インタビュー

いよいよ明日12時開催! GGC 2020プロデューサー加藤祥一氏インタビュー

満を持して「VALORANT」採用。世界に挑戦できる強いチームを育てる大会に

【GALLERIA GLOBAL CHALLENGE 2020 VALORANT】

グループステージ:8月8日、9日、10日

プレイオフ:8月15日、16日

配信プラットフォーム:Twitch GALLERIA_GMチャンネル

 サードウェーブが主催するeスポーツ大会「GALLERIA GLOBAL CHALLENGE 2020 VALORANT(GGC)」がいよいよ明日8月8日12時より開幕する。

 GGCといえば、3年前の2017年からスタートした「GALLERIA GAMEMASTER CUP」を出発点に、大会のタイトルや競技種目を少しずつ変えながらも、当時、国内大会としては前代未聞の高額さということで話題を集めた賞金制の大会であること、優勝チームは海外大会への出場権が獲得できること、“メジャー大会”として国内最強のチームを決める大会であること、こういった基本的な骨組みは変えずに現在に到っている。

 本大会は、コロナ禍でのオンライン大会ということで異例尽くめだ。まず、8月3日発表、8月8日より予選スタート、翌週8月15日にはプレイオフという超短期決戦であるところ。エントリー期間の設定はなく、実績のある16チームによる招待制の大会となった。

 そして本大会の最大の特徴は、競技種目が「VALORANT」になったことだ。GGCは世界で不動のTier1タイトルである「Counter-Strike: Global Offensive(CS:GO)」にこだわり続けてきたが、今世界でもっとも勢いのあり、多くのユーザーベースを抱えるチームベースFPSに移行する。これは単にタイトルが変わったというだけでなく、大げさに言えば、GGCそのものの劇的な変容を意味する。当然、優勝チームには、具体的にはまだ調整中ということだが、海外大会への出場権も獲得できるということで、例年同様、予選からプレイオフ、そして世界戦まで楽しめる大会となっている。本稿では、その仕掛け人であるGGC 2020プロデューサーの加藤祥一氏に、開催経緯や開催にかける意気込みを伺った。

GGC2020競技種目はタイトルは「VALORANT(ヴァロラント)」に

――加藤さんとは、会場では何度かお目に掛かっていますが、直にインタビューをさせていただくのは初めてですね。

サードウェーブ 加藤 祥一氏(以下、加藤氏): そうですね。

――よろしくお願いいたします。まず、加藤さんはあまりメディアに出られていない方なので、改めて自己紹介からよろしくお願いいたします。

加藤氏: サードウェーブの加藤と申します。サードウェーブに入って、約2年半になります。前職もずっとeスポーツに関わる仕事をしていました。約7年前ほどから、ゲーム、今でいうeスポーツと呼ばれる事業に携わり、その後eスポーツの制作会社に転職。今では日本のeスポーツといえば……というような大会の競技運営などに携わってきました(笑)。

――加藤さんは、サードウェーブではどのあたりを担当しているのですか?

加藤氏: 大会やコミュニティに関することや、eスポーツに関する所はほとんど担当しています。

――配信もやっているし、GGCのような大会もやっていると。全国高校eスポーツ選手権もですか?

加藤氏: 全国高校eスポーツ選手権も、競技運営と、各種キャンペーンに携わっています。またルールブックなども作っています。

――先日、今回のインタビューのメインテーマとなるGGC(GALLERIA GLOBAL CHALLENGE)2020について発表がありました。第1回が2017年に東京タワーの下で開催されましたが、あれからもう4年経つんですね。

加藤氏: 第一回目当時、僕はまだ入社前でした。実はあのスタジオの隣で、テレビ局の企画で企業対抗戦をやっていて、そちらに参加していました(笑)。ちなみに、僕が優勝しました(笑)。

――ああ、やってましたね。あっちに参加されていたんですか。

加藤氏: その大会が終わってから、偶然サードウェーブ関係者である知人に出会い、第一回のGGCを会場で一緒に観戦しました。

【第1回 GGC】
Absoluteの存在を一躍有名にした大会となった

――そこでGGCとの出会いがあって、その翌年2018年から関わり始めたと。

加藤氏: そうですね。僕が参画するようになって今回で3回目。GGC自体はトータルで4回目ですね。

――現在は新型コロナウイルスの影響で、GGCに限らず、eスポーツはスケジュールや参加選手の調整が大変で、発表まで大変だったと思います。今回発表に至るまでの経緯をお聞かせいただけますか。

