【特集】
2025年は「機動戦士Zガンダム」放映40周年! 関連アイテムやゲームでグリプス戦役の物語とMSの活躍を振り返る【年始特集】
2025年1月3日 00:00
- 【機動戦士Zガンダム】
- 1985年3月2日~1986年2月22日放映
今年2025年はアニメ「機動戦士Zガンダム」が放映40周年を迎える年だ。1979年放映の「機動戦士ガンダム」の続編として、その6年(終了からは5年)後に放映が開始された同作は、前作とはまた違う魅力を持つ作品として、現在も高い人気を誇っている。
宇宙世紀0087を舞台としたガンダムのTVシリーズ2作目となる「機動戦士Zガンダム」の魅力を、同作に関連する映像、ゲーム、フィギュアなどからその魅力を本稿にて振り返ってみたい。
一年戦争終結後に発生した「グリプス戦役」の物語を描く続編
「機動戦士ガンダム」の舞台となった一年戦争(宇宙世紀0079)の終結後の、宇宙世紀0087に発生した「グリプス戦役」を舞台とする物語を描いた「機動戦士Zガンダム」。地球圏の治安維持を目的に地球連邦軍内に組織された「ティターンズ」と、それに対抗する反地球連邦組織「エゥーゴ」との戦いを主軸に、その終盤に第3勢力となるジオン公国残党「アクシズ」の地球圏帰還により三つどもえの戦いへと発展していく。
一般人の少年カミーユ・ビダンが戦争に巻き込まれ、戦いを経てニュータイプの能力が覚醒していく展開は前作と似ているが、戦禍における彼を取り巻くの人々の人間模様を克明に描いている。シャア・アズナブル(クワトロ・バジーナ)やアムロ・レイ、ブライト・ノア、カツ・ハウィン(カツ・コバヤシ)など前作から引き続き登場する人物も多数存在し、それぞれの活躍と葛藤には誰もが心を打たれた。
グリプス戦役の戦いは宇宙と地球の多岐にわたり、エゥーゴによるガンダムMk-II強奪、ジャブローの核爆弾による破壊、ケネディポートでのシャトル打ち上げ時の戦闘、ホンコンシティのサイコガンダムの出現、ティターンズによる月面侵攻、コロニーへの毒ガス注入、キリマンジャロ基地への侵攻、クワトロのダカール演説、ゼダンの門(ア・バオア・クー)へのアクシズ衝突など、印象に残るシーンは多いはず。特にティターンズ、エゥーゴ、アクシズのグリプス宙域での最終決戦の結末は衝撃的であった。
劇中のBGMは作曲家の三枝成彰氏が担当。オーケストラを主軸とした楽曲はシーンに深みをもたらし、緊張感や安らぎなど緩急のある演出として使用された。筆者は後述するゲームソフト「機動戦士ガンダム ガンダムvs.Zガンダム」にこれらが収録されていたことで、作品がさらに好きになり、以下のサウンドトラック「機動戦士Zガンダム SPECIAL」を購入し、現在も愛聴している。
番組放映から20周年を迎えた2005年~2006年には富野由悠季監督の手により、TV版の映像に新規映像を加えて再構成された劇場版「機動戦士Zガンダム A New Translation」3部作が製作された公開された。再構成にあたりストーリーの変更が行われ、その結末は大きく変わっている。
また2002年からは、同じグリプス戦役下におけるティターンズ側視点の物語を描いたスピンオフ作品「ADVANCE OF Z」シリーズが小説やコミックなどで展開。近年はこちらの関連アイテムも人気を集めている。
衝撃の「黒いガンダム」の登場、そして各勢力の可変MSの台頭
「機動戦士Zガンダム」は登場するMS(モビルスーツ)も魅力的で、一年戦争の時代から大きな進化を見ることができた。
劇中序盤の主役機は、タイトルにもあるゼータガンダムではなくガンダムMk-IIであり、その身体は黒い(正しくは濃紺)カラーで塗られたのティターンズが開発したMSである。敵勢力から奪った機体が主役機となり、連邦軍のMSとして開発されたハイザックやジムIIなどと戦うシーンは、当時としては実に新鮮な感覚だった。
そして第21話「ゼータの鼓動」でついにゼータガンダムが登場する。前番組の「重戦機エルガイム」などでも見られた主役機の乗り換え演出が本作でも採用された。エゥーゴの「Z計画」によって開発された最新鋭機で、ウェーブライダーへの変形機構を有し、単独で大気圏突入も可能としている。番組当時から現在まで変形を可能とした玩具が多数発売されている。その最新アイテムは2025年4月発売の「METAL BUILD ゼータガンダム」となる。
