インタビュー
「FFXIV: 黄金のレガシー」パッチ7.2「永久の探求者」インタビュー
悪い顔のスフェーン、メインストーリーの今後や「クレセントアイル」「コスモエクスプローラー」を深掘り
2025年3月13日 17:00
- 【ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー】
- パッチ7.2「永久の探求者」
- 3月下旬実装
スクウェア・エニックスは、プレイステーション 5/プレイステーション 4/Xbox Series X|S/Windows/Mac/Steam用MMORPG「ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー」のメジャーアップデートとなるパッチ7.2「永久の探求者」を、3月下旬に実装する。
今回はプロデューサー兼ディレクター吉田直樹氏に、「メインストーリー」や「蜃気楼の島 クレセントアイル」、「コスモエクスプローラー」や「至天の座アルカディア:クルーザー級」などパッチの見どころを聞いてきた。
記憶に善悪はない。でも悪意のある存在が記憶を使ったらどうなるのか?
――まず「永久の探求者」というパッチタイトルとパッチアートについてお伺いします。特に気になるのは右上にいる新キャラクターです。どういった立場の人物なのですか?
吉田氏: まず前提となりますが、スフェーンたちの世界と原初世界が物理的につながってしまっている、という状態が存在していて、住人たちは独特の死生観や「永久人」という概念などを持っているというところで「黄金のレガシー」は展開していたと思います。
では、そのスフェーンたちの世界の思想は、そもそもどのように成り立ったのか……。あのテクノロジーを作った人物は誰なのか、そこにどういった思想があるのか。この辺りが今後の物語の軸になってきますので、それに関連する人物となります。
「すべての人の記憶をデジタル上に再現してしまえば、死という概念がなくなる」これが永久人を簡単に言い表す内容となりますが、このような思想の先には何があるのか……彼は、そこに対して非常に重要な立ち位置を占めるキャラクターとだけ言っていきます。
これまでの「FFXIV」にはいなかったタイプのキャラクターだと思いますし、デジタルという概念は、科学技術の発展によって生まれてきた概念だと思いますが、そういったところにも踏み込んでいこうとしています。また「FFXIV」全体に関わる新たな展開が見えてくるのではないかと思います。
――これまでのストーリーの中で、まだ語られていないプリザベーションという組織についても、今後のストーリーで明らかになっていくのですか?
吉田氏: 覚えていただいていてありがとうございます! もちろん、組織名を出したからには、何となくで終わるものにはなっておらず、きちんと設定されています。ただ、こういった組織のすべてがパッチ1回で判明するかというと、もちろんそうではないんですが、注目していただきたい部分です。
「旧FFXIV」が始まり、当時の影なき人々がいて、それが「新生エオルゼア」でアシエンとして明確に再定義されて、その後に繋がっていったように、プリザベーションが何なのかについても、徐々に明らかになっていきます。もちろん、今回解ける謎もゼロではないと思いますので、注意して見ていただければと思います。
――1つの謎が明らかになったところで、さらなる謎が提示されるといった形になるんですか?
吉田氏: そこまで謎だらけにするということではありませんが、じっくり描きつつ、徐々にスタートしたかったというところがあります。「6.0」までの大冒険を終えたところに、急に次の組織がドーンと出てきて、「しょせん古代人たちは雑魚……」みたいな感じにはしたくなかったのです。それだと、やはり萎えてしまうと思うんです。匙加減は本当に難しいと感じていますが、急にハンドルを切りすぎないように作っています。
プレイヤーの皆さんからすると、前作との落差が大きい部分だとは思っていますが、次の大きな流れに向かっていくためには、そういった小刻みな情報のハンドルさばきみたいなものも必要だと思っています。7.2は、徐々に加速していくための、起点になっていると思います。
――パッチアートに描かれているスフェーンですが、かなり悪い顔をしていますね
吉田氏: 明らかに悪い顔にしてくれと発注しましたので、ある意味嬉しいです(笑)。
――これから彼女はプレイヤーと敵対することになるのですか?
