【特別企画】

ゲーミングデバイス全取っ換えで見えてきた理想のPCゲーミングライフ

マウス、キーボード、ヘッドセットをすべてHyperXに変えてみました

 皆さんのPCゲーム環境はどのようなものだろうか。PCゲームをプレイするためにゲーミングマウスやキーボード、ヘッドセットにこだわり、「最高のものを揃えてまっせ!」という人もいるとは思うが、その一方でプロゲーマーを目指すわけではないし、特に何も考えず、PCを購入したときに付いてきたマウスやキーボードをとりあえず使っているという人もいるだろう。筆者もどちらかというと、ゲームライターでありながら特に何も考えずに使っていたほうで、キーボードとマウスは初期のままで、コンソールゲーム機を扱う機会が多いこともあり、PCゲームもXboxコントローラーでプレイすることも多かった。

 そのような筆者の環境を見透かしてか、GAME WatchのN編集長から「岩泉さん。新しいのが来たので試してみませんか?」とよこされたのが、今回紹介するHyperXの「Pulsefire Dart」(マウス)、「Alloy Origins」(キーボード)、「Cloud Alpha S」(ヘッドセット)の3点セットだ。つまり、いつも使っているデバイスから、HyperXのシリーズに統一して環境を変えたらどんな感じなのか見てほしいということだ。

 メーカーを気にせずに、マウスやキーボード単体それぞれをゲーミング用に取り換えて使っている人もいるかもしれないが、メーカーを統一したときに見えてくる快適さのようなものについても考えてほしい、と。まあそれじゃあやってみましょうかね、というわけで、ここ2週間ほど使ってみた状況についてお伝えすることにしたい。

【HyperXの最新ゲーミングデバイス】
「Pulsefire Dart」(マウス)、「Alloy Origins」(キーボード)、「Cloud Alpha S」(ヘッドセット)

ノンゲーミングモデルばかりの筆者の環境

 まず、筆者が使ってきたキーボードとマウスは、以前から使っていたノンゲーミングモデルで、キーボードはメンブレンでとても打ちやすいし、マウス操作もそれほど問題があるとは思っていなかったし、いずれも気に入っていたので使い込んでいた。しかし、今回紹介するキーボードとマウスを触ってみたが、それはそれで別次元の感想、感触があり、やはりデバイスには気を遣って揃える必要があるのだと感じた。

 これまで使っていたデバイスについて不満がないかというとそうではない。キーボードについて言えば、キーストロークがやや浅く、ペタペタとしたキータッチで、しっかりとした入力感がなかった。マウスについては、手のひらに収まるものがいいとあえて小型のものを利用していたのだが、カーソルが走りすぎる嫌いがあり、わざわざ設定アプリを開いて微調整をしつつセットアップしていたのが面倒だと感じていた。ヘッドフォンは音質は問題ないハウジングの密閉感が足りなくて、周りの音が入ってくるのが少し不満だった。ゲームをしながら家人と話すことができたのはよかったけど。

【ゲーミング環境を一新する!】
これが筆者がかつて使っていたキーボードとマウス、ヘッドセット
こちらが全とっかえをした状態。機能性のみならず見た目も格段にカッコ良くなっているのがおわかりだろうか

 おそらく筆者のように、特にデバイスを気にすることなく使っていた人は、意外に多いのではないかと思う。そこで、これから本格的なPCゲーマーを目指す人のための入門編、という立ち位置から話をしていく。まずはデバイスそれぞれについての概要を述べてから、それに続いてユービーアイソフトの「レインボーシックス シージ」を最新環境でプレイした際のインプレッションについて語っていくことにしたい。

人気のFPSタイトル「レインボーシックス シージ」

「Alloy Origins」 軽やかなキータッチにしびれる!

 HyperXシリーズを使ってみてまず感じたのは、Alloy Originsの軽やかなキータッチだ。3.8mmのキーストロークは、しっかりとした打鍵感もあり、1つ1つの文字を打つにしてもちゃんと反応していることがわかる。実は今この記事をAlloy Originsで書いているのだが、大きなミスタッチもなく入力ができている。

 筆者的に気に入ったのはキーの軽さだ。スイッチは同社の「HyperX Red」が使われているのだが、直線的にキーを押し下げることができる「リニアスタイルスイッチ」となっており、キーに触れてからそれを押す最後の瞬間まで同じ感触での入力が可能なのだ。このためとても軽いタッチを実現している。キーを押した感触というのは、物書きをなりわいとしているライターにとってはとても重要なポイント。Alloy Originsでは思考を途切れさせることなく入力ができるのでうれしい。打鍵感に操作感が邪魔されることもないので、特に重いキータッチを重視している人でなければ、Alloy Originsの感触はオススメできる。

