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【Predator League】SunSisterが国際大会で1年3カ月ぶりにドン勝を獲得!
総合順位も6位まで上昇。熱戦が続く「PUBG」部門2日目の模様をレポート
2019年2月17日 02:27
Acer主催のAPAC向けのeスポーツイベント「Predator League」が2月16日、会期2日目を迎え、日本代表として「PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS」部門に出場しているSunSister Suicider'sが、ラウンド9で見事ドン勝(1位)を獲得した。SunSisterが「PUBG」の国際大会でドン勝を穫ったのは、βテスト時代にG-STAR 2017で行なわれた「G-Star 2017 PUBG Asia Invitational」以来、実に1年3カ月ぶりで、エポックメイキングな出来事となる。
「PUBG」では日本最強軍団として知られ、数々の国際大会に参加してきたSunSisterだが、競技種目である「PUBG」が“eスポーツ超大国”である韓国のタイトルということもあり、世界の厚い壁に阻まれ、これまで思うような結果を残すことができていなかった。先月行なわれた「PUBG Asia Invitational 2019」では、SunSister Suicider'sはAPAC大会でありながら、16チーム中16位、12ラウンドで30ポイントしか取れないという惨敗を喫した。
eスポーツの分野において、日本と海外では、大会、スポンサー、コーチ、教育システム、そしてアスリートへの報酬とあらゆる環境が異なり、日本はまだまだ後進の立場であるため、日本で活躍しているトップチームでも、世界では勝てないことが多い。SunSisterもその例外ではなかったが、各国で「PUBG」のプロリーグが正式に立ち上がり、eスポーツとしての「PUBG」がさらに盛り上がりを見せつつある中で、今回のドン勝はまさに快挙といっていい。
初日に行なわれた5つのラウンドでは、一定のキルは稼げたものの、キルポイントは一切稼げておらず、中盤から終盤に至るムーブの改善を課題に掲げていた。「PUBG」は、サークルの遷移をはじめ、運が絡む要素が多いため、競技として平準化するために、10以上のラウンドの総合得点で順位を決めるようになっている。
当然、試合は1日では決着が着かず、Predator Leagueのような国際大会では15ラウンドで争われるため、1日5ラウンドずつ、3日間にわけて試合が行なわれる。試合はすべて録画され、その日が終わった後、選手を含め誰でも見ることが可能で、選手達は試合を見直しながら作戦を練り直し、チームの悪かった点を修正し、なおかつ相手の動きを研究する。
このため初日にビギナーズラック的に勢いで多くのキルやドン勝を拾ったところで、そのままの戦術では2日目、3日目に攻略され、総合優勝を逃してしまう。逆に初日の結果が思わしくなくても、敵の手の内を研究し、“プランB”を選択することで勝機が見いだせることもある。このチーム間の見えない駆け引きが、「PUBG」の国際大会の大きな魅力のひとつだ。
SunSister Suicider'sは、2日目、明らかにムーブを修正してきた。しかも大胆かつ徹底的に。降りる位置こそ、北側中央なのは(ミラマーは南東)固定だが、PJSと比較しても動き出しが非常に速く、まるで違うチームのようだった。
2日目最初のラウンド6では、アタッカーのCrazySam選手が5キルと躍動し、かつ7位に入賞し、本大会で初めて順位ポイントを獲得するなど上々の滑り出しを見せた。ドン勝を穫ったのは11キルで快勝したAfreeca Freecs Fatal(AFF、韓国)。やはりこのチームは別格の強さだ。
ラウンド7は、サークルが西に寄り、病院周辺が主戦場となった。CiNVe選手が病院への寄せに失敗し、1人削られてしまったものの、病院南方の建物を占拠することに成功する。しかし、最後はサークル遷移に嫌われてしまい、先に病院を占拠していたPinto Gaming(タイ)にサークル収縮でいぶり出されたところを屋上からつるべ打ちされ、あえなく全滅。しかし、順位は3位。2キルと合わせて7ポイントを獲得した。
ラウンド8は、唯一のミラマー。だだっ広い荒野の中、乗り物がないと“死の行軍”を強いられるクセの強いマップだが、SunSisterは全チーム中最速のムーブで、有利ポジションの確保を最優先に動いていた。そのオーダーが奏功し、本大会初となる4人生存での最終局面を迎えた。
Sabrac選手が中央の小屋に単独で乗り付け、安全が確認できたところでCiNVe選手が加わり、サークルの収縮に合わせて残り2人も小屋に入った。4人とも小屋に入るのはリスキーだが、サークルのど真ん中、もっとも有利な位置に付けている。
ただ、そのムーブに気づいていたのが、本大会でMVP級の活躍をしているAFF Style選手とShadowだ。丘の上からスコープを構えるAFF Shadow選手の報告を受けながら、Style選手は穀倉エリアを単身で疾走して小屋の近くまでたどり着き、裏から回っていたAFF GukHyun選手と共に踏み込み、小屋に潜んでいたSunSisterの4人を一気になぎ倒した。そのキルムーブは衝撃的なほど鮮やかで速かった。Sabrac選手は「出るタイミングを逃して出るに出られなくなっていた」と反省しきりだったが、惜しい戦いを逃したと感じた。終わってみればAFFの18キルドン勝で、速くもポイントを3ケタの大台に乗せた。
そして迎えたラウンド9。筆者は先の戦いの負けっぷりが尾を引いてないか心配だったが、結果としてはSabrac選手のオーダーが冴え渡る一戦となった。サークルはまたしても西に寄り、優勝候補のAFFや、地元の大声援を受けるPurple Mood E-Sport(PME)が早いタイミングで離脱する中、サークルから見て北東に位置するSunSisterは、そのまま南西に直進するのではなく、サークル範囲ギリギリまで使って、反時計回りに西からグッと南方へ回り込むという交戦を避ける戦術に出た。
これが完全に当たってほとんど戦闘を経ないまま最終局面へ。相対するTeam Immunity(オーストラリア)は家屋に陣取る一方で、SunSisterはほとんど遮蔽物のない平地に陣取った。やや不利な局面だったが、gabha選手が乗り物で丘の上に乗り付け、敵を引きつけつつ、敵の状況を確認することに成功する。最後のサークル遷移はSunSister寄りとなり、最後の1人をCrazySam選手が決めて見事ドン勝となった。
SunSisterはキル数は6止まりながら、ドン勝を穫ったことで10ポイント、計16ポイントの獲得に成功した。これだけで1日目で獲得した総ポイントを上回るポイント数だ。SunSisterはこの勝利で順位を6位まで上げ、チームが目標にしていた順位一桁台と、1回のドン勝をいずれも実現させた。
明日会期3日目にさらに5ラウンドを戦い、計15ラウンドの合計得点で総合順位が決まる。2日目終了時点では、1位がAFF(75キル、119ポイント)、2位がPME(55キル、95ポイント)、3位がTeamImmunity(63キル、85ポイント)で、SunSisterは6位(40キル、63ポイント)につけている。
優勝の行方は、ほぼAFFで確定だと思われるが、SunSisterも成績次第ではさらに上位も狙える位置となっている。ようやく日本代表としての実力をアジアに見せつけたSunSisterだが、ムードメーカーのCiNVe選手は「もう1度ドン勝を穫りたい」と欲張りなことを言っていた。1大会2ドン勝になれば、日本史上初の快挙となるが、果たしてどうなるのか、最終日の彼らの活躍を見守りたい。