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続・「World of Tanks」日本代表B-Gaming、かく戦えり!

「出場できただけで嬉しいというのが本音」の理由は? 目標はGrand Finals出場へ

【Challenger Rumble】

11月19日開催

会場:Altman Building

 「World of Tanks」の日本代表チームB-Gamingが、11月19日、米国ニューヨークで開催された世界大会「Challenger Rumble」に見事出場を果たした。その激闘の模様についてはChallenger Rumbleレポートでお伝えした通りだが、「WGL APAC SEASON I FINALS 2016-2017」に続いて今回も密着取材を敢行してきたので、その模様をお届けしよう。「B-Gamingって誰?」という方は、前回のレポートと合わせて読んで欲しい。

朝の練習風景
作戦の打ち合わせ中
ちょくちょくMausが投入されるのがB-Gamingのユニークなところ
新戦力として存在感を見せつけた元Caren Tigerのshinozakit選手(右)と、今回リーダーとしてチームを引っ張ったv_samo_v選手(左)。共にWargamingのロゴを髪に彫っている

 10月に実施されたAPAC地域で1位を決める大会「WGL APAC SEASON I FINALS 2016-2017」で2位に入賞したことで、今回の「Challenger Rumble」の出場権を獲得したB-Gamingだったが、実は悲喜こもごもなところがあったようだ。というのは、B-Gamingは、「WoT」の最上位リーグ、ゴールドリーグに所属し、Wargaming.netよりサラリーが支給される“プロゲーマー”という扱いになっているが、実際はそれだけで生活できるほどではないため、多くの選手が仕事を別に持っている。10月のシドニーのイベントと、今回のニューヨークのイベントはわずか1カ月しか離れていないため、休みを確保するのが難しいことは、出場権を獲得した時点でわかっていたことだという。

 選手たちの懸念通り、「Challenger Rumble」では、リーダーのtakkyyyy選手と、lodde選手の2人が欠場が決定し、出場権があるにも関わらず7人のメンバーが揃えられない緊急事態になった。そこで2017年1月よりスタートする2ndシーズンより新たに参戦する助っ人を参加させられないかWargamingに打診したところ参加が認められ、新規メンバー2人を加える形で大会に参加することになった。

 今回B-Gamingに新たに加わったメンバーは、EzG4me選手、shinozakit選手の2名で、EzG4me選手はシルバーリーグのチームからの移籍、shinozakit選手は、なんとB-Gaming最大のライバルとして知られる同じゴールドリーグに所属するCaren Tigerからの移籍となる。

 shinozakit選手は、B-Gamingのエースとして知られるt4選手、KyunKyunpower選手の元チームメイトで、それぞれB-GamingやCaren Tigerに所属する前に一緒に戦い、国際大会にも出場した経緯があるという実力者だ。年齢、経験、実力共に抜群で、リーダーのtakkyyyy選手の穴を埋める形でチームをうまくまとめていた。

 実際の試合の方は、NA代表のAPEXとの1試合目はバックヤードで行なわれ、ライブ中継の視聴も試合観戦も行なうことができなかったが、メインステージの戦いがまだ半ばの段階で0対5で早々に敗北が決定してしまった。続くEU代表DINGとの2試合目は、メインステージで行なわれたため日本から観戦した方もいると思われるが、こちらも2対5で完敗。B-Gamingは一次リーグで敗退が決定した。

 B-Gamingが得意とするMausを使った作戦も格上の彼らにはうまく機能せず、「WGL APAC SEASON I FINALS 2016-2017」では、得意の車輌、戦術で活躍していたメンバー達もなりを潜めていた。唯一気を吐いていたのは新戦力のshinozakit選手だけで、shinozakit選手はどんな乱戦になっても最後まで生き残り、ダメージを稼ぐという生存率とダメージ率の高さでチームに貢献。初参加にも関わらずいきなり大きな存在感を見せていた。

