インタビュー

【Predator League】Sabrac選手「次の目標は世界大会1桁順位!」 SunSister Suicider'sインタビュー

2月15日~17日開催

会場:Nimibutr Stadium

 「PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS(PUBG)」のアジア大会「Predator League 2019」が2月17日閉幕した。日本代表として出場したSunSister Suicider'sは、3日間で15ラウンドを戦い抜き、初日12位と出遅れたものの、2日目で待望のドン勝(1位)を獲得して6位まで順位を上げ、最終日でも2日連続ドン勝を決め、総合順位5位という、これまでに参加した国際大会の中でも最高の結果で大会を終えた。

 会期中のインタビューでは1桁順位とドン勝の獲得を本大会の目標に掲げていたが、それを完全にクリアしての大会終了となる。チームとして、eスポーツアスリートとして、大会を通じてどのような手応えが得られたのか、大会終了直後にチームに話を伺った。

 なお、gabha選手は大会直前に引いた風邪の影響で、大会期間中ほとんど声が出せないというトラブルに陥っていた。最終日は快復し、インタビューではチームやファンに対して謝罪の言葉を述べていたのが印象的だった。今週末からは「PUBG」の日本リーグ「PJS」が開幕する。SunSister Suicider'sは本大会の経験を活かして世界レベルの強さを見せてくれるのか、意外なダークホースが現われるのか、「PUBG」ファンの1人として楽しみにしている。

【SunSister Suicider's】
大会を終え、ホッとした表情のSunSister Suicider'sのメンバー達。テーブルには本大会で愛食したというバーガーキングの食べた後が残されている
【日本チーム】
SunSister Suicider'sと、チームを支えた日本エイサーと現地サポートスタッフの皆さん

――3日間お疲れ様。まず3日目の感想を聞かせて欲しい。3日目は初戦のドン勝が最上の出来で、その後は今ひとつ調子に乗りきれなかった印象がある。

Sabrac選手:ドン勝が獲れた試合は、落ち着いて行動できて、見て動いて見て動いての繰り返しで、最後に集まれてしっかり戦えた。他のラウンドも、結果が出なかったとは言え、ここにカバーを置いて詰めれば良かったとか、学びがたくさんあったので、収穫自体は多かった日だった。

――連日ドン勝を達成した結果、総合5位という結果となったが、この結果をどのように受け止めているか?

Sabrac選手:最初の目標だった一桁順位とドン勝1回という目標はいずれも達成できたが、正直5位まで行けるとは思っていなかった。半分の8位ぐらいまでいければ上出来で、まだまだ甘いところはいっぱいあったが、2日目、3日目とそれぞれ修正して動くことができて、これまでに参加した海外大会の中で、もっとも修正することができたのではないかと自負している。

【SunSister Suicider'sは総合5位に】
状況から上位4チームがほぼ確定する中で、SunSisterがどこまで上位に食い込んだかが注目されたが5位だった

――ラウンド11で見事にドン勝を獲ったが、Predator Leagueの問題点として、タイ以外のチームをほとんど映してくれなくて、SunSisterがまともに映ったのは終盤の29分あたりだったので、実はどういう戦いをしたのかよくわかっていない(笑)。どのようなムーブと作戦だったのか教えて欲しい。

Sabrac選手:マップが中央寄りで、サークルが第2パルスに切り替わる段階でクルマに乗って、Rozhokの東側から一気に南下することができた。今回の大会で、西側が全体的な傾向として手薄だというのは感じていたので、またラウンド9でドン勝を獲ったときのムーブと同じように西に回ってみようという話をして、一気に南側の端まで回って、次にクリアリングしながら高いところを目指して、Pochinkiの南側を獲って、周りを見て動いてということを繰り返していった。あの試合は、落ち着いてしっかり空いているところに入れたというのが大きい。あとは丁寧なクリアリングと、敵を近づけさせない動き。むやみに手を出さずに、最後の最後だけしっかり戦うということができたのが良かった。

――日本語配信では、ドン勝を獲った時は視聴者は大歓喜で、3位ぐらい狙えるのではないかという勢いになっていた。選手の皆はどういう意識だったか?

Sabrac選手:2日目ぐらいの調子が続けば、3位ぐらい狙えるかもしれないとは少し思ったが、順位を落とさないように頑張るという意識の方が強かった。5位でも凄く満足している。

【ラウンド11】
北から回り込んで西から入るSunSister。会場で応援しているのにマップ表示でしかSunSisterの状況がわからないのがもどかしかったが、その大胆な動きは見ていて楽しかった
最終局面で、有利なポジションからSignature Gaming(タイ)やAfreeca Freecs Fatal(韓国)を壊滅させていくSunSister

――ドン勝を獲った後の12~15ラウンドは、今ひとつ波に乗りきれなかった印象がある。理由は何だと考えているか?

