セガ、PSP「戦場のヴァルキュリア3」
プロデューサー本山氏特別インタビュー

2月4日収録

会場:セガ本社1号館

 

 1月27日、株式会社セガから発売されたPSP用アクティブ・シミュレーションRPG「戦場のヴァルキュリア3」(以下、「3」)。本作は、2008年に発売され、シミュレーションゲームの思考性とアクションゲームの臨場感を融合させ話題となった「戦場のヴァルキュリア」(以下、「1」)、2010年に発売された「戦場のヴァルキュリア2 ガリア王立士官学校」(以下、「2」)に引き続き、PSPをプラットホームに、重厚なストーリーと歯ごたえのあるゲーム性を充実させた内容となっており、これまでのシリーズでも最高の出だしを切ることに成功している。

 今回、発売から約1週間後という慌ただしい時期ながら、本作のプロデューサーである本山真二氏にインタビューをする機会を得ることができた。発売を無事に終えての率直な感想はもちろん、ダウンロードコンテンツの内容の詳細、さらには今後のシリーズ展開等についても語ってもらったので、お届けしていこう。


■ 「戦場のヴァルキュリア」らしさを徹底的に見直した「3」
  「3」をプレイして感じた疑問や感想についても答えていただいた

――「3」はシリーズ最高の出だしを切ったとうかがいましたが、好調な出だしとなった理由はどこにあると思いますか?

株式会社セガの「戦場のヴァルキュリア」プロデューサー、本山真二氏

本山氏: シリーズ3作目ということで、こなれてきた部分もありますが、今回のコンセプトというものが、最初から一貫して揺るがなかったということがあると思います。そのコンセプトというのは、ストーリー面での雰囲気などもありますし、今回のゲームシステムでいえば、パワーアップポイント、維持するもの・改変するものというのが、ユーザーさんにとって納得のいくものになりえていたのかなと思います。

 制作の流れにも大きく気は使いました。例えば、色々な設定面での立ち戻りやゲームシステムの立ち戻りをなくしてきた、というのもそうです。如何に効率化して作っていくかということも、こういったジャンルの中では重要な課題なので、それを推し進めてこられた、というのは大きいかなと思います。

 今どき、効率化しないでゲームを作って成功するプロジェクトというのはあり得ないので、そこに関しては非常に重要なポイントかな、とは思っています。

――シリーズを重ねていく過程で、「3」はいろいろターゲットに向いた作りができた、ということになりますか?

本山氏: そうですね。とてもデリケートな話題とは思いますが、そこを答えないことには多分「3」がどういうものなのか、正しく伝わらないと思うので、よい機会かもしれませんから、聞いていただければと思います。

――では、「3」を作るにあたって「2」からの反省点といいますか、「特にこのあたりはこうしよう」みたいなところも、最初に決めたのでしょうか?

本山氏: 何と答えたらいいか難しいのですけれど……。「3」では僕と、ディレクターを務めてきた小澤が一から立ち上げて、構想レベルという意味では、「2」の終盤あたりからうっすらとスタートしていましたが、きちんと企画書の形にしたのは、「2」が終わった後です。その際、PSPで続編を出すにあたって、どういうゲームシステムだったら良くて、どういう内容がいいのか? というのはすごく考えました。キャラクター設定なども含めて、PSPユーザーの年齢層というのは10代が中心ではあると思うのですけれど、それを意識しすぎると、「ヴァルキュリアらしさ」みたいなものとのマッチングを考えたときに、疑問符が付く点も正直あったんですね。

 そういうさまざまな点をレポートにまとめて、チームに対して提案、プレゼンをしました。そして、「あまり肌感覚だけで判断しない方がいいよ。自分たちで1度、“らしさ”をきちんと整理しないと、いろいろ思惑と違ったところがあるんじゃないの?」ということをベースとして確認しました。

 そこから、「戦場のヴァルキュリア」として必要な要素や、新作として必要な要素、「2」で達成して積極的に残すべき要素を、設定面やゲームシステム全般で徹底的に見直しを行ないました。

理不尽な理由で、懲罰部隊である“ネームレス”に送られた主人公のクルト・アーヴィング。彼が劣悪な環境の中からも希望を失わずに、最善を尽くす姿が「3」のストーリーでは描かれる。また、架空のヨーロッパ大陸を舞台にしながらも、戦争の是非はもちろん、民族問題や宗教など、現実世界にも通じるテーマ性を合わせ持った世界観やストーリーが用意されているのも「戦場のヴァルキュリア」シリーズの特徴の1つだ

――そろそろクリアした人も出てくるころだと思いますが、プレイした人からの反響はいかがですか?

