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BFG 2011レポート

ゼニマックス・アジア ゼネラルマネージャー高橋徹氏インタビュー
「Skyrim」はフルローカライズ、仕様変更なしで12月リリース予定!


4月11日〜4月13日開催(現地時間)

会場:ユタ州パークシティ



 「BFG 2011」最後のレポートは、Bethesda Softworksの日本法人ゼニマックス・アジアのゼネラルマネージャー高橋徹氏のインタビューをお届けしたい。

 高橋氏は、カプコンのPCゲーム部門“第6開発部”での海外ゲームのローカライズビジネスを皮切りに、スパイクの海外ゲーム事業、そしてゼニマックス・アジアと、一貫して海外ゲーム畑を歩んできた“洋ゲーのプロ”である。

 新規タイトルのファインディングから、MG(ミニマムギャランティー)の交渉、ローカライズのクオリティコントロール、オリジナル仕様へのこだわりなどなど、その確かな手法には古くから定評があり、洋ゲーファンの支持も厚い。今回はその高橋氏に、「Skyrim」を筆頭に豪華ラインナップが揃うゼニマックス・アジアの2011年のビジネスについて話を伺った。

 最後に余談ながら“BFG”とは何の略かというと、“Bethesda Fucking Games(Bethesdaの最高にイカしたゲーム)”ということで、なんとなくコードネーム的に使っているうちに正式名称として採用されたということだ。




■ 2011年はBethesda飛躍の年に。「『Skyrim』が何より楽しみ」

ゼニマックス・アジア ゼネラルマネージャーの高橋徹氏
「BFG 2011」でとびきり高い注目を集めた「Skyrim」。今年もっとも期待されるRPGのひとつだ

GAME Watch編集部: 「BFG 2011」の感想を聞かせてください。

高橋徹氏 BFGというよりは2011年はBethesdaとしては4本もタイトルを擁していて、飛躍の年だと考えています。皆さんが長らく待っていた「Skyrim」が出ることが何より楽しみです。期待という意味では純粋に「Skyrim」ですね。後は「Rage」もかなり出来が良いので頑張って押していきたいです。ただし、日本と欧米ではid Softwareに対するブランドの温度差があるので、どう頑張っていこうか考えているところです。

編: 「Skyrim」は雪山に雲がかかっているシーンの描写は圧巻でした。あそこまで表現されているファンタジーゲームは無いですよね。

高橋氏 後は川の脇を歩いていると、鮭が川を上ろうとしている表現などもそうですよね。後は「Fallout 3」、「Fallout: New Vegas」と荒廃した世界観のタイトルが2本立て続けに来たことで、ファンタジーの中を散歩しているだけで楽しいような、潤いのある世界観が際立っています。

編: 日本でのセールスの目標を教えてください。

高橋氏 ぜんぜんわからないです(笑)。「Oblivion」はPS3とXbox 360をあわせて16万本くらいです。ベスト版やゲームオブザイヤーを合わせると23万〜25万本程度いっています。ですので、20〜25万本というのが本編での目標値になります。

編: それだけの数になると、かつて高橋さんが担当していた「GTA(Grand Theft Auto)」シリーズ並みのセールスですね。

高橋氏 そうはいっても「GTA」は30〜40万本はいっていますからね。もっとも、「Oblivion」はテキストだけのローカライズでしたが、今回はボイスも含めてフルローカライズしますし、発売日もほとんど変わらずに出しますので、さらに魅力は増していると思います。

編: 「Oblivion」は最終的にグローバルで何本くらい売れたのですか?

高橋氏 最終的な数字は公表していないです。

編: シリーズ累計で1,000万本と言われていますが、今回は「Skyrim」単体で届きそうな勢いがありますよね。

高橋氏 はい。「Skyrim」は色々な販売バリエーションも含めて、グローバルで1,000万本というのが1つの目標です。

編: まだ発売日が発表されていない「Rage」と「Skyrim」の日本での発売日はいつ頃を考えていますか?

高橋氏 「Skyrim」は海外が11月11日です。日本でも2011年中と言っちゃったので、どのみち1カ月間くらいしか猶予がありませんよね。「Rage」は海外が9月なので、日本では9月末か10月頭ということになります。それぞれ1カ月以内でのフルローカライズでの発売が目標です。

編: 「Skyrim」は、今回会話シーンがすべてリアルタイム処理になっていて、場合によっては会話が被さるように発生するケースもありますよね。ボイスの総量もかなり増えているのではないですか?

