インタビュー

「World of Tanks」日本代表B-Gamingかく戦えり!

韓国Meltdownに逆転勝利し、中国EL Gamingを追い詰めた彼らの戦いに密着

【WGL APAC SEASON I FINALS 2016-2017】

10月22日開催



会場:ESL Studio Sydney

 GAME Watchでは、世界有数のPCゲームの世界大会「Wargaming.net League(WGL)」を定期的に現地レポートしているが、今回オーストラリアシドニーで行なわれた「WGL APAC SEASON I FINALS 2016-2017」では、例年になく熱の篭もった応援ができた。2014年10月にCaren Tigerの前身Charlotte TigerがAPAC FINALに出場して以来、2年振りに日本チームが出場したからだ。GAME Watchでは、そのB-Gamingに密着取材を敢行したので、その模様をお届けしたい。

古参チームだが、新規メンバーばかりで構成されたB-Gaming

試合前の記念撮影に臨むB-Gaming
大会前夜のウェルカムパーティーの様子
「WoT」のロゴを刈り込んで来たv_samo_v選手。「Caren Tigerのパクりです」と正直に告白してくれた
シーズン1の試合結果
B-Gamingのスコア。攻撃の方がやや得意

 今回日本から出場を果たしたB-Gamingは、PC版「World of Tanks」のサービス開始直後から存在する古参のチームだが、現在は設立当時のメンバーから全員が入れ替わっており、設立の経緯やB-Gamingの名前の由来は誰も知らないという、ユニークなチームとなっている。今シーズンより新メンバーを3名加え、12名+1マネージャー体制となり、ついに今回ファイナル出場の栄冠を勝ち取った。

 今回参加したのは、スケジュールが調整できた選手7名とマネージャー1人の計8名。半分が社会人、半分が学生で、一番上は29才、一番年下は18才と幅広い。彼らはゴールドリーグに所属するプロチームとして、Wargaming.netよりサラリーが支払われているが、それを本業にできるほどではなく、スポンサーメーカーも付いていないため、学生のメンバーはバイトをしていたり、学校を卒業したメンバーは普通にサラリーマンとして働くという、二足のわらじ体制で活動を行なっている。

 大会前日に行なわれたウェルカムパーティーでは、ざっくばらんに色々質問してみた。まず、野良でのプレイは、v_samo_v選手のように生配信までやっているぐらい遊びまくっているというメンバーと、t4選手のように感覚が鈍るのでやらないという2通りに分かれた。プレイしているメンバーの勝率は60%前後で、純粋にソロや試合では使わない車輌を使ってのプレイ、常にMバッジを狙う(v_samo_v選手)なども含めてのスコアなので、やはり彼らは凄く上手い。Wargaming.netより支給されるサラリーは、マネージャーが人数で頭割りして各メンバーに支給し、ゲーミングギアを購入したり、生活費の足しにしたりしているという。

 練習については、試合前日の選手インタビューでも語っていたが、大会前は週6回練習日を設け、毎日22時から24時まで、事前に連絡を取ったチームと練習するという。練習相手で多いのは、同じくゴールドリーグに所属するCaren Tigerや、今回セミファイナルで当たった韓国Meltdownとが多いという。

 同じリーグ内の相手と練習しすぎると、相手に戦術がバレてやりにくくないかと尋ねると、試合本番での戦術を悟られないように、練習では本当の戦術は使わずに、新しい戦術を試すなどすることで、工夫しているという。

 一方、Caren Tigerとは、選手同士の個人的な交流もあり、通算成績も五分五分でお互いに好敵手として認識し合っているという。今シーズンでは2戦2敗の成績に終わってしまったが、一度も勝てなかった理由については、1つは相性の問題、もうひとつは日本でもっとも初めにゴールドリーグに昇格したチームとしてニューカマー(といってもB-Gamingも数年活動しているが)には負けられないという意識から、かなり対抗策を練っているためではないかという。もっとも昨シーズンはCaren Tigerに対して勝ち越し、実力的には伯仲しており、今後も日本の2トップとして活躍が期待されるところだ。

 B-GamingとCaren Tiger、ファイナル出場を分けたのは最終的には「運」だという。スコアを見ると実際そうだ。B-Gamingは10勝8敗なのに対し、Caren Tigerが13勝5敗で勝敗では全体の3位に付けている。つまり、シーズンの勝敗はCaren Tigerに負けているのだ。しかし、トータルのランキングは、B-Gamingが3位、Caren Tigerが5位となっている。なぜこういうことになるかというと、WGL独自のタイブレイカーシステムの影響が大きい。