本山氏: 難易度の話になるんですけれども、僕たちは「ノーマルモードはもっとユーザーの皆さんが悲鳴を上げるかな?」と思っていたんですが、意外とちょうどよかったという意見も多くて(笑)。「戦場のヴァルキュリア」の場合は、すごくやりこんでいらっしゃるユーザーの方々もいるので、上級者の方と初心者の方を同列には扱えないとは思いますが……。これでちょうどいいっていう答えが返ってくるあたりは、やっぱり「戦場のヴァルキュリア」のユーザー恐るべし(笑)と、思ったところではあります。

 でもその一方で、やっぱり「ノーマルはすごくきついので、イージーで進めざるを得ない」というユーザーさんもいますので、今回のイージーモードを、敵が弱すぎないか? 思考的に弱すぎないか? というところまで、難易度を一旦落として、なおかつ難易度変更をいつでもできるようにしたのは、結果的に良かったかなと思います。やはり、作戦とアクションが一体になっている「BLiTZ」システムにおいて、1つの難易度ですべてのユーザーさんのレンジをまかなうのは事実上不可能だとは思っていたので。

 僕たちが基本的に想定している歯ごたえ、個々のユーザーさんが求める難易度はどこなんだろうと考えたときに「じゃあ、もう思い切って切り分けようよ」という判断がチームとしてできたのは、今から振り返ってみても良かったかなと思っていますね。

――迎撃がきつかったりだとか、増援がモリモリ出てきて押し返されたりだとか、今回はシリーズの中でも1番歯ごたえがあるように感じました

本山氏: そうですね。設定的にも懲罰部隊ということで、過酷な戦場に送り込まれるというところから「多少歯ごたえはあるように作ろう」と話していましたが、それは最初、難易度の話と直結していなかったんですね。「シミュレーションゲームとしてのやり応えをちゃんと重視しよう」というのは今回のテーマでもあったので、例えば兵種の特徴をきちんと際立たせましょう、というのは最初から決まっていました。でも、難易度をどこまで上げていくのかというのは、ある程度組み上がらないと見えてこない部分もあるので、わりと終盤になって決まった部分ですね。

 でもやっぱり、ユニットとしても優秀なキャラクター、例えば主人公のクルトなどが1人でバーッと突っ込んで行って、敵を掃射して、拠点を占拠して、結果「わーい、勝利!」というのは「これ、全然面白くないよ」とユーザーさんが感じると思いましたので、い「どういう風にバランスを調整しようか?」というところは、すごくチーム内で揉みましたね。

――確かに、いろいろな兵種とかユニットを使い分けないとうまくいかないようになっていますね

本山氏: もともと「戦場のヴァルキュリア」の戦闘は各キャラクターの1ユニットを自分で動かしていくところが斬新だったのかなと思うんですが、それが故に、単騎駆けが通用しすぎるマップのデザインや、それを許しすぎる敵味方のパラメーターの調整というのは違うかなと思います。キャラクター1人がどんどん突っ込んで行くよりは、複数のキャラクターたちが連携して徐々に戦線を押し上げながら、押しつ押されつしていくというのをやりたい、「戦場のヴァルキュリア」なりの戦争感というのを出していきたいと思っていました。

 僕たちのゲームプレイのビジュアルイメージとしては、突撃兵とか対戦車兵、支援兵とたちが、1つの土のうに3人ぐらいで固まっていて、「さあ、この状態から向こうの拠点に行くまでに、どうやってこのキャラクターたちを動かしていこうか」みたいなことを考えて、徐々に戦線を押し上げて「よし、この土のうまでは来た。次の土のうまではこう進めよう」ということを「考えながら進めていく」というゲームにしたいな、というもので。それを再現するために、各兵種の特徴分けをどうしていこうか?敵をどう配置していこうか? 最終的には敵味方のパラメーターのバランスは? と、徐々に深いところまで手を入れていったという感じですね。


――「3」から加わった“特殊化”についてですが、あると便利だけど、それだけでクリアできるほど強力な能力ではない、という辺りにうまく落ち着いていると思いました。そこで質問なのですが、3人の“特殊化”を作る際に苦労した点などはありますか? 個人的にはクルトの“直接指揮”は、コープした隊員が一緒にハシゴを登れなかったり、少し使いづらい印象を受けたのですが……。

本山氏: “特殊化”をメインのキャラクターである3人に持たせようというところは最初から決まっていました。その3人の能力の特徴というか、ただそれぞれの能力をどう特徴づけするのか、というのは苦労しました。でも「リエラは“ヴァルキュリア化”だよね」というのは決まっていたので、銃弾は弾くし敵に大きなダメージを与えられる、という超防御力と超攻撃力は決まっている。だとすれば、それだけでクリアできるようになってはいけないので、プレイヤーフェイズの間だけにしないといけない。

 じゃあ、イムカのヴァールの“武装開放”はどうやって作ったら面白いのかな? と考えると、リエラが一点突破型なので、イムカの方は範囲攻撃というか複数にマルチロックオンという形になりました。

 その上でかつ、どのミッションで使ってもそれだけで勝てないようにするためには、どのようなパラメーターであるべきか、あとそのミッションの敵の配置であるか、というところで調整しました。味方の“特殊化”の能力をどう決めていくかというよりも、それを前提としてほかのすべてのパラメーター類のバランスを決めていくというところが、すごく苦心したポイントではあります。