Sabrac選手:さっきもそのことについて話し合っていた。絶対に戦わなければいけない局面で、どこから突っ込むかとか、カバーの枚数について、やられて気づくことが多かった。一言で言えば実力不足ということになると思う。

【ラウンド12】
サークル遷移に嫌われ、侵攻ルートが絞られたケースでのムーブが1つ課題として挙げられそうだ

――たとえば、ラウンド14のRuinsの戦いでは、見ていてちょっと無理攻めを仕掛けてしまったかなという印象を持った。あれはどういう判断だったのか?

Sabrac選手:教会を攻略するということ自体はまったく問題がなかったが、車を着ける方向だったり、カバーの枚数だったりが甘かった。「今度からは右からの射線を切れるように、右から回ってカバーを2枚置こう」という話をした。

【ラウンド14】
開けたRuinsが主戦場となったラウンド14。SunSisterは北側から川沿いを南下し、その手前の教会の奪取を狙ったが、待ち伏せを食らうような形で全滅してしまった

――その一方で、最終ラウンド、Sabrac選手が家の中で捕まってしまったシーンでは、その後の3人での息の合った救出劇は素晴らしかった。

Sabrac選手:あれは僕が2ダウンさせて、もう1人も瀕死という状況だったので、「すぐ突っ込んで来てくれ!」と指示を出して、寄って行ったときにつっかえたりなどのアクシデントもあったが、あそこをしっかり取り切れたのは良かったし、あそこを勝負できなかったらこの先も勝てないと思った。あそこはサークルの中央で絶対に押さえたい場所だったので、しっかり勝ち切れて良かった。

――ちなみにその最終ラウンドでは、最初に降下したSevernyにそのまま篭もるのかと思ったが、すぐ西に移動した。あれはどういう判断だったのか?

Sabrac選手:それはサークルの中央だったから。物資を漁っているところからすぐにたどり着ける場所で、早く動くことがこの大会では良い結果に結びついていたので、むしろ今まで一番早く動いたぐらい。

【ラウンド15】
最終戦ラウンド15は、惜しくも途中で敗退してしまったものの、チーム間の連携が冴え、9キルのスコアを叩き出した

――ラウンド13では、最後まで生存してたgabha選手が建物にずっと篭もりきり、見事に3位を獲得した。あれはどういう気持ちで篭もっていたのか?

gabha選手:少しでも順位を挙げてポイントを獲りたいと思っていた。

――最後の最後に銃撃戦に参加した。

gabha選手:あれも確定キルをとって1つでもポイントを稼ぎたいという気持ちだった。

【ラウンド13】
Asbolが支配する教会にひっそりと篭もるgabha選手。新たなグローバルルールでは、8位まで順位ポイントが獲得できるため、戦力が削られたら、生き残りに徹する戦術もありになった

――改めて本大会を終えた感想を聞かせて欲しい。

Sabrac選手:これまでの大会では、初日にコケたらずるずるコケっぱなしで修正できないまま会期を終えていたので、今回の大会では、毎日終わった後に、ここがダメでここを修正した方がいいんじゃないかということをチーム内で共有して修正することができて、そこで立てた仮説を実際に試すことができたのが良かった。仮にそれがダメで失敗しても、試して失敗したほうがいい。もちろん、大会なので、結果も求められるが、チャレンジ精神も忘れないようにしたい。成長し続けなければ未来がないので、結果も自分が思っていたよりも良い結果を出すことができたし、楽しい大会だった。

CrazySam選手:海外戦はうまくいかないことが多くて、結果はこれまでに比べればとても良かったが、だからといって感想に変化があるかというとそんなことはなくて、回数を重ねることで初めて気づくミスがある。こういうときはこうした方が良い、この場合はこうという具合に。その点については大きな収穫が合ったと思う。結果が良かったからといって、そんなに嬉しいわけでもないし、ドン勝が獲れたからといって格別の感想があるわけでもない。ただ、2回のドン勝と5位をとったというのは事実としてあるので、少しだけ成長できたかなと感じている。

CiNVe選手:僕はこのメンバーで国際大会に参加して、1桁順位とドン勝を獲るということを目標を掲げてきた。本大会ではそれは実現できそうだったので、ラウンド14が終わってポイントを見たら、90ポイントぐらいいっていたので、100ポイントを狙ってみようと新たな目標を立ててそれもクリアすることができた。昨日のインタビューでも話したが、もっかいドン勝獲るということも達成できた。本音では獲れたらいいなぐらいだったが、実際に獲ることができて、全体として良い流れだったのではないかと思う。

