インタビュー

「草」やオンラインプレイはどうなる? PS5版「デモンズソウル」、クリエイティブディレクターに本作の進化と変更点を聞く

【Demon's Souls】

11月12日 発売予定

価格:
8,690円(税込、通常版)
10,890円(税込、デジタルデラックス)

 「ソウルライク」と呼ばれるゲームの1大ジャンルを作り上げた高難易度アクションRPGの「ソウル」シリーズ。その第1作目となる「Demon’s Souls(デモンズソウル)」が、オリジナルとなるプレイステーション 3版より約11年の時を経て、次世代コンソール機・プレイステーション 5のローンチタイトルのひとつとして蘇る。

 トライ&エラーを繰り返しながら、プレーヤーにチャレンジや発見、そして達成感をもたらす高難易度のアクション要素はそのままに、最新のグラフィックスや新型コントローラー「DualSense」の革新的な機能を携えてリメイクされる本作だが、進化するのはもちろんそこだけではない。

 今回は、本作のクリエイティブディレクターであるギャビン・ムーア氏に、「Demon’s Souls」をリメイクするにあたって重要視した点や、回復システム、オンラインプレイでの変更点、そのほか新要素について話を聞くことができたので、その内容を紹介していこう。

 なお、本作はPS5と同日の11月12日発売予定。価格は通常版が8,690円(税込)で、ゲーム内アイテムの特典が付属するデジタルデラックスエディションが10,890円(税込)となる。

【『Demon's Souls』ゲームプレイトレーラー】
クリエイティブディレクター・ギャビン・ムーア氏

オリジナルの“コア”は変えない! 「ソウル」ファンも新規も楽しめる作品を目指す

――本日はよろしくお願いします。まず初めに、ギャビン・ムーア氏の経歴を教えて下さい。これまで何に携わって、本作では主に何を担当していますか?

ギャビン・ムーア氏:よろしくお願いします。私はゲームの世界に入ってから30年。最初はイギリスの南部の方で、メガドライブやゲームボーイのゲームを開発していました。ソニー・インタラクティブエンタテインメントに入ってからは24年間、そのうちの17年間は東京のクリエイティブスタジオで仕事をしていました。今作では、クリエイティブディレクターを担当しており、オリジナルのタイトルを忠実に再現しながらも、オリジナルのファンを満足させつつ、新しいファンも楽しめるようなリメイク作を作ろうと思いました。

――ありがとうございます。それでは、「Demon’s Souls」に関する質問に入らせていただきます。PS5の特徴である新型コントローラー「DualSense」のハプティックフィードバックとアダプティブトリガーですが、本作ではどのように活用していますか?
※ハプティックフィードバック=ゲーム内のアクションや衝撃をコントローラーの振動により触感として手元で感じられる機能
※アダプティブトリガー=状況に応じてL2ボタンやR2ボタンの抵抗力が変化する機能

ギャビン・ムーア氏:今回、特に私たちが気をつけたのは、何か新しい要素を追加するとしたらオリジナルのビジョンに対して完璧にフィットしてなければならないということです。そのためハプティックフィードバックに関しては戦闘要素に導入しています。戦うというところで、例えば、自分の剣が相手の盾に当たったときの金属の感覚であるとか、ボスに対して攻撃がヒットしたときの感覚など、そういったところに今回は活かしています。

――戦闘面ですか。

ギャビン・ムーア氏:これはモーションにも関係してきます。戦ったときに現実感があるというだけでなく、ほんの何十分の1秒ではありますが、スクリーンで見るよりも速いリアクションを手で得ることができる。目だけでなく、手に感じて次のボタンを押すことができる。そういった強みも生まれています。

金属同士がぶつかり合うことが多い本作。パリィを決める瞬間や、敵を斬る、盾で防ぐ、防がれる感覚がコントローラーを通じて手に響くのだろうか

――なるほど。ハプティックフィードバックなどの新機能が追加されたPS5ならではの開発の苦労はありましたか?

