少なくなる為ここでは割愛する。進行が遅れたときのバックアップとして野試合台も1セット準備し合計で5セットだ。

・対戦台4セット+野試合台1セット=5セット

3、レギュレーションから必要な機材を確定させる

 上記のセット数からゲーム台に必要な機材は下記になる。

・Nintendo Switch 5台(運営4人+参加者から1台で確保)
・アケコン 10台 (運営4人+参加者から6台確保)
※アケコンは、他人に触られたくない人もいるので、他の部場合は慎重に。
・ウル2のソフト5本((運営4人+参加者から1台で確保)
・モニター6枚(対戦台5枚+配信1枚)
※モニターはEVOJapan実行委員会へ貸出希望台数を申請する為、持ち込みは無し。
※長机×8台、椅子×16脚も併せて申請。

 トーナメントを進行するにあたってChallongeを利用することを決定。
・モバイル端末を4台(個人所有のものを使う)
・Challongeの使用講習としてリハーサルを行なう。
※当時リハーサルは避けた方が無難。

・事前申請書にはGoogleフォームを使いTwitterで周知。
 電源用延長マルチタップは、本来モニター+本体で電源2口を使用するが、本イベントではEVOJapan実行委員会が準備するので持ち込まない。

・電源用マルチタップ(EVOJapan実行委員会が準備するのでOK)
 配信機材のPCセットは、各個人で構成が違うのでここでは割愛する。本イベントでは、1人の配信者。配信等に必要なインターネット環境はEVOJapan実行員会がLANケーブルを1本準備してくれる。各モバイル端末やNintendo Switch(DLC認証用)、PCとの接続をするために、無線ルーターを準備することに決定。

・無線ルーター 1台(LANハブはIPアドレス不足を招く可能性があるので避ける)
・LANケーブル 1本

 ここまでの準備で、大会の進行に必要な準備が整う。運営が複数人の場合、誰が準備するのか明確になるように表を作成すると良いだろう。さらに筆者のイベント運営経験から下記の準備物も追加で用意しておくことをオススメする。

・油性ペン(黒、赤)及び養生テープ
 記名が必要なものに簡単に書ける。特に参加者のアケコンやゲーム機本体などの個人使用の機材に記名できる。養生テープは綺麗に剥がすことも簡単で、胸に張れば名札替わりにも使える。また机にゲーム機の固定し落下の防止や、床配線の躓き防止等、万能なアイテムである。

・名札または受付名簿
 参加者の受付状況を目視で確認できる。特に名札は返却を義務付けることで、ブースを完全に離れたことがわかりやすい。

 以上が「ウル2」サイドトーナメント運営に対する前日までの準備である。

Nintendo Switchが5台、アケコンが10台以上。アケコンを貸出してくれた参加者に感謝
別ゲーで来場していたFG宮崎の柴公さん依頼。「台パン禁止」の評価が高かった

大会終了後に受ける参加者から「ありがとう。また参加します」は魔法の言葉

 こうして行なわれた「ウル2」サイドトーナメント会場は盛況だった。エントリーは33人を超え、トーナメントシングルイリミネーションに変更となっていた。

 進行自体はスムーズで、大会前のブリーフィングにおいて、試合スタートまでの手順を説明にしたことも功を奏し、TOP8までは1時間20分程度で終わるほどだった。

 TOP8では、勝ち残った選手にそれぞれ意気込みを配信で語ってもらった後、TOP8の全試合を配信に載せて実況する予定だったが、TOP8第1試合が、選手本人達の同意で先に始めてしまい、1試合目が配信に乗らなかったというハプニングがあった。TOP8まで順調に進行が進んでいただけに、悔やまれる部分であり、運営として反省している。

 大会の優勝は中野サガット選手。決勝の相手は「ウル4」界のハカン全一の名高いEBI選手。この日の為に「ウル2」の新キャラである「洗脳されたケン」を仕上げてきたが、中野サガット選手の発売当時にやり込んだ経験が活き、EBI選手は退けられた。