吉田氏: あまり詳しくは言えないのですが……例えば人間もしくは生物で考えた時、「FFXIV」の設定では、肉体と魂は明確に異なるものとして扱っており、また、「記憶」そのものには善悪は存在しないと考えています。仮に魂や意志と記憶が別ものだと考えた場合に、記憶自体には善悪は存在しておらず、それはあくまで行動した魂や意志がもたらした結果の記録でしかないのではないか……ですが、その記憶の元となった情報や行動に対しては、魂や意志の存在が働いているから、その時々の価値観に対しての善や悪はあると思うのです。
では、その記憶そのものに、あとから「悪意」を繋げた場合は、まったく同一の記憶から作られていたとしても、まったく違う人格になる。どんなにいい思い出によって作られた記憶であっても、その記憶を再利用する際に、使う側に悪意があれば、物事は大きく変わり、キャラクター性も変わる。そんな風に考えています。
記憶や記録、データ、デジタル上での再現というのは、現代社会において、間もなく実現できるところまで到達するであろう事柄です。それらを踏まえてスフェーンを考えると……というわけで、ぜひ本編をお楽しみください。とても良い表情もしてくれると思います!
――スフェーンの顔芸を見ることができるかもしれないということですか?
吉田氏: 既にパッチアートでも顔芸に近いですしね(笑)。
――メインストーリーに絡めて、新しいインスタンスダンジョン「王城旧跡 アンダーキープ」と討伐・討滅戦「ゼレニア討滅戦」についてもお伺いします。どちらも「FF9」に出てくるアレクサンドリア城であったり、ベアトリクスを思わせるデザインですね。
吉田氏: 「FFXIV」の討伐・討滅戦はこれまで、みなさんのフィードバックを受け、メインクエストよりも早く遊べるように単独のストーリーとする場合もありました。パッチ6.Xシリーズもそうでしたが、コンテンツのバリエーションも増えてきたこともあり、今回もメインのストーリーを加速させるための山場としてゼレニア討滅戦が配置されています。
「FF9」の要素については、正直結構迷ったところでした。パッチ7.3までの大筋はあらかじめ決まっていますが、それをより具体的な形にしていく際、インスタンスダンジョンや討伐・討滅戦は、その確定よりも発注締め切りが早いのです。パッチ7.2の場合、発注は「黄金のレガシー」がリリースされた直後くらいになります。
当初は少し「FF9」へのオマージュとは距離を置いたほうがいいのではないかと考えて、それでまとめて行こうとしていたのですが、パッチ「7.3」では「黄金のレガシー」の大きな山場に向けて話が進んでいくので、今回はむしろ踏襲させていただいた方が、馴染みやすいという判断になりました。
「FF9」は名作で、みなさんの思い入れも強いので、意識がそちらへ引っ張られすぎるのは抑えたい、と思っていたのですが、この先の展開を踏まえると今の流れが順当だと思うようになりました。
この辺りの判断はかなり難しく、「もっと早く決まるのかと思っていた」というプレイヤーの方もいらっしゃるかもしれません。メインストーリーは、大枠の筋は決まっていたとしても、「バトル」や「コンテンツ」「ゲーム体験」を使って、「どう表現していくか」というところは、発注ギリギリになることが多いのです。大筋を決めた時には、アレクサンドリア城がそこまで重要というわけではなかったのですが、「FF9」要素を取り込むぞとなったからには、そこにきちんと意味や意図をしっかり作りました。
ただ、過去作のオマージュをしまくるためにやっている、というわけではなく、あくまでも「FFXIV」の世界の中にある第9世界……鏡像世界の中にある1つの世界とそこにいるキャラクターたちの物語を描こうとしての登場です。僕らはいつも「FFXIV」の中にある、似て非なる世界を描いてきましたし、そこは今回も変わりません。
――とはいえ、ベアトリクスに似てるゼレニアは「ショック」を使ってきそうな気がしますが。
吉田氏: どうでしょう……(苦笑)あまり多くは語らないように着地させましたが、裏にこんな話があったかもしれないと予測していただけたら嬉しいな、とは思っていますので、色々な観点で戦ってみてください。
サポートジョブや装備を育てると、ヒーロー感を感じる強さになれる!
