インタビュー
「FFXIV: 新生エオルゼア」吉田直樹氏発売記念インタビュー(前編)
「新生FFXIV」のキーシステム“コンテンツファインダー”の今後について
(2013/8/27 00:00)
「新生FFXIV」のキーシステム“コンテンツファインダー”の今後について
――私も吉田さんのβテストフォーラムの長文メッセージ読みました。それに対する賛否両論も読みました。結果を見るとコンテンツファインダーは大成功だったし、このまま突っ走りたいなと言う感じですか?
吉田氏: 突っ走ります。僕がそこで信念を曲げても意味がないので。ただ、前にプレイしたゲームと仕様が異なると、不安に思う方が多くなるのもよくわかっています。僕「ふるさと症候群」という言い方をしたりしてるんですけど、ファーストインパクトのショックって消えることがないし、それを超えるものがないからファーストインパクトなのであって、それは永遠に替わらないと思うのですよ。だから実際に自分の体験として、それが大丈夫だったと思えない限りは、絶対に不安だと思うんです。
たとえば、親の都合で転校していくときって、不安ばっかりだと思います。僕も転校したことがあるからそうですが、前のクラスではガキ大将をやっていて。でも転校先には自分よりも腕力も何もかも、強いやつがいるかも知れない……。コミュニティもゼロだし、ローカルルールも違えば、文化も違うので不安だらけ、1人目の友達ができるまで不安でしょうがない。でももう状況が変わらないからやっていくしかない。後で振り返ってみると、意外とそうでもなかったとか、むしろ前の環境よりも良かった、ということがあるとは思うのですが、こうした結果はどうしても、以前の環境との比較で、価値が決まってしまうものですからね。
レベル50にするには当然レベリングに時間が掛かります。レベル20までと、レベル21から50までにかかる時間って圧倒的に違ってくる。出会うF.A.T.E.の数も違うし、移動しなくちゃいけない総フィールド距離も変わってくる。こなさなきゃいけないダンジョンもβテストまでの公開範囲から倍くらいあるし、出会う機会なんていくらでもあるわけです。特にF.A.T.E.の最上位に位置しているベヒーモスとかオーディンが登場するF.A.T.E.だと、50人くらいいないと倒せないので、絶対に協力していくシチュエーションがある。
フォーラム等を通じて仮に違うサーバー同士で仲良くなったとしたら、ワールド移転サービスも正式サービス直後から用意してあるので、それを検討していただいてもいいと思うし、結局それは選択肢の問題なんです。こうした出会いやコミュニケーションの機会は作ってあるので安心して欲しいなと思います。
特に「旧FFXIV」のプレーヤーの方々は、すごくユーザーが減ってしまったところから必死に「FFXIV」を応援してくれて、すごく強い結束力で今までやってきてくれました。だからその思い出や、結束感はすごく強いと思うのです。あの連帯感、一体感のような感覚が、なくなっちゃうんじゃないかという恐怖感もよくわかります。「なんだ杞憂だったわ」と思っていただけるよう、これからも言葉は発しようと思います。
――コンテンツファインダーに関しては、単にコミュニティに対する懸念だけではなく、フィールドが過疎化しちゃうんじゃないか、後はMMORPGとしての冒険の要素が減ってしまうのではないかと懸念も指摘されていますが、この辺りについてはどのように考えていますか?
吉田氏: ポイントは、コンテンツファインダーは、最終的にはパーティーコンテンツ用のシステムであって、極限までカジュアルですが、ソロ用のシステムじゃないことです。だからフィールドが必要ない。だから、今後、ソロ用の遊びがフィールド上に、特にエンド型のフィールドの遊びが用意されていくことによって、フィールドから人の姿が消えることはないと思います。
――それはF.A.T.E.以外でということですか?
吉田氏: はい、F.A.T.E.ではないです。例えば「トレジャーハント」だったり、詳細はまだ言ってないですけど「蛮族デイリークエスト」と呼んでいるコンテンツ。今まで「旧FFXIV」でもやっていないコンテンツです。まさしくフィールドを使うし、ソロでコツコツの要素も強いです。世界の深掘り要素でもあります。
――なるほど、各フィールドの掘り下げを行なうことで、世界全体を掘り下げていくというアプローチですか?
吉田氏: そうですね。たとえば、蛮族というものをもっと蛮族側の視点で語ったり、エオルゼアの地域に住んでいる人間以外の種族が何を考えているのかとか、彼らにだって主張したいことがあるとか、その辺りをもっと掘り下げて、遊びにしていこうと思っています。だから、フィールドは単に消費するだけではなくて、作った世界をさらに密度を濃くしていくということを考えています。それとやはりエンド向けのコンテンツを伸ばしていく。その両方をいま計画しています。
――それは1度通り過ぎていったフィールドに対しても、また高レベルになってから戻ってくるような施策というのがいっぱいあるということですか?