 あと重要なのが静かなこと。Alloy Originsを含め、ゲーミングキーボードの多くに採用されているメカニカルスイッチは「カシャカシャカシャカシャ」というキータイプ音が気になることもあるが(ライターである筆者的にはこれも重要)、Alloy Originsはメカニカルゲーミングキーボードの中でも静かな部類に入る。最初はちょっとうるさいかなと思ったが、使っていた間に次第と慣れ、その後まったく気にならなくなった。

 加えて大事だと思ったのがその重さ。キーボードの重量は軽い方がいいと思う人もいるかもしれないが、キーボードの使い手としてアドバイスするが、それはダメである。ゲームをプレイしているときには、熱中しすぎて激しい入力となることもあるが、キーボードがそれなりの重さを保っていれば、ズレたりせずにしっかりと操作できる。その点Alloy Originsは1.075kgという重さなので、こうした心配をする必要もない。加えて航空機グレードのアルミが採用されているので、しっかりと剛性も保たれている。

【Alloy Origins】
Alloy Origins
Alloy Originsでは「HyperX Red」を採用
キーストロークは3.8mm
キーボードの傾斜角は3段階で設定可能

「Pulsefire Dart」 カーソルの移動速度がこれほど重要だとは思わなかった!

 次にマウスだ。筆者の場合は反応が悪かったり、もっさりしたりするのが嫌なので、有線接続のマウスを使っていた。しかし、今使っているのは安っちいマウスなのでdpiを変えてカーソル移動の制御なんてことはまったくできず、これでゲームをしようものなら、特にFPS系のゲームをプレイする場合はカーソルが飛んでいってしまい、うまく照準も合わせられなくて倒されてしまうこともしばしばだった。それもあってゲームパッドでのプレイが多くなっていたわけだが、Pulsefire Dartはひと味違った。マウス中央にあるボタンを押すことでdpiを変えられるので、状況に応じて自分が求めるフィーリングでマウスカーソルを動かすことができる。

 またPulsefire Dartは有線と無線接続の両方に対応している。無線接続する際に使うUSBドングルに加えて、USB Type-C対応端子を持つケーブルと、ケーブルにドングルを接続するためのデバイスの3つが同梱されており、PCにドングルを付けての無線接続、USBワイヤレスアダプタを利用し、ケーブルの先にドングルをつなげての無線接続、ケーブルをPulsefire Dartに接続して利用する有線接続の3パターンで利用できるのだ。

 日頃デスクトップPCを使っているが、前面のUSBポートは空けておきたいので、背面のポートを使いたい、という場合はケーブルにドングルを付けて使えばいいし、ノートPCであればUSBポートにドングルを接続して使うのもいいだろう。有線接続がいいという場合でも、同梱されているケーブルは1.8m程度とかなり長いので、余裕を持った使い方ができるはずだ。

【Pulsefire Dart】
Pulsefire Dart
本体中央にあるdpi切り替えスイッチ
正面に用意されているUSB Type-C対応のコネクタ
ケーブルにドングルを接続する時に利用するUSBワイヤレスアダプタ(左)とドングル(中)

「Cloud Alpha S」 ヘッドセットは常に最新のものを利用すべきだと思った

 最後にヘッドセットだ。筆者が最近まで使っていたのは、クリエイティブのヘッドセット。特に音質に問題を感じなかったのでリプレースをしようとは思っていなかったのだが、最新のCloud Alpha Sはひと味違った。これまで使っていたヘッドセットでも、前後左右に移動したときの音の変化などは聞こえていたが、Cloud Alpha Sでは7.1chのバーチャルサラウンドが利用できる。バーチャルとはいえサラウンド環境は素晴らしく、これまでよりも音の広がりを感じたし、それによってゲームへの没入感がまったく違った。これをもたらしてくれるのは「HyperXデュアルチャンバードライバー」。低音の周波数を中音と高音から分離して鳴らすため、音が広がりを持って聞こえてくるのだ。