ギャビン・ムーア氏:私たちにとって1番大きい課題というのは、オリジナルのクリエイターたちのビジョンを全く変えることなく、より多くの人たちにゲームを楽しんでもらうということでした。すべてのものに関してテストを行ない、オリジナルの“コア”となる要素を全く変えないということを忠実に再現することに苦労しました。

――本作の“コア”とはどういった点でしょう?

ギャビン・ムーア氏:本作の“コア”として定めた点は、大きく分けてゲームプレイとAI、ロジックの3つです。それ以外に関しては白紙の状態から全て作り上げています。敵や武器、防具、フィールド、そしてこれまでになかったような様々なオブジェクトが色んな部屋や廊下、回廊に付け加えられ、世界観をより感じられるようになっています。

PS5で新たに描かれる「Demon’s Souls」の世界。コアとなるゲームプレイはそのままに、より世界に没入しやすいよう手が加えられている

PS5版の新要素は? 遊びやすくするために「草」システムやオンラインプレイを変更

――逆に、PS5版からの新要素や変更点はありますか?

ギャビン・ムーア氏:PS3が出てから11年経っているため、もちろん様々な変更点があります。そのうちの大きなものは「クオリティ オブ ライフ」を上げようといったところ。カメラやオーディオ、コリジョンといった変更です。3Dオーディオに対応しているので、非常に現実感のある音に進化しています。

――3Dオーディオ対応なんですね。

ギャビン・ムーア氏:それから、恐らくファンの方たちに一番気に入っていただけるであろう大きな変更点は回復システムです。本作では「草」と呼ばれる回復アイテムですが、オリジナルの「Demon’s Souls」では99個まで所持し、使用することができました。しかし、それでは平等ではないということで、強力な「草」に関しては10個までしか所持できないよう変更しました。これにより、対人戦においてかなり公平なゲームになっていると思います。

――新たなフィールドやアイテムは登場しますか?

ギャビン・ムーア氏:フィールドは追加していません。ただし、武器や防具などには様々なアイテムを追加しています。隠されたアイテムも用意しているので、実際にプレイして探してみて下さい。

――マッチングシステムに変更はありますか?

ギャビン・ムーア氏:簡単にフレンドを見つけられることができるように、ということで、サーバーの検索が可能になりました。それから、パスワードを設定することでフレンド同士でマッチングできるようにしています。非同期のオンラインプレイに関してはほぼ同じです。侵入や協力に関しては、侵入が3人、協力が3人の最大6人でプレイできるようにしています。

――友達とマッチングしやすくなるのは良いですね! 対人戦専用と呼べるようなマップは用意されていますか?

ギャビン・ムーア氏:そういった話も話し合いの中では出ました。しかし、今回は実装していません。もしファンが望むのであれば、特別なバトルアリーナというのも考えようと思っています。

マッチングや「草」など、既存のゲームシステムにも変更点はあるようだ

――PS3版をプレイしたことのあるプレーヤーに注目してほしい点はどこでしょう?

ギャビン・ムーア氏:オリジナルのファンの方々がPS3版をプレイしていたとき頭に想い描いていた「ボーレタリア」の世界が、まるで現実の世界のように目の前に広がっていると思われるように開発しているので、そこに注目してほしいです。

――それでは最後に、本作を待ち望む「Demon’s Souls」ファンへのメッセージをお願いします。

ギャビン・ムーア氏:今回、PS5版「Demon’s Souls」を開発したスタッフ全員がこのゲームのファンです。ですから、本当に愛情を込めてリメイクしています。新しいキャラクターもキャラクタークリエイターが作っていますし、「フォトモード」も用意しているので、写真をたくさん撮って、家族や友人、そして私たちにもシェアしてほしいです。本当に本作を楽しんでいただきたいと心から思っております。

――ありがとうございました!

トレーラーに映る美麗になった逆さま亡者に鳥肌が立ったファンも多いはず……! 生まれ変わったボーレタリアを冒険できる日が楽しみだ