「ルーセントハート」大規模アップデート「VITA」先行体験レポート
“ほしとも”と楽しい時間を過ごせるルームシステムや、高レベル地域を実装
株式会社ガマニアデジタルエンターテインメントは、MMORPG「ルーセントハート」において、大型アップデート「VITA」(ウィータ)を8月19日に実装する。「ルーセントハート」は8月28日をもって、サービス開始1周年を迎える。これを記念してイベントやキャンペーンなどを進める予定で、本アップデートはその目玉となるコンテンツだ。
今回のアップデートの最大の注目点は「ルームシステム」の実装にある。プレーヤーは自分の部屋を持つことができ、室内を自由にコーディネートしたり、室内に友人を招待して、プライベート空間でコミュニケーションを楽しむことができる。「ルーセントハート」らしいかわいらしくファンシーな部屋を作ることができ、ソファーに腰掛けたりベッドに寝ることもできたりと細かいこだわりが楽しい。この他にもレベルキャップ75まで解放され、高レベル向け地域が実装される。
今回はアップデート要素に加え、本作のディレクターを務める廣田一億氏と、GMリーダーの岩元浩二氏に現在の手応えやこれからの展望を聞いた。
■ 今後のコミュニティ強化の核となる、豪華でかわいらしい自分だけの部屋を作れる「ルームシステム」
様々な家具が配置されたマイルーム。随所に開発スタッフのこだわりが感じられる |
掃除コマンドで虫型モンスターを撃退。楽しそうなミニゲームだが、プレーヤーの強さに応じたかなり強い敵なので注意が必要だ。モンスターのデザインは多少変更される予定だという |
「ルーセントハート」は星座をモチーフにしたかわいらしいデザインと世界観が魅力のMMORPGだ。条件に合ったプレーヤーをランダムで結ぶ「ほしとも」システムにより、新しい出会いを生み出し人気を獲得した。中盤からは職業間の連携が重要になってくるゲームバランスの作品だ。これまでのアップデートで、ペットシステムやクラン戦といった要素を追加してきた。
今回追加されるルームシステムはプレーヤーが自分だけの部屋を持ち、様々な家具で飾り立てることができるようになる。ルームはクエストとゲーム内マネーで購入できるのが1部屋、それ以降は有料アイテムで部屋を追加できる予定だ。部屋には「装飾ポイント」が設定されていて、課金の部屋の方がより多くの家具を置くことができる。
部屋にはフレンドリストに登録した友人か、ほしともを招待することができる。部屋はインスタントフィールドになっていて、その中で招待したプレーヤーとコミュニケーションを楽しむことができる。ベッドに寝転がったり、椅子に座ったりと家具に対応した特別なアクションができるようになっている。ほしともと特別な時間を過ごす、というプレーヤーも多いかもしれない。
部屋はスタート地点の街トリーアから、NPCを通じていくことができる。部屋はレベル25から持つことができるが、ゲーム内マネーで購入する場合はかなり高価で大体レベル40くらいのキャラクターの資産ならば購入することができるという。また有料の部屋ならばすぐに購入できる。家具はNPCから購入するもののほか、有料アイテムやモンスターからもドロップされるという。家具は買い切り型だが、部屋は購入時とは別に「レンタル料」が発生し、一定期間にお金を払い込まなくてはならない。こちらもゲーム内マネーだけでなくリアルマネーで払うことも可能だ。
今回は何パターンか既にデザインしたルームを見せてもらった。家具にはレースがかかったファンシーなイメージだ。大きなぬいぐるみや、猫やウサギのイラストが描かれたドアなど全体的にかわいらしいイメージの家具が多く感じた。ファンシーではないアイテムも全体的に豪華な、装飾性の強いアイテムが多いように見えた。部屋の照明器具は現在の所、豪華なシャンデリアのほか、たいまつ等も用意されており、間接照明としても使用できる。
ついたてで部屋を仕切ることができ、シャワーを浴びるような小さなバスタブも用意されている。畳や日本風の家具も用意されている。ただ現在の所はそれらのアイテムもやはり装飾が凝っていて、シンプルな部屋を求めたり、渋いセンスで統一というのは難しい感じだ。全体的にきらびやかでかわいらしい要素が強い。現在家具の色は何パターンか用意されていてそれから選ぶ方式で、壁紙も現在は初期状態から変えられない、バリエーションに関してはこれからだろう。