 しかし個人の活躍だけではいかんともし難く、DINGに対して奇襲に近い総攻撃で2ゲームをもぎ取り、辛くも全敗敗退という不名誉は避けられたものの、6チーム中6位というEUやNAとの実力差を痛感させられる成績で彼らの闘いは幕を閉じた。

 メンバーに敗因を尋ねたところ、口々に「練習不足」であったことを語ってくれた。セミプロチームのB-Gamingとしては、出場そのものを最優先事項としたため、参加メンバーの確保、仕事の休みの確保、抱えている仕事の完遂が優先され、全体での練習は実は1度も行なえなかったのだという。

 長老格のt4選手は、「出場できただけでも本当に嬉しい、無理だと思っていたので」と語り、「全体練習できてないので勝てないことは覚悟していたが、これまで戦ってきたメンバーと一緒にニューヨークまで来れたのが嬉しい」と、ゲーム外での達成感を口にしてくれた。

 B-Gamingとしては、第1試合目のAPEX戦が“初の全体練習”で、この試合は0:5で完敗したものの、全員の動きや連携を確認でき、作戦会議を経て行なわれた第2試合目のDING戦が新メンバーによる“初の公式戦”という感覚で戦っていたということで、メンバー達は「2戦目の落ち着きが1戦目にもあればもっと勝てた」、「2試合目からやっとチームとして戦えた」、「彼らはプロなので僕らの5倍は練習している」とそれぞれ敗戦の弁を口にしていた。

 リーグ敗退が決定したことでRumbleの戦いは幕を閉じたが、彼らの戦いはこれで終わりではなく2017年1月からスタートする2ndシーズンへと続いていく。shinozakit選手、EzG4me選手という2人の新戦力を加えたB-Gamingは、1st シーズンより確実に強くなっている。

 2nd シーズンでライバルとなるのは、APAC最強の中国EL Gaming、同じセミプロチームとして頻繁に練習試合も行なっている韓国Meltdown、そして1st シーズンで全敗したCaren Tigerの3チームだという。shinozakit選手によれば、Caren TigerがB-Gamingに善戦全勝した理由は「僭越ながら、Caren Tigerに僕がいたからです。B-Gamingには知っている相手が多いので、パターンを先読みした上で攻略することができた」と語り、そのことを実証するために「Caren Tiger戦は全勝する覚悟で挑む」と決意を語ってくれた。

 ちなみにB-Gamingは「WGL APAC SEASON I FINALS 2016-2017」で2位になり、WGLのボーナスポイントも獲得したことで、現在ポイントランキングではAPACで2位となり、上位2チームまでが出場できる「The Grand Finals」にはかなり有利な位置に付けている。仮にEL Gamingに勝てなくても、他のチームを退け続けることができれば、日本チーム初のGrand Finalsが現実のものとなる。

 「今年がGrand Finals出場の最初で最後の機会になるかもしれない」ということはチームメンバー全員が自覚しており、2nd シーズンでは「WGL APAC SEASON I FINALS 2016-2017」出場チームという“追われる立場”として、しっかり練習に取り組み、結果を出していきたいという。また、Grand Finalsに出場することで、国内外で知名度を高め、最終的にはスポンサーを獲得し、名実共にプロチームとして活躍したいと将来の夢を語ってくれた。

 取材を終えたB-Gamingのメンバー達は、「仲間との最後の夜を楽しんできます」と言って、エンパイアステートビルに向かってマンハッタンの雑踏に消えていった。2017年1月からスタートする2ndシーズンで彼らは有言実行できるのかどうか注目したいところだ。

【スクリーンショット】
バックヤードでの試合風景
メインステージでの試合風景
今回優勝したDINGは、キャップからの戦術が非常に上手い
B-Gamingが勝利したステップの戦い。バッチャら主力を中央に集め、敵の前線を一気に崩した
1勝し、笑顔を見せるB-Gamingのメンバー達
試合が終了し、健闘をたたえ合う両チーム
KyunkyunPower選手とShinozakit選手の2人の活躍が印象的だった