【特別企画】

「チョコボの不思議なダンジョン エブリバディ!」発売前インプレッション

ダンジョンRPGにカジュアルさをプラス。入門の1作として最適な仕上がりに

3月20日発売予定

価格:4,800円(税別)

 3月20日に発売を迎えるプレイステーション 4/Nintendo Switch用ダンジョンRPG「チョコボの不思議なダンジョン エブリバディ!」。本作は2007年に発売された「チョコボの不思議なダンジョン時忘れの迷宮」および2008年の「シドとチョコボの不思議なダンジョン時忘れの迷宮DS+」をベースにしつつ、システムを一新したバージョンとなる。

 いつの時代もダンジョンRPGには一定数のファンが存在し、その人気は根強い。一方で、ここ数年は新作の発売数が減っているのも事実だ。そんな現在において、アッパーバージョンとはいえ「チョコボの不思議なダンジョン」をなじみ深いハードで楽しめるのはとても喜ばしいことだと思う。今回、本作の第2章までプレイする機会が得られたので、そのインプレッションを紹介する。

危険ばかりのチョコボの冒険が再び

 「ファイナルファンタジー」シリーズでもおなじみのマスコットキャラクター・チョコボを主人公に据え、さまざまなダンジョンに潜る本作。ストーリーとしては、相棒であるトレジャーハンター・シドとともに時忘れの街に迷い込んでしまう。この街では時計塔の鐘が鳴り響くたび、人々は全ての記憶を忘れてしまうが、チョコボが記憶によって作り出された迷宮(ダンジョン)を攻略することによって、記憶を取り戻すことができるという内容。

 基本的なシステムについては、ダンジョンRPGを1度でもプレイしたことがある人には説明不要だろう。ダンジョン内の行動はターン制となっており、チョコボが歩いたり、攻撃したりすると1ターン消費し、敵であるモンスターが動き出す。次々と押し寄せるモンスターを相手に、いかに効率よく近づき、ダメージを与えていくかがこのジャンルの肝となる。

 しかしこの冒険にはリスクが伴う。ヒットポイントがゼロになると街へ戻されるだけでなく、道中で手に入れた装備しているアイテム以外のアイテムも失ってしまうのだ。ちなみに本作では2種類の難易度があり、ハードモードではアイテムに加えて装備しているアイテムも失ってしまう。このシステムは往年のダンジョンRPGでもよく見られたものなので、初心者はノーマル、経験者はハードモードで始めるとそれぞれの経験値に見合った体験ができると思う。

 ダンジョン内にはモンスターだけでなく、多彩なワナもチョコボを大いに苦しめる。ダメージを与えるものから状態異常にするもの、モンスターをおびき寄せてしまうものなどがいたるところに散りばめられており、モンスターがいないからと油断していると痛い目に遭う。ただし中にはヒットポイントを回復してくれる嬉しい罠も存在する。運に左右されるあたりも、ダンジョンRPGの醍醐味と言えよう。

 チョコボができる攻撃はツメで蹴る通常攻撃に加え、ジョブごとのアビリティも存在する。ジョブはナイトや黒魔道士など、「ファイナルファンタジー」シリーズでは恒例となったものが多数存在する。モンスター達が時々落とすジョブポイントを貯めると、扱えるアビリティも増えていく。ジョブの成長度合いはアイテムと異なり仮に力尽きても引き継がれるので、高レベルのダンジョンでも根気強く挑戦して徐々に強化していくことも作戦のひとつ。

 アビリティを使用するとSPゲージを消費する。このゲージはターンが経過するか、エーテルなどのアイテムで回復できるが、いざというときに強力なアビリティが使えない……という事態は避けるよう心がけたい。

