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「セガ 3D復刻アーカイブス2」インタビュー Part2

数多のこだわりを凝縮し“新生3D復刻の第一歩”がついに発売!!

左から順に、奥成洋輔氏、堀井直樹氏、下村一誠氏
12月23日 発売予定

価格:4,490円(税別:パッケージ版/DL版)

CEROレーティング:A(全年齢)

 ニンテンドー3DS向け「セガ 3D復刻アーカイブス2」(以下、『アーカイブス2』)がいよいよ発売!! 先月に掲載した「インタビューPart1」に引き続き、今回はいよいよPart2をお届けしよう。

 インタビューにご参加頂いたのはPart1と同じく、セガゲームスよりリードプロデューサーの下村一誠氏、シリーズプロデューサーの奥成洋輔氏、制作を手がけるエムツーの堀井直樹氏。

 今回も、「アーカイブス2」の目玉と言える「パワードリフト」や「ぷよぷよ通」をはじめ、収録タイトルの制作話やこだわりなど、驚きの話が満載となった。その結果、Part1以上のボリュームになってしまったのだが、皆様にはぜひ……がんばって読んで頂き、本作をより楽しんでもらえれば幸いだ。

【「セガ 3D復刻アーカイブス2」紹介ムービー】

「パワードリフト」− 「俺は『パワードリフト』が好き!!」という気持ちで実現した待望の移植

【パワードリフト】

 1988年にセガよりリリースされたアーケード用レースゲーム。開発は後のAM2研、鈴木裕氏らが手がけている。筐体にはハンドリングにあわせて座席が動く「デラックスバージョン」、スタンダードな「シットダウンバージョン」があったほか、後年、通信対戦が可能な「ツイン筐体バージョン」も登場した。

 ゲームとしては、プレイ開始時にコースとドライバーを選択し、全12台が出走する各コース(5コースの中から選択可)で3位以内への入賞を目指してレースを繰り広げるバギーレースゲーム。アップダウンの激しいコースと、60フレームで描画されるスピード感から、“ジェットコースターのようなレースゲーム”となっている。

 コンシューマー機への移植は、1990年にPCエンジン版が、1998年にはセガサターン版が、2001年には「鈴木裕ゲームワークス Vol.1」という書籍の付属ディスクとしてドリームキャスト版が発売されている。

高田馬場にあるゲームセンター「ミカド」にて撮影させて頂いた、「パワードリフト」のデラックス筐体。プレイにあわせて筐体が左右にムービングするが、撮影時は一部が故障していた

――インタビューPart1では、下村さんと堀井さんとで「アーカイブス2」の目玉を新規収録の「パワードリフト」にしましょうと話し合った、というところまでを伺いました。それに対して奥成さんは「絶対に間に合わないでしょ!」と思っていたというのも(笑)。

 でも実は、「パワードリフト」を最初に提案したのは堀井さんだったということですよね。堀井さんにはなにか勝算があったのでしょうか?

堀井氏:実はその話は……3、4年前にさかのぼるんですよ。

 そもそもは、プレイステーション 2の「SEGA AGES 2500」シリーズを作っていた頃からなんですけど、「『ギャラクシーフォースII』が動いたんだから次は『パワードリフト』だよね!?」みたいな空気が、うちの社内にあったんですよ。

 その後、“スマートフォンをいじり倒すブーム”が社内に起きたんです。今まで作ったエミュレーターなど手持ちのデータを使って、それこそ「ギャラクシーフォースII」や、そして「パワードリフト」もiOS端末に入れて、動かして楽しんでいたんですよ。

 それが第3世代のiPadぐらいの頃だったんですけれど、その頃に最新スペックだったスマホやタブレットでも60フレームでは動かせなくて。「やっぱり無理か……」となったんです。でも、その後もそれを高速化したいとプログラムを解析したりし続けていたんですよ。

――当然ながら、そのお話って「アーカイブス1」よりも前のお話ですし、セガさんから正式なオファーなり打診があったわけではないですよね。でも実は、粛々と作られていたと。

堀井氏:粛々と……というよりも、うちのプログラマの齊藤(※)が「俺は『パワードリフト』が好き!」という気持ちで、ひたすらに作り込んだという感じです(笑)。

 本業の合間に「パワードリフト」と格闘していたわけですけど、それはYボードの研究として良いことでもあったので。「やりたいだけやりなよ!」と。

※齊藤彰良氏……エムツー所属のプログラマ。本インタビューシリーズでは「裏の主役」とすら称され、「3D スペースハリアー」や「3D サンダーブレード」で“益荒男(ますらお)”ぶりを発揮。サウンド関連の話題に登場することも多い。

――齊藤さん……「スペースハリアー」のリベンジ(「アーカイブス1」収録の「Ver.2」)や「3D サンダーブレード」に続いてまたもや(笑)。

堀井氏:そんなわけで、齊藤が作り込んだ“スマホで動いた版”とか“PCで動いた版”の「パワードリフト」が手元にあって。今回の「アーカイブス2」では、それを3DSに最適化していけば、もしかして……と思ったんですよ。

奥成氏:その間、セガは何も頼んでない(笑)。

堀井氏:勝手に作って、完成したらセガに持っていって、「これ売りましょうよ!」と提案するのはセガの伝統だと聞いていたので。僕もその伝統を守りたいなーと!!

下村氏:(笑)。

奥成氏:おかしい!いろいろおかしい。

――(笑)。エムツーさんとしては、齊藤さんの作っていたものがあって、それが「アーカイブス2」への収録の足がかりにできたからこその勝算だったというお話ですが……もし、それがなかったら今回の「パワードリフト」収録は無理でしたか?

堀井氏:あぁ無理無理。もう全然、無理。そもそもやってない(笑)。

(一同笑い)

【メインプログラマ齊藤彰良氏よりコメント頂きました】

――「パワードリフト」を数年前よりずっと作り続けていて、今回の「アーカイブス2」にそれが繋がったというお話を伺いました。今回の移植におけるアピール点、エピソードがあればお聞かせ頂けますでしょうか。

齊藤氏:とある日、堀井社長よりNew 3DSの開発機材を渡され、いきなり「これでパワドリ動かせ!」といわれてはじめたのが本移植作業です。New 3DSなら速いはずと、とりあえずエミュレートしてみたのですが、それでもフルフレーム出なくて将来に不安を覚えた記憶があります。

 そこから暇を見つけてはひたすらコードの展開作業と高速化。それだけに通常の3DSでフレームスキップありにしろ普通の速度で動いたのを社長にお見せしたときは驚かれたみたいで、内心ガッツポーズをとりました。結果的にNew 3DSでなくても何とか60fps出すことができました。今はほんとに胸をなでおろしています。

 「パワードリフト」の内部キャラデータ見てあまりのキャラの大きさに呆れたこともありました。普通、320*224の画面サイズのゲームに1,000ドットオーバーのキャラなんていませんよね。

 実は私自身は今まで移植したゲームに比べて「パワードリフト」はやりこみしていなかったので、当時の話や筐体の挙動など詳しくは知りませんでした。なので開発当初は実機の挙動と違うところとか出たら気づかないんじゃと不安でした。しかしそこはM2。社長がいずこからかパワードリフトに詳しい人を拉致してきてプロジェクトに参加。プレイ感覚やら裏技やらなにやらいろいろとお聞きすることが出来ました。感謝!

(山村智美)