 WGLでは規定により4対4になるとタイブレイクとなり、次に勝利したチームが勝ちとなるが、タイブレイクとなった時点で引き分けに近いと判断され、通常勝者に3ポイントが入るところを、タイブレイカー勝者に2点、敗者に1点とポイントを分け合う形になる。Caren Tigerのランキングが伸び悩んだのは、タイブレイクにもつれ込んだ試合が18試合中8試合もあったためで、B-Gamingが8敗もしているのに3位になれたのは、タイブレイクでの負けが多かったためだ。

 もっとも、Caren Tigerが出場できなかった直接的な理由は、シーズンの成績で3位から6位までが出場できるプレイオフで、B-Gamingは勝利し、Caren Tigerが負けたためだ。Caren Tigerはアジアトップクラスのチームとして非常に評価の高いチームだが、決定戦に弱いというジンクスがまたも発揮されることになってしまった。シーズン2こそは、B-Gamingと合わせて出場してもらいたいところだ。

B-Gamingとはどのようなチームなのか?

takkyyyy選手
KyunKyunpower選手
Ootori選手
v_samo_v選手
t4選手
tomatoJP選手
lodde選手

 B-Gamingは良くも悪くも日本のチームらしく、円陣を組んだり、全員でかけ声を掛けたりすることもなく大人しめの雰囲気のチーム。彼らはまだセミプロのチームで、これまで目立った活動実績もないため、まだ知らないという読者も多いだろう。そこで試合前や試合中の風景から、選手1人1人の特徴を紹介していきたい。

 まず、リーダーのtakkyyyy選手は、大人しくて柔和、やや控えめな大学生という雰囲気で、「WoT」をはじめた理由について「FPSで良い成績が残せなかったから来ただけ」と謙遜して語っていたが、実力はチーム随一で“バッチャ”ことフランスのTier X中戦車「Bat.-Chatillon 25 t」を華麗に操り、敵の側面や背面を取って敵戦車を次々に仕留めていく姿が印象的だった。操縦、射撃、位置取りのすべてが理想的で、「これぐらい上手かったらもっと楽しいだろうなあ」と思わせてくれるぐらい上手い選手だ。

 チーム随一のアタッカーは、試合前日の選手インタビューでもtakkyyyy選手が注目選手として挙げていたKyunKyunpower選手。最後方からわずかなチャンスを活かしてドイツの新鋭Tier X駆逐戦車Grille 15でガッツリダメージを与えていく。また、B-Gamingの秘密兵器であるマウスの使い手でもあり、今大会でも様々なドラマを生みだした。

 チームの目となるのがOotori選手。ドイツのTier VIII軽戦車Ru 251やロシアのTier VIII軽戦車T-54 lightweightを乗りこなし、丘の上や茂みからスポットを取るだけでなく、快足を活かして様々な場面で数的優位を作ったり、チャンスがあればすかさずキャップを取りに行ったりなど、八面六臂の活躍を見せていた。

 何でも屋と言えるのがv_samo_v選手。ダメージディーラーとして日頃バッチャを乗りこなすだけで無く、場合に応じてT110E5をはじめ様々な車輌に乗り換え、柔軟に戦術変更に対応していく。試合数は40,000戦を超え、ニコニコ生放送で「全車両Mバッジを目指す」という無茶な偉業に真面目に取り組んでいる生粋の「WoT」ファンだ。

 ムードメーカーと言えばt4選手。試合中でも笑顔を絶やさず、ミスをしても優しく声を掛ける余裕がある。というのも、t4選手はCharlotte Tiger時代に、2年前のAPACファイナルに出場しているなど、オフライン大会の経験が豊富なためだ。v_samo_v選手と同様、豊富なプレイ経験から来る引き出しの多さがウリの選手だ。

 tomatoJP選手は現役高校生の18才という最年少選手。“チームの弟”としてみんなから可愛がられているが、今期別のチームからヘッドハントされた1人。その実力は折り紙付きで、メンバー全員から一目置かれている。今大会では主にAMX 50 Bを操り、ダメージを稼いでいた。

 B-Gamingは、選手インタビューでは、相手に対する解析能力が高く、カウンター戦術に長けるという評価がよく聞かれたが、その頭脳のひとりがlodde選手。試合前のブリーフィングでも主要な説明を担当し、アナリスト的な役割を担っていた。試合では、FV215bや113などを巧みに操り、ダメージを取っていた。

韓国Meltdownに逆転勝利! その要因とは?