――次は「蜃気楼の島 クレセントアイル」についてお伺いします。今回は「禁断の地エウレカ」、「セイブ・ザ・クイーン(以下、ボズヤ)」に続く第3弾になるわけですが、「エウレカ」や「ボズヤ」から引き継いだ要素と、「クレセントアイル」からの新要素について教えてください。
吉田氏: 最初に作った「エウレカ」は、第1世代のMMORPG、つまり“Time to Win”を意識して企画/設計されていますので、基本的には、時間をかければかけるだけ強くなることを目指しました。エリアの中では、ある種のプレイヤー格差があっても構わない。ただ時間をかければ、いずれはそこに到達できるという、むしろ時間がキチンと投入できれば、誰でも気軽に遊べるフィールドコンテンツとして作られています。
最初の頃は、今更ひたすら敵を倒して経験値を積むことになんの面白さがあるのか……というお声も海外含めて多くいただきました。ただ、粘り強くアップデートさせていただくことで、バルデシオンアーセナルを含めて、アップデートで全容が見えてくるほど、色々な遊び方、楽しみ方をしていただけるようになりました。
ただ、その一方で、従来のプレイとは全く違うプレイ体験だったがゆえに、もう少し気軽に遊びたいという声も頂戴しました。そういったフィードバックを受けて、“Time to Win”の要素はある程度残しつつも、カジュアルさや短時間でも一人時間でも遊べるようにというところを意識してシステム化していったのが「ボズヤ」でした。例えばクリティカルエンゲージメントなども、発生すればキューを積んでおけば自動で参加可能です。
多人数レイドに関しても、よりシステムっぽいレイドという形を取らせてもらい、一騎打ちに関してもやり込みとして、非常に多くの方に挑んでいただけました。しかし、システム的な利便性やフォローを作ったことで、その反面、探索感は薄れたよねという声もいただいて、これは相反する要素なので難しいのですが、非常にありがたいフィードバックでした。ですので、今回はその両取りにチャレンジしています。
探索と手軽さの両立となりますので、あえて「ボズヤ」や「ザトゥノル」よりも不便にしたところもあります。クリティカルエンゲージメントに似た、「クリティカルエンカウント」という、エリア内にギミックまみれのボスが多発するようなものもあるのですが、今回は参加するために現地までいく必要があったりなどです。その代わりエリアに散らばった転送網を開けるのは比較的楽にしてあります。とにかくモンスターを避けて奥まで行けば、レベルは気にせず全部開けることができます。
「エウレカ」の時にはストーリー性でロックをかける形をとっていましたが、まずは7.2で追加されるエリアは制限なしに遊びつくしていただけるような設計になっています。序盤は説明のためにクエストが手を引っ張る形となっていますが、それを抜けると殆どフリーに近い作りです。そこには「フォークタワー」という高難度のダンジョンもありますし、サポートジョブの育成もあります。武器防具の育成もあるので、とにかくこれまでの経験を活かして、探索とシステムサポートの程よいバランスを取ろうとしています。
――お話を聞いた限りでは、「ボズヤ」のシステムを活かした「エウレカ」という感じのコンテンツになるのですか?
吉田氏: 両者のフィードバックを合わせて、さらに面白くしようと思いながら作っていることは間違いありません。サポジョブのアクションも相当尖ったものが多いので、組み合わせの妙だったり、パーティを構築して連続チェーン狩りに行くとか、それこそ「フォークタワー」の攻略に行く時には、相当こだわらないと難しい。いつもの武器強化コンテンツも並走していますし、コンテンツ内でしか効果が発揮しない防具があるのですが、これをさらに強化することも可能です。
サポートジョブは火力が上がる要素でもあるので、相当大変ではありますがやりこんでいけばヒーロー感が出るのではないかと思います。
――かなり強さが実感できるということですか?
吉田氏: もちろん、「クレセントアイル」内に限りますが、サポートジョブに装備のステータスアップも組み合わせていくと、火力アップは5%とか10%というレベルではなく、もっと上昇します。
――「ボズヤ」は71レベルから参加が可能で、レベル上げにも使うことができますが、「クレセントアイル」は100レベルからのエンドコンテンツという位置づけになっています。位置づけが変わったのはなぜですか?
吉田氏: 「クレセントアイル」では、ベースのジョブが持つ「ナレッジレベル」の他に、サポートジョブ自体のレベリングという部分が大きくフィーチャーされています。そのため、コンテンツの役割を明確化し、通常のレベリングを兼ねられるのは、ディープダンジョン最新作へ委ねました。現在、ディープダンジョンシリーズの最新作をパッチ7.3Xでリリースするために制作が進んでいます。
役割を分けて、レベリングはディープダンジョンで、その代わり100レベルに到達したら、「クレセントアイル」では自身のナレッジレベル(編注:クレセントアイル内だけのレベル)を上げつつ、サポートジョブを切り替えて……と、わかりやすく楽しんでもらおうと思っています。
――100レベルのジョブであれば、中でジョブの切り替えはできるのですか?
