インタビュー
「ボーダーランズ3」開発者インタビュー、リアルさよりもスタイリッシュ! より楽しくプレイしてもらうための様々なこだわりと工夫
2019年8月14日 23:00
9月13日の発売もせまり、その姿を明確に見せてきた「ボーダーランズ3」。今回の体験会では最後のキャラクター「FL4K(フラック)」が明らかになった。さらに日本語版も公開。これまで以上にノリノリの声優達によるリッチなローカライズで、本作ならではの世界をたっぷり楽しむことができた。
今回は体験会に加え、開発元のGearbox Softwareで、「ボーダーランズ3」シニアプロデューサーを務めるのアンソニー・ニコルソン氏と、アートディレクターを担当するスコット・ケスター氏に話を聞き、開発のこだわり、キャラクターやギミックへの思い入れを聞いた。
特にモズには苦労した? 様々な試行錯誤から生まれた最高の「ボーダーランズ3」
最初に質問したのは、「ボーダーランズ3」を開発するにあたり、前作までの流れを考えて気をつけたところはどこか? ということだ。特にこれまでのファンを意識して気をつけた部分を聞いてみた。
アートディレクターのケスター氏は、「シリーズのファンは『ボーダーランズ』に関して、『ここが好きだ』という部分を持っているそういったポイントを考え、今作に継承した」と語った。銃を撃つ爽快感、協力プレイの楽しさ、ランダムで宝物を得る楽しさなどなど、ファンが評価している部分を掘り下げているという。
もちろんビジュアル面、最新のゲームだから提示できるグラフィックスなど、ぱっと見ただけで前作までとは異なる世界であるということを提示したい。よりエキサイティングなアクションなど、様々な進化も取り入れているという。本作の軸をしっかりと押さえた上で、パワーアップしたというのが「ボーダーランズ3」だとケスター氏は語った。
新しいゲームエンジンで作られる「ボーダーランズ3」はポテンシャル的にはよりリアルに描画することもできる。しかし、方向性は前作を受け継ぐカートゥーン風のモノだ。本シリーズはユーザーが納得する画⾵がすでにあるため、そのカートゥーン風の世界観をきちんと守っていきたいという思いはあり、一方でより細密に描画できるようになったグラフィックスエンジンの力を活用するため、バランスはとても気をつけたという。
実は現在のスタイルになるまでには試行錯誤を重ねていて、リアルになりすぎてしまったときもあったとのことだ。「『ボーダーランズ』が求めているのは、リアルではなく、スタイリッシュです」とケスター氏は語った。スタイルに合う画風、表現を今作では追求したという。
本シリーズ独自のスタイルを活かしながらディテール表現を凝る、というのが「ボーダーランズ3」での画風である。ポイントとなるのは"インクの質感"だという。影やキャラクターの輪郭などにインクで描いたかのような"黒"を見せていく。この黒の表現が、「ボーダーランズ」らしさに大きく影響したとのことだ。
次に質問をしたのが「サイコバンディット」。不気味な仮面をつけた敵キャラクターは「ボーダーランズ」を象徴するキャラクターだが、彼らが存在しているのは惑星パンドラの荒れ果てた環境だからだ。他の惑星へと旅する「ボーダーランズ3」では彼らは登場するのだろうか? ムービーでは変わらず大暴れし、今作のイメージイラストもその不気味な仮面をつけたサイコバンディットである。パンドラならではの彼らが、他惑星についてくるのだろうか?
「はい、彼らは他の星にも広がり、猛威を振るっています」とシニアプロデューサーのニコルソン氏は答えた。「ボーダーランズ3」ではエイリアンの遺産を狙う巨⼤なカルト組織のリーダー、トロイとタイリーンという双子の兄妹が敵となり、彼らがサイコバンディットを統率している。サイコバンディットは兄妹の手駒としていつでもどこでも登場し、プレーヤーの行く手を阻むという。
「サイコバンディットは『ボーダーランズ』のキャラクターとして定着してますから、今作でももちろんたくさん出てきます」とケスター氏は語った。E3ではサイコバンディットのマスクを配っており大人気だった。それを見て改めてその人気の高さを実感したとのことだ。
「ボーダーランズ3」はこれまでの作品以上に遊びやすくなった印象を受ける。それはオンライン協力プレイでプレーヤーごとにレベルが調整されたり、宝物もプレーヤー間で取り合いが発生しないこと。またエレメンタル(属性)でもより効果的になっている。こういった改良はプレーヤーからの意見が反映された結果なのだろうか?
