ゼニマックス、PS3/Xbox 360「Skyrim」先行体験会を開催
今回は死刑台からのスタート!? 魅力の日本語マスター版を体験!!


11月19日開催



場所:富士ソフトアキバプラザ


 ゼニマックス・アジア株式会社は11月19日、東京の富士ソフトアキバプラザにてプレイステーション 3/Xbox 360用RPG「The Elder Scrolls V: Skyrim(ザ エルダー スクロールズV:スカイリム)」のメディア向け体験会を開催した。

 「The Elder Scrolls V: Skyrim(以下「Skyrim」)」は12月8日に発売予定で、価格は7,980円、CEROレーティングはZ(18才以上のみ対象)。「ザ・エルダースクロール」シリーズの最新作となる本作は広大なフィールドを旅し、やがて世界に大きな影響を及ぼす人物として成長していく冒険者を描く。自由度の高さと重厚な世界観がセールスポイントの「王道ファンタジー」である。本作は音声、字幕とも日本語となっている。

 今回、触ってみて「Skyrim」に夢中になってしまった。もうずっとこの世界にいたいと思った。目の前に広がる北国ならではの厳しくて美しい世界は、どんな脅威が待っているのかとワクワクさせられたし、ダンジョンの奥で盗賊と戦い財宝を得るような「小さな冒険」は「これがファンタジーだよな!」とニヤニヤしてしまった。さらにいくつもの思惑が絡み合う社会や、世界の脅威となるドラゴン……世界の命運をいずれ自分が左右できるのかと思うと、もう興奮が止まらない。できることなら仕事もしがらみも放り捨ててこの世界を旅していきたいと心の底から思わせられたゲームだ。

 今回の体験会ではゲーム序盤から2時間半プレイすることができた。序盤の展開を中心に、明らかになったシステムや日本語版ならではの楽しさを紹介していきたい。なお、今回体験できたバージョンは12月19日、20日で開催されているヨドバシAkibaの「海外GAME合同体験会」で試遊できる。本稿で興味を持った方はこちらに行ってみてはいかがだろうか。



■ ドラゴンの襲撃で九死に一生を得る。最初から明確にわかれる「帝国」と「反乱軍」の道

本作のプロデューサーを務めるゼニマックス・アジアの岩本けい氏
製品版と同じバージョンで2時間半試遊ができた

 体験会では複数のゲームメディアが集まり、試遊台でゲームをプレイできた。体験できたバージョンは製品版と同じものだ。体験会では最初に本作のプロデューサーを務めるゼニマックス・アジアの岩本けい氏が挨拶した。岩本氏は「『Skyrim』は前作から200年後の世界の北方地域スカイリムが舞台となります。剣と魔法に加え、ドラゴンが登場するというまさに王道のファンタジーです。圧倒的な自由度、プレイ時間は300時間以上というボリュームを持っています。2時間では本作のほんのわずかな部分ではありますが、是非お楽しみください」と語った。

 ゲームは馬車の上からスタートする。プレーヤーは荷馬車のような天蓋もない粗末な馬車に乗せられている。何かをしようにも「手を縛られているのでできない」と出て何もできない。周りを見回すとプレーヤーキャラクターと同じように手を縛られた3人の同行者がいる。その中の初老の男は猿ぐつわまでかまされている。プレーヤーの前の男、レイロフがこの世界や境遇を語ってくれる。彼らを捕らえたのは「帝国」の兵士達で、プレーヤーは国境を越えようとして捕まったらしい。

 猿ぐつわをされているのはウルフリック・ストームクロークというこの地方の首長で、“シャウト”でスカイリムの王を殺めたという。彼は帝国に叛旗を翻し、そして捕まったというのだ。レイロフは首長ウルフリックに従うものだと名乗る。そしてプレーヤーは帝国による処刑上に一緒に引き出され、首を切られるというのだ。訳がわからないまま逃げることもできずに断頭台に首を乗せられるプレーヤー、しかしその時、空を巨大な影が覆う。ドラゴンだ!

