【特別企画】

次世代VRヘッドセット「VALVE INDEX」を一足先に体験してきました

コントローラーを握らなくても操作可能な次世代VRの真打ちが登場!

11月28日発売予定

価格:62,800円(税別)より

 すでに海外では発売されていた「VALVE INDEX」がとうとう日本にも上陸する。11月22日10時から予約を開始し、11月28日に発売となる。PC向けのVRデバイスシステムとしては、HTC ViveとOculus Rift Sのほか、Windows MRが有名だが、ここに新たなメーカーとしてValveが加わるわけだ。

 ValveといえばPCゲームのプラットフォーム「Steam」でなじみ深いと思うが、読者の方もご存じのように、Valveはゲームソフトを取り扱っているだけではなく、「Steam VR」というオープンプラットフォームを提供している。またHTC Viveも同社の基礎研究結果を元に、ValveとHTC両者の共同開発によって生み出されている。そしてさまざまなユーザーのフィードバックを元にVALVE INDEXは製作された。つまり今回発売されるVALVE INDEXは、Steam VR公式ハードウェアと言うべき製品なのだ。

 VALVE INDEXの概要については以前掲載しているが(@@https://game.watch.impress.co.jp/docs/news/1182863.html|URL|関連記事@@)、筆者は今回VALVE INDEXをひと足先に試すことができたので、どのような製品なのかをお伝えしていくことにしたい。

「VALVE INDEX VR KIT」に含まれる製品。VRゴーグルとコントローラーのほか、トラッキングするための「BASE STATION」が2個付属する

対応するタイトルは4,300以上

 VALVE INDEXの基本パーツだが、VRを体験するためのヘッドセットとコントローラーのほか、「ベースステーション」と呼ばれる、位置を把握するためのユニットの3つで構成される。ヘッドセットとコントローラーの位置をトラッキングするのがベースステーションの役割だ。

 現行のVRヘッドセットは、Oculus Rift SやVive Cosmosのようにベースステーションをなしにするモデルも増えているが、VALVE INDEXがこの方式を採用したのは、位置を正確に把握するため。同社としては、しっかりと操作者の位置をトレースするために、このシステムを採用したとのこと。

 ちなみに現在Steamには4,300以上のVRコンテンツが公開されている。このほとんどがVALVE INDEXで利用できるという。なお一部、開発が終了しているタイトルについては、キーアサインを変更するなどして対応できるそうだ。

 ではまずヘッドセット周りから見ていこう。ヘッドセットには1,440×1,600ピクセルのRGB LCDを2枚、両目の位置に配置することでVR空間を作り出している。このRGB LCDだが、有機ELディスプレイに比べてピクセルを構成するサブピクセルが50%以上多いため、同じようなレンダリングをしたとしても、スクリーンドアを感じることなく、よりシャープな映像を見ることができる。

 なおVALVE INDEXでは、従来のVRゴーグルに採用されていた90Hzのリフレッシュレートに対応するほか、デフォルトでは120Hzで動作する。加えて144Hzモードも実験的に搭載されているため、よりなめらかな動作を期待できる。そしてディスプレイのレイテンシーも最速で0.330msまで向上しているので残像感も少なく、体が静止したままでも画像をシャープに保ってくれる。

 またレンズは、従来製品が110度だったのに対して、VALVE INDEXでは130度と広くなっているのだが、これはレンズを外側に向けて5度傾けることで実現しているという。わずかな度数だが、これによって没入感が変わってくるのだ。

 ヘッドセットの構造は一般的なVRヘッドセットとあまり変わらないのだが、後頭部を支える場所には柔らかい素材を使っているほか、額に当たるクッションパッドは若干ティルトできるため、顔へのフィット感が増した。そして磁石で固定されているので、手入れがしやすくなっている。

 ちなみにヘッドセットの正面部も磁石での固定なので簡単に外すことができる。これを外すとヘッドセットに用意されているUSB Type-Aのコネクタへアクセス可能。ここには「Leap Motion」などのサードパーティー製デバイスを装着できる。海外のユーザーの中には、ここにLCDを配置して文字を光らせる、といったことをしている人もいるそうだ。

 なおVALVE INDEXのVRヘッドセットとコントローラ、ベースステーションの仕様はGithubで公開されている。誰でも自由に使うことができるので、3Dプリンタを利用してオリジナルのハードを作ることも可能だ。個人で使う分にはValveの許諾は必要ないそうだ。

