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「WoT」アジア/北米の精鋭が激突! 「Pacific Rumble」開催

日本勢「Caren Tiger」悲願の勝利なるか。9時間におよぶ激闘をレポート

11月7日 開催

場所:ベルサール秋葉原

 Wargaming.netは、Windows用オンライン戦車ゲーム「World of Tanks」のオフライン大会「Pacific Rumble」を11月7日に開催した。場所はベルサール秋葉原。

 「Pacific Rumble」は、アメリカとアジアのトップチームが賞金総額10万ドルをかけて戦うオフライン大会。日本からはワイルドカード枠で「Caren Tiger」が出場しており、トッププレーヤーがどのように戦うのか、また「Caren Tiger」はどれほど活躍できるのかが注目の大会となった。

 なお弊誌ではこれまでにWargaming e-Sports部門ヘッドのAlexey Kuznetsov氏「Pacific Rumble」参加選手へのインタビュー記事を掲載しているので、こちらも参考にしていただきたい。

開幕の挨拶を行なったウォーゲーミングジャパン代表取締役社長の川島康弘氏
実況はStanSmith氏(右)、解説はmk7777氏(左)が務めた
【出場チーム】
HWC
Noble
EL Gaming
KONGDOO
Caren Tiger
【Tier Xルール ショウマッチ】
次期シーズンから導入されることが発表された「Tier X」ルール。実装前のエキシビションマッチとして、EL GamingとNobleが対戦した。現行ルールに比べると、全体的に展開がゆっくりな印象だった

「Caren Tiger」第1試合、「KONGDOO」相手に冴えを見せる!

「今日は冴えている」と調子が上々だった「Caren Tiger」
危うさもあったが、撃ち合いを制する場面が多かった「Caren Tiger」

 「Caren Tiger」にとって本大会は、忘れられない日になっただろう。「Pacific Rumble」は5チームで争うトーナメント戦となっており、ワイルドカード枠で出場を決めた「Caren Tiger」は初戦をアジア第2位の「KONGDOO」と戦うこととなった。

 「Caren Tiger」にとって「KONGDOO」は「先生のような存在」であり、公式戦で勝利を収めたことはない。前日のインタビューでも「KONGDOO」を意識する相手として挙げ、「難関」だと述べていた。

 試合形式はいわゆる7/54ルールの「攻撃/防衛戦」。Tier数=ポイントとし、合計54ポイントの中で7両を決めていく。試合は、5ラウンドを先取したチームの勝利だ。

 「Caren Tiger」は1ラウンドで勝利したものの、その後は2連敗。攻めのタイミングがあわないところを攻めこまれるシーンなどもあり、危うさもあったのだが、この日の「Caren Tiger」は撃ち合いの場面でも押し込まれず、凌いだり、制することが多かった。

 解説を務めたmk7777氏も思うところがあったらしく、「撃ち込みが上手くなってますね。今日は丁寧。冴えてます」とコメント。強引な攻めによって囲まれ、不利な状況になっても撃ち合いで劣勢をひっくり返すなど調子は上々で、4ラウンド目から3連勝を決める。

 そのまま勝利するかと思ったが、「KONGDOO」は再度2連勝を決めて4対4のタイブレイクまで持ち込んだ。そして迎えた最終ラウンド、「Caren Tiger」は重戦車「IS-3」を4両に駆逐戦車「E-25」を加えた編成で挑む。

 決め手となったのは、このIS-3とOpelisk選手が操るE-25。ステージとなったLakevilleではIS-3が固まって行動し、上手く連携させて西側ルートから攻めてくる「KONGDOO」を力で押し切ったほか、機動力と速射性で優位なE-25が孤立した車輌を刈り取っていった。最後は圧倒的な数的優位を作り、悲願の勝利。公式戦において、アジアで「KONGDOO」に勝利したのは「EL Gaming」以外では初めてということで、「Caren Tiger」の選手たちは喜びを爆発させていた。

軽戦車や駆逐戦車を主に扱い、時々自走砲「FV304」を繰り出してくるトリッキーな「Caren Tiger」Opelisk選手が特に注目を集めていた。FV304が活躍しきれなかったのが残念

決勝はアジア1位 VS 北米1位。作戦と捌きの応酬に

「Noble」が見せた射線隠しのキャプチャー作戦。成功まであと少しだった
試合開始直後、直線に隊列を組んで、通常は登れない崖の上にガッと乗り付けて位置取る作戦も両チームが行なっていた

 「KONGDOO」に勝利し、準決勝に進んだ「Caren Tiger」だったが、対戦相手の「Noble」にはまったく歯がたたず、まさかの5連敗。試合を見ていても圧倒的に撃ち合いで負けており、大きな実力差を感じさせる戦いだった。

 7戦先取で決着する決勝の顔ぶれは、北米1位の「Noble」とアジア1位の「EL Gaming」となった。決勝戦は両者一歩も引かない実力伯仲の戦いで、急襲されたら即カウンターを合わせる、不利な状況下で逃げながらも砲弾を当てて破壊する、孤立した車輌を見逃さず襲う、しかし深追いはしない、という冷静かつハイレベルな戦いが繰り広げられた。

 面白かったのは、MAP「Steppes」攻撃側でNobleがとった、拠点の1つを一定時間確保すれば勝利になるというルールを利用したキャプチャー作戦。経過時間はキャプチャー中の車輌に砲弾が当たるとリセットされるため乱戦時には達成できる可能性が低いのだが、Nobleの作戦は車体の小さいAMX 12 tにキャプチャー権利を持たせつつ、T-54 ltwt. 2体の影に隠して射線を切り、そのままゴリ押しする、というものだった。

 実際この作戦は準決勝時に「Caren Tiger」に対して大成功していたのだが、素早く対応していた「EL Gaming」が回り込み、あと数秒のところで経過時間を見事カット。緻密で正確なプレイの応酬に、会場からも歓声が上がっていた。

 試合展開を有利に進めたのは、「EL Gaming」。「EL Gaming」は上記「Noble」の作戦を見事に阻んでいったほか、MAP「Mines」では西側から攻めると見せかけて、4両のT-54 ltwt.で大きく南東側に回り込んで急襲するなど、急襲作戦が決まり、6対2で王手をかけた。

 しかしそこからは「Noble」の逆襲。「EL Gaming」の急襲を冷静に捌くプレイで堅実な勝利を決めていき、3連勝で6対5まで持ち込んだ。優勝を決めるか、タイブレイクに持ち込むかの1戦は、両チーム入り乱れての撃ち合いに。もはや作戦は関係ない試合となったが、この撃ち合いを制したのは「EL Gaming」だった。

 優勝チーム決定後、mk7777氏はハイレベルな試合を間近で見て、「日本はまだこれからですね」と一言。約9時間に渡った激闘は、日本の「WoT」ファンにとって大きな刺激になったはず。今後、「Caren Tiger」をはじめとした日本チームの活躍も期待しておきたい。

しっかり作戦ができあがっていれば、その後の対応も素早く堅い。さすがの試合を見ることができた
【優勝:EL Gaming】

(安田俊亮)