高橋氏 まだゲームが出来上がっていないのでなんともいえないのですが、「Oblivion」や「Fallout 3」並みだと勝手に推測しています。

編: 「Oblivion」の時はスパイクさんが発売しましたが、「Skyrim」は自社での展開となります。前回の「Oblivion」とローカライズの内容以外に、何か違いはありますか?

高橋氏 環境はだいぶ変りました。多分レーティングも変るのではないでしょうか。CEROさんの対応も当時と今ではだいぶ違うと思います。あとは当時よりハードの普及が進んでいるのと、自社でやるので投資するマーケティングコストも上げられるかなと思います。

編: 日本でも「Skyrim」は最初からメジャータイトルとして認知されそうですね。

高橋氏 「Oblivion」もかなり頑張りましたよ(笑)。でも実際、当時社内では1万本とか2万本しか売れないんじゃないかといった弱気な発言がありましたからね。

編: 「Skyrim」のDLCの取り扱いはいかがですか。

高橋氏 DLCがあるかという発表もまだなのですが、あるものについては日本でも出していきます。

編: 「Oblivion」、「Fallout 3」の展開を見ると、当然「Skyrim」にも充実したDLC計画があると考えるのが自然です。北米で展開しているものは、すべて日本でもローカライズした上でリリースする予定と考えていいですか?

高橋氏 そうですね。残念ながらといいますか、本編をフルローカライズしてしまいますと芋づる式にDLCもフルローカライズをせざるを得ないですからね(笑)。

編: DLCも英語版のリリースから1カ月以内ということでいいですか?

高橋氏 DLCについてはそこまで明確には言い切れないです。実際、「Fallout 3」はあえて日本でのリリースを遅らせました。というのも、「Fallout 3」は、北米ではXbox 360版のリリースが優先される契約になっていたからです。ですので1回目は遅れましたが、2回目以降はそうでもなかったですね。

編: 今回も「Skyrim」で、どのプラットフォームが優先されるような縛りがあるのですか?

高橋氏 DLCがあること自体、何も聞いていないです。

編: 日本人の中では高橋さんが1番「Skyrim」のディープなところまで見ていると思いますが、高橋さんが「Skyrim」で1番気に入っている部分は何ですか。

高橋氏 「Oblivion」は日本で成功しましたが、ユーザーから結構言われた事がモーションがしょぼいといったことでした。今回そういった部分が改善されています。さらに今回自社でできるのと、フルローカライズだということです。

編: 前回それができなかったのはコストの問題でしょうか。

高橋氏 当然コストの問題はありますが、前回はフルローカライズなど考えもしませんでした。

編: 今回は考えたと。

高橋氏 いいえ。今回は最初からやるつもりでした。「Oblivion」の頃から思っていましたが、やはりやったほうがベターですからね。文字を読むのは大変だし、街の人の会話も表示されるものとされないものがありますので。テキストだけでは情報を追い切れない。そうは言ってもお金がかかる。下手なDSのゲームが作れるくらいローカライズコストはかかるのです。

編: 確かに。

高橋氏 あとTodd(Howard氏、「Skyrim」エグゼクティブプロデューサー)がプレイしているところを見ただけで、まだ自分で試していないのですが、ビジュアルとストーリーの部分がどううまく機能してくるのかなと。「Oblivion」のときは結構クエストを与えてくれるキャラクターやクエストに重要な人が死んでしまうとそれで終了だったのが、改善されるようなことを言っていたのでそれは良いのかなと。

編: 「Oblivion」だと、クエストを与えてくれるNPCを殺してしまうと場合によってはゲームが破綻してしまいましたよね。結構プレイスタイルが実質的には制限されていたわけです。今回は無茶な遊び方をやっていてもいいと?

高橋氏 大丈夫そうですね。そうは言っても1番のポイントは自由度の高さで、好きなキャラクターになれて、好きな遊び方ができることです。そこの本質を変えずに行き詰るところや破綻する要素をどれだけケアできるかというところが楽しみなところです。話を聞く限りではうまくいくと言っていたので。Toddのことなので大丈夫だと思います(笑)。

編: 発売が延期される可能性はありますか。

高橋氏 ありません。「Oblivion」は国内では発売されてまだ3年ですが、海外ではすでに5年経っているので、5年分の進化が詰まっているのです。マップの見せ方とかメニューの表示1つとってもだいぶ洗練されています。



■ ローカライズ時にゲーム仕様の変更はしない方針

Human Head Studiosの「Prey 2」。2K Gamesからパブリッシャーを変えての展開となる
id Softwareの「Rage」。待望の新作だが、idは早くもその次のタイトルもすでに開発を進めているようだ