VALVE INDEXのヘッドセット
VALVE INDEXのゴーグルに用いられているRGB LCD
レンズを見るとわずかに傾いているのがわかるだろうか
磁石なので簡単に外せる
ここにUSBポートが存在する

 VALVE INDEXを実際に体験した時は、Valveが製作した、基本操作を学べるチュートリアルを操作することができた。チュートリアルは正面にロボットが出てきて、手に触ったり握手したり、手を上げて振るなどの操作を体験。手の場所は正確に位置取りされており、ずれなどを感じることは全くない。自分の体周りに広がる空間などは確かにシームレスに感じたほか、とてもきれいな映像でプレイすることができた。

VR体験中。後ろの画面のように、2本の手があるロボットに言われるまま、手を上げたりして操作していく

耳に触れないオフイヤースピーカーを採用

 VALVE INDEXの特徴の1つとして、密閉型だったりイヤホンで音響を聴くのではなく、耳のそばに用意されているスピーカーから流れる音を聞きながら操作することが挙げられる。

 耳に直接触れてしまうとそこに圧迫感が生まれてストレスを感じる。加えて指向性の高い音の出力となるため、聞き疲れたりすることもあるだろう。そこで開発したのがオフイヤーのスピーカーだ。

 スピーカーのドライバーは新しく開発したハニカムパネルが採用されており、180度に近い発散パターンでも広い周波数帯をカバーするとのこと。筆者的には、外の音が聴こえて集中できないんじゃないかと思ったが、実際に体験してみるとVRヘッドセットからの音がしっかりと聞こえたし、逆に外の音が聴こえなかったくらいだった。

このように耳から離れた形でスピーカーが取り付けられている

全部の指で操作できるコントローラー

 そしてここがVALVE INDEXの大きなポイントなのだが、コントローラーはボタンのほか握る部分にもセンサーが配置されていて、5本の指すべてを使って操作できる。このため従来のコントローラーのように、手首にストラップを巻き付けて飛んでいかないようにするほか、手のひらをぎゅっと固定する形での利用となる。つまり、手のひらを「ぱー」の形にしても、コントローラーは落ちない。デモでもロボットとじゃんけんするシーンもあった。

 ちなみにコントローラーは、87個のセンサーを使って静電容量を読み取り、手の位置や指の位置、動きに加えて圧力(ぎゅっと握ったりすること)を判断している。これにより、床に落ちているものを取ったり、それを投げたりすることも簡単にできる。フリーハンドなので、ハンドサインを送るなど、さまざまなコミュニケーションが可能だ。

こんな感じ
ボタンやスティックも用意されているので、場所を移動するなどの時はそれを使う。筆者は最近のVR慣れで、自分で歩いて向かおうとしてしまった
これはロボットとハイタッチをしているところ
両手を離しても落ちません

ベースステーションで快適なVRプレイを実現

 VALVE INDEXではベースステーションを利用した「SteamVRトラッキング」が採用されている。これはシームレスな体験をする上で、正確なトラッキングが必要だから。この精度は画像認識によるVRよりも、画像処理を必要としないので、数値化したデータでヘッドセットやコントローラーとやり取りするのは簡単だし正確だ。

 インサイドアウトカメラ方式だと、使用環境によってトラッキングがうまく取れないこともある。例えば真っ白な壁の中で使うとすると、オブジェクトをベース化してトラッキングするシステムのなので位置を認識するのがむずかしくなる。またコントローラーを体の後ろに回した場合も同様だ。

 なおVALVE INDEXで利用しているベースステーションは、HTC Vive Proで利用する「ベースステーション2.0」と同じもの。4台設置すると10m四方、2台を対角線に取り付けた場合は7m四方まで利用できる。前世代と比べて扱える面積が400%広くなった。ルームスペースが狭い場合、例えば座っての利用だったり、テーブルでの利用などでも対応できるとのことだ。環境に応じて適切なスペースで使える。

テレビ上部に取り付けられているベースステーション
こちらはその対角線上に取り付けてあるベースステーション

 またベースステーションは位置把握のために、赤外線レーザーを1秒間に100回発信している。それをヘッドセットやコントローラーで読み取り、PCを経由して操作することになるわけだが、赤外線レーザーなので電波を使わず、ほかのVRデバイスとの干渉がなく利用できるのも利点だ。