 実はクルトの“直接指揮”というのは、開発チーム的にはすごく強いんですよ。技甲兵、剣甲兵以外の射撃系のユニットに限りますが、“クルトが他のキャラクター2人と同時に攻撃できる”という特徴が重要で、どういう兵種で3人の同時攻撃を行なうのか、そこにどんなオーダーや、支援兵の楽器を組み合わせていくか? と突き詰めていくと、すごく熱い(笑)特殊能力になるのかなと思います。実はチェック期間中にセガのチェックチームから、「この組み合わせだと非常に強力ですが、いいんですか?」と問い合わせがあったくらいでして。

 でもそこは、攻略方法を考えて編み出していくところの面白さにつながると思うので、僕たちも「そこまで突き詰めて考えたのならば良いのでは」という判断をしました。ですから、ユーザーの皆さんには、むしろそこを研究してもらえると嬉しいですね。

 “ヴァルキュリア化”みたいな超防御力・攻撃力でもないですし、“武装開放”みたいなスペクタクル感というのとはちょっと違うので、パッと見はすごく地味だとは思います。そういった意味でも、クルトのキャラクター性と合わせて、「地味っぽいんだけど、実はすごい!」というところが良く表現されている特殊能力になったのかなと思っています。

――では、先に“特殊化”が決まってから、配置とかバランス調整等をしていった形ですか?

本山氏: そうです。“特殊化”をどういう内容にするかで、全然敵ユニットの配置の意味合いなども変わってくるので……。それで最後に、回数制限をこのミッションではSPを何個にするか、みたいなところを調整していった感じですね。

――SPの個数がミッションごとに違うというのは、ミッションの性格に合わせてのものでしょうか? 素朴な疑問としてどうして増えたり減ったりするのか気になるのですが?

本山氏: こちらとしても、フリーミッションなどはお好きにどうぞ、ということで自由に使ってもらってもいいと思いますが、ストーリーミッションでは、そのお話の流れの中でミッションが置かれていますので、「こういう風にプレイしてほしいな」、「ここはこの“特殊化”で進んでもらえると、何となく美しいんじゃないですか?」っていう提案の形ですね。別に無視してもらっても全然いいんですが。

本山氏を始め、開発スタッフイチ押しの“特殊化”であるクルト“直接指揮”。単純に進軍速度の向上が期待できるのはもちろん、対戦車兵や狙撃兵などの通常援護射撃を行なわない兵種の援護射撃ができる攻撃力、コープした隊員が迎撃によるダメージを受けない。といった特徴を持つ。“直接指揮”を使いこなして初めて真のネームレスの隊長といえるのかも!?

――それでは続いて、今回の敵のユニットの中では重装甲兵が特徴的かな? と思うのですが。具体的には、重装甲兵の機関銃による迎撃により、軽戦車がラジエータ部分以外でもダメージを受ける、というのは今までのシリーズにはなかったことだと思いますが、どのような意図がありますか? 個人的には、最初にビックリしたのと車両の向きを考えながら進軍しなくてはならなくなって、面白いなと思いましたが……

本山氏: 戦車に関しては、最初から使い勝手を良くしようとしていました。CPの消費が2とか3だと、それだけでもう使われないな、というのがわかってきたので「それ以外のところでバランス調整をしましょう」と。とはいえ1CPで、前作そのままの性能となると、もともと盾役として非常に優秀でしたから、攻守の要として優秀になりすぎてしまう。戦車は攻守の要で正しいんですが、かといって戦車がそれだけ使えすぎてしまうと「戦車だけでいいじゃないか」ともなってしまいかねない。

 それは、シミュレーションゲームとしては面白くないので、「戦車としての特徴・驚異感を大事にしつつ、運用を考える要素をどこに持っていこうか」と。そのときに、戦車というのは「1」や「2」のときは弾数が基本的には無限でしたが、有限にしてあげることで、戦車だけで進むことはできなくなって、かつ支援兵の活躍の場というのも増えると思いました。後は、戦車だけを置いておけば圧倒的な防御力のある砦として役だってしまうような状況ではなく、先ほどの土のうに何人かの兵士がいるプレイイメージの話のような、歩兵と戦車との連携が産まれてくる。

 戦車を起点としつつも、各歩兵がどのように展開していくか、というところをきちんとプレイしてほしかったので、戦車が強いとはいっても、必ずしも無敵な存在ではいけないな、となるように調整していった結果、対戦車兵の弾数が増えてみたり、重装甲兵の迎撃がダメージを与えてくるところまで調整していきましたね。

――あとは「2」をプレイした人から見ると、「3」の剣甲兵は迎撃でダメージを受けやすくて使いにくいかなと思うのですが、技甲兵が防御向けの兵種だから、そうなっていったんですか?

