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「セガ3D復刻アーカイブス2」開発陣のコアなトークライブが炸裂!

音楽ライブイベント「どんどんぼっち まってます2015」

12月23日 開催

会場:ライブハウス・御苑サウンド

入場料:3,800円(税込)

トークショーを繰り広げた、左からセガゲームスの奥成洋輔氏、エムツーの堀井直樹氏、チーフサウンドクリエイターの並木学氏
「ファンタジーゾーン」のFMサウンドが実機でも動作するという実演に会場からはどよめきが起こった!

 ビデオゲームバー・16SHOTSは12月23日、音楽ライブイベント「DONDONBOCCHI MATTEMASU2015(どんどんぼっち まってます2015)」をライブハウス・御苑サウンドで開催した。

 イベントには元データイーストのサウンドチーム「GAMADELIC」より初となるトリオ編成の新ユニット「GAMADELIC3」をはじめとした4バンドが出演。ライブは、ゲーム開発者など業界関係者も含め、コアな観客と共に大いに盛り上がった。

 さらに、セガゲームスの協力により、この日に発売日を迎えたニンテンドー3DS用「セガ3D復刻アーカイブス2」の開発を手がけたセガゲームスのシリーズプロデューサー奥成洋輔氏、開発元のエムツーより代表取締役堀井直樹氏、チーフサウンドクリエイターの並木学氏が出演し、スプロケの安部理一郎氏と共にトークショーを繰り広げた。

 トークショーでは、まずはど真ん中にセガ・マスターシステムが置かれ、ステージ脇に置かれたブラウン管テレビ(!)にはマスターシステムの起動画面が流れた。ここで流れる「スペースハリアー」の音楽をバックにトークショーはスタート。

 「セガ3D復刻アーカイブス」の企画のスタートは、ニンテンドー3DSが発売された当初にまでさかのぼる。当時奥成氏が堀井氏に企画を打診したところ、「メガドライブが動くわけがない」と思ったという。これは昔のスプライト主体のゲーム機と現在のポリゴンに特化したゲーム機の仕組みが根本的に違うためで、カラーパレットがないなど様々な理由から単純に移植できないという、ハードの性能が向上していることとは別軸の理由だ。

 話題は「3D ギャラクシーフォース II」に及んだ。当初ダウンロードソフトとして配信された時、935ブロックだったが、他にもタイトルを収録した「セガ3D復刻アーカイブス2」は671ブロックしか必要としていない。これは配信当時音声をストリーミングで対応していたことに起因しているが、今作では新たに圧縮技術をみなおすことによりブロック数が軽減されている。

 弊誌のインタビューでも語られていることだが、ここ数年での技術的な進歩によるところがおおきいという。この件については当時を振り返る形で開発陣の赤裸々なトークが炸裂。「3D ギャラクシーフォース II」に関して言えば、当初はサウンドのエミュレートを行なうとゲームのフレームレートが60fpsを切ってしまうことから、サウンドはストリーミングデータでの収録に変更された。このとき並木氏は、「今時パッケージメディアで音質を落とされるのは……」と、よりよいものをという意向から音声を非圧縮で収録。このため容量が増大してしまった。

 この悩みについて堀井氏は「一方で、“お求めやすい価格”でお届けするためには容量を落とすことも大切」と言うことから、データの容量にまで気を遣っているという。古いゲームが何度も発売されそのたびに買い換えることについても触れ、「再度購入したときに買って良かったと思えるようにしたい」というユーザー視点に立ったサービス精神から、いつもてんこ盛りの使用になっているという。

 ここで話題は鈴木裕氏の話題に。「パワードリフト」の開発について触れ、「当時のハードの頂点。スプライトで3Dを表現した」と説明。カメラをグリグリ動かしてコースを見ることを、グラフィックスで表現するのと、あたり判定などシステム的にどう判断するのかの折り合いを付けなければならない。こういったところに“とんち”が必要で、このアイデアを思いつくことがでゲーム開発において重要なのだという。「鈴木氏はプログラマーなので、ハード設計者にゲームを作る上で必要なものを具体的に発注し、それによって完成したゲームが売れるという好循環だったんだと思う」と奧成氏。

 ここで話題は第3弾の実現性について。会場では収録して欲しいタイトルについて話題に上った。「ハングオン」に関して言えば「おおらかな時代に制作されたので看板の書き換えが大変」というのに始まり、「『エンデューロレーサー』でハンドルを引く動作を3DSのセンサーで再現させたいけど、その瞬間3D立体視が破綻する(堀井氏)」や、「ずんずん教の野望」、「Last Survivor」、「三輪サンちゃん」、「ターボアウトラン」、「G-LOC」などさまざまなタイトルが話題に上がった。その中で、システム基板「Model-1」についても触れられ、これについて堀井氏は「見ています。移植するためになにが弊害になるのかもわかってきた。やるとは言わないけど、調べてはいます」と語った。

 しかし、古いゲームに関していえば、ハードウェアの保存の難しさから、どんどん遊べなくなりつつあり、「天然物は少ない(安部氏)」状態になりつつある。つまり、今できる限り再現しておかないと、一生、誰も遊べなくなるわけだ。

 ざっくばらんに展開してきたトークショーのラストに大きな目玉として、遂にマスターシステムを使用したデモが行なわれることになった。これは「ファンタジーゾーン」のFM音源版が、本当に当時のマスターシステムでも動作するか“証明”するため。堀井氏はこの話をしても誰も信じてくれないため、歯がゆい思いをしてきたのだという。

 カートリッジを挿し込みマスターシステムを起動。実際に動作し堀井氏がゲームをプレイしてFM音源のサウンドが流れると会場からは大きなどよめきが巻き起こった。並木氏は「音楽はもちろん効果音を特に頑張って再現するよう指示した」と注目のポイントを説明。堀井氏は「マスターシステムの実機でも、我々が作ったFMサウンドが動くんだと証明できた」と胸を張った。

 最後に、奧成氏と堀井氏共に、「アンケートに思いの丈をぶつけて欲しい」と語り、ユーザーの意見が次の商品化に結びつくと訴えてトークショーは終了した。

会場に置かれたマスターシステム。来場者もそれだけでテンションアップ!

ライブも大きく盛り上がる

 ライブについては、残念ながら詳しいセットリストは掲載できないが、どのバンドも大きく盛り上がった。元データイーストのサウンドチーム「GAMADELIC」より初となるトリオ編成の新ユニット「GAMADELIC3」は、伝説のアクション「チェルノブ」や「トリオ・ザ・パンチ」、「空牙」などの映像を流しながら演奏。「はじめて3人で演奏しますが、機械に頼らずできる限りやる!」と語り会場を盛り上げた。

GAMADELIC3。ゲームの映像をバックに演奏を繰り広げた
O.T.K.
HEAVY METAL RAIDEN
下田祐+ヘルタースケルター。ファミコンでキングクリムゾンの「21世紀の精神異常者」を再現して大きく盛り上げた。ボーカルはIIコンのマイクで対応!

【タイムテーブル】

時間ステージ
18時5分O.T.K.
19時下田祐+ヘルタースケルター
19時40分GAMADELIC3
20時30分セガ3Dアーカイブス2 トークショー
22時35分HEAVY METAL RAIDEN

(船津稔)