 1日目が結構悪かったが、修正して2日目に結果を出すことができた。3日目も、初戦でドン勝を獲った後、2戦目が悪かったけど、3戦目で修正してgabhaが頑張って3位に入って、4戦目も悪かったけど、5戦目で修正してしっかりキルを獲ることができた。悪くても修正ができる3日間だったんじゃないかなと思う。

gabha選手:今までの国際大会に比べて、反省点をしっかり次に活かすことができたのもそうだが、今までにないぐらい次の国際大会への糧になったんじゃないかと思う。

【繰り返し立ち塞がってきたAFF】
会期中、繰り返し立ち塞がってきた韓国代表AFF。フィジカルが強い相手に対して、どう対峙するのか、ここも課題と言える

――今大会の最大の収穫と課題を挙げるとすればなんだろうか?

Sabrac選手:収穫は、この大会に合わせてしっかり修正できて、チャレンジもできたというところ。反省点は敵がいるところに対する攻め方が甘い。韓国のチームの戦い方を見ていても、詰める際に、車にスモークを炊いて、そこから出てくるとか、細かいけど巧いプレイが多い。そういったプレイを僕らも取り込んでいきたいと思う。失敗するかもしれないがチャレンジはし続けていきたい。

――本大会を通じてSunSister Suicider'sは、世界レベルで戦うチームとして一皮剥けたという印象を持っている。実際に15ラウンドを戦ってみて、どのような手応えを感じているか?

Sabrac選手:前の大会よりは成長できたと思う。ただ、ガッツリ成長できたかというと、そこまでではないと思う(笑)。むしろ、これから始まる日本のリーグや、次の国際大会の方が成長機会があるかもしれない。駄目なところをすぐ修正するということができたのは良かったと思う。

――来週からPJSがスタートするが、この経験をどのように活かそうと考えているか?

Sabrac選手:ムーブに関してはある程度できていると思っているので、あとはポジションの取り方、散開の仕方、カバーのやり方などを徹底していけば、日本のリーグでももっと勝率を高められると思っているし、高い得点を出せるのではないかと考えている。実際に、それを実践で試すのが楽しみ。

――gabha選手から次の国際大会という言葉も出てきたが、2019年のSunSister Suicider'sの目標、抱負について聞かせて欲しい。

Sabrac選手:今回アジアの大会で5位を獲れたが、まだ世界大会で一桁順位を獲ったことがない。まずは世界大会に出られるようにしなければならないし、世界で一桁というのはかなり高い目標だと思うが、そこに向かってもっと練習して強くなっていきたい。

――最後に、SunSisterを応援してくれたファンに向けてメッセージを。

CrazySam選手:3日間応援ありがとうございました。ひょっとしたら3位に上がるかもという期待を持ってくれた方もいたかもしれないが、個人的にもミスが多く、頑張りきれなかった。また国際大会に出場できたら、個人のミス、チームのミスを減らして、もっと高い順位を目指して頑張っていきたいと思うので、引き続き応援よろしくお願いします。

CiNVe選手:3日間応援ありがとうございました。今回、わざわざ会場まで応援に来てくれた人がいて、客席から「サンシスー」って声援が聞こえた。国際大会でもファンの存在を感じることができて感動した。凄く嬉しいし、Twitterでも応援のコメントをたくさん頂いた。個人宛にもメッセージを送ってくれる人が多くて、会期中はとても励みになったし、次の世界大会ではもっといい成績を残せそうだなという手応えを得られた。このチームでやっていけば、次も一桁順位狙えるんじゃないかと思ってる。まずはPJS1位というところを目標に頑張っていきたいので応援よろしくお願いします。

――gabha選手は今回風邪を引いてパフォーマンスを維持するのが大変だったと思う。体調が悪い仲でパフォーマンスを発揮できたのはプロとしてさすがだなと感心した。

gabha選手:自分の責任でこういう状況になってしまった。このことはTwitterにも書いていないし、書いたことで変に心配して貰っても困るし、困るというか申し訳ない。今回はチームメンバーには本当に迷惑を掛けてしまったし、今後はこういうことがないようにしっかり気をつけたい。すいませんでした!(大声)

全員:(笑)

【フェアウェルパーティー】
大会終了後、近くのバーで、選手や関係者を集めたフェアウェルパーティーが開かれた
日本予選の時から独特の存在感を放っていたアフロの2人(日本エイサー谷康司氏、安藤康夫氏)と、日本エイサー代表取締役社長のボブ・セン氏(中央)。日本チームが好成績を収め、満面の笑みを見せていた
タイ代表Signature Gamingの選手と友好の証しとしてユニフォーム交換を行なうCiNVe選手