【「ウル2」サイドトーナメント】
大盛況のウル2ブース。観覧者も含めて50名ほどがブースにいた
指に血豆が出来るほど練習しTOP8に残った選手に対しFooすけ氏がインタビューをする

 大会の最後に表彰式を行なった。優勝した中野サガット選手には、主催者から優勝トロフィーが贈られた。また、副賞として優勝、準優勝、3位には、格ゲーイベント運営団体のFG宮崎より、宮崎の美食(地鶏炭火焼き&チキン南蛮セット等)がそれぞれ贈られた。

【オンライン配信】
サイドトーナメントのLIVE配信(アーカイブ)。豪鬼が使用可能のルールで会場が大盛り上がり。参加者は38名、LIVE配信再生回数2,000回超え(当日)、同時視聴数は200名超えLIVE大盛況

【表彰式】
洗脳ケンに新たな未来を見せてくれたEBI選手。ウル2界に新たな扉を開いた
EVO Japan 2020のサイドトーナメントにおいて、二冠を達成した中野サガット選手。勝因は、「ウル2」を発売当時にやり込んでいた為、洗脳ケン対策が出来上がっていたとのこと

 大会終了後、色々な方々から「楽しかったです。またイベントに参加したいです。」と声をかけられた。やはりこの言葉は、何度言われても嬉しい。運営はいつも、参加者に対して「ありがとう。ありがとう。」と心の中で呟いている一方で、どうしても他の参加者に比べ、ゲームをプレイする時間が少なくなるジレンマに日々悩まされている。

 しかし、イベント運営の後に感謝の気持ちを伝えてもらうことで「運営して良かった」と心が救われる。イベント運営者は、参加者の一言を受けることで幸せになれることを参加者へ知ってほしい。

【みんなで記念撮影】

サイドトーナメントは格ゲー全盛期のゲームセンターそのまま。次のEVO Japanも同じ気持ちで参加したい

 今回取り上げたサイドトーナメントは、ゲームセンターに集った仲間達と、ゲーム大会に参加した経験を思い出させる良い空間だった。格ゲー全盛期のゲームセンターには、地方遠征、店舗抗争、サークル活動など、コミュニケーションに由来した様々な文化が存在し、いずれの文化もゲーム好きで、こだわりがあり、仲間意識と負けん気が強いゲーマー達が築き上げてきたものだ。今回のサイドトーナメントのエリアにはそんな雰囲気がひしめきあっていた。

 筆者が昨年、福岡のEVO Japan 2019に訪れた時、あるゲーマーに本家EVOとの違いについて聞く機会があった。彼は「本家のEVOは、自分がやりたいゲームを持ち込んで、所かまわず対戦会を開催する奴らの集まりであり、それがEVOの本質だと思う。EVO Japan 2019はとても良いイベントなのに、EVOの本質の部分が、少し欠けていてちょっと残念だ」と語っていた。実際、EVO Japan 2019では、27タイトルしかサイドトーナメントがなく、寂しかったのを覚えている。

【EVO Japan 2019】
EVO Japan 2019のサイドトーナメントの風景。密度が全然違うことがわかるはずだ

 しかし、今回のEVO Japan 2020は、サイドトーナメントに参加するゲーマー達への配慮が十分行なわれ、満足できるイベントスペースや環境を運営者に提供できている。サイドトーナメントエリアを拡張したことで、前年の2倍を超えるゲームタイトルがサイドトーナメントに登場した。一部のアーケードエリアは、集客に対してスペースが狭く運営者も苦労はあったかと思う。何より筆者が想像していたEVOが、ここにはあったように思う。昨年のような心の違和感はなかったのだ。筆者は今後のEVOJapanが楽しみで仕方がない。来年もここで仲間と再会し、一緒にゲームを楽しもうと思う。

【EVO Japan 2020】
「スーパーストリートファイターII X」大会会場。当時のゲーメスト杯予選を彷彿させる程の人口密度
会場の出口付近に座り込んでゲームの楽しんでいる参加者たち。これも彼らにとってのEVOなのだ

「スト2ターボ」大会中の筆者。普段は人見知りだが、「スト2」プレ中だけ「積極性」のバフがかかる。EVO Japan 2021も参加するぞ!