本山氏: そうですね。技甲兵は防御のスペシャリストというか、防御で際立たせたいなと思っていて、それと被るような能力の兵種が他にいるとダメなので、では、剣甲兵はどう使っていこうか? と頭を悩ませたところではあります。

 いろいろな使い方をしてもらっていいんですけれど、発想としては剣甲兵はそれこそ第二次世界大戦のパラシュート兵のイメージと言うか。 要所要所にボン! とうまく投入すれば相手を圧倒できるけれども、そこまでは非常に無防備じゃないですか。パラシュート兵だって降下してくる際に下からどんどん迎撃されてものすごい被害を出した伝説があるくらいなので、そういう感じはどう? と。

 そこで、例えば装甲車などでキャリーしたり、各兵種の連携でうまくそこまで運びこめれば無双の破壊力を発揮するんだけれども、そこまでノコノコ歩いていったら、それはダメですよねというゲームプレイはどうだろう? という発想から、剣甲兵は今の形に落ち着いていった感じです。やはりヴァルキュリアは銃と戦車がメインの世界観ですから、中には剣甲兵のようなケレン味はあっても良いと思いますが、主従はしっかりしましょう、と。

――機関銃兵の機関銃による攻撃が、横に掃射する形で敵を攻撃しづらくて、ちょっと微妙かな?と思ったのですが

本山氏: 機関銃兵は、拠点防御の役割をメインとしてどうするか、と考えました。迎撃距離であったり、迎撃範囲ですね。弾数は突撃兵の比ではないほど多いので、防御役としてはすごく強いですし、狙う部位によっては効果的にダメージも通りますから、そういった意味では特定のポイントで使えるキャラクターとして。

 今回すべての兵種で、「どの兵種でもなんとかなっちゃう」、「この兵種がいれば問題ない」ではなくて、「BLiTZ」の特徴である、ある程度ユーザーさんの操作によって戦況をひっくり返すこともできるけれども、このシチュエーションではこの兵種を使うのがいいんだ! というところをきちんと提示して、その中でユーザーさんが考えていくプレイスタイルがシミュレーションゲームとして正しいでしょうという考えの元に、いろいろと調整しています。

――隊員全員の兵種が変更可能になったり、好きなバトルポテンシャルが選べたりと、かなり自由度の高い部隊編成が可能になっていますが、バランス調整等で苦労した点はありますか?

本山氏: ユーザーさんの最終的な感覚がどうなるかわからないのですが、キャラクターに関して言えば、正解というか「これさえ押さえればOK」みたいなものはなるべくなくしたいと思っていました。今回、“~の極み”というポテンシャルをなくしているのがまさにそれで、「これさえあればいいじゃないか」とか、「この極みを持っているキャラクターしか、シミュレーションゲームとして有効ではない」というのはもったいない、という気がしていたので。

 サブキャラクターたちもそれぞれに手間暇かけて登場させていますので、キャラクター性という意味でユーザーさんの好きに選んでほしいと思ったので、そういった圧倒的な何か、というのはなるべく減らして、ユーザーさんが好きに使える形というのを目指しました。そういった意味ではどんなポテンシャルやパラメータにするか、という辺りは気を使って設定した部分ではあります。

――それでも困った隊員とかはやっぱりいますよね。ザハールの突然行動終了になるポテンシャル“酔っぱらい”とか(笑)

本山氏: そうですね(笑)。「戦場のヴァルキュリア」の場合は、ポテンシャルの突飛さみたいなところも面白さの一部分でもあるかなと思うので、なんとなく平均的にしてしまうというのも、ちょっと違うと思っていて……。リエラの“未来への不安”もいきなり行動終了になったりしますが、あえてマイナスの要素も入れていくことで、そのリスクに対してどういう運用をしようかという、ユーザーさんの考える遊びにつなげていってほしいかな、と思っているんです。

――私のザハールは機関銃兵で、いつも拠点防衛のお留守番ですね(笑)

本山氏: まあ、そうなりがちですよね(笑)確かに。でも、そこはもうそのポテンシャルを読み切ってそういう運用をするのであれば、それはそれで正しいのではないかと思うんですよ。

CPが1になり使いやすくなった代わりに、さまざまな弱点も追加された「3」の戦車。特に装甲の薄い軽戦車に関しては、正面以外から重装甲兵からの迎撃に受けないように慎重に運用する必要がある剣甲兵については正面からでも迎撃によりどんどんダメージを受けるため、正面突破が難しくなった。ただし、対人の高威力と広い攻撃範囲は健在なので、ほかのユニットのサポートを得るなどして敵に近づければ相変わらず強力だ各隊員は、戦闘が有利になるパーソナルポテンシャルだけではなく、マイナス効果のポテンシャルも持ち合わせている。マイナス効果のポテンシャルも個性として受け入れ、隊員の特徴考えながらユニットを運用していきたい

――通信プレイが「3」ではなくなりましたが、最初からその予定だったのでしょうか? 個人的には「2」の通信プレイは荒削りだけど可能性も感じられる内容だったので、なくなったのは残念だったのですが……

本山氏: おっしゃることはすごくわかります。僕としても嫌いだったからなくした、といったことはまったくなくて。でも今作においては、最初から僕の中では通信プレイは切るつもりでいたのは事実です。