 さて、セミファイナル第1試合目で、アジアの覇者であるEL Gamingが、Team Efficiencyに対して7:2で勝利を決めた後に行なわれたセミファイナル第2試合目、B-GamingとMeltdownの一戦は、両者一歩も譲らず6:6のタイブレイクまでもつれ込む熱戦となった。その熱戦の模様については「WGL APAC シーズン I ファイナル 2016-2017」レポートを参照していただくとして、本稿では会場で観戦することで得られた印象を紹介したい。

【B-Gaming対Meltdown】
試合前に作戦会議を開く両チーム
ステージでの様子
会場の様子
選手控え室では決勝に進んだEL Gamingが試合を見守っている

 前半の6試合、B-Gamingのメンバー達はガチガチに緊張していた印象で、最初のヒメルズドルフで連敗を喫した後、得意マップであるプロホロフカとゴーストタウンをイーブンで終え、2:4という最悪の形で折り返すことになった。

 6試合目に、B-Gamingが得意としているマウスをついに投入し、ここから少しずつ流れが変わっていった。マウスは、「WoT」プレーヤーならご存じの通り、3,000という冗談のような高いHPと硬い装甲が持ち味の、鉄壁の防御力を備えた重戦車。ただ、移動速度が20km前後と、これまた冗談のように遅く、現在主流のオートローダーを主力とした中戦車主体の高速展開戦術にはそぐわないため、ほとんどのプロチームが使わないが、B-Gamingはあえて逆を貼ることで、チームの強みにすることに成功している。

 ゴーストタウン攻撃側で迎えた6試合目では、マウスが最短距離を移動してマップ中央に陣取り、全方位ににらみを効かせると、Meltdownはこれをスポットしながらも華麗にスルーし、側面に回り込んでキャップ切りしようとしたところ間に合わずまさかのキャップ負けを喫した。しっかりB-Gamingの策にハマり、「まだチャンスはあるかも?」と思わせてくれた1戦だった。

【ハイライト】
1戦目ヒメルズドルフは、Meltdownに丘から奇襲され殲滅される。悪い立ち上がり
ロングレンジから確実に攻撃を当てるtakkyyyy選手
劣勢のB-Gaming、6戦目にしてついにマウス投入
まさかのキャップ勝ち!

 その後5敗目を喫し、いよいよ負けられないB-Gamingは、9戦目でマウス2輌投入という秘策に出た。マウス投入で攻撃力が低下した分は、軽戦車を下げ、“バッチャAP”と言われるTier IXフランス中戦車Bat.-Chatillon 25 t APを2輌入れて補うスタイルを採用。マウス2輌、バッチャ部隊5輌という軽戦車を排除した思い切った編成だ。

 ルインベルグ攻撃側でスタートした第9戦は、中央にマウスを2輌展開して集中攻撃を受けている間にバッチャ部隊が回り込んでこれを撃破するという戦術を選択。Meltdownはマウス2輌をIS-4に任せ、残り6輌をバッチャ部隊に向かわせ、バッチャ部隊を全滅させることに成功する。B-Gamingのマウス部隊も、IS4を壁に押しつけて撃破することに成功したが、気づけば残存車輌はマウス2輌のみとなり万事休す。3:6となり、もはや後が無くなった。

スポット取りとキャップ切りを兼ねて丘の上に展開するRu 251
マウス2輌投入するも敗北。後がなくなった

 マウスを投入した9戦目の試合内容があまりにも悪く、本戦同様にやはり勝てないのかと思われたが、実際にはここからB-Gamingの快進撃がスタートした、ルインベルグ防御側で迎えた10戦目では一旦マウスを下げ、基本編成となる中国Tier X中戦車113を3輌入れ、Ru 251による偵察、バッチャによる攻撃という原点回帰で戦いに望んだ。

 この試合はB-Gamingの作戦がすべてピタリとハマった印象で、Ootori選手のRu 251が際どい位置からスポットすると、それを東部高所の建物の影から見下ろしていたtakkyyyy選手のバッチャが次々に命中弾を撃ち込み、敵の展開車輌の数を見切った113 3輌が中央を制覇。Meltdownは市街地に引きこもり、キャップ勝ちを狙うも、位置を捕捉してからの回り込み攻撃で勝負を決めた。