加藤氏: GGCは、第1回目からずっと「CS:GO」(オンラインFPS「Counter-Strike: Global Offensive」、以下、「CS:GO」)でやってきました。「CS:GO」のようにかなり競技性の高いタイトルというのがなかなかないので、そういうタイトルを日本でも流行らせたい、世界のeスポーツ基準のものを、日本の皆さんにも知ってもらいたいと思って続けてきました。ただ、国内における「CS:GO」の競技人口が減少しているのも事実で、新しいタイトルに移行するのもeスポーツの発展のためにはいいのかもしれないと、この一年考えていました。

 そうしたときに新型コロナウイルスの影響で、今回、「CS:GO」の国際大会であるeXTREMESLANDが、エキシビションマッチだけになったという連絡がきたんです。社内でも、「残念だけど今年のGGCはぺンディングしましょう」と、いうことになったんです。

――“ぺンディング”というのは、GGC開催を保留にするということですか? それとも何も変えずに「CS:GO」のままでいくということでしょうか。

加藤氏: 「CS:GO」のままでいくというのは、その時点で7割くらい消えていました。GGCは『世界に繋がる大会』というのを軸に開催しています。eXTREMESLANDが中止ならば、「CS:GO」で開催する理由がありません。ただ、GGCは日本でほぼ唯一「CS:GO」を扱っていた大会だったので、「コミュニティを悲しませてしまうことになるな」とも思いました。僕自身が榎本(サードウェーブ副社長 榎本一郎氏)に前回のGGCで、「表彰式の舞台に上がるなら、『次もやります』と必ず言ってください」とお願いしたくらい、「CS:GO」に想い入れもありましたし、ずっと悩んでいました。想い出もたくさんありますし。特にGGCの決勝は3年連続でAbsolute対Ignisで、両チームが名勝負を繰り広げたのは記憶に新しいと思います。

――GGCの伝統になりつつありますもんね。

加藤氏: はい、GGCに名シーンは多々ありますが、この決勝戦はいつも凄かった。そんな想い出がいくつもあるんです、GGCには。だから今年はペンディングとなった時、僕自身も落ち込みましたね。

【第2回 GGC】
はじめて会場にルフスを採用。Absoluteが2連覇を達成した

――なるほど、その状況から、急に「開催決定」となった経緯はどういうものですか?

加藤氏: 今年に入って「VALORANT」がリリースされましたが、「CS:GO」をプレイしていた国内のトップチームをはじめ、多くのチームが「VALORANT」に移行しました。あわせて、プレイ人口もかなり増えている。それならば、もう「VALORANT」でGGCをやってもいいのでないかと思い、温めてはいました。「CS:GO」での開催がペンディングになり、だったら、「VALORANT」でやりたいと想い、社内に提案したんです。もちろん、「世界に繋がる大会」というポリシーは変わりません。

 今回は優勝賞金100万円を目指して、国内トップの16チームが戦います。どのチームが勝ってもおかしくない、最高のトーナメントになると思います。予選が8月8日から10日。決勝が15日から16日。全てオンラインです。ぜひご覧いただき、熱い声援を各チームにお願します。

【第3回 GGC】
2年連続で決勝カードがAbsolute対Ignisに。GGCを代表する名勝負となった

新たな競技種目「VALORANT」の魅力について

――GGCで初採用となった「VALORANT」についてですが、加藤さんが考える「VALORANT」の魅力、「CS:GO」との違いはなんだと思いますか?

加藤氏: 僕は、FPSはライト勢で、「CoD」とか「バトルフィールド」くらいしかやってこなくて、初めて「CS:GO」を観た時に、全くわからないゲームだったんです。

――それはいつ頃の話ですか?