吉田氏: ほとんどのシチュエーションで可能です。ですので、必要に応じてジョブやサポートジョブも切り替えて、その時に野良で組んだパーティの状態の合わせていただけます。パーティ全体に効果があるサポートジョブのアクションも結構ありまし、サポートジョブは、サポート系が強いもの、単体に強いもの、ディフェンス系やオフェンス系が強いなどという系統に分かれています。あとは、ギルをたくさんお持ちの方こそ輝くサポジョブもあったりします。
ギルで購入できるアイテムがあるのですが、それらを投げるアクションもあり……探索中に英雄になりたいのであれば、購入したアイテムを割りまくっていただくプレーもできるようになっています(笑)
――「FFXIV」でもついにプレイヤーに「ぜになげ」が実装ですね。
吉田氏: どちらかというとサポート系なので、味方を救うものだと思っていただければと。
――サポートジョブは今公開されている以外にどのくらいあるのですか? 今後のアップデートでも新たなサポートジョブが追加されていくのでしょうか?
吉田氏: 7.2ではすっぴんを除いて12ジョブ。今後のアップデート計画としては、7.4でサポートジョブの追加をして、パッチ7.5では今回と同じ規模のエリア拡張やサポートジョブの追加をしたいと、現在制作進行中です。ここまで大きなものにできるかどうかは、まだ精査中ではありますが、それくらいの気合を入れて開発を行っていきます。
今回入るすべてのサポートジョブのレベルを上げきって、マスターにするにはかなり大変だと思いますので、ぜひじっくり遊んでいただければと思います。
――エリア内のコンテンツやストーリーなどで見どころはありますか?
吉田氏: ロア手帳が存在していて、ストーリー上でアンロックされるものもあれば、バトルに参加して特定のボスを倒すことでアンロックされるものもありますし、隅々まで走り回り観察することで初めてアンロックされるものもあります。まずはこの手帳を埋めていっていただくことが、全体を進めていくうえでも重要になってくると思います。
通常のエリアと違って、ここから先はインスタンスダンジョンですといった作りではないので、この先に行きたいのでその場にいる人でパーティを組んで奥に突入してみましょう、といったような感じで遊んでいただければと思います。
世界観やロア的な意味で言うと、いろいろな過去の霊災前にあった国や都市などが結構横たわっています。公開済みのスクリーンショットで、ニームで見かけた遺跡のようなものが横たわっていたかと思いますが、あれだけではないのです。なぜこの島にそういった場所が存在しているのかとか、なくなったはずの文明圏がここにあるのはなぜなのかとか、ということがストーリーのベースに流れている大きな謎です。
――マハ、ニーム、アムダプールなど第五星歴時代の国がストーリーに関係してくるのですか?
吉田氏: そこはぜひご自分の目で確かめてみてください。ロア手帳もロア好きにはかなり読み応えのあるテキストボリュームになっています。ぜひ世界設定本を片手にプレイしていただけると楽しいのではないかと思います。
第1弾では月に、星探索のための大規模な基地を建造
――次は「コスモエクスプローラー」についてお伺いします。たくさんの星を探索していくということですが、「イシュガルド復興」では終了後はハウジングエリアになりましたが、今回も何かに活用するような場所になるのですか?
吉田氏: 今回はそういう縛りはありません。それをやると、最初にそのデザインに合わせた変化を作っていくことになるので、途中で「これはあれだよね」と分かってしまうので、今回はそういったものにはしていないです。
7.Xシリーズ中は、コスモエクスプローラーをどんどんアップデートをしていきます。その次のエキスパンションを迎えた後は、保全という形で発展状況や探索状況を、後発の人たちがリセットして遊べるようなコンテンツにしたいと考えています。
――リセットするというのは、例えば人がいなくなるとまた荒廃するとかそういうことですか?
吉田氏: 将来的には個人でも遊べるようにしようと思っていおり、荒廃というよりは、後続の方がコツコツ遊べるように、フラグの制御を変えて遊ぶ、といったイメージです。ですが、まだまだ先の話ですので、まずは皆さんで一緒に星探索の第一歩を踏み出していただければと思います。
――今回はどんな星を探索するのですか?