 ドラゴンは雄叫びを上げその口から炎を吐きかけ、周囲を炎に変える。ウルフリックやレイロフはその機会を見逃さなかった。一緒に捕まった仲間達と力を合わせ、ドラゴンと帝国兵士が戦いを繰り広げる中で武器を奪い脱出に転じる。その混乱の中、プレーヤーはその境遇に同情され帝国側の兵士ハドパルに助けられる。プレーヤーはハドパルかレイロフどちらについていくか選ばなくてはならない。

 「Skyrim」では帝国とスカイリムの民の対立が大きなテーマとなっている。帝国の支配力は弱まり、スカイリムの首長達は帝国に反感を持っている。しかし反乱側ではスカイリムの王が暗殺されたことで王位継承を巡って内紛が発生しているという。プレーヤーはこの複雑な状況の中、鍵を握る人物として活躍していくことになる。そして政治問題以上の脅威が「ドラゴン」である。伝説でしか語られなかった生き物が突如この世界に現われ人々を襲った。このドラゴン出現のニュースに世界は震撼する。彼らは何故この世界に突然現われたのか、大いなる謎がプレーヤーの前に提示される。

 今回筆者は反乱軍側のストーリーを進めてみた。レイロフの知り合いから、城塞都市に住む首長に紹介され、さらにそこからストーリーが進展していく。この展開は実はハドパルについていっても同じような流れになるという。それでいて帝国側と反乱側という立場は全く異なってくる。

 岩本氏によるとこの序盤の選択でゲームの展開全てが決まるわけではなく、プレーヤーはこの対立している勢力を何度も選んでいくことができる。その中で「名声値」とも言える隠しパラメーターがあり、キャラクターの立場が徐々に明確になっていく。さらにどちらの勢力にも所属しないようなプレイも可能だという。「Skyrim」はたっぷりと1つのストーリーをプレイすることも、立場を変えて何度もプレイすることも可能なのだ。


様々な種族でプレイできる。種族によって周囲の反応は異なる
北方地方のスカイリムが舞台となる。広大な世界では様々なドラマが待っている


■ 多彩なスキルは特殊能力でより強力に! 吹き替え版だからこそ活きる「Skyrim」のプレイ感

ロックピック(鍵開け)は「Fallout3」と同じ方式になった
左手に魔法、右手に武器で戦闘。左右それぞれの装備は“お気に入り”機能で瞬時に切り替えられる

 序盤で確認できた「Skyrim」のゲームシステムも紹介しよう。「Skyrim」の基本的なゲームシステムはスキル+レベル制となっている。「Skyrim」のスキルはゲーム内で使用するほどスキル値が上がっていく。スキルは「片手武器」、「防御」、「解錠」、「付呪」、「破壊」、「変性」など非常に多彩で目移りしてしまう。このスキルに関連するアクションを行なっていくことで、スキルは上昇していく。また書物を読むことでも上昇する。

 スキル画面ではそれぞれ対応する星座が設定されていて、これがそのままスキルツリーになっている。このスキルツリーには「破壊術の素人」、「鋼鉄の鍛造術」、「オーバードロー」など様々な特殊能力が設定されていて、レベルアップ時にこれらを習得していく。このスキルツリーの能力は非常に強力で、例えば電撃や火炎といった破壊魔法を使う場合、「破壊術の素人」を取得するとマジカ(MP)の消費が半分になる。最初はマジカゲージをほとんど使って敵を1人倒すのが精一杯だったが、「破壊術の素人」の取得で2人と対峙しても渡り合えるようになった。

 特殊能力のスキルツリーは強力になるほどに専門化していく。破壊魔法の場合は、「電撃強化」、「炎強化」。片手武器の場合は、斧を強化する「ハック&スラッシュ」、剣がつよくなる「剣士」、2刀流で攻撃力を上げる「二連疾風」といった形で使用対象が限定されていくのだ。鍛冶もドワーフの優れた技術が使える「ドワーフの鍛造術」や魔法の能力を持つ武器や防具が作れる「魔法鍛冶」など多彩に、専門的になっていく。これらの特殊能力を能力を取得することで、より個性的な存在になっていくのだ。