 またうれしいのがゲーム音とチャット音を個別にコントロールできること。通常はゲームの音を上げるために音量を調節すると、マイク入力なども一緒に大きくなってしまうため、音の調節をしている人も多いと思うが、それだとチャットの聞こえが悪かったりして、その時だけコントロールしたいと思っても、ゲーム画面をいったん閉じたり、最小化するなどしていちいち設定画面を開くのは面倒だ。しかしCloud Alpha Sでは用意されている「多機能オーディオコントロールミキサー」で調節することが可能なのだ。ここではマイクとヘッドセットの音量調節のほか、マイクのミュートや7.1サラウンドのオン/オフができる。

 Cloud Alpha Sではこのほか、デフォルトで付けられている「レザレットイヤークッション」のほか、通気性のよいイヤークッションも同梱されている。レザレットイヤークッションでは密着性が高く、ヘッドセットから出る音に集中できる。しかしそれだと通気性があまり保たれなくなってしまうので、耳周りがちょっと汗ばんでしまい、ベタっとする。筆者的には付属の通気性があるイヤークッションに変更したらちょうどいい感触となり、こちらで利用することにした。

【Cloud Alpha S】
Cloud Alpha S
通常のレザレットイヤークッション(右)と通気性のあるイヤークッション(左)
音量調節や7.1chサラウンドサウンドの調節ができる「多機能オーディオコントロールミキサー」。中央の「7.1」を押すとLEDが点灯し、7.1chバーチャルサラウンドを楽しめる。右上はゲーム音量、右下はマイク音量の調節ボタンで、これを切り替えながら左の「+」と「-」で調節する。左脇に付いているのはマイクミュートボタン
ドライバは50mm径のものを採用

「HyperX」 単一のメーカーでゲーミングデバイスを揃えることのメリット

 さて、ここまで3つのデバイスの使い心地について見てきたわけだが、デバイスを同じメーカーにするメリットはどこにあるだろうか。その1つが設定アプリが1つで事足りることだ。別のメーカーとなってしまうとデバイスごとに別のアプリを起動して設定しなければいけないが、同じメーカーであればそんなことも必要ない。HyperXでも「HyperX NGENUITY」というアプリがあり、Alloy OriginsとPulsefire Dartをひとまとめにコントロールできる。

 また「HyperX NGENUITY」ではRGBライトのコントロールが可能。Alloy OriginsとPulsefire Dartそれぞれでの光り方を設定することもできるが、ここはできれば、連動して光るようにしておきたい。HyperX NGENUITYではそれも可能で、左から右に流れる七色の光の波が、キーボードを通り越してマウスに移る様はとてもきれいで楽しい。ちなみにこうした設定は3パターンまで登録しておくことができるので、光り方を調整して登録しておくのもよいだろう。

【HyperX NGENUITY】
HyperX NGENUITYの画面
Alloy Originsでの光り方調整
Pulsefire Dartでの光り方調整
3パターンまで光り方を登録可能
パターンを登録するとAlloy OriginsとPulsefire Dartが同期して光るようになる

では「レインボーシックス シージ」をプレイしてみよう

 というわけで、ここまで使ってきた状態でそれぞれのデバイスに関する触り心地はわかったわけだが、トータルでの感触はどのような体験となっているのか。試しに「レインボーシックス シージ」(以下、R6S)をプレイして、その感想について述べていきたい。

 「R6S」についてはご存じの方も多いと思うが、トム・クランシー原作の「レインボーシックス」を題材としたゲームだ。最大5人までのチーム戦で、攻める側と守る側に分かれて3フェイズを戦うことになる。プレーヤーは「オペレーター」と呼ばれ、さまざまな特徴を持つキャラクターを使っての戦闘が可能だ。

【レインボーシックス シージ】
さまざまなキャラクターを選択可能
1チーム4人での戦闘となる
オレンジとブルーに分かれて戦闘開始
この先に敵はいるのか? 部屋を移動するときには緊張が走る

 キーボードなので移動は「W、A、S、D」キーで、ジャンプなど、飛び越える場所があるときにはスペースキーを使うことになる。そして視点を変えるのはマウス、銃を撃つときはマウスで敵を視界に入れて左クリック、照準を合わせるのは右クリックというスタイルだ。

 HyperXにすべて入れ替えてプレイしたところ、以前使っていたマウスとキーボードとは全然違う操作感だった。これまでeスポーツの大会を何回も取材してきたが、プロゲーマーの選手たちは自分のマウスとキーボードを持ってきて使っていた理由もここにあると言える。キーボードとマウスが変わるだけで、そのプレイ感はまったく異なるのだ。前のキーボードはキーストロークも浅いもので、ペタペタとした感触だったのだが、Alloy Originsはキーストロークが深いため、しっかりと押している感触が伝わってきて、キャラクターの移動もスムーズだ。もちろんNキーロールオーバーに対応しているので、複数のキーを同時に押したとしても確実に操作できる。