編: 次に、こちらも今回初めてデモが行なわれた「Prey 2」ですが、日本展開はいかがですか。

高橋氏 もちろん日本展開はします。

編: ローカライズはいかがですか。

高橋氏 するつもりですが、ゲームの内容を精査して、テキストだけのほうがいいということであれば、その可能性が無きにしもあらずですが、見た感じボイスもやる必要がありそうですね。

編: 今回初めて見せていただきましたが、前作からすると意外なほどというと失礼ですが、しっかりとした大作というイメージを持ちました。

高橋氏 そうですね。Bethesdaは基本大作しか扱わないですから。でも、確かによくできていましたね。

編: わざわざ「Prey」のライセンスを獲得するあたり、Bethesdaらしいビジネスだなと思いました。

高橋氏 そうですね。どうしても「Prey」という冠がついていると前作を想像してしまいますが、ぜんぜん別物のゲームですからね。

編: ええ、前作から比較してゲームとしてかなり洗練されていました。

高橋氏 はい。前作のイメージを引き継がないようにタイトルを変えたほうがいいと思うくらいです(笑)。

編: 発売日は2012年としか発表されていませんが、だいたいいつ頃を目処にしているのですか?

高橋氏 2012年中の出来た時ということですね。日本はそれから1か月以内の発売を予定しています。

編: 「Hunted」と「Brink」に関してはすでに日米で発売日が決まり、後は売るだけという状況ですね。抱負をお願いします。

高橋氏 「Hunted」のほうは、日本人好みの世界観とCO-OPがありますので期待しています。「Brink」ですが、日本で成功しているFPSというと「Call of Duty」を想像しがちですが、「Brink」は「Call of Duty」とはちょっとテイストの異なるシューターなのでそこがどうなのかというのが1つ。さらには5月末発売というタイミングです。実は受注などが終わってしまっているのです。受注活動が震災とかぶってしまい、あまりかんばしくなかったのです。実売の方がある程度いってくれれば、じわじわ伸びる可能性があるのでそこに期待しています。今年の目玉はやはり「Rage」と「Skyrim」なので、内部的にはそちらのほうに活動はシフトしつつあります。

編: 「Skyrim」や「Rage」は、日本で大がかりなローンチイベントはやったりしないのですか?

高橋氏 ローンチイベント的なものは特にやらないと思います。東京ゲームショウはおそらく「Rage」の出展がメインになると思います。東京ゲームショウのタイミングが、北米での「Rage」の発売の前後なのです。「Skyrim」はそのときにまだ出せないと思います。

編: 東京ゲームショウではBethesdaブースは出さないのですか。

高橋氏 出しません。

編: 昨年同様に、流通を担当しているスクエニさんのブースでの出展がメインですか?

高橋氏 はい。まだ承諾を取っていませんが、私の中で、勝手に間借りすることを決めています(笑)。

編: 直近の大きなイベントとしてはE3がありますが、そこで何かサプライズはありますか。

高橋氏 毎年このイベントはE3のプレビュー的な位置づけのイベントですから、ここに来られた皆さんには大きなサプライズは無いと思います。E3では今回皆さんにお見せしたタイトルをもう少し深く見せられると思います。

編: 「Skyrim」や「Rage」、「Prey 2」のローカライズについて何か仕様の変更はありそうですか?

高橋氏 最初から仕様を変えるつもりはありません。変更をしなければ出せませんという部分以外は変更しないつもりです。

編: 「Prey 2」や「Rage」は結構表現が激しかったように思いましたが大丈夫ですか?

高橋氏 所詮エイリアンですから問題ないです(笑)。今回は核兵器も出てきません。「Oblivion」も「Skyrim」もファンタジーです。「Rage」は欠損がありましたが、相手はミュータントです。と僕が勝手に思っています。何も変えない。そういった前提で臨みます。



■ Bethesdaのクオリティコントロールの秘訣は「不慣れなものに手を出さないこと」

昨年Bethesda Softworksの親会社ZeniMaxに買収された三上真司氏率いるTango Gameworks。「BFG 2011」では何の発表も行なわれなかったが、大型タイトルを開発中のようだ
インタビューを終え、暖炉を前にご機嫌の高橋氏。今回の発表に多くの手応えを感じているようだった

編: 「BFG」はどんどん規模を拡大していますが、世界的に見てもユニークなプライベートイベントになりつつありますね。

高橋氏 とはいってもまだ2回目ですよ(笑)。

編: 「Oblivion」の際は、「Oblivion」単体のイベントでしたから、それに比べると、Bethesdaそのものの事業規模は大きく様変わりしていますよね。今後が楽しみですね。

高橋氏 そうですね。楽しみです。「Oblivion」のときは北米のプレスしか呼んでいませんでしたから、本社の中にあるシアターで収まりました。しかし、販社もヨーロッパ、日本とできましたので、おさまりきれなくなりました。ただ、規模を追及するつもりはなくて、大事なのは質ですよね。

編: 今回は、他社から見れば羨ましいと感じるぐらい、いずれのタイトルも粒ぞろいだと思います。Bethesdaのクオリティコントロールの秘訣はなんでしょうか?