ユニークな要素としては家具に「ステータス増加」の機能を持たせたものがあるという。部屋にその家具を置けばプレーヤーは部屋から出てもその力の恩恵が受けられるのだ。デザインなど関係なく、求める能力を持った家具をひたすら部屋に詰め込むような無骨なプレーヤーも出てきそうだ。
このルームシステムではミニゲームが追加される予定だ。ルームで「掃除」というコマンドを選ぶと虫型のモンスターが現われ、これを部屋にいるプレーヤーで退治することができる。このモンスターはプレーヤーのレベルに合わせた敵なのでかなり強敵で注意が必要だが、レアアイテムとして家具がゲットできるという。ユニークな接客ギミックといえるだろう。
「家具を置き、自分のキャラクターを歩かせる」という楽しさは、様々なゲームで実現されているが、このルームシステムは「ルーセントハート」ならではのセンスを随所に感じさせられる魅力的なコンテンツだと感じた。ほしともや友人達と盛り上がること間違いなしだろう。ベッドに寝転がれたり、椅子に座るのも膝を揃えるのと、くつろいだ感じの2パターンあったり、細かいところのこだわりが楽しい。
部屋の中では、椅子に座ったり、鏡の前に座ったり、ベッドに寝転がったりできる。椅子に座る場合は、手を広げたリラックスした座り方、足をきちんと揃えた座り方、正座もできる。また、この空間ではチャットを漫画の吹き出しのようなフィールドで表示もできる。笑ったり、手を振ったりという通常のエモーションも部屋の中では雰囲気が変わる。ほしともと一緒の場合は、抱き合ったり、キスをしたりとよりロマンチックな時間が過ごせそうだ。飾り立てるだけでなく、友達とより楽しい時間を過ごすというのがルームシステムのコンセプトだ。
今後の課題はユーザーが作った部屋をどのように他のプレーヤーにアピールできるかだという。また家具を作ることができるスキルなどゲームシステムの発展も検討されている。現在あるアイテムでも、ユーザーがどう使いどう組み合わせるのか本当に楽しみだ。「マイルームコンテスト」などにも期待したい。
■ プロメテウスの伝説が眠る新地域。数々の謎と、ギリシア神話の独自アレンジに注目
今回実装される新地域名称は開発中のもので、「鉄壁の砦」がアイアンフォート、「焦土の渓谷」がブラシア渓谷、「運命の嶺」がディスティ山脈に変更される予定だ |
「クレタの迷宮」で待ち受けるミノタウロス。ギリシア神話をどうアレンジしているかも興味深い |
「VITA」のもう1つの目玉が新しい地域「イデア」の追加だ。今回のアップデートで「ルーセントハート」のキャラクターのキャップがレベル70から75に引き上げられる。それに合わせて、スキルのレベルの上限も上げられ、より強力なスキルを使うことができるようになる。新地域はより高みを目指すプレーヤーを対象にした高難易度地域だ。
新地域の入口は前回のアップデートで追加された地域フォウステイルにある「ヘパイストス」からいくことができる。今回解放されたヘパイストスから先が新地域イデアとなる。このイデアに行くための補給場所として、ヘパイストスの1つ前の地域「火種の起源」に「工業都市ミレイズ」が追加される。ミレイズはプロメテウスが人に火種を授けた場所だと言われている。伝説ではプロメテウスは火種の他にも測量や工業といった技術を教えたという。
この伝説が眠るミレイズは巨大な歯車が回る工業技術の発展を強く感じさせられるデザインになっている。周りは火を噴く火山があり、非常に特徴的な街だ。レベル75を目指す冒険者達の拠点となるだろう。ミレイズには街の中に「クレタの迷宮」と呼ばれるダンジョンがあり、ボスのミノタウロスが待ちかまえている。レベル75のフルパーティーでも苦戦必死の難関ダンジョンとなるという。
ミレイズから出てヘバイトスから先に進むと、巨大な石像の並ぶ「タイタン遺跡」というフィールドに出る。ここからはレベル70のキャラクターを対象にしたフィールドだ。岩ばかりの荒涼とした土地に巨大なモンスターが待ちかまえている。タイタン遺跡はその名の通りイースター島のモアイのような巨大な神の像がある。これらにはどうやら仕掛けがあるようで、この謎をクリアすることでプロメテウスが囚われているという「ディスティ山脈」に行けるようだ。またタイタン遺跡は「アイアンフォート」という地域とも繋がっている。