 ムロヴァンカで迎えた11戦目、12戦目は、何が何でも1勝を取りたいMeltdownの猛攻を、この2戦で新たに投入されたバランスに優れたTier Xアメリカ重戦車T110E5が凌ぎ、バッチャで逆襲するという展開となった。WGLのトップランクの試合は、オートローダー中戦車による打撃戦がトレンドとなっているが、B-Gamingはそこに重戦車を持ってくることで戦いに変化を生み出している。重戦車の使い方が非常にうまいチームだ。

自走砲や軽戦車まで投入して猛攻を加えるMeltdown。あと一歩のところで届かず、勝利の女神はMeltdownには微笑まなかった
この2戦は丘の上に姿を見せた上で4キルを取るなどv_samo_v選手のT110E5が大活躍した

 そして6:6でタイブレイクで迎えた13戦目。英語の実況解説も、B-Gamingがシーズン中にタイブレイカーで6戦全敗したことを取り上げ、タイブレイカーで負けるというジンクスを払拭できるかどうかについて熱っぽく語っている。B-Gamingはゴーストタウン攻撃側で、ここでも伝家の宝刀であるマウスを再度投入。マウスによるキャップを避けたいMeltdown側は、今度はマウスを正面から対峙し、IS-4とトレードする形で撃破に成功する。

 キャップにおける守りの要を失ったB-Gamingは、Ootori選手のWZ-111で再三キャップを狙うがその都度切られるという悪い展開。2対2の状況からWZ-111が最後のキャップに挑むと、一度切られながらも攻め上がってきたFV215bを返り討ちにし、機動力を活かして最後のキャップ切りに挑んできたMeltdownのRu 251を、密かに背面に回り込んでいたtakkyyyy選手のバッチャがこれを撃破。3:6から奇跡の4連勝で決勝出場を決めた。

 勝因については、takkyyyy選手は「気持ち、ハート」と即答し、チームユニフォームを統一し、一丸となって望めたことが勝利に繋がったと回答。タイブレイクに持ち込んだ時は、内心「また負けるかも……」と思っていたが、言葉では「行ける行ける!」と自らとチームを鼓舞。他のメンバーは「ずっと連勝していたのでノリノリで行けた」、「勝率0割からの勝利でした」、「一周回って重戦車戦術に戻ったのが良かった」、「マウスは実は戦術をミスった」と口々に明るく回答してくれた。

 決勝に向けてtakkyyyy選手は、「一度も勝ったことのない強い相手だが、過去に2度タイブレイクに持ち込んでいて、4連勝したこともあるので、その時の流れをイメージしながら全力で戦いたい」と抱負を語ってくれた。

タイブレイカーにもマウスを投入するB-Gaming
マウスが最前線を守り
キャップを狙う得意の展開に
最後までどちらが勝つかわからない戦いに
勝利を喜ぶB-Gaming
健闘をたたえ合う両チーム

アジア無敗のEL Gamingを追い詰めたB-Gaming

 セミファイナルが13戦まで行なわれたため、ファイナルはほとんど休憩無しでスタートすることになった。EL Gamingはその3時間の間たっぷり休養を取ったり、戦術の確認に使うことができたのに対し、B-Gamingはトイレ休憩しかできない状態での連戦となった。

【ファイナル】
試合の合間を使って作戦を確認するB-Gaming
試合に望む両チームの様子

 相当不利と思われた戦いだったが、むしろセミファイナルで4連勝した勢いがそのまま継続し、1戦目ムロヴァンカ防衛側を、キャップ切りからの重戦車押し込み戦術で華麗に勝利すると、その後は一進一退の攻防を続ける好勝負となった。

 ただ、Meltdownと比較すると、EL Gamingは明らかに格上で、B-Gamingがセミファイナル終盤から投入していたT110E5によるキャップ狙いを、EL Gamingのバッチャ3輌が一斉に稜線を踏み越えて瞬殺するなど、野良ではまず見られない動きで、随所随所でB-Gamingを圧倒。さすがはプロ集団だ。

 ただ、B-Gamingは、シーズン1でEL Gamingから唯一ポイントをゲットしたチームとして攻略法が持っていた。それは、彼らが特定のマップ、特定の編成だと、必ず同じ位置に展開するというパターンを読み切っていたことだ。EL Gamingの指揮官であり、猛将として知られるNICE選手のTier VIIIフランス軽戦車AMX 13 90を、度々予測射撃に近い決め打ちで一方的に撃破し、流れを作っていった。

 また、Meltdown戦に引き続いてマウス戦術が奏功していたのも印象的だった。後半戦は戦場に間に合わせるためE 100に切り替えていたが、マウスやE 100が集中砲火を浴びる間にバッチャが側面を回り込んで包囲殲滅するという戦術が、EL Gamingにもかなり効いていた。