ドスパラ、ツクモ、パソコン工房、ZOAなどで発売

 VALVE INDEXは「VALVE INDEX VR KIT」(価格:125,800円、税別)、「VALVE INDEX HEADSET+CONTROLLERS」(価格:94,800円、税別)、「VALVE INDEX HEADSET」(価格:62,800円、税別)、「VALVE INDEX CONTROLLERS」 (L+R)(価格:35,800円、税別)、「VALVE INDEX BASE STATION (1unit)」(価格19,800円、税別)の4形態で販売される。

 VALVE INDEXはSteamとDegica FANのほか、ドスパラ、ツクモ、パソコン工房・グッドウィル、ZOA・OAナガシマ・パソコンの館)で購入可能だ。スペックについては以下の通りとなる。

【ヘッドセット概要】
ディスプレイ デュアル1440×1600RGB LCDディスプレイ(フルRGB /ピクセル、超低残光グローバルバックライト照明(144Hzで0.330ms))
対応フレームレート 80Hz / 90Hz / 120Hz / 144Hz
光学ダブルエレメント、傾斜レンズデザイン
視野(FOV) 最大 約130°
瞳孔間距離(IPD) 58mm~70mmの範囲の物理的調整
人間工学的調整 ヘッドバンドサイズ(後部クレードルアダプターによる調整を含む)、アイレリーフ(FOV)、瞳孔間距離(IPD)、スピーカー位置調整
接続 5mテザー、1mブレークアウェイトライデントコネクタ。USB 3.0、DisplayPort 1.2、12V電源
追跡 VALVE INDEX 1.0および2.0ベースステーションと互換性のあるVALVE INDEX 2.0センサー
オーディオ 内蔵 : 37.5mmオフイヤーバランスモードラジエータ(BMR)、周波数応答:40Hz - 24KHz、インピーダンス:6Ω、SPL:1cmで98.96 dBSPL、外部出力端子 : 3.5mmのステレオミニプラグ端子
マイクロフォン デュアルマイクアレイ、周波数応答:20Hz~24kHz、感度:-25dBFS / Pa @ 1kHz
カメラステレオ 960 x 960ピクセル、グローバルシャッター、RGB(バイエル)
同梱物(VR KIT)

【コントローラー概要】
インプット Aボタン、Bボタン、システムボタン、トリガー、サムスティック、フォースセンサー付きトラックボタン、グリップフォースセンサー、フィンガートラッキング、IMU
人間工学 ピボット付き抗菌ストラップ
接続 USB type-C / 2.4GHzワイヤレス
触覚HD LRA
バッテリー持続時間 約7時間
バッテリー仕様 900mA急速充電/1100mAh リチウムイオンポリマーバッテリー
トラッキング SteamVR1.0 及び SteamVR 2.0(ベースステーション2.0と互換性のある商品)
追跡 VALVE INDEX 1.0および2.0ベースステーションと互換性のあるVALVE INDEX 2.0センサー

【ベースステーション概要】
範囲 7m
視野 160° × 115°
拡張性 最大4つのベースステーション、 最大10m×10mのプレイスペース
電源 12V

 なお、VALVE INDEXを購入したいと思っている人は、「Are You Ready for VALVE INDEX?」と「SteamVR Performance Test」で、必ず自分の環境を測定しておこう。ここでのチェックはVRシステムがなくても利用できる。なお搭載しているCPUによっては「?」と表示される場合があるとのこと。より詳しい環境については「SteamVR パフォーマンステスト」を活用してほしい。

【動作環境】

最小構成

CPU:ハイパースレッディング搭載、またはそれ以上の機能搭載。デュアルコア以上
RAM:8 GB+
GPU:NVIDIA GeForce GTX 970以上 または AMD Radeon RX480以上、DisplayPort(version1.2以上)+USB(2.0以上)必須 ※HDMIはサポート対象外
OS:Windows 10, SteamOS, Linux

推奨構成

CPU:クアッド・コア以上のCPU
GPU:NVIDIA GeForce GTX 1070以上
USB:3.0以上(ヘッドセット装着のカメラを使用したパススルー利用時に必要)

VALVE INDEX VR KITの箱。かなりでかい
中身にはこのようにVALVE INDEXのセットが入っている