アイアンフォートは極東の地に追われたというサイクロプスが人類への復讐のため侵攻してくるのを防ぎ止める要塞である。要塞内部には精鋭の兵士達がいてモンスターとの戦いに備えている。城壁のすぐ外にはモンスターがひしめいており、サイクロプス達がいるというブラシア渓谷までの道はかなり険しいものになりそうだ。このアイアンフォートには巨大な石像が建っており、足場をクリックすると像の由来を読むことができる。
「ブラシア渓谷」では強力なモンスターが侵攻の時を待っている。この渓谷ではプレーヤーは常に毒の効果を受けてしまう。かなりきつい戦いになりそうだ。ブラシア渓谷で興味深いのは、インド風にも感じられるこれまでとは違ったデザインのモンスター達が登場するところだ。彼らが人類を脅かすサイクロプスなのだろうか。バックストーリーや設定が気になるところである。
タイタン遺跡の謎を解き明かすことでいくことができるディスティ山脈にはプロメテウスを封じたダンジョンがある。このプロメテウスのダンジョンも謎が秘められており、ボスに到達するためには謎解きをしていくという。ギリシア神話ではプロメテウスは人間に火を与えた罪により神から終わりなく続く罰を受ける。それは高い山に貼り付けにされコンドルに腹をむさぼり食われ、食われた内臓が朝になると再生するという残酷なものだ。本作ではギリシア神話のストーリーがどのようにアレンジされているかも楽しみである。
■ 新しいダンスやパーティー推奨チャンネルなど、これからのテーマは“横の繋がり”
本作のディレクターを務める廣田一億氏 |
GMリーダーを務める岩元浩二氏 |
アップデート要素の紹介の後、本作のディレクターを務める廣田一億氏と、GMリーダーの岩元浩二氏に様々な質問をぶつけてみた。「ルーセントハート」サービス開始当初は、ゲームに接続できないほどの人気を誇った。廣田氏は最初からユーザーの支持をいただけたのが非常にうれしかったと語る。
一方で多くの問題点、不満点も指摘されている。大きな問題となっているのが現在でも続いているサーバートラブルだ。「ルーセントハート」は接続問題やラグの問題で臨時メンテナンスが行なわれることが多く、特にここ最近はトラブルが頻発したという。この問題に関しては現在も開発と話を進め、開発元だけでなく台湾ガマニア本社とも連携していくつかの問題を洗い出しているという。今すぐ抜本的に解決するのは難しいが、徐々に改善に向かいつつあるとのことだ。
MMORPGでは必ず問題となるのだが、本作でも職業間のバランスが議論されている。盾役の負担が大きいパーティーバランスや、後衛系の職業の一部のスキルが他の職業とかぶってしまっているといった指摘を受けている。職業間の特徴付けやバランスは今回のスキルキャップの解放などで一部はっきりと見えてくるのではないか、とも思っているが、今後の課題だ。
もう1つの課題が、コアプレーヤーが高レベルに集中していったため、初心者との繋がりが薄くなり、はじめてすぐに止めてしまうプレーヤーが出てきていたり、高レベルのプレーヤー達が固まってしまうといった問題が出始めている。いかにプレーヤー達を出会わせるか、ということも考えルームシステムの入口を初心者の街に設定したという。この他にも横の繋がりを持たせるためのアプローチを考えているという。
「職業バランスに関しては、前衛職の軽減は考えていますが、やはりパーティーの要であるというプレーヤーさんが自負できる要素はきちんと残していきたいと思っています。今後もパーティーを組む楽しさを提供していきたいですね。効率を求めると知らないメンバーとパーティーを組まなくなってしまう傾向があります。できるだけ多くの人とコミュニケーションをとってもらいたいと思っています。パーティー募集掲示板に何らかの機能を追加していきたいし、“パーティープレイ推奨チャンネル”というアプローチはどうかなと思っています。いつもの知り合いだけではなく、色々な人とパーティーを組みたい、参加したいならこのチャンネルに集まろう! というアプローチも有効なのではないかと思っています」と廣田氏は語る。