 戦闘での本作ならではの特徴も説明しよう。戦闘ではプレーヤーキャラクターは右手と左手に様々なものを装備する。左手に盾、右手に剣を装備すればXbox 360版の場合、LTを押せば盾を構え、RTで剣を振る。魔法もそれぞれの手に設定可能だ。例えば魔法の「電撃」を左手に、右手にメイスを装備すれば敵が近付いてくるまで電撃を浴びせ近づいたらメイスを当てるという戦い方も可能だ。

 装備の変更には「お気に入り」という機能を使う。あらかじめ装備画面で武器や魔法をお気に入りに設定しておくと、方向キーの上を押すことで瞬時に設定しておいた武器や魔法を呼び出せる。このメニューを呼びだしている時はゲームは停止するので、例えば弓を打って敵を攻撃し、近づかれたら剣と盾に持ちかえるということができる。今回筆者は電撃をマジカがなくなるまで浴びせてから左手を盾に持ちかえ接近戦にうつる、という戦法で戦った。

 お気に入りで自分なりの戦い方のスタイルを設定し、スキルツリーで使用スキルを専門化させていくゲームシステムは使いやすいと感じた。特にスキルツリーでの特殊能力の習得ははっきりと強さが変わり面白い。特殊能力は汎用性の高いものからどんどん専門性が強くなるように設定されており“特化”していくのが楽しい。「片手斧と電撃のエキスパート」というような、自分だけのキャラクターを構築していきたい。

 ゲームシステムのユニークさに加え、日本語版ならではの良さというのも触れておきたい。本作のストーリーは多くの勢力の思惑が絡み合う複雑なストーリーが進行する。さらにプレーヤー種族に対するNPCのリアクションなども細かく異なっていて、深く理解するにはやはり日本語版がオススメだ。言葉に込められた皮肉や、嫌なキャラクターがこちらを馬鹿にする感じ、いじめられっ子のちょっと卑屈な物言い、演説者の尊大な声……セリフに込められた意味も非常に細かく表現されていて、日本語吹き替え音声には声優と収録スタッフの情熱を感じる。

 道行く人達が交わしている会話や、視界外から話しかけてくる「周囲の声」もきちんと日本語化されている。「Skyrim」は「Fallout3」や「オブリビオン」以上にこの声の演出が強化されていて、雑踏の中で聞こえる声の他、ダンジョンで進む先での敵の警戒する声なども聞こえる。何人もの声から目標の声を聞き分けたり、相手の声で状況を判断することもある。日本語音声はそういったとっさの判断も可能にしてくれる。ネイティブな英語を聞き分けられる以外の日本人プレーヤーにとって、日本語版が「オリジナルに近いプレイ環境」を生み出すのではないかと思う。


両手武器を使ったり、それぞれの役割を工夫して様々な戦い方ができる。片手武器の場合、左手になにも装備しなければ右の武器で防御もできる。両手に片手武器を装備して二刀流も可能だ
召喚魔法も用意されている。特殊能力でより特化した強化も


■ 広大な地にたっぷり詰め込まれた冒険の数々、ずっとひたすら冒険したくなる「Skyrim」の世界

強力なドラゴン。戦う日を夢見てキャラクターを鍛える
今回瞬殺されてしまったサーベルキャット
今回体験できたバージョンは20日もヨドバシAkibaの「海外GAME合同体験会」で試遊できる

 重厚な世界設定に、凝ったシステム、それらを補強する日本語環境……「Skyrim」は非常にリッチなゲームだ。しかし何より「自由に歩ける」楽しさこそ、筆者は声を大にして主張したい。広大なファンタジー空間を歩き、ふれあえる楽しさ。未知の地を足で進み、神秘のベールをはいでいく興奮と、その先に見たもの、遭遇したもので広がっていく世界。「Skyrim」は「Fallout3」や「オブリビオン」と同じように、“冒険”の楽しさを実感させてくれる作品だ。

 今回の体験会で、筆者は提示されるクエストもそこそこに、いきなり荒野に踏み出してみた。「Skyrim」は眼前に広がる広大な大地が楽しい。視界の隅に見える人家や、大きな建造物、さらにコンパスで見えるダンジョンやオブジェクトのマークが筆者を誘う。目的を米酢にさまよい、様々なものに出会うというのは、本作の大きな楽しみだと思う。