吉田氏: そこに関しては、経済の部分もそうなのですが、アーマリーシステムなので、みんな2クラス目をやるんですよ。そこである程度カバーできると考えていますし、それこそ今後実装されるエンドコンテンツに行ってもらった方がいいです。蛮族デイリーって1人でもできるエンドコンテンツだし、トレジャーハントは全フィールドに対してレベル違いの宝の地図が出たりとかいう遊びなので、そのレベルの低い地図から出てくる宝箱を1人で開けようとしたら低レベルに行かなくちゃいけないというのがあるし。それを開けて、2クラス目に回すのも可能だし、だからまあプレイの仕方次第じゃないですか?
――そのトレジャーハントや蛮族デイリークエストといった新規コンテンツは、いつ実装予定ですか?
吉田氏: 予定では、正式サービス後、最初のパッチを目指しています。パッチ2.1ですね。
――それ以外にもフォーラムで、「サブクエスト」も用意するという回答されていますが、「サブクエスト」とは何ですか?
吉田氏: それはもう単純に2クラス目、3クラス目でやれるようなクエストをさらに追加しますというものです。
――今のクエストのちょっと形を変えたものですか?
吉田氏: いや、もっとエピソードが細かくなったものだと思ってもらえればいいです。キャンプ・ドライボーンをもっとさらに深く掘り下げるようなストーリーだったり。
――それはクラスを変えたときに新たに発生するようなイメージですか?
吉田氏: いや、もう最初から全部出します。要はレベルアップを必要以上にクエストでやろうとしたらできるというものです。
――なるほど。それではフェーズ4からさらに受けられるクエストが増えるわけですか?
吉田氏: 増えます。なのでダンジョンは何度も繰り返さないで、1回だけ攻略すればいいバランスにしようと思って。
――「新生FFXIV」では、インスタンスダンジョンを周回しないとレベルがあげられないということはまったくない?
吉田氏: 1クラス目の場合、レベリングにダンジョン周回の必要はないです。コンテンツファインダーすら嫌だ、という方は、世界がいかにできていて、どんな人たちが生きているのか、というのをサブクエストでコツコツ追いかけることをメインにしていただきたいなと。フェーズ4、アーリーアクセス、正式サービスはレベル15からのサブクエストもたくさん用意されているので、ダンジョンは1回クリアすればもう行く必要はないです。もちろんそっちの方が効率良いと思う人は、ダンジョン周回レベルを上げればいいし、クエストでレベルを上げたい人は、サブクエストまでつぶしていけばいいわけです。
――コンテンツファインダーに関して、正式サービスまでに何か変化はありますか?
吉田氏: 初めてコンテンツファインダーで組んだパーティーの中に、そのコンテンツをまだクリアしたことがない人がいた場合、クリアするとボーナスが増えます。また、会話のきっかけにもなるようにパーティーメンバーにそれがわかるようになっています。“このパーティーの中にこのコンテンツを未達成のプレーヤーがいます”と。
――それは誰なのかわかるのですか?
吉田氏: いや、それは自己申告です。この人です!って晒されてるみたいじゃないですか(笑)。例えば中村さんはこのコンテンツ初挑戦なので、みんなでフォローしてあげましょうとか、そこまで言われると嫌ですよね。だから初めての人が、「実は初めてです」って言いやすいようにしてあげたかったんです。
――ボーナスとはどういうものですか?
吉田氏: 経験値とギルです。無言で途中抜けしたり、「初心者ばっかりだから、クリアできるかどうかわからないから退出しちゃおう」とならないような意図があります。
――それは本当にいいアイデアだと思います。
吉田氏: 逆に途中抜けするとペナルティも抱えるようになります。コンテンツファインダーでマッチングしたあと、そっと抜けるような嫌がらせができないように1回ファインダーにキューを積んで、途中でコンテンツをクリアせずに抜けるとペナルティで15分はファインダーが使えないようになっています。
――ちなみに初挑戦者がいる場合、全滅時のペナルティが軽減されるとか、そういったことはないのですか?
吉田氏: そもそもペナルティがほとんどないゲームなので、それはありません。ただ、装備耐久度の落ち方は、フェーズ3からフェーズ4でさらに緩くしました。
――さらに耐久度の消費を緩くしたのですか?
吉田氏: あくまで全滅したときの耐久度の消費です。普段使いじゃなくて。これまでは全滅したときにかなり減ってたんですが、エンドコンテンツにいくと尋常じゃないくらい死ぬので、僕自身がこれじゃやってられんわと(笑)。