「ルーセントハート」ではユニークなアイデアによるシステムが多く取り入れられているが、だからこそ調整が難しい。Wisdomというクイズで経験値をもらえるシステムがあるのだが、レベル1のキャラクターでこれに挑戦するといきなりレベルが急上昇してしまう。またプレーヤーが他のプレーヤーにクエストを出せるハッピーパイロットシステムが、アイテムを増殖する不正行為に利用されてしまったため、現在サービスを停止している。両システムは問題点をきちんと把握した上で改良していくように検討が進められているという。
「ルーセントハート」の今後の方向に関しては、「横の広がり」を求めていく。レベルアップや冒険はMMORPGの根幹となる「縦」の方向性だが、それ以外の広がりを求めていくという。ルームシステムはその方向の核になる要素だ。ルームの中でペットを育てたり、“生活”を感じさせる要素を検討中だ。家具を作るスキルや、料理スキルで手作りの料理を部屋で食べる、といったアイデアなどを現在集めている。
また開発へは新しいダンスや音楽の要望を出している。「ルーセントハート」では「ウマウマ」というダンスが入っており、サービス開始時にはこのウマウマのダンスをみんなで並んでするような遊びが流行った。これまで他のダンスはなかったため、新しいダンスと音楽を導入することで突発的なダンスイベントが起きるような環境を目指していく。
ゲーム内ではインフレがプレーヤーの意欲をそぐ問題になってしまった。有料アイテムの有効性が増した結果、有料アイテムをゲーム内マネーで購入する価格が上がっていき、プレーヤーの意識を圧迫してしまったという。こちらに関してはゲーム内マネーを使う要素がスキルや装備の購入のみに向けられるゲームシステムにも原因があったと運営側は認識している。横の広がりを持たせることでもっと多様なプレイスタイルの追求ができる環境を提供したいという。
今後の課題としては「基本システムの見直し」を挙げる。これはユーザーインターフェイスを含めた全般を視野に入れている。例を挙げればカーソルの矢印が小さい点や、ブラックリストに入れたユーザーのメールを受け付けてしまう点だ。他のMMORPGでもプレーヤー間での人間関係のトラブルはよく起きる問題だが、ほしともと恋人エモーションを楽しめる「ルーセントハート」の場合は感情的なすれ違いや意識の違いを生む部分もありそうだ。また、クライシスバトルに関しても、タイムリミットのバランスが指摘されており改良を検討中だ。
8月27日に正式サービス1周年を迎える「ルーセントハート」は1周年記念での様々なキャンペーンを開催する予定だ。そのキャンペーンの中には北海道の競馬場「ばんえい十勝競馬」にて「ルーセントハート杯」を開催、勝ち馬をユーザー間で予想し、当たったプレーヤー、はずれたプレーヤーそれぞれにプレゼントを配るといったイベントを検討している。運営側の予想なども含め、プレーヤーと運営が一緒に楽しみ盛り上がる方向を目指している。このレースは十勝競馬のストリーミング配信でリアルタイムに観戦することができるという。
また、今後の予定に関してはグッズの販売も予定している。現在発表されているのが、イメージキャラクター「ティア」をモチーフにしたデフォルメフィギュア「ねんどろいど」である。ねんどろいどはグッドスマイルカンパニーが作るフィギュアシリーズで、ゲーム内アバターを追加した形で販売される。ティアは「ルーセントハート」の広告や公式ページで姿を確認できるがゲーム内では設定のみでまだ登場していない。彼女が今後ゲーム内でどうフォーカスされるかは注目したいところだ。
ユーザーへのメッセージとして、廣田氏は「まだほしともを見つけていないユーザーさん達は、是非ほしともを見つけてください。ほしともと一緒にゲームの世界観を楽しんでください」。岩元氏は「我々はGMチームなのでユーザーさんに近い立場に常にいたいと思います。新しい要素や職業バランスなどに関して開発とユーザーを繋ぐアイデアをどんどん提案していきたいと思っています」と語った。
「ルーセントハート」は開発のこだわりが感じられるユニークな作品だ。まだまだ荒削りな部分があるが様々なアイデアが盛り込まれている。コンテンツの完成度を上げ、バランスやユーザー間の繋がりといった問題点をよりよい方向に持って行くかは、運営の手腕にかかっている。オリジナリティを感じさせる挑戦を今後も続けて欲しいと思う。今後の展開にも期待したい。
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(2009年 8月 17日)