加藤氏: 初めてまともに観たのはGGCの第1回目(「GALLERIA GAMEMASTER CUP」、現「GALLERIA GLOBAL CHALLENGE」)の時ですね。何をやっているのかさっぱりわからなかった(笑)。

――そんなに最近なんですね(笑)。そういう意味ではまさにサードウェーブさんが日本に「CS:GO」を持ってきてくれたと言えそうですね。

加藤氏: 観ているうちに「CS:GO」に魅せられました。とてつもなく難しいゲームだと。昨年、一昨年とGGCのプロデューサーをやっていますが、僕の場合、そこまでガッツリ試合のすごくおもしろい所を知っている……というよりは、参加するチームを見ているんです。僕は、選手の成長を見ていくのが好きなんです。どのチームが優勝しても大抵泣いちゃいます(笑)。ちなみに同様の人間が、我が社にはとても多いです、みんな泣いてます(笑)。

 FPSのおもしろい所は大逆転があるところだと思っています。あと1本で取られるというところから逆転したりとか実際にあり得ます。僕はずっと「LoL」だけをやっていて、「LoL」は大差がついたらもう勝てないゲームですが、FPSは違いますよね。そこがおもしろい所だと感じています。

 ただ、「CS:GO」はゲーム自体が難しくて、本当に当てるのが難しいんです。「CoD」のように動いて当てるゲームではないですし、「VALORANT」に比べてもヒットボックスは小さい。馴染むのに時間のかかる人も多いタイトルかもしれませんね。「VALORANT」はそこが違う。もっと馴染みやすい(笑)。カジュアルさもありつつ、「CS:GO」的なハイクオリティな競技性が融合されています。

 キャラクターが増えたりする所は「オーバーウォッチ」感がありますが、競技性の高いエイム力も見られるところが素晴らしいなと思います。

【CS:GO】
世界のeスポーツファンに愛され、不動のTier1を誇る「CS:GO」。日本にも熱心なファンは多いが、ハードコア過ぎるゲーム性で、ユーザーベースを広げられない状況下にある

――私も1990年代から「CS」がまだ1.6と言われていている時代から20年間くらいのお付き合いですが、「CS:GO」がeスポーツとして何が優れているかというと、わかりやすいんです。誰が観ていても展開がわかるし、スナイパーでドンと頭に当てることの凄さは見ていればわかる。全体としてすごくわかりやすいんですね。

 それに対して、「オーバーウォッチ」や「VALORANT」もそうですが、スキルの存在や、キャラクター毎に運動性能が異なり、状況を把握するのが難しい。どっちが押しているのかぱっと見でよくわからない。そこで大事なのが実況、解説だと思っています。「LJL」でもそうですが、「VALORANT」もまた実況・解説力が試されるゲームのような気がしますが、そのあたりについてはどう考えていますか?

加藤氏: そうですね。実況・解説はかなり大切です。後ほどお話ししますが、今大会でも豪華なキャスター陣を揃えました。

 純粋に「CS:GO」を観てきた人には、「何、今の技?」といったこともあると思います。ただ、僕のような「LoL」勢からすると、別にそこまで難しいとは思わないんです。

 何か難しいことをやっているな、というよりは「そういう技があるからそうなるんだ」という。予習が必要というか。初めて観る人にはわかりにくいと思いますが、理解すると、すごく面白味がわかる所なので、そのハードルを下げるためにも実況・解説は重要だと思います。「CS:GO」は、純粋に当てれば勝つ、というのがわかるのですが、なかなか当てられないので、僕は逆に「CS:GO」にどうしてもその難しさが先入観としてあります(笑)。

――当てるのが難しいというのはやればすぐ分かる話なので、だから選手達の凄さが理解できるんですよね。

加藤氏: そうですね。そこもeスポーツ観戦のおもしろい所です。「VALORANT」はガチガチの競技性とカジュアルさ。高い操作技術と綿密な戦略性、これらのバランスがとても良くアクションゲーム系の人も、うまく取り込めているのかなとは感じます。

【VALORANT】
「CS:GO」に匹敵する競技性を備えつつ、ゲームとしての遊びやすさも兼ね備える。eスポーツ王者であるRiotらしいタイトルだ

――「VALORANT」は、「LoL」と同じように、どんどん新しいチャンピオンを追加していくゲーム性ですから、「CS:GO」とは明らかに違った発展を遂げていきますよね。

加藤氏: 違いますね。タイトルを移行した選手たちも、すごいとても大変だろうなと思います(笑)。

――エイムと投げ物を極めれば勝てるという「CS:GO」に比べると、どんどん新しいキャラクターが増えて、新たなスキルが出てくるとなると、そのたびにメタが変わるでしょうし、現代的なゲームだとは思いますね。遊び手としては常に新鮮で楽しいでしょうけど。

加藤氏: 「VALORANT」は、わいわいやりながらもできるし、キャラクターの要素もわかりやすい。大会を、ただ観てるだけでも十分楽しめます。

「VALORANT」を選んだ経緯と配信計画について

――GGCの具体的な部分について伺っていきます。個人的には、今年、GGCの種目を「VALORANT」にするんじゃないかということは予想が付いてました。私も1人の「CS:GO」ファンとして、「CS:GO」でやってもらいたい気持ちはありましたが、視聴者数やそもそものチームの母数を考えると、スケールできないよな、どうするのかなとは思っていました。コミュニティにもこのタイトル変更を責める人はいないと思いますが、加藤さん自身はいつ頃くらいから「VALORANT」に目をつけていたのですか?

