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【特別企画】お手頃ゲーミングモニターAcer「Nitro VG0 VG240Ybmiix」でeスポーツを愉しむ
リフレッシュレート75Hz/応答速度1msで実売2万円のFreeSync対応モデル
2018年7月12日 07:00
液晶モニターの性能で見るべきポイントはいくつかあるが、ことゲーミングという用途に限っていえば特に「応答速度」は重要だ。
モニターの応答速度とは、ごく簡単に言えば、モニター上のひとつひとつの画素(ドット)の色が変化する速度のこと。応答速度が短いほど、激しく動く映像を見た時の残像が少なく見える。ゲームをプレイするうえで残像が少なく見えるというのは、つまり作品世界の視認性が上がるということだ。例えば動き回るキャラクターや、ステージの変化、飛来する敵弾などがよりはっきりと視認でき、次の操作を判断するのがコンマ数秒でも速くなるという効果が期待できる。
実際、競技レベルのゲームでは、液晶モニターの性能として、モニターサイズや解像度よりも応答速度が重視される。本記事で紹介するAcer「Nitro VG0 VG240Ybmiix」は1msという高速な応答速度をウリとしたコストパフォーマンス重視のゲーミングモニターだ。同等の応答速度を持つ現行機種の中では主流となる24型前後のモデル。手頃な価格で手に入るゲーミングモニターという位置付けの製品となる。
シンプルなインターフェイスと操作系、薄型ベゼルですっきりとした設置感
Acer「Nitro VG0 VG240Ybmiix」スペック | |
---|---|
画面サイズ | 23.8型 |
最大解像度 | 1,920×1,080ドット(16:9) |
応答時間 | 1ms(VRB) |
最高リフレッシュレート | 75Hz |
コントラスト比 | 1,000:1 |
輝度 | 250cd/平方m |
パネルタイプ | IPS |
入力端子 | HDMI×2、D-Sub×1 |
ディスプレイ同期 | FreeSync |
HDR | - |
VESAマウント | ○ |
スピーカー | ○ |
発売時期 | 2018年5月24日 |
実勢価格(税別) | 2万円前後 |
まずは外観から見ていこう。外観は流行りの薄型ベゼルを採用。操作ボタン類は向かって右側の裏面に5つあり、電源のON/OFFやOSDメニューの表示、ゲームモードの切り替えといった機能が割り当てられているほか、1番下のボタンには上下左右の4方向に動かせるジョイスティックのような機構を備えており、OSDメニューの操作はこのボタンを使って操作する。
三叉型で細めのスタンドはフットスタンプを小さめに抑えており、デスクの上を広々と使える。奥行き方向のフットスタンプはおよそ25cm。
入力端子はHDMI×2、D-Sub×1。スピーカーも内蔵しており、3.5mmミニプラグのオーディオ入力とヘッドフォン出力も備えている。スピーカーが内蔵されているというのは意外と便利で、例えばいつも使っているPCやコンソール機以外を接続したときに、音声入力の配線を切り替えなくても、自動的に「最低限音が出る」状況にすることができる。
Acerが「ZeroFrameデザイン」と呼んでいる薄型ベゼルはモニターの両側面と上側に採用されており、厚さは枠部分の2mm+映像非表示領域4mmのおよそ6mm。実際に設置してみると、画面表示に必要な分だけの空間を専有するような感じで、求められる性能を過不足なく発揮している印象を受ける。
100×100mmのVESAマウントにも対応しており、23.8型というサイズ(54×41.2cm)も相まって、モニターアームを用いた設置自由度も高めだ。
OSDの機能としては8つの表示モードやクロスヘア表示機能が特徴的だ。このほか暗部の明るさを持ち上げて視認性を向上する「Black Boost」やブルーライト低減機能も装備した。ちなみに本機のOSDは、モニターの物理ボタンに触れなくても、デスクトップアプリ「Acer Display Widget」から操作が可能となっている。
ところで、本機を評価するうえで重要な数値である応答速度は一見、非常に小さい数字なので、「1msも10msも大した差ではないのでは?」と思われるかもしれない。しかしゲームをプレイすると画面を凝視するので、見ていると意外と気になるものだ。それにプレーヤーは画面の表示を見て状況を判断するのだから、仮に表示そのものが遅いことで相手に負けたとするなら、それはプレーヤーの実力の外で起きている事象なので、悔やんでも悔やみきれない。応答速度の重要度は、ゲームが上達すればするほど実感できるスペックだ。
1msの応答速度を実現しながら、IPS方式の液晶パネルを採用している点も見逃せない。一昔前は応答速度を必要とするPCモニターといえばTN方式のパネルが主流だったが、本機では視野角による輝度と色味の変化が少ないIPSを用いている。最近はTNやVAでも広視野角のモデルが出てきているが、浅い角度で見たときの色変化の少なさは依然IPSが有利だ。
本機の特徴は、1msという高速な応答速度と、75Hzという標準の60Hzよりやや高いリフレッシュレート、手頃なお値段と画面サイズ、薄型ベゼルや細めのスタンドによる省スペース性にある。あまりコストをかけずにゲーム環境を構築したいプレーヤーには、なかなかお得な選択肢のひとつではないだろうか。
本機をモニターとしてPCで遊ぶ場合は、応答速度が速いという強みを活かしやすい「League of Legends」や「Counter-Strike: Global Offensive」といった、比較的負荷が軽めで競技性の高いタイトルがおすすめだ。もちろん、ハイスペックPCのマルチモニター環境などで、ゲームを遊ぶときだけ「Nitro VG0 VG240Ybmiix」に切り替えるという使い方もありだが、いずれにせよ、ある程度競技性のある対人ゲームをプレイするシーンで本機は真価を発揮する。
ちなみにリフレッシュレートが75Hzというのは、ゲーミングモニターとして物足りなく感じるかもしれないが、実はコンソールで遊ぶうえでは十分な数字である。現状、60Hzを超えるリフレッシュレートが出力できるコンソール機は存在しないので、コンソール機と本機をつなぐことで、十分に遊べるパフォーマンスを発揮する。「Nitro VG0 VG240Ybmiix」が一般的な大画面テレビと比べて有利なのは、応答時間である。
応答時間が短いことの利点は、高速で動く画像の視認性が良いことだ。応答時間の長い液晶モニターは色表示の遷移にかかる時間が長く、例えばモーションブラーのような現象が発生して、画面が視認しにくくなる。テレビの仕様表には応答時間が明記されていないことも多いが、PC用周辺機器である液晶モニターであれば、応答時間はスペックとして明記されているので、安心して使えるところはある。
PCのゲーミング環境と違って、「60Hzのリフレッシュレートで十分」というコンソール機の環境では、ゲーム向けに作られたゲーミングモニターの方が有利になる可能性はある。「Nitro VG0 VG240Ybmiix」の場合は応答時間が速いことはもちろんメリットだが、スピーカーも内蔵しているので、それこそHDMIケーブルを差し込むだけですぐに遊べるテレビ的な運用も可能なのが強い。
高速な応答速度で良好なプレイングが可能
ここからは、実際に本機を使っていくつかのタイトルを遊んでみての所感