ジョブはダンジョン内にあるチェンジクリスタルで自由に変更できる。ゲームが進行すればジョブの数も増えるので、自分に合ったジョブを見つけることも大事だ

 バトルでのポイントは、やはり1対1の状況をうまく作り出すことに尽きるだろう。こちらのレベルが高くても、相手から集中攻撃を受けると生還は難しくなる。狭い通路におびき寄せたり、モンスターが反応しないルートを探ったりと、対峙する前からできることはたくさんある。チョコボの通常攻撃は空振りしても1ターン消費したことになり、ノーリスクで相手は近づいてくる。これを利用して、先制攻撃できるよう位置関係を調整するのも有効だ。なお、AボタンとBボタン(PS4版だと○ボタンと×ボタン)を押し続けるとその場で休み、ヒットポイントとSPを回復できる。今いる場所が安全だという確証があるなら積極的に利用したいテクニックのひとつだ。

 拠点となる街についても紹介しておこう。ここではストーリーが展開するだけでなく、装備品やアイテムを購入したり、お金やアイテムを一時的に預けたり、ときには釣りや占いを楽しむこともできる。釣りではアイテムが入手できるし、占いではダンジョン探索で役立つちょっとした知識を提供してくれる。

 また街で暮らすキャラクターと会話すると、メインストーリーとは別に、特別なダンジョンが現われることも。こちらは敵味方全員のヒットポイントが1になったり、出現するモンスターの種類が限定されていたりと一風変わったダンジョンが多い。難易度が高いダンジョンも多いが、それだけ挑戦のしがいもある。

バディとの共闘で探索はさらに楽しく

 本作にはWii版やDS版にはなかったジョブやダンジョンが追加されており、それだけでも再びプレイする価値は十分にある。しかしそれ以上の目玉となるであろう追加要素が「バディシステム」だ。

 これはモンスターを倒すと手に入るバディポイントを溜めていくと、やがてそのモンスターを仲間としてダンジョンに連れていけるシステムだ。当たり前の話だが、味方が1人から2人に増えるだけで攻撃力は格段に増し、強力なモンスターを突破できるようになる。以前はリスクを考えて引き返したダンジョンも、強気に探索することも可能となる。

 バディポイントはモンスターの種族別に加算され、ポイントが増えれば増えるほど強力なモンスターがバディになる。(上位モンスターをバディにするためには1度倒しておく必要がある)このシステムのおかげで、モンスターを倒す行為にチョコボのレベルアップだけでなく、バディを強力にするという新たなモチベーションも加わった形だ。

 バディになったモンスターは基本的にチョコボの真後ろにつき、攻撃時には自動で横に移動してくれる。上手く誘導すれば壁としても機能し、ピンチを回避できる可能性も出てくる。しかし狭い通路では攻撃が制限されるため、バディの能力を最大限活かしたいなら、開けた場所で戦うことをおすすめしたい。しかしそうすると、敵側も多くのモンスターを引き連れてくるケースも考えられる。必ずしも数的優位に立てるとは限らないと肝に銘じておきたい。

 ちなみにこのバディシステム、ストーリーを進めると特定のキャラクターを引き連れることも可能になる。キャラクターはモンスターとはまた違った能力、アビリティを持っており、バリエーションも多彩だ。

バディのアビリティはプレーヤー側が任意に実行できる。ここぞというタイミングまで温存しておくのも手だ

 チョコボシリーズが持つ牧歌的な雰囲気は本作でも健在。それどころか、グラフィックスが美しくなったことでより磨きがかかっている。それに加えて本作のダンジョンは比較的短めで、第2章でも20階前後といったところ。これならばダンジョンRPGに触れてこなかった人でも気軽に楽しめると思うし、“デビュー作”としてはこれ以上ない仕上がりだ。

 これに加えて「ファイナルファンタジーXIV」のレイドダンジョン「次元の狭間 オメガ」に登場したチョコボ・アルファがジョブとして登場するという情報もある。チョコボの原作とも言える「ファイナルファンタジー」シリーズとの関連性もより強まっており、多くの人がチェックする価値のある作品と言えるだろう。