高橋氏 1つはわからないことには手を出さないということです。我々が作っているゲームのテイストがありますよね。要するにハイエンドゲームマシン向けのコアゲーマー向けのタイトルです。これをいきなりWiiで家族向けのものを始めるといった、自分達の得意としないものだったり、わからないものだったりというものには手を出さない。後はタイトル数をむやみに増やさないということです。

編: しかし、タイトル数は増加傾向ですよね。

高橋氏 それでもEAのような大手と呼ばれるパブリッシャーのように40本とか50本と比べるとまだまだ10分の1ですからね。

編: 日本法人としては、組織上は日本法人の傘下にある三上真司さんのゲームスタジオTango Gameworksについて何かお話できることはありますか。

高橋氏 残念ながらまだ何も無いです。まだ先の話です。

編: E3や東京ゲームショウで出てくる話はありませんか。

高橋氏 無いですね。

編: 三上さんが作られているゲームはどういったゲームですか。

高橋氏 ノーコメントです(笑)。

編: BethesdaらしいAAAタイトルですか?

高橋氏 もちろんです。

編: 「Skyrim」や「Rage」に匹敵するタイトルを作っているということですね。

高橋氏 どの部分で匹敵するかというのはありますが、PS3やXbox 360向けにそれなりのクオリティで作っています。

編: 開発はすべて日本ですか?

高橋氏 そうです。現在、日本のスタジオで人材募集していますし、徐々に人員も入ってきて本格的に開発ができる体制ができつつあります。

編: 日本でBethesdaクオリティのゲームができるということですね。

高橋氏 そういうことです。

編: お目見え・発売はいつごろですか。

高橋氏 わかりません。

編: 2012年もまだまだだよということですか。

高橋氏 それはもうぜんぜんまだです。2012年は「Prey 2」が出てきているので、順番的にその先ですね。Tango Gameworksを作る話が出てきたのもついこのあいだの話ですので、クオリティの高いものを作ろうとすると、やはり出来てからゲームが完成するまで3年くらいはかかると思います。なんとなく逆算してください(笑)。

編: id Softwareの「Rage」以降のタイトルについてはいかがですか。

高橋氏 色々準備はしていますが、現時点ではノーコメントです。

編: もう見ましたか?

高橋氏 見ました。とても良かったです(笑)。

編: 「Skyrim」を手がけるBethesda Game Studiosは、早くも「Fallout 4」に対する期待感が高まりつつあります。

高橋氏 正直、まだ何も聞いていないのですが、仮にTodd(Howard氏、「Fallout 3」、「Skyrim」のエグゼクティブプロデューサー)のチームが作るとすると「Skyrim」の後の話になりますね。

編: 海外のタイトルに対して、日本版がもったいないなと思う点としては初回版の扱いがあげられます。海外ではバリエーション豊かな初回版が用意されていますが、日本ではほとんどそういった扱いがありません。

高橋氏 コレクターズエディションは「Skyrim」に関してはやるかもしれません。ただ、モノをどう確保するかといった物理的な難しさも当然含まれてきますので、簡単にはいかないですね。

編: ただ、御社のタイトルも含め、海外のメジャータイトルは、初回版の並行輸入が華やかです。日本語版ほしさやリスクを取りたくないために、手を出していないゲームファンまで含めた潜在需要を考えれば、ちょっともったいないところはありますよね。

高橋氏 そうですね。日本では結構初回のコレクターズエディションの一部を無料で配ったりしているので、その形として中々残らないのが残念です。海外のほうが発売が早い上に、製造もかなり早いのです。

編: なるほど。グッズ付きだと製造期間もありますから、簡単にはいかないわけですね。

高橋氏 ええ、ですから1万個限定ということであればできなくもない。

編: 今回初回版の内容は決まっているのですか。

高橋氏 やるかどうかも決まっていないです。受注もまだ始まっていません。

編: Bethesdaのゲームを待ち望んでいる日本のゲームファンに一言お願いいたします。

高橋氏 こちらの開発スタッフが丁寧に作りこんだタイトルを我々も丁寧にタイムリーにローカライズして皆様にお届けしたいと思います。仕様の変更もなくお届けしますので楽しみにお待ちください。

編: ありがとうございました。


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(2011年 4月 22日)

[Reported by 中村聖司]