【ハイライト】
顔を出したら、お互いのスナイパーにやられるという緊迫した状態
鉱山は、EL Gamingは丘を登らず、側面を迂回して包囲殲滅作戦を採ってきた
T110E5でキャップを仕掛けて揺さぶりを掛けたv_samo_v選手だが、EL Gamingは3輌のバッチャでこれを瞬殺。こういう動きが本当にプロだと思う
そしてマウス投入
マウスをあえてスポットさせ続け、位置を捕捉した時点でtakkyyyy選手が回り込んでこれを撃破するという戦術で1勝をもぎ取った
休憩の様子。かなりリラックスしている
猛将として知られるNICE選手。試合中絶えず大声で指令を出し付ける

 決勝戦のハイライトは3:3で迎えた7戦目。ゴーストタウン防衛側。6戦目後の休憩中の作戦確認で、Ootori選手がマウスを主軸に作戦を組み立てることを提案し、マウスとE 100を投入。EL Gamingは、この分かりやすい釣り針にガッツリ食いつき、マウス/E 100に集中攻撃を敢行。B-GamingはマウスとE 100を失う代わりに、5輌の撃破に成功し、ついに4:3とリードした。マウス戦術ここに極まれりといった印象だった。

 リードしたことで「まさか優勝か!?」と思わせてくれたが、B-Gamingが良かったのはここまでで、あとの4戦は、すべて作戦が失敗し、一方的に近い形で殲滅され、4タテを食らって4:7で終戦。B-Gaming初の国際大会は準優勝という結果に終わった。

【ベストゲームとなった7戦目】
マウス/E 100という変則的な編成で望んだ第7戦。この2輌が攻撃を受けている間に回り込んで包囲殲滅するという作戦がピタリと当たった

【優勝はEL Gaming】
ステージ中央の優勝カップを手に掲げて喜ぶEL Gamingのメンバーと、それを横目に悔しそうにしているB-Gamingのメンバー
優勝したEL Gamingのメンバー。ヨーロッパやロシア勢に勝つのが目標とチャレンジャーズランブルでの活躍を約束していた

やり遂げた表情のB-Gamingのメンバー達。更なる活躍を期待したい

 B-Gamingメンバーに試合後に感想を尋ねると、takkyyyy選手をはじめとしたメンバー達は「EL Gamingは拠点がシンガポールにあり、Pingの差でなかなか勝つことが難しかったが、実際同じ環境で対戦してみると、意外とイケるというか、少なくとも撃ち合いなら良い勝負ができるということがわかった」と手応えを感じていた様子。

 一時4:3でリードしたときにどう思ったかについては、「俺たち行けるんじゃね?」、「割といけるやん」、「シーズンの試合ならタイブレイクに持ち込んでいる。それでも負けてるけど(笑)」と、明るい表情で語り、王者を一時的に追い詰めたことに満足げだった。

 後半一気に崩れた理由については、もともと前半に得意なマップをピックする傾向があるようで、マップの時点で後半崩れやすい傾向があるのが課題だという。また、ヒメルズドルフは、今回4戦全敗しており、マウス戦術も攻略されてしまったため、これらの戦術を再構築する必要性があると語っていた。

 そのほかにも、ほぼ瞬殺と言っていい完敗の試合だったムロヴァンカの攻撃側、想定外の攻撃ルートを使われ総崩れとなったヒメルズドルフ防衛側など、いくつかの課題は認識しており、今回の敗北を次に活かしていきたいと言うことだ。

 B-Gamingは今回準優勝したことで、今後11月にニューヨークで行なわれるチャレンジャーズランブルへの出場権を獲得した。しかし、「出場確定なんですか!?」とメンバーが聞くぐらい、まだその実感がわかないようで、抱負の前に、「どうやって出場メンバーの休みを確保するかが課題」と語りながらも、「今回の大会では、シドニーを観光する時間がほとんど取れなかったため、ニューヨークでは観光を楽しみたいのと、世界の舞台に恥じない戦いをしたい」とまとめてくれた。

 チャレンジャーズランブルは、アジア、ヨーロッパ、アメリカ、ロシアの4地域の上位2名が、Grand Finalsの優勝チームNAVIに挑戦するという、ユニークなトーナメント大会で。B-Gamingがもしトーナメントを勝ち進めば、NAVIと対決することになる。B-Gamingの活躍に今後も期待したいところだ。