 たまたま近付いた場所が山賊の住み家だったり、神の像の周囲に何者に襲われたのか巡礼者が屍をさらしていたり、偶然が生むドラマがある。立派な角に引かれて大きな鹿を追っかけ回したりもしてみた。ある場所は狩人の隠れ家で加工された皮が大量に手に入ったり、強い弓を見つけられたが目の前で狩人の死体を食べる「サーベルキャット」に遭遇、たった2発で倒されてしまった。ゲームオーバーになると以前セーブしたところに戻される。皮や弓は魅力的だったが、現時点ではサーベルキャットにはとてもかなわず、断念した。

 「Skyrim」は様々な生産施設を利用してアイテムを作成できる。盗賊のキャンプのような場所でも皮をなめす作業台があったり、肉を焼く焚き火のところで塩と鹿肉で焼き肉が作れたりする。簡単な調理や加工も楽しいが、精巧なアイテムを作り街で売るといったこともできるという。戦闘スタイルに合わせた生産技術を身につけるというプレイも楽しそうだ。また、盗賊などを倒すと「宝の地図」が手に入ったりもする。敵からの戦利品も多彩だと感じた。どんな脅威が待っているのか、なにができるのか世界を隅々まで歩き回りたくなってしまう。

 そしてこの自由度の高い冒険にストーリーが加わってくるからこそ「Skyrim」は楽しいのだ。帝国と酋長達の対立。ウルフリックは帝国に明確な敵対意識を持っているが、城塞都市のホワイトランに住む首長グルーフは違うようだ。NPCは帝国側、反乱側で微妙に役割や立場が変化するのも面白い。腹の探り合いのような、奥深いストーリーも楽しい。勢力の対立にドラゴンの脅威という要素が加わるメインストーリーは「Fallout3」や「オブリビオン」以上に作品世界にのめり込めると感じた。

 そして最大のクライマックスと言えるのが、これまでのムービーなどで紹介されている「ドラゴンとの戦い」だ。ドラゴンは複数いるようだが、現時点ではどう立ち向かえるか想像もつかない。キャラクターが“ドラゴン狩り”ができるようになるまで強く育てたい。その時自分のキャラクターがどんな強さを獲得しているのか、そう考えるだけでワクワクしてくる。2時間ではとても足りない。もっともっともっとプレイしたい、ずっとこの世界を冒険したいと強く感じた。



 体験会の後、質疑応答で岩本氏から話が聞けた。「Skyrim」の現時点でのキャラクターのレベルキャップはレベル50で、今後このキャップが引き上げられることもあるかもしれない。DLCに関しては海外のインタビューで存在そのものはあきらかにされたが詳細は未定とのことだ。規模はある程度大きなものになる予定だという。DLCが発売される場合は当然日本語版も用意される。

 本作の国内販売目標に関して岩本氏は「20万本~30万本は行きたい」と語った。ゼニマックス・アジア ゼネラルマネージャーの高橋徹氏は「『オブリビオン』が通常版やベスト盤を含めて28万本以上売り上げているのでそれ以上です」と補足した。「王道ファンタジー」という題材からも、「Skyrim」のユーザーの注目は非常に高い。日本に先がけ11月11日に発売された米国では700万本出荷し既に350万本以上売れているという。日本での「Skyrim」の人気にも期待したい。


生産や狩りなど多彩な行動ができる。極めれば大金を稼いだり、強力なアイテムも。右は各地にある遺跡。神に祈ることで特別な支援も受けられる
NPCとの出会いや、モンスターの戦い、強力な能力の獲得など、多彩な要素が詰まっている

The Elder Scrolls V: Skyrim (C)2011 Bethesda Softworks LLC, a ZeniMax Media company. The Elder Scrolls, Skyrim, Bethesda, Bethesda Game Studios, Bethesda Softworks, ZeniMax and related logos are registered trademarks or trademarks of ZeniMax Media Inc. in the U.S. and/or other countries. All Rights Reserved.
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(2011年 11月 19日)

[Reported by 勝田哲也]