 理由としては2つあって、1つはご存じと思いますが、メモリの使い方です。どのハードでもメモリはあるだけ使っちゃうのは同じなので、「今回メモリが潤沢にあったので楽に開発できました」、なんて開発者は見たことがないですが(笑)。特に「戦場のヴァルキュリア」のような、リアルタイムに多くのキャラクターが登場するゲームの場合は、基本的に処理もメモリも限界ギリギリのやりくりで成り立っています。そういったところに通信モジュールが常駐しているのは大きな制約になります。通信モジュールを解き放ってあげることで、マップ形状の自由度やキャラクターモデルのクオリティやバリエーション、カットインなどの演出のクオリティを上げたりと、すべてに波及するんですね。あとは、今回登場する敵味方のユニット数をとても多くできた部分にも影響しています。

 で、どっちを優先したほうがいいのかを考えたときに、僕はやっぱり「戦場のヴァルキュリア」のユーザーのプロファイルを考えたときに「1人プレイの充実度のほうが、プライオリティとしては上だ」と判断した、というのが1つ目の理由です。

 もう1つの判断としては、例えば「2」の通信プレイというのは、僕も可能性はないか?といったら、あるかなと思います。プレイのスタイルとして僕が見ていて思ったのは「BLiTZ」のことをすごくよくわかっている方々が集まると、ワイワイガヤガヤしながら「俺こっち行くわ」、「じゃあ俺はこっちから回り込む」といったプレイが成立するけれども、世の中はそんな状況ばかりじゃない。いろんなゲームの理解度の方々が一緒になったときに、1人の司令官が立って、周囲に指示を出しまくって、周囲の人はその指示通りにプレイしないとゲームが成り立たないな、というのを感じていたんですね。

 そういった意味でも、ゲームシステムと通信プレイの相性が、まだ詰めきれないな、というのがあって。それを詰めようとすると、ゲームデザインをまったく変えないと成り立たないな、と思ったんです。それはもう、「戦場のヴァルキュリア」ではなくなって来ますし、また、先ほどお話した1人用プレイの充実度とどっちを優先するの? という天秤にかけて、これは1人プレイを優先すべきかな、という判断をしたわけです。まったく別のゲームを作るときには、再度チャレンジしたいとは思っていますが。

 ただ、「2」のときに3月や4月の高難度ミッションを「手伝ってもらってクリアすることができました」というお便りをいただいたりもしたので、そういった意味でのメリットはあったかなとは思っています。でも、現状でベストな答えというのを僕たちが出せないのであれば、中途半端にそれを続けるよりは、今回は違う方向でクオリティを上げていくほうが重要かな、と思った次第ですね。

――敵を倒したときに、カットインとか出てくるようになったりと演出がよくなっているのは感じていたところなので、そういったところも通信プレイを切った恩恵といえば恩恵なわけですね。

本山氏: そうですね。大小さまざまな要素のクオリティアップに寄与した部分ではありますね。

――話が被るかもしれませんが、「3」では全エリアで9ユニットまで出撃できるようになって「2」の6ユニットから増えていますよね。これは単純に通信プレイを考えなくてよくなったから増やすことができたということなのでしょうか? そのほかにもグラフィックス表現の調整等も行なわれているように感じたのですが……

本山氏: 9ユニットというのはまさにそうですね。いくらエリア分割のシステムを踏襲したとしても、トータルのメモリ量とかゲームの処理スピードはある意味変わらないので、ダイレクトに恩恵を受けたというのはありますし。

 あとゲームの画面として、ユーザーさんがどこに注目するかというのは、今回できる限りシビアに注文をつけたところでもあります。少しでも良いものを作ろうというのは、もちろん当たり前のことですけど、悪い意味ですべて完璧に作ろうとすると、何か最大公約数的なものの作り方になる。そのときに処理能力やメモリの使い方、ポリゴンの割き方を何にも抵触しない中だけでやろうとすると、トータルのクオリティが結局下がって見える。ユーザーさんがどこを気にするのかを、僕たちががもっと気にしないとダメじゃないですか。例えばですが、本当にちょっとしたモデルのめり込みを許容せず、いつまでも、「いや、ここのめり込みがちょっと気になるんで」ということだけを言っていては、「魅力的なキャラクターモデルにはならないよ?」と思います。

 「3」はマップも広く作るところは広く作っていますが、例えば「どこまで遠くが見えるように作っていいのかすごく怖い」、「そうするとリソース的に破綻してしまう」という不安があったんです。でも、やっぱりその制限だけを忠実に守ると実際の広さよりもずっと見た目が狭いマップしか作れなくなってしまう。

 今回新規で作ったマップというのは、遠くまで見渡せるということをとても意識して作ってもらっていますが、「遠くまで見渡せているように見えるマップの作り方をしてほしい」という指示をこちらの方から出しています。ミッションには明確な勝利条件と敗北条件がありますから、キャラが進む方向やユーザーさんが注視する方向は、基本的に決まっているわけです。それを見越してデザイナーが力を入れる部分をプランナーが配分するのが、良いレベルデザインなんじゃないでしょうか。

「3」では、より遠くまで見渡せる新規マップが多く追加されている。単純に目新しいだけではなく、狙撃兵の活躍の機会が増加したほか、複数の兵種を組み合わせて前線を押し上げていくゲーム性が、より鮮明に感じられるようになった


■ DLCのエクストラエピソードは全部入り!
  ボイスや進軍マップも加わった価格に見合う内容を用意

――「2」のDLCはミッションのみでしたが、「3」ではエクストラエピソードがメインで配信されるようですが、エクストラエピソードを配信しようと思ったのは、どのような意図からですか?