MSは各勢力ごとに独自の進化を遂げていて、中でもとりわけ可変MSの存在感が強かったように思える。特にティターンズはガブスレイ、メッサーラ、アッシマー、ギャプラン、ハンブラビ、バウンド・ドック、サイコガンダム、サイコガンダムMk-IIなど、カ変MSの種類が非多く、劇中でシーンによってMS形態とMA(モビルアーマー)形態を使い分ける描写がされていた点は、本作の大きな魅力と言えるだろう。
登場キャラクターにモビルスーツ乗りが多かったことも、MSの存在感を強めた要因といえる。カミーユのライバル的存在のジェリド・メサは、登場するたびにティターンズの最新MSに乗り換えていた演出はインパクトがあったが、シャアのようにパーソナルカラーもなかったため“ジェリドといえばこのMS”というイメージがファンによって違っているのは面白いところ。
一方“この人ならこのMS”といパイロットも多数存在していて、筆者個人的にはアッシマーを駆る連邦軍士官ブラン・ブルタークを推したい。ハイザックの部隊を率いてケネディポートを強襲、カミーユのガンダムMk-IIやクワトロの百式の攻撃を退け、ロベルトのリック・ディアスを撃墜し、エゥーゴに奪われたスードリを奪還する活躍を見せている。
アッシマーは地球連邦軍製の大型可変MS(設定ではMA扱い)で、0.5秒という高速で変形し、空中でMAとMSに変形しながら戦う戦術を披露している。過去に立体化された商品も多いが、現行で入手できるのはガンプラのみとなっているので、「ROBOT魂 <SIDE MS>」での発売が待たれる。
ファミコン以前からゲームで楽しめた「機動戦士Zガンダム」。その後も多数作品が登場
ここからは弊誌らしく、ゲームで楽しめた「機動戦士Zガンダム」を紹介していこう。本作のゲーム化は早く、放映年の1985年にはバンダイからLSIゲームやPCゲームが発売され、翌1986年にはファミコンで「機動戦士Zガンダム ホットスクランブル」が登場する。開発は「ゼビウス」を手がけた遠藤雅伸氏率いるゲームスタジオで、3Dシューティングシーンのストーリー順に現れるMSの姿と、エンディングのシーンがドット絵で再現され、「星空のBelieve」のインスト版が流れるエンドロールは今も筆者の思い出に刻まれている。
その後スーパーファミコン、セガサターン、プレイステーションと家庭用ハードでタイトルが発売される中でセンセーショナルだったのは2003年のアーケードゲーム「機動戦士Ζガンダム エゥーゴvs.ティターンズ」のリリースである。
カプコンが開発を手がける、チームバトルアクション「機動戦士ガンダム vs.」シリーズの3作目であり、その名の通り主要MSがグリプス戦役の機体が多く登場。変形MSも登場し、劇中同様、戦況に応じて変形をすることで戦略の幅が広がる強さを持っていた。
筆者がとにかく夢中になったのは、家庭用ゲーム機向けの派生タイトル「機動戦士ガンダム ガンダムvs.Zガンダム」(2004)である。これに入っている「宇宙世紀モード」は、一年戦争からグリプス戦役までの戦史を、劇中に登場したあらゆるキャラクターの視点でプレイできモードで、劇中で戦死したキャラが生存するルートや、特定のキャラが別の勢力に所属するルートなど、2つの戦争の歴史が変わる“if”を体験することができるのだ。
ゲームプレイ自体が大きく変わるわけではないのだが、ランバ・ラルやガルマ・ザビが生存しグリプス戦役に参戦したり、ブランの連邦軍時代やロベルト&アポリーのジオン軍時代を追体験できたりと、ゲームならではの体験ができたことが高評価のポイントだ。前述の通り、グリプス戦役の戦いでは「機動戦士Zガンダム」のBGMが随所に使われているので、実際にアニメの中で戦っているような気分を味わえた。
駆け足で振り返ってきた「機動戦士Zガンダム」40年の記憶。このほかにも現行商品であるガンプラでも多数関連アイテムが発売されていて、そちらに関してはHOBBY Watchに掲載されるので、併せて読んでいただきたい。
40周年を迎える今年は商品展開やイベント開催などが活発になることは間違いなく、そちらにも大きな期待を膨らませつつ、40年に及ぶ「ゼータの鼓動」を懐かしく振り返っていただきたい。
(C)創通・サンライズ