「ファンの声と共に、自発的に改良に踏み切りました」とニコルソン氏は解答した。「ボーダーランズ」は、“プレーヤー達の協力”が大きな魅力だ。レベル差があっても、ベテランと初心者でも一緒に楽しんでに欲しい。親しい友達とだけでなく、国が違ったり、言葉が通じない外国の人とも気軽に協力プレイを楽しんで欲しい。ランダムで参加し楽しむ、いつでも、誰とでも協力プレイを楽しんで欲しい。それが「ボーダーランズ3」のセールスポイントの1つだという。これまでもその想いは持っていたが技術的なハードルがあった。今作でようやく目標に近い協力プレイが実現できたという。
次に話したのはキャラクターの話。筆者は個人的にロボットに乗り込める「モズ」が好きだ。特に狭いところではロボットに乗れない、アクションスキルに制限があるところに衝撃を受けた。「狭いところではロボは活躍できない」というのはロボットアニメのお約束で、それをちゃんと再現していることに感動したのだ。その感動をまず伝えてみた。
「それはうれしいですね」とニコルソン氏は答えた。マップはこのため狭いところと広いところが用意されていて、広いところでは思う存分ロボで大暴れができるようになっている。マップでも広すぎる空間がある場合などは、調整を入れて狭いところを作るようにもしたという。あえて不利な場面も作ることでより楽しくなるのではないか、という思いを持っているとのことだ。
一方、今回初公開になった「フラック」も気になるところだ。フラックもモズ同様大きなチャレンジをしたキャラクターだという。フラックは3種類のペットを使いこなす。3種のペットをいかに自然に描写するか、そこに苦労をしたとニコルソン氏は答えた。ジャバーは2足歩行で銃を撃つことができるペットだし、スパイダーアントは8本足で地を這う地上の動き1つでも大きく違い、戦い方も全く異なる。こういった細かい描写にも気を使っているとのことだ。
ペットにはモズ同様何か制限があるのだろうか? 例えば「ボーダーランズプリシークエル」では酸素がない場所があった。こういうペットが出せなくなるような地域があるのだろうか? 筆者の質問にケスター氏は「ペットは環境で使えなくなるといった場面はないです」と答えた。
しかしペットが倒されてしまわないように注意が必要だという。ペットが倒されると再出撃できるようになるまでクールダウンの時間がある。逆に言えば倒されなければずっとペットは一緒にいる、というのがフラックの特徴だ。これまでのシリーズのキャラクターのアクションスキルは何かを呼び出すことができても、短い時間しか活躍させられなかった。ずっとペットと一緒に行動できる、というのはこれまでのキャラクターにはなかった特性だ。
「ボーダーランズ3」では、これまでにないプレーヤーキャラクターを登場させようという意気込みを強く感じる。今作で一番苦労したキャラクターは誰だろうか? 「モズのロボット"アイアンベア"は本当に大きなチャレンジだったよ」とケスター氏は答えた。
ミニガン、ロケットランチャーなど3つのスキルがある中、プレーヤーの育て方で攻撃方法が大きく異なり、さらにロボの後ろに他のプレーヤーキャラクターが乗ることもできる。ロボは大きいから地形との調整も必要になった。「モズには本当に時間を使った。最も"高価"なキャラクターと言えますね」とのことだ。
今回の体験会では序盤からプレイできたが、最大の注目ポイントに関してニコルソン氏は、「多彩さ」だと語った。今回はまずフラックをプレイするが、スキルの育て方で戦い方は序盤から大きく変わっていく。また操作感、地形を利用した戦いなど、プレーヤーが思い描いたアクションが実行できる楽しさも感じて欲しいという。
今回はさらに「エデン6」という新たな惑星まで行くことができる。ここはうっそうとしたジャングルが広がる野生の世界で、広がる風景はパンドラとは全く違う。是非ここまで体験して欲しいとニコルソン氏は言葉を結んだ。
最後にユーザーへのメッセージとしてニコルソン氏は「ぜひゲームを楽しんでください。私達は楽しみながら……時にはとても苦しんだのですが、ゲームを開発しました。お届けできるのが楽しいです。ゲームをプレイして是非私達の興奮に共感して欲しいです」。
ケスター氏は「本作が発売される9月13日、ぜひ注目してください。私達はたくさんの愛を込めてこのゲームを作り出しました。私達が出せる力全てを使い、最高のものを作り上げました。それはファンの皆さんの応援あってのものでした。ぜひ遊んでください」
今作はこれまで以上に多彩な能力を持ったキャラクター達が楽しい。筆者もこのインタビューの後プレイしたが、ノリノリのシナリオ、日本語声優の熱演、ド派手な演出などこれまでのシリーズを受け継ぎ、そしてパワーアップしているのが確認できた。
さらにアクションである。走り、飛び、撃つ。これが非常に楽しくできる。協力プレイでは連携を活かして戦える。本当に発売日が楽しみだ。もっともっとプレイしたくなった。
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