本山氏: 奇をてらった意図があるわけではなくて、予約特典でDLCを付けることを発表したあと、「追加のDLCを配信して欲しい」という意見をたくさんいただきまして。それで半ばねじ込むような形で、やることにしたんです。その後、11月末くらいにユーザーさんからの意見の募集をしたんですよ。

 今回のゲームボリュームという意味でも、本編だけでも相当のボリュームがありますし、クリアした人はもちろんプレイ途中でもサブキャラクターたちのエピソードもありますし、僕らなりにいっぱい断章を作ったつもりではいるんです。でも、ユーザーさんなりの「こういうキャラクターのこういうところが見たい」という意見は挙がってくるんじゃないかな、というところもあって。

 それをまったく閉ざしてしまう、というのは残念な気がしていて……。発売された後にそういった意見を募集して、そこから作り始めても技術的には不可能ではありません。けれども、開発期間中に多少でも意見を聞くことができれば、わりと早い時期にDLCという形でも用意できます。

 「3」をプレイしていて、そろそろクリアしそうかな? というタイミングで追加のエピソードを配信することができれば、ユーザーさんの楽しさも一層高まるのでは? ということもあって、今回はエクストラエピソードという、ストーリー性のあるものを用意しようということになりました。

――初めに配信されるエクストラエピソード「力の秘密」は、どのような内容になりますか?

 今回、リエラとイムカという2人のヒロインがいて、ソニーさんのサイトで人気投票をさせていただいたのですが、やっぱりその2人が圧倒的に人気が高いんですね。3位以下のキャラクターにダブルスコアをつけるくらいの勢いで。募集したユーザーさんの意見でも、2人のエピソードを追加して欲しいという意見がとても多かったんです。ですので、まずはそれぞれのヒロインのエクストラエピソードというのを用意しています。

 その中でDLC第1弾となる、リエラのエクストラエピソード「力の秘密」は、物語中盤以降の時勢での、さらに本編では描かれていないサブエピソードという形になります。

 リエラはヴァルキュリアの能力を持っていることを知らずにいて、自分の所属する部隊が何度も全滅しながら彼女だけは生き残ってきたという設定のキャラクターですから、その生き残ってきた理由が何か? という理由が明かされるエピソードになっていて、そのほかにも、彼女の生い立ちや秘密の一端がわかる内容でもあるので、楽しんでもらえるのではないかと思います。

 ストーリーの内容的には、リエラとクルトの関わり、繋がりの強さの一端が垣間見れるという内容にもなっていますので、お話としての面白さというところにも注目してほしいですね。また、エースを倒して入手できる武器類も、とても使えるものを用意していますので、ぜひゲットしてもらえれば嬉しいです。

エクストラエピソードのDLC第1弾「力の秘密」は、本編では語られなかったリエラの隠されたエピソードが紹介される。取得できる武器やアクセサリはもちろん、専用の進軍マップやイベントシーンについても気になるところだ

――「3」の本編ミッションは迎撃で受けるダメージが大きくなったり、敵の増援が多く登場するようになり、歯ごたえがアップしていると思いますが、DLCのミッションは難易度的にはどのようなものになりますか?

 難易度的には、結構高めになっています。ミッションにもよりますが、ある程度ゲームを進めたユーザーさん向けに焦点を当ててバランス調整をしていますので、クリアしている状態で挑んでもらったほうが、よりサクサクと遊べると思います。

 本編ではクリア後には難易度ハードのミッションも出てきますが……この名前を聞くとギクッ! とする人もいるかもしれませんが(笑)、今後は「HARD-EX」というミッションの配信もしていこうと思っていますので、それなりの覚悟をして望んでいただければと思います(笑)。

――「ハードEX」がついに来たか!という感じで、個人的にもかなり楽しみになってきました(笑)。

 「HARD-EX」というミッション名は、このときのためにとっておいたわけでもないのですが、結果としてそうなりましたね。やっぱりDLCとしてお金を頂戴して、楽しんでもらうミッションなので、やはりマニアの人たちに喜んでもらえるものも無いと!と思ったので。「それに対してつける名前は『HARD-EX』しかありえない!」という意見がやっぱりプランナーから出まして、それはそうだねということで。

 今回、ミッション自体をクリアする面白さもそうなんですが、クリアすることで武器などもかなり面白いものが手に入るようになっています。その武器を手に入れることで、また別のミッションに挑んでもらうといった楽しみ方もできるかな、と思います。個人的には「これって『ロッ○マン』ぽいよね」っていう風に言っているんですけれど、このミッションでこの武器を手に入れると、他のミッションの難易度が変わったりもしますよ。

――「2」のDLCでは、取得できる鹵獲武器には性能のいいものがあったりましたが、「3」でもDLCでしか取得できない武器やアクセサリ、キャラクターなどはあるのでしょうか?