 その違いを一番感じたのはマウスだ。メニュー画面では素早いカーソル移動がほしいし、ゲーム中ではそのままだとカーソルが暴れるので、重い移動にしたい。そのようなときにはdpiをボタン1つで簡単に変えればよい。解像度を変えることで微妙な照準ができるようになったので、敵を倒すのもかなり楽になった。キル数が積み重なっていくのは気持ちがよいものだ。

【デバイス設定】
マウスの解像度は5パターンまで、200~16000dpiの任意の値に設定可能
敏感すぎると感じるときはボーリングレートを変えてみるのもよい
このように先に見えている敵を倒す際にはマウスの感度調整が必要

 Pulsefire Dartについてはもう1つ述べておきたい点がある。それは無線接続での利用だ。筆者も基本的には、ゲームをプレイするならば有線接続が一番だと思っていて、普段使いの際にはPCも無線接続で使っているが、ゲームプレイでは有線を利用してきた。同様にマウスとキーボードも有線タイプの物を使っていた。マウスについてはノートPCでBluetooth接続のものを利用することもあるが、たまに不安定になってしまったりと不満があった。このため、ゲームプレイではすべて有線環境で利用していた。

 しかしPulsefire Dartは、独自の2.4GHz接続が利用できるため、「R6S」をプレイしていたときでもまったく問題がなく無線接続による操作が可能だった。無線でも反応速度が1msと早いため、素早い照準が可能なのは評価ポイントだろう。何と言っても有線の時と無線の時の操作感が変わらないのはうれしい。Bluetooth接続で使っていたときに感じる、接続の不安定さは全くなかった。

 加えてPulsefire Dartは「ChargePlay Base」による、Qiを使ったワイヤレス充電も可能だ。Pulsefire Dartは1度のフル充電で50時間の操作が可能だが、使わないときにChargePlay Baseに置いておけば勝手に充電されるので、充電切れについて特に気にする必要もないのも嬉しいところ。ちなみに2つのデバイスまで充電できるので、Pulsefire Dart以外にiPhone XなどQi対応のスマホも同時に充電可能だ。

【ChargePlay Base】
ChargePlay Base
Pulsefire DartをChargePlay Baseに置くだけで充電が可能
ChargePlay Baseは2つまでの機器を充電できる。Qi対応のスマホでもOK

 さらにCloud Alpha Sについても語っておきたい。FPSタイトルでは敵の存在を音で聞き分けることも多く、ヘッドセットはとても重要なデバイスとなる。Cloud Alpha Sは低音と中音、高音の響きがそれぞれ異なって聞こえるので、敵の位置も把握しやすい。「R6S」でも7.1chのバーチャルサラウンドが利用でき、音の広がりが大きく感じられるため、2つ先の敵の足音がわかるので、早めに対応することができた。普通の鳴り方より7.1chバーチャルサラウンドのほうが何倍も聴きやすいのは、比較するとよくわかる。足で踏みつけるガレキの音もリアルに感じられる。

 またゲームを盛り上げるBGMでは低音の響きが重要となってくる。しかしCloud Alpha Sではヘッドセット下部にスライドが用意されていて、それで調節することで低音の感触を変えることができるのもよい点だ。

ヘッドセット下部に設けられている低音を操作するためのスライド

どうせ変えるなら一気に変えた方がいい!

 ここまでHyperXのゲーミングマウス「Pulsefire Dart」、ゲーミングキーボード「Alloy Origins」、ゲーミングヘッドセット「Cloud Alpha S」について見てきたが、筆者のように思いきってすべてを最新の製品に取り換えてみるのもよい。新しいデバイスであれば、これまで発売された製品シリーズの教訓を生かしたブラッシュアップも図られているので、よりよいゲーミング体験ができるはずだ。中でも今回試したHyperXのシリーズはeスポーツアスリートをはじめPCゲーマーにも定評もあるデバイスだし、コストパフォーマンスもとても良いものとなっている。新しく製品をリプレースするのであれば、よい選択肢となる製品であることは間違いないだろう。

こうして生まれ変わった新しい姿で統一してみた。やはり美しい