インタビュー
「セガ3D復刻アーカイブス2」インタビュー Part1
マークIII版「ファンタジーゾーン」が“さらなるボーナス”で収録! 3D立体視化に加えてFMサウンドユニット対応まで!?
(2015/11/25 10:00)
ダウンロード配信「セガ 3D復刻プロジェクト」の第1期、第2期、さらに第2期の追加3タイトル、そしてパッケージ化された「セガ 3D復刻アーカイブス」と、驚きのこだわりを見せてくれた「セガ 3D復刻プロジェクト」シリーズ。12月23日にはいよいよ、パッケージ化の第2弾としてニンテンドー3DS向け「セガ 3D復刻アーカイブス2」(以下、『アーカイブス2』)が登場する。
「アーカイブス2」の秘密に迫るべく、恒例のインタビューをお届けするのだが、今回お届けするPart1では“おまけ”のボーナス収録であるマスターシステム「ファンタジーゾーンII」、そして新たに明かされた“おまけのおまけ”であるマークIII「ファンタジーゾーン」についてお伝えしていく。なぜ、マークIII「ファンタジーゾーン」が収録されることになったのか? まずはその謎に迫っていきたい。
インタビューにご参加頂いたのは、セガゲームス奥成洋輔シリーズプロデューサーと、制作を手がけるエムツーの堀井直樹氏、そして、リードプロデューサーとして制作に加わった下村一誠氏。奥成氏と堀井氏にはボーナス収録2作についてのこだわりと制作秘話を、新たにプロジェクトを引き継いだ下村氏には、「セガ 3D復刻アーカイブス2」全体のお話や収録タイトル選び、そして今後の展望について伺った。
例によって……というよりも、むしろいつも以上に膨大な量となったのだが、じっくりとお楽しみ頂ければ幸いだ。
マークIII「ファンタジーゾーン」が収録決定! 「アーカイブス」2作で実現するファンサービスという形に
――ボーナス収録される追加の3作目、セガ・マークIII版「ファンタジーゾーン」の存在が明かされました。まずは、この収録にまつわるエピソードから伺っていきたいのですが、やはりこれは、「ボーナス収録には初代の『ファンタジーゾーン』も入れたいよね」というお気持ちがあったのでしょうか?
下村氏:奥成と堀井さんは以前から、「マークIII版の初代『ファンタジーゾーン』も入れたい!」と話していたんですよね。ただ、収録タイトルの上限というか……作業量の上限はどうしてもあるんですよね。
奥成氏:昨年発売された「セガ 3D復刻アーカイブス(1)」でのボーナス収録では、特に「OutRun 3-D(アウトラン 3D)」という海外だけで発売された幻のゲームを収録することに意味を感じていて。それをきっかけに、同じくセガ・マークIIIのなかでも3Dグラス対応タイトルを蘇らせようとなり、結果、「スペースハリアー 3D」と「アウトラン 3D」という2作を収録できました。
その流れがあったので、今回の「アーカイブス2」でもおまけ収録はマスターシステム(マークIII)の、もちろん3Dグラス対応タイトルだよねと思っていたんですよ。
……でも、エムツーさんからきた「今回はこれでどうですか?」という提案は、セガ・マークIII版の「ファンタジーゾーン」だったんですよ(笑)。
堀井氏:3DS上で動くメガドライブこと「ギガドライブ」がウケたので。だったら、「マスターシステムやマークIIIもいけるんじゃないか!?」と考えてやっていたんです。それは実は「アーカイブス1」を作っていた頃の話で、そのときにテストで動いていたのが、マークIII版「ファンタジーゾーン」だったんですよ。
――……いきなり意外な方向へお話が進んできましたが、「アーカイブス1」のとき既に、マークIII版「ファンタジーゾーン」はテストで動いていたということなんですね。
奥成氏:ちょっと話を整理して、「アーカイブス1」から順にお話しますね。
まず、「アーカイブス1」を作るにあたって、ボーナス収録タイトルを2作付けました。マークIII版の3Dグラス対応タイトルから「アウトラン 3D」と「スペースハリアー 3D」という、ダウンロード配信タイトルからの収録作でも、特にメインと言える2本に対して、その3D化の原点とも言える2作品をおまけとしたんです。
でも実は「アーカイブス1」でメインとなっているタイトルは、「アウトラン」、「スペースハリアー」だけじゃなく、パッケージイラストにも大きく描かれてる「ファンタジーゾーン」を入れた3本だったんですよ。パッケージでは特に大きく「ハリアー」と「オパオパ」が飛んでいますしね。
そこでエムツーさんからも「メインが3作なのだから、おまけも3作入れたらどうでしょう? 『ファンタジーゾーン』も!」という話が出てきました。
――メインの3本柱に対して、おまけも3本。
奥成氏:そうです。でも、マークIII版「ファンタジーゾーン」ってもともと3Dグラス対応タイトルではなくて。それをそのまま収録するのでは、いくらおまけとは言っても、「3D復刻シリーズなのに3D立体視対応じゃないタイトルを入れるのはコンセプトがブレるからダメだよね」ということで、この話は無くなったんです。
ところが。まだ「アーカイブス1」の開発中にエムツーさんから、「マークIII版『ファンタジーゾーン』を3D立体視化する目処が立ちました!」という連絡が来たんです!
