【特別企画】

ゲーマーと飲ん兵衛はチェコへ行くべし!「キングダムカム・デリバランス」メディアツアーフォトレポート

4月20日~29日 収録(日本時間)

 DMM GAMESは、7月18日にプレイステーション 4/PC用オープンワールドRPG「キングダムカム・デリバランス」日本語版を発売する。

 「キングダムカム・デリバランス」は1403年のボヘミア地方(現・チェコの西部・中部地方)を舞台に、悲劇の運命を背負う主人公ヘンリーとして波乱の時代を生き抜いていくタイトルだ。舞台となるボヘミアは現存する資料や史跡、歴史的考証を重ねて当時の様子を忠実に再現しており、風景や建築物、甲冑などの装備を纏っての戦いや人々の暮らしまで、まるでタイムスリップしたかのように中世ヨーロッパ、ボヘミア世界を堪能できる。

 さて、そんなリアルなチェコを再現したタイトルの日本語版の発売。つまりは日本に向けてチェコをアピールする絶好のチャンスということで、実はチェコ大使館が本作のプロモーションを熱烈にバックアップしている。本作の完成発表会がチェコ大使館で行なわれたのは記憶に新しいが、実は4月末には複数のゲームメディアをチェコに招いてのメディアツアーが行なわれていた。

 弊誌もご招待を受けて実際にチェコに行ってみたのだが、メディアツアーでは「キングダムカム・デリバランス」に登場する舞台はもちろん、ゲームの舞台とは少々離れた地域の名蹟の観光、開発元のWarhorse Studioの見学や「キングダムカム・デリバランス」日本語版の試遊、そしてインタビューとフルコースでの取材ができた。

 チェコ政府観光局、そしてDMM GAMESのサポートを受けて「キングダムカム・デリバランス」の取材はもとより、仕事で来ているのを半ば忘れそうになるほどガッツリ観光を楽しんだという事情を抜きにしても、チェコは端的に言って素晴らしい国だった。何が素晴らしいって、誰もがイメージする美しいヨーロッパ!というような景観や今なおその姿を残す荘厳かつ歴史的な建造物がそこかしこに存在しており、しかもご飯とビールが極めて美味しく、そして安いのである。

 実は筆者はヨーロッパ圏を訪れるのは初めてだったのだが、すっかりチェコの魅力に取り憑かれてしまった。本稿では写真をたっぷりと掲載しつつ、「キングダムカム・デリバランス」の舞台、そしてチェコという国の素晴らしさをお伝えする。

町並みが既にファンタジー感で溢れており、歴史ある建物が今なお人々の暮らしに溶け込んでいる

現実とゲームが重なる「ササウ修道院」と「ラッタイ」、そして数々の名蹟

 メディアツアーではチェコに延べ8日間ほど滞在し、"日本のメディア陣にチェコのいいところをガッツリ見せよう!"という意思を感じるほどに気合の入った、ある意味過密とも言えるミッチミチのスケジュールでチェコ国内の東西を巡った。その中でもやはり最も印象的だったのは「キングダムカム・デリバランス」に登場する「ササウ修道院」と「ラッタイ」だ。

 「キングダムカム・デリバランス」はとかくリアリティを重視しており、当然そのロケーションには何度となく足を運び、綿密な取材に基づいて"当時の"模様を再現している。ササウ修道院はゲーム内では在りし日の美しい姿で登場するが、現在はかなり老朽化が進んでおり、修復作業の真っ只中。さらに現在では失われてしまった礼拝堂は土台のみが残っている。

【ササウ修道院】
【ゲーム画像との比較】
左がゲームで右が現実のササウ修道院。ぴたりと重なる

 また、驚いたのはメインの建物の「壁」だ。こういった歴史的な建物は時の権力者など、オーナーが代わることがままあるというが、その中のひとりが壁の絵を白一色で塗りつぶしてしまったのだという。しかも塗料の上塗りは何度か行なわれたようで、壁画の上には塗料が幾層にも重なっており、それを慎重に剥がして元の絵柄を復元する取り組みが行なわれているのだという。