加藤氏: 年明けくらいでしょうか。こういうタイトルが出るよと聞いた時から気になっていました。

――私も、発表から見守っていますが、さすがRiotだなという感じはありますね。

加藤氏: そうですね。eスポーツの面白い要素てんこ盛りですからね。

――今でもeスポーツTierでいうと3番手くらいに入っていて、グローバルでは「CS:GO」がまだ上位にいますけど、日本では、FPSの分野では「オーバーウォッチ」や「シージ(Rainbow Six Siege)」を抜いて、今1位じゃないでしょうか。しかもPC版しかないタイトルなのにこの勢いは凄いことですよね。

加藤氏: 確かにそうですね。

――あとサードウェーブさんがついにメジャータイトルに手を出したなと(笑)。

加藤氏: ニッチな所をやっているという、ゲーマーとしてのちょっと“わかっている感”というのが好きだったのですが。

――少しそういう感じがありましたよね。

加藤氏: わかっている人から、わかっているねと言っていただきたい。流行りに乗っからずに、ちゃんとeスポーツを追っている……そんな感じが良かったのですが(笑)。

――GGCに関しては、立ち上げの頃から、尾崎(サードウェーブ代表取締役社長尾崎健介氏)さんから、いろいろ話を伺っていたのですが、「世界への扉を開きたいんだよ」と、最初から海外を見据えるというそのスケールの大きさに驚いたのを覚えています。

 ただ、草の根から「CS:GO」を盛り上げるための取り組み、たとえば各種リーグや大会の整備は必要不可欠ですが、一企業がやることには限界がありますよね。あとは「CS:GO」を世界で見ていて感じていたのは、eスポーツという視点ではなく、万人向けのスポーツとして捉えた場合、テロリストが銃と爆弾を手に活躍してしまうゲームというのは通りが良くないんですね。結果としてスポーツの一側面である“文化的な活動”として見た場合、その広がりは限定的にならざるを得ない。

 そういう意味で、私は今回の「VALORANT」へのタイトル変更に関しては大歓迎ですし、よくぞ決断されましたねという感じではあります。「CS:GO」はもっとも濃いコミュニティが存在するタイトルなので、「残念だ」という声があることは、どうしても仕方ないです。でも、全体で見たら、喜ぶ方のほうが多いという感じがしました。

 GGC開催に関してですが、今回はオンラインのみです。これは新型コロナがまだ流行しているからなのか、それとも最初からそのつもりだったのですか?

加藤氏: 今年はルフス(LFS池袋イースポーツアリーナ)を飛び出して、去年よりもハコの大きいところでやりたいというのはありました。世界に挑戦というのは、選手だけではなく、大会自体も世界に誇れるような内容にしたいと思っています。本当は、全試合オフラインで、大きな会場でやりたいという希望はありましたが、今回は開催が決まった時点で、新型コロナ禍の状況だったのでどうしようもありませんでした。

 本当は決勝だけでも、無観客でもオフラインで行なったほうが、選手たちの喜怒哀楽も見られるので良かったのですが、それもなかなか難しい状況だということと、海外のほとんどの試合もオンライン試合だったので、今回はオンラインでやるしかないかなと覚悟を決めました。

――そして、16チーム限定の招待制の大会となりました。

加藤氏: 今、日本で最強のチームを決める戦いなので、国内におけるトップを狙えるチームに参加をお願いしました。

【グループステージ】

――これはいつ頃からチームに声を掛けたんですか?

加藤氏: 2週間前くらいですね(笑)。

――それで16チームから了承を得られたんですか?

加藤氏: はい、集まりました(笑)。

――16チームの選定理由はどのような感じでしょうか?