 そうですね。当然ながら本編では手に入らないものになります。あとは、エクストラエピソードもそうですし、ダウンロードミッションもそうですが、優秀な性能だったり固有のデザインの武器とアクセサリが手に入るものもありますので、シミュレーションゲーマーとしても「この武器は手に入れたい!」という風に思えるようになっているんじゃないでしょうか。

 お話もそうなのですが、「武器が欲しい!」という意見もすごく多かったんですよ。「お話が見たいのと武器と両方ですか!? 皆さん欲張りですね(苦笑)」とも思ったのですが「そうおっしゃるのであれば、それを用意します」という結果、こうなった形です。

 キャラクターについても、当初は「3」の中だけで完結する物語として考えていたので、配信の予定というのは実はありませんでしたが、やっぱり別のキャラクターを使いたいという意見もそこでわかったので、時期などはまだ全然未定ですが、予定はしていますので、続報にご期待ください。

――価格についてですが、「2」のミッションが100円だったことに比べると「高い!」と思ってしまうユーザーさんもいると思うのですが……

 エクストラエピソードは、エクストラエピソードの本編のミッションをクリアした後にも、もう1ミッションついていて、さらに両方で武器も取れるし、ドラマについてはボイスと専用のイラストも用意しましたので、ボリュームのある、価格に見合った内容になっている自信はあります。

――専用のイラストという話は初耳なのですが、DLC用に描き下ろしたものになるのでしょうか。

 はい、専用のイベントイラストを用意しています。あとは、DLC用の新しい進軍マップや新録のボイスも入っているのも大きいかなと。テキストだけではなく、ボイスが入ることで感情移入というかドラマ感がすごくアップすると思います。

 今回、声優陣の皆さんや外部のスタッフを含めて「3」を大事に盛り上げていこうとしてくれているのが、このエクストラエピソードにも表れているかな、と思いますね。

――DLCの配信間隔についてはどのような予定になっていますか?

 「2」のときもそうでしたが、あまり間隔が開くことがないように、常にニュースを配信していけるように考えています。詳細はまだ内緒ですが、第1弾であるリエラの「力の秘密」に続いて、もう1人のヒロインである、イムカのエクストラエピソードについても、続けて情報をお届けする予定なので、続報にご期待ください。


■ 「3」の今後の展開はもちろんシリーズの今後についても直撃!

――3月に行なわれる「May'n×ネームレス・スペシャルライブ」について、新たに公開できる情報等はありますか?

 3月の「May'n×ネームレス・スペシャルライブ」については、ついこの間May'nさんとも相談をしまして、どういう曲を歌っていただこうかな、というのを詰めているところです。「戦場のヴァルキュリア」のイベントに相応しい選曲をしようかな、と思っています。多分、ここでしか聴けない、「May'nさんがこの曲歌うんだ!?」といったサプライズを用意しますので、ぜひ楽しみにしていただきたいですね。

 あとはドラマライブのほうも、シナリオがアップして、台本化したりといったドラマライブに向けての準備をいろいろしています。こちらもイベントに来ていただく方は、「3」を買っていただいた方なので、上辺だけのドラマライブではない「いいものを見たな」と満足してもらえる内容にしたいな、と思っています。単なるおまけではない、ちゃんと中身のある内容になっていますので、そこは楽しみにしていてください。

――OVA版については何か新しい情報等はありますでしょうか?

 OVAのほうは、「現在絶賛やっています!」というところです。もう日々のいろいろな確認事項などがものすごく来ていて、「なんでゲーム発売した後に少しも楽にならないんだろう!?」と思っているのですが(笑)。でも、そこは僕らはもちろん、アニメのスタッフの方々に本当にモチベーション高くやってもらっているんですよ。

 OVA版の公式サイトにも、監督と脚本の御二方のコメントをアップしている最中なんですが、お2人とも戦場描写や兵器とかに対する知識というか造詣が深い方なので、まずそのリアリティについては何も問題ないかな、と思っています。実際、兵器以外のさまざまな器具も登場し、その使い方のリアリティとか戦車の挙動、戦場における兵士たちの身のこなしとかにすごくこだわっていて……。そこに対して、僕のほうから「戦場のヴァルキュリア」的にはこういう風な解釈にしてください、というオファーをかけている状況なので、脚本段階からすごく楽しみです。

 今後どんどん絵が上がってくると思うんですけれど、僕たちもOVAのクオリティとして妥協するつもりはないので、こちらも楽しみにしていただければなと思います。

――そのほか、「3」に関する新たな情報等はありますか?