 それでもその荘厳さは全く色褪せることなく、今なお神秘的な雰囲気を醸し出している。内部の構造はゲーム内で見たものそのままであり、中には当時の貴重な資料なども展示されている。更に今回は特別に建物の屋根裏を通って最上部まで登ることができ、レンガで組まれた建物の裏側や、梁の構造なども見ることができた。ちなみに登りきった先には大変見晴らしのよい光景が広がっていた……のだが、高所恐怖症の筆者は膝上くらいまでしかない柵にどうしても近づくことができず、中腰でビビり倒しながらレンズのズームを活用してなんとか写真を取ってきた。

【修道院の内部】
【特別に屋根裏から屋上へ!】

 さて、もう1箇所のゲーム内スポットとして「ラッタイ」の街を訪れた。ラッタイはゲームの序盤に訪れる街だが、ここには城門や城壁、監視塔などがそのまま残されている。建物などは流石に一部修復が施されて現代風になっていたりはするが、ベースは当時の建物がほぼそのまま残っており、郵便局や飲食店、民家などとして今なお人々が利用している。

【ラッタイ】
【ゲーム画像との比較】
左が現実のラッタイで、右がゲーム画像。言われなければどちらがどちらかわからないほどの完成度

 特に城門や監視塔の付近は植物が絡み、苔が生え、ファンタジー感満載だ。ここだけ中世で時が止まったかのような、あるいはゲームの中から飛び出して来たかのような(実際は逆なのだが)佇まいはとてつもなくカッコいいし、ゲームをプレイ済みであればその再現度に「ここ見たことある!」と"聖地巡礼"の喜びに浸ることができるだろう。ちなみに監視塔は管理者がいるときは自由に入って見学することもできるそうだが、今回はたまたま管理者が不在で中に入ることはできなかった。非常に残念である……。

 この他にもゲーム内には登場しないものの、当時の姿を今に残す歴史的な建造物がチェコには数多く存在している。中でもクトナーホラにある"骨の教会"こと「セドレツ納骨堂」は衝撃的だった。

 セドレツ納骨堂の内装はそのほとんどが人骨を用いて作られている。壁の装飾、祠、そしてシャンデリアなど、見渡す限りが"人骨製"であり、その眺めはゾッとするような恐ろしさと、思わず見とれてしまうような美しさを兼ね備えている。

 セドレツ納骨堂はかつてのエルサレム使節が持ち帰ったゴルゴダの丘の土が撒かれているという縁起があり、もともと人気の高い墓地だった。ところが後に教会の墓地の縮小に従って死者が掘り起こされ、収まりきらなくなった骨は教会の地下に一時保管していたのだという。そこにペストの流行や、15世紀のフス戦争が重なり、死者の数はさらに増大。当時教会のオーナーであったシュヴァルツェンベルク家は、そこに積み上げられた人骨を用いて納骨堂の内装を造るよう命じた……というのが"骨の教会"の成り立ちだとのこと。それが省スペース化のためなのか、何らかの祈りを込めたものなのか、単なる猟奇趣味なのかはわからない。ただ、念入りに磨かれ、整然と並べられ、内装と化した人骨には、見たものを圧倒する迫力がある。ここは是非一度は訪れていただきたいスポットだ。

【セドレツ納骨堂】
近所のお土産屋さんには当然のように中二心をくすぐるドクログッズが並んでいた

 一方でそこに居るだけで清廉な心持ちになるような、素晴らしい教会や修道院なども観光することができた。日本で言うお寺や神社などのように、数百年前の建物がその姿を今にとどめているというのは本当に素敵なことだ。筆者は宗教知識はさほど持ち合わせていないが、マンガやアニメ、ゲームなどを元に描いていた「ザ・中世」とでも言うべきものをこの目で見られたというのは、本当に幸せな経験だったと思う。

【ロケット城】
【お城の地下ではやたらリアルな拷問の展示が】
【聖バルバラ教会】