吉田氏: 今回はまったく新しい星ではなく、まずは月です。嘆きの海を知っているとはいえ、そこは月のごく一部。他の星へ探索に向かうためにも、今回は月面に、ポリットたちといっしょに星探索のための大規模な基地を作ります。宇宙船もいちから作らなければならないので、まずは大規模な施設づくり、それから宇宙船づくりというのが今回の第一歩です。
宇宙船といっても発着場も必要だし、星探索にいった場所に水を作り出す装置を作っておかないといけない、いった先で食物を育てるための装置も必要だよねと。まずは月でいろいろなテストをしようというのが主軸です。これらはほぼ用意されていませんので、皆さんの活躍にかかっています。
――ある意味サバイバル的な要素もあるのですね。
吉田氏: 敵と戦うわけではないので、危険はないと思います(笑)ギャザラー&クラフターのコンテンツなので、とにかくみんなでどんどん作って、基地を拡大していきましょうと。絵的な変化はかなりの段階数を作っています。大がかりなものばかりではないですが、絵替わりも気にしながら作っていますので、リアルタイムで参加される方には、みんなでやっていくということを強く感じていただけるのではないかと思っています。
――発表されたスクリーンショットでは、宇宙服のようなスーツで座っていましたが、あれは報酬アイテムですか?
吉田氏: そうですね。お見せしたからには、キチンと報酬としてご用意させていただいています(笑)。他の報酬もたくさんご用意しています。それに参加条件はかなり低いレベルにしていますので、レベリングにも使えます。
これまでのコンテンツでは、レベルが低いクラス向けのミッションは、高レベルで参加しても旨味がないから意味ないよねという感じだったと思うんです。今回はギャザラー&クラフターのレベルアジャスト機能を入れています。レベルが上がった方でも、どのミッションを受けていただいても利があります。そのレベルに合わせた制作や難易度に調整するという仕組みを作りましたので、あらゆるレベルで楽しんでいただけると思います。
――またあの全員で木材を運んだりといったミッションがあるのですね。
吉田氏: ひとりでコツコツと作業できるものから、みなさんでプレイするもの、それだけではなく、突発事象のようなものも発生します。「ボズヤ」の一騎打ちのように、抽選で選ばれたプレイヤーがパワーローダーに乗るようなものもあります。チケットを入手しておいて、突発事象が発生したらそのチケットで申請、当たれば「俺がパワーローダーに乗る!」という感じです。他のみなさんは、サポーターとして参加となります。
このように、今までに作ってきた大規模コンテンツのいいシステムは積極的に入れつつ作っています。個人ミッションをこつこつと積み上げていくようなプレイでもいいですし、みんなでワーッといろいろなミッションに参加していくのもいいし、いろいろな遊び方をしていただけると思います。
――ちなみにワールド単位の遊びになりますが、他のワールドで参加することはできるのですか?
吉田氏: できません。ご自分のホームワールドのみになります。
個性的なキャラクターとギミック。反復横跳びを練習しておいてください
――「至天の座アルカディア:クルーザー級」について、話せる範囲で見どころを教えてください。
吉田氏: 今ちょうど最終チェックの最盛期でして、ノーマル1層から4層のチェックをしたところです。
――「ヘビーライト級」に比べると少し難しくなるのではないかという予想も出ているようですが。
吉田氏: いつもの拡張パッケージ後の流れですね。最初のレイドはやはり導入編なので、気持ちよくクリアしていただくくらいにしています。今回に関してはいよいよ第2弾ということもあって、「よくこんなことをやるな」と感じていただけるよう、更に多くのアイデアが詰まったレイドになりました。零式は現在絶賛調整中なのでまだなんとも言えないですが、ノーマルはさほど印象が変わらないかもしれません。ただ、バトルやギミックの毛色はかなりこれまでと異なり、全体的にバラエティ色が豊かでキャラクター性も強いです。ものすごくスピードで押してくるやつもいれば、全体を使って……と様々な展開が待ち受けています。
――ダンスも踊るんですよね?
吉田氏: 踊りそうですよね、それ以外でも、反復横跳びはぜひ鍛えておいてください(笑)。
過去最大のパッチ、今はチェック地獄だがそれだけのボリュームをお届けできます!