 2月6日のワンダーフェスティバルに、グッドスマイルカンパニーさんから発売される「ねんどろいど リエラ」の彩色原型が出展されましたが、製品版にはDLCがつきます。こちらにはイムカの「ヴァール」の代わりにユーザーさんからネタのように欲しいと言われていた「バール」をつけています(笑)。これについては、グッドスマイルカンパニーさんのほうが「ユーザーさんがそうイジってくれるなら、それは面白いので是非やりましょう!」とノリノリで「ぜひ、バールで!」と言ってくれましたので。

――本当に、いわゆる普通の「バール」がつくんですか?

 はい! つきます(笑)。リエラの髪の毛のお下げを模した形になっていて、リエラのツートンカラーの髪の毛のように、ヴァルキュリア的な青い銀色の部分と、地毛の赤い部分とにグラデーションがかかっていて、バールの先端の曲がっている部分には黒いリボンがついて。それをブンブン振り回すリエラという、ちょっとシュールな武器になっているのですけど、ぜひこれはネタとして楽しんでいただければと思っています。

 こちらも、単に武器を配信するだけではなくて、ミッションを配信してゲームを楽しんでほしいという風になっていますので、こちらにもかなり力が入っています。

 あと、ゲームとは直接関係ないですけど、周辺展開としては、ボークスさんのほうからフィギュアが出ます。ボークスさんはすごく早い段階、東京ゲームショウで発表したときに「作りたい!」と言ってくださったので、僕たちも原型の段階で見させてもらっているのですが、ポージングとかすごく惹きのあるものになっているので、僕たちも楽しみにしています。

6月に発売される予定の「ねんどろいど リエラ」には、特典ミッション「二騎当千」のダウンロードコードが付属。このミッション中に敵エースを撃破すれば、イムカの持つ“ヴァール”ならぬ爆剣“バール”が入手できる

――「1」や「2」ではコミカライズなどの展開がありましたが、今後のシリーズ展開や続編についてはいかがですか?

 今後のシリーズ展開という意味では、先ほどお話したねんどろいどやフィギュアもありますが、何よりもこの時期にOVAをこの時期に進められているということが大きいですね。これは平行して作業を行なうというのが、とてもハードルが高い取り組みではあるのですけども……。外部の方々は、当然開発である僕たちよりは理解度が高くなくても当たり前なので、そこを僕らがどうフォローしていくのか、要点を理解してもらうのに注力したと言いますか。ただ、先ほどお話した通り戦闘描写は「うまくできつつあるのかな」と思っていますので、とても楽しみです。

 コミカライズとかは、今後「3」に関してもやっていきたいとは思っているので、そちらも時期がきたらきちんとご紹介できるようになるかな、と思っています。今回のストーリーが、どういう風に構築されていくのかな?というのは、個人的にもすごく興味があるので、積極的にやっていきたいですね。

 続編については、もちろんユーザーさんが望んでくれるのであれば、出していきたいと思っています。一方で、そろそろ何かを大きく変えていく時期にあるのかな、とも感じてはいるので、焦って続編を出すといったことは考えていないです。

 その辺りは、今後「3」の評価が定まってくると思うのですけど、今回の「3」はいろいろな意味も含めて「『戦場のヴァルキュリア』というのは、こうあるべきだ」というものを客観的かつ深くのめり込んで作ったタイトルではあるので、それがユーザーさんにどういう受け入れられ方をするのか、それをまずじっくり見てから考えていきたいと思います。

――それでは、最後にファンの皆さんへのメッセージをお願いします!

 今回の「3」というのは、おかげさまでシリーズとしては1番の出だしを切ることができましたし、UMD版もDL版も順調に伸びています。これについてはユーザーの皆さんが「3」というものに対して、きちんと期待してくれたことの表れかなと嬉しく思っています。ただ、僕たちが「初動の動きに変に舞い上がって、慢心してはいけないな」とも常々思っているんですね。なので、僕たちは「3」というものをあえて批判的な目で見て精査をしなくてはいけないと思っていますし、その中で、今後のシリーズをどうしていくかというのをしっかりと考えていきたいと思っています。

 そうはいっても、いろいろなところから反響をいただく中で「面白いよ」という声を多めにいただいているというのは、正直とても嬉しいです。開発に携わったすべてのスタッフはもちろんですが、外部のスタッフや声優陣も含めてですね。彼らもそういったところを敏感に見ていますので、OVAのアフレコとかで会ったときに聞くと、ユーザーの皆さんが喜んでいるというのは、僕たちはもちろん彼らも嬉しいことだな、と思っています。

 「3」のネームレス・懲罰部隊という設定やストーリーライン、雰囲気を楽しんでもらって、歯ごたえのあるゲーム性に至るためのすべての布石、今回お話した難易度であるとかパラメータ調整、敵ユニットの配置といったところのすべての設計を楽しんでもらえたら、僕はそれが1番嬉しいことだと思っています。多少、難易度は高いかもしれないですけれど、いつでも変更できるEASYもありますし、目新しい遊び方を提供している本作を、めげずに最後まで楽しんでいただけたら嬉しいです。

――本日はお忙しいところありがとうございました



(2011年 2月 24日)

[Reported by 菅原哲二 ]