加藤氏: 今日まで行なわれていたコミュニティ大会などを全部見て、優勝しているチームと、「CS:GO」をプレイしていた選手が多かったので、「CS:GO」選手がいるチームや、過去の実績を参考にしました。また社内にいる「CS:GO」の熱狂的なファンは、もちろん「VALORANT」も熱狂的なファンなので、スタッフの声も聞いて決めました。

――リストを見たときに、AbsoluteとIgnisの名前があってホッとしましたが、これで4大会連続で決勝カードがAbsolute対Ignisになったら、すごいですよね。

加藤氏: そうですね。もしも、そうなったらすごいですね(笑)。

――オンライン大会ということで、配信が重要になります。今回はどのような計画ですか?

加藤氏: 今日まで行なわれている「VALORANT」の大会は、1Dayだったり、BO1の大会しかないので、それはそれでおもしろい所もあるのですが、ワンチャンスであがってしまうということがあり得ます。GGCのコンセプトとしては、やっぱり世界に挑戦してもらいたいので、ちゃんと強い所をあがってもらいたいと思っていて、今回は全試合BO3にして、プレイオフからはダブルエリミネーションを採用しています。

【プレイオフステージ】

――どこからプレイオフですか?

加藤氏: ベスト4からです。

――ということは、2回勝ったらダブルですか。

加藤氏: そうですね。本当は最初からリーグ形式でやりたかったのですが、あまりにも時間がなさすぎて。

――全部やってると1週間かかってしまいますもんね。

加藤氏: そうなんです(笑)。ただ、少しでもきちんとした実力で上がってほしいと思ったので、最初はBO3のみで、その後は、ダブルエリミネーションのBO3となります。それでも最大9試合やるチームも出てきてしまうのですが、GGCは「ジャパンメジャーだよね」と選手たちに思ってもらえているので、そこを楽しんでほしいと思っています。本当に今強いチームの戦いが見られる大会だと思います。

――ちなみに、ダブルエリミネーションを採用した理由は何でしょうか。FPSではあまりないと思うのですが。

加藤氏: リーグ形式ができなかったので、それ以外でできるものを探していました。トーナメントでBO3でも、結局あたるチームはランダムで決まってしまいますよね。それが少しでも消える可能性を考えた時に、ダブルエリミネーションかなと。

――改めてお聞きします。大会日程は何日間でしょうか?

加藤氏: 全部で5日間です。8月8、9、10日で予選を行なって、15、16日でプレイオフです。

――実況・解説はどなたが担当されますか。

加藤氏: キャスターが、abaraさん、k4senさん、OooDaさん、裏切りマンキーコングのにしざわさんです。今は、2ペア体勢で、ダブル実況で考えています。

【出演者】

――OooDaさんは順当ですが、k4senさんはじめ意外な人選もありますね。

加藤氏: k4senさんは実況がおもしろいので。

――ええ、「CoD」のイメージが強い。

加藤氏: はい。実況はゲームタイトルや国によって様々で、細かく試合のすごい所をいうパターンと、ただただ、盛り上げるというパターンがあると思っています。試合中はダブル実況で「すげぇ~」というのを伝えられる方がいいと思い、おしゃべりに特徴があり、盛り上げられる方にお願いしました。

――abaraさんは「PUBG」のアナリストとして有名になりましたね。

加藤氏: そうですね。かなり安定しているメンバーを集めています。PJSでアナリストをされていたり、去年の「CS:GO」も実況をやっていただきました。テンションをばっと上げられる方たちを集めています。

 それから岸大河さんと、インプレスさんの配信で「VALORANT」をやられている大和さん。お二人には、デスクホストを日替わりでやっていただきます。海外のメジャー大会のように、デスクホストを豪華にしたいというのがありました。

――それは、別枠で配信するということでしょうか。Twitchのチャンネルも別になりますか?

加藤氏: 一緒です。会場内で、実況・解説席とお二人の席を分けていますが、チャンネルは一緒です。

――となると、日本の配信だとLJLに近いイメージですね。

加藤氏: そうかもしれません。

――アナリストは、どなたでしょうか。

加藤氏: アナリストは、確定しているのはKeNNy(ケニー)さんと、yukishiro(ユキシロ)さん。女性MCは、岸さん・大和さんのアシスタントで黒田瑞貴さんが華を添えてくれます。FPSプレーヤーで、配信もされていらっしゃる方です。

――eスポーツ界ではそれぞれ、実績のある方ばかりですから、お名前を見て、視聴しようと思う人もいるでしょうね。

加藤氏: 最強のメンバーです。期待してください!