――立っちゃった!
堀井氏:(笑)。当時はPC上で動いているものをお見せしたんでしたっけ?
奥成氏:見たかな? 僕は見ていないかも。
堀井氏:あー。
奥成氏:動いているのを見ていないというのもそうなんですけど、「3D化もやれそう」と言われても、その当時、「アーカイブス1」のスケジュールはもう、かなりギリギリだったんですよね。「これ以上何かあったら間に合わないよ」という時期。それでやっぱり一旦、引き下がってもらったんです。僕だって気持ちとしては、「やるんだったら3Dグラス対応ソフトを全部ボーナス収録したい!」とすら思っていたんですけどね。
――「アーカイブス1」のときのインタビューでもおっしゃっていましたよね。奥成さんも、堀井さんも。「あれもこれもやりたい」と。
奥成氏:そうそう。でもそこから絞って2本にしたんです。ぶっちゃけ、「アーカイブス1」のときはファイナルから1カ月押しぐらいのすごいスケジュールになっちゃって、任天堂さんにも大変ご迷惑をおかけしながら、なんとか発売日を死守できた……という感じだったんです。
――当時の堀井さんの言葉にも「時間があれば!」というものがありましたが、スケジュールはそれぐらいの状況だったんですね。
堀井氏:そうなんですよ。これはもうやってみないとわからなくて。昔の3Dグラス対応ソフトを解析して3DS上で3D立体視化するよりも、2Dタイトルを自分たちで3D立体視化しちゃう方が早い……場合もあります。あくまで場合もですけど。
奥成氏:そういう過去があった上で、今年、「アーカイブス2」のプランがスタートして、収録タイトルの検討が始まって。「アーカイブス2」の企画に関しては、下村と堀井さんにバトンタッチする形で考えて頂きました。それなのに、これまでのインタビューで僕が「『メイズウォーカー』を収録できなかったのが残念です!」と言っていたのを、エムツーさんが拾ってくれたのか、まず、「『メイズウォーカー』をやります」と言ってくれたんですよね。
それで、「メイズウォーカー」はいいとして、もう1本は……マークIII版「ファンタジーゾーン」にしましょうとなったんですよ。
――今のところの流れではそうなりますよね。「アーカイブス1」の時にすでに目処が立っていたマークIII版「ファンタジーゾーン」を、今回こそ入れようと。
奥成氏:はい。下村から「マークIII版『ファンタジーゾーン』を入れるのは、どう思う?」と相談されたのですが……。「アーカイブス2」に収録しているのはあくまで「3D ファンタジーゾーンIIダブル」。つまり「ファンタジーゾーンII」のリメイクなのに、おまけはマークIII「ファンタジーゾーン」なのは、噛み合っていないよね……と。
そもそも「3D ファンタジーゾーンIIダブル」は、プレイステーション 2「ファンタジーゾーン コンプリートコレクション」からの派生として、オリジナルのマークIII版をシステム16版としてリメイクしたバージョンをさらにグレードアップさせたリメイクとなっています。そのリメイクに特化した結果としてオリジナルが遊べなかったんですよね。(※)
そういう経緯もあったので、もし「アーカイブス2」に収録するならオリジナルとなるマークIII版「ファンタジーゾーンII」を3D立体視化して収録して欲しい、という話をしたんです。
僕からの提案もあって、ボーナス収録するのはマークIII版「ファンタジーゾーンII」と「メイズウォーカー」ということになっていったんですよ。
※詳しくは「3D ファンタジーゾーンIIダブル」のインタビューをご参照頂きたい。
――なるほど。でも……、その話からなぜ、マークIII版「ファンタジーゾーン」が収録される話が復活したのか、それも「アーカイブス2」と同時には発表されず、このインタビューと一緒に後から発表されることになったのか。それがまだわからないのですが(笑)。
下村氏:そこはその後もいろいろあって。
堀井氏:いろいろあって(笑)。
(一同笑い)