――7.2でモロコシ様の追加クエストが入りますが、開発内部でも人気のあるキャラクターなのですか?
吉田氏: あのレベルのキャラクターはたいがい織田(注:シニアストーリーデザイナー 織田万里氏)が生み出すことが多いですね。プレイヤーの皆さんにもSNSでたくさんイラストを描いていただいたり、様々な波及効果も生み出すキャラクターにもなったので、本当に短いクエストではあるのですが、もう1クエスト追加となりました。いろいろ遊びつくしたあとで、そういえばいたな……と、思い出していただけると嬉しいです。
最近湖池屋さんとのコラボにもいましたが、「あれおかしいな。こいつ先方のキャラだっけ?」というくらい違和感がないという。ぜひ可愛がってあげてください。
――モロコシ様はなぜ広島弁を話すのですか?
吉田氏: モロコシ様について、簡単に織田に聞いてきました。モロコシ様には、二つのモチーフがあるとのことで、ひとつがマヤの人々によって信仰されていた「マヤのトウモロコシの神様」。ただし、当時正しくなんと呼ばれていたのか、忘れられてしまったそうです。 そしてもうひとつのモチーフが、織田の奥様のご祖母様だそうです。戦中戦後の広島で、「美味しいものを、腹いっぱい食べさせること、食べること」に、心血を注がれた方とのことで、広島弁もそうですが、キャラクター性もここからのようです。織田自身も学生時代を広島の山奥で過ごしたと聞いていますが、広島弁での執筆の際には、相当勉強し直したそうです。「FFXIV」の場合、スタッフそれぞれに制作の自由度が高いですし、こういったエピソードは面白いものですね。
――「滅暗闇の雲激闘戦」が実装されて2カ月ほど経ちましたが、今後どうなっていくのか決まっていれば教えてください。
吉田氏: 想像以上に皆さんに遊んでいただきました。クリアした後も、相当周回していただいているので、実装してよかったと思っています。毎パッチごとでなくてもいいので、次も実装して欲しいという声もたくさんいただいています。あとは最低人数何人でクリアできるかというようなことにチャレンジする方がいらっしゃるだろうなということは、ある程度想定して作った部分もありますが、うまく遊んでいただいています。
まだ何か計画があるわけではないですが、次回作を作れるタイミングがあればまたやってみたいなと思います。
とにかく今は「クレセントアイル」と「コスモエクスプローラー」の両軸がものすごいボリュームして……。おとといも祖堅と話をしたんですが、「直樹さん、今回ボリュームおかしくない?」と泣きそうな顔をしてました(笑)。「しょうがないよ、みんな頑張ったしねー」といったら、「みんなして、新曲くれ!って言うんですよ!無茶苦茶だって!」とも。新規コンテンツばかりだから、まあそうなるんですけどね。
――今回は大型コンテンツが2つと、さらに8人レイドもということで、過去のアップデートの中でも指折りに大規模なアップデートになっていますね。
吉田氏: きちんと数えたわけではないのですが、おそらく過去最大のアップデートになっていると思います。ただ、すべてを同時オープンするわけではなく、少しずつ1カ月くらいの間をあけてリリースさせていただきます。ただやはり最大級なので、僕のチェックが今は阿鼻叫喚の地獄絵図です(笑)。
――最後にファンに向けてメッセージをお願いします。
吉田氏: まさしくパッチリリースに向けての追い込みに入っており、過去に類を見ないほど過酷な現場なのですが、僕たちにとってこれだけ大変ということは、皆さんにとってはそれだけ遊べるものが多いということになります(笑)マスターまでの残り期間はわずかではありますが、ギリギリまで磨き上げて、じっくりと長く、たくさん遊んでいただけるものにしていきます。
今回は特に、「みんなで一緒に遊ぶとさらに楽しい!」にフォーカスしたアップデートシリーズになっていると思います。その第1弾が「滅」だとすると、今回は文字通り第2弾。フィールドのような広さを持ったエリアを活用し、バトル型、生活型いずれも大規模に実装していきます。
もちろん、コツコツ1人で遊ぶこともできますが、“みんなで遊べばさらに楽しい!”を目標に作っていますので、ぜひ皆さんで盛り上がっていただければと思います。
――ありがとうございました!
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IMAGE ILLUSTRATION (c)YOSHITAKA AMANO
※画面は開発中のものです。