メジャークオリティを感じられる大会に

――大事な質問ですが、GGCは「世界につながる」ということをテーマにずっと開催されてこられていますが、今回どのようになるのでしょうか?

加藤氏: 現在まだ調整中ですが、GGCの優勝チームに行ってもらいたいと思っています。追って発表できると思いますので、もうしばらくお待ちください。

【海外大会は追って発表】

――わかりました。GGCに関してほかに何か新たな取り組みはありますか?

加藤氏: 僕が関わってからずっと続けていることとして、全てが世界に通用する大会にしたいと思っています。まだまだ、日本の試合しか観たことがない視聴者さんも多いと思うので、グローバルスタンダード、そういったものをお届けしたい。

 前回も、インターバル中や、試合中に色々とこだわった演出をしました。そこを観た人が「おっ!」と思えるような取り組みを常に考えています。

――特に「VALORANT」は、サービスが始まったばかりで、観戦スタイルが公式的にもまだ固まっていないですから、改良の余地が多いですよね。

加藤氏: ゲームクライアント自体も「CS:GO」のように、自由に見せ方を変えられるソフトがまだないので今回はその点に頭を悩ませています。「CS:GO」だと複数のアカウントで何個も同時に入ることができたので、いっぱいカメラを置いておいて、パッと切り替えることができました。「VALORANT」はそこがまだ2個しかできないとか、リプレイがないとか、問題が山積みですね。そこを、どのようにうまくやれるのか、新たな挑戦にはなっています。

――やっぱり「CS:GO」で見慣れている人間からすると、もどかしいというか、見せ方に物足りない部分がありますよね。

加藤氏: やっとこの前のパッチで、敵側の観戦のシルエットが出るようになりました。こちらの思惑どおりにいかない部分も多々ありますが、機材などの演出で補えればなとは思っています。

――日本でも見せ方が確立していないので、ここはチャレンジですよね。

加藤氏: 過去の大会で、カメラマンなどをされていたスタッフさんが今回も参加しているので、少しでも今までのノウハウを活かしていきたいです。

――逆にここで頑張ると、スタンダードが確立できますよね。

加藤氏: 「GGCってすごくない?」くらい言ってもらえるくらいのものを作りたいというのはあります。

――仕込みがわずか1カ月の中でやっていながら、現場はかなり気合いが入ってそうですね。

加藤氏: はい、かなり入っています!

――それは視聴者側としても楽しみですね。視聴者側としては、まだ観戦の部分に不満があって、これだとエキサイトメントを十分に高めることができないと感じていたのですが、そこは運営努力でしっかりするので、是非観てくださいということですね。

加藤氏: そうですね。

――改めて大会への意気込みを聞かせていただけますでしょうか。

加藤氏: 今回一番注目していただきたいのは、今最強の16チームが集まっていること。その中で、本当にどのチームが一番強いのかがわかる大会です。「CS:GO」からの下馬評通り、本当にJUPITERが最強なのか、そして最大のライバルであるIgnisがどこまで来るのか。

――しばらくはAbsolute JUPITER一強なのかなと思っていましたが、この前の大会でIgnisが優勝しておもしろくなってきたなと。

加藤氏: そうですね。切り替えたばかりですぐに優勝できるポテンシャルは持っているので、どうなのかというところも注目すべき所だと思います。もちろん他のチームも優勝を狙えるチームばかりです。

――加藤さんの口から優勝予想をいうのは難しいと思いますが、大会的にはAbsoluteが大会4連覇を果たすかどうか、ここですよね。先日の大会でも有言実行で優勝しましたし、優勝候補は彼らになるのかなと見ています。

加藤氏: Absoluteはやっぱり勝ちへの執念がすさまじいです。彼らが純粋にどこまで行けるのかを観てみたいですね。3年間のON(王・長嶋)ではないですが、「Absolute」と「Ignis」の名試合は観てみたいと思いますね。

――それでは最後に、eスポーツファン、FPSファン、そして、GGCファンに向けて、是非一言をお願いします。

加藤氏: 今年のGGCはタイトルが「VALORANT」に変わりましたが、今まで以上にeスポーツの面白さをお伝えできると思います。今回は決勝まですべてオンラインでの開催ですが、オフラインに勝るくらいの勢いで大会を盛り上げていきますので、一緒に最後まで楽しみましょう。「VALORANT」の楽しさを知っていただき、より多くの方々にeスポーツを楽しむ輪が拡がっていけば嬉しいです。

――楽しみにしています。ありがとうございました。