下村氏:エムツーさんに「おまけは『ファンタジーゾーンII』にしましょう」と伝えると、「え、なんで『II』?」という反応もやっぱりありました。そこは先ほどの奥成が話したような「ファンタジーゾーンIIダブル」との整合性ということで納得して頂いたんです。
それに、そのときには既に発売目標スケジュールはもう設定されていて、そこから逆算すると、作業量がすでにオーバーしかかっていました。当初の9タイトルをきちんとパッケージ化する作業だけでも納期的に厳しい。エムツーさんとしても非常に無理をしているという状態だったんです。
そこで、マークIII版「ファンタジーゾーン」をやるなら、「アーカイブス」の次作に持ち越しましょう、今回は我慢しましょうという話にしたんです。次作があるかどうかは「アーカイブス2」の売れ行き次第ですが……と。
ところが、東京ゲームショウ 2015の直前ぐらいに、営業のほうから「アーカイブスの前作を持っていない人もいるだろうから、『アーカイブス1&2パック』というお得パックを出しましょう」という話が出てきたんです。その話には僕も、「1人でも多くの人にアーカイブスの1と2を遊んでもらえるなら」と思いまして。やりましょうという話になったんです。
ただ、そうなると“ただ単に2本のソフトをパッケージで纏めただけのものを出すだけでは面白くない”と思って。なにかさらなる“おまけ”を付けられないかとエムツーさんに相談したんです。その結果……「例のマークIII版『ファンタジーゾーン』をやっちゃう?」となったんです。
――ついに出てきましたねー!
下村氏:ただし、納期は譲れないけど、という条件付きで(笑)。
堀井氏:ひどいですよねー(笑)。
(一同笑い)
堀井氏:今年のTGSなんて、ついこの前の話ですよ。そのときはマークIII版「ファンタジーゾーン」どころか、「パワードリフト」だって「ちゃんと動くかなぁ……」って思ってたぐらい。
下村氏:でもエムツーさんは、「やりましょう」と応えてくれて。奥成からも、「『アーカイブス1』と『アーカイブス2』の両方を買ってくれた特典として、ファンサービスとしてということなら、凄く面白くなるのでは?」と。
堀井氏:本当にもう、特典ですよね。
奥成氏:「3D ファンタジーゾーン」自体は前作の「アーカイブス1」にあり、「3D ファンタジーゾーンII」は今回の「アーカイブス2」にあるので。「アーカイブス1」を持っている人ならマークIII版「ファンタジーゾーン」を遊べるという仕組みでどうだろうかと考えて。
――なるほど。本来はその形にしたかったんだ、という意味もこもっていますよね。
堀井氏:そうですねー。
――となると、マークIII版「ファンタジーゾーン」は普通には遊べないのですか?
奥成氏:はい。前作を遊んだことのある人だけが起動できます。
――なんと。条件があるんですね。
堀井氏:起動条件としては、「アーカイブス1」を所有して遊んだことのある人、ですね。「アーカイブス1」と「2」での特典なんだと考えて頂ければ。
奥成氏:エムツーさんとしては前作「アーカイブス」に入れたかったという想いがありましたし、今回は「アーカイブス1&2」というパックも出ますので。ただの2本セットということだけではなく、その特典として。それから「両方買ったよ」というお客様にもお礼をしたいと考えました。
「アーカイブス1」を既に持っている、「ファンタジーゾーン」だけが好きな人にとっては、「このために『アーカイブス2』も買わなきゃいけないのかよ!」と感じてしまうところもあるとは思うのですが……。今回は収録内容もさらにボリュームアップしていますし、2作続けて買って頂けた人への“おまけ”としてあってもいいかな、と。
【マークIII版「ファンタジーゾーン」の起動条件】
「セガ3D復刻アーカイブス2」と前作との連動機能となっており、ニンテンドー3DS本体に前作、「セガ3D復刻アーカイブス」のプレイ履歴がある状態で「セガ3D復刻アーカイブス2」を起動すると、マークIII版の「ファンタジーゾーン」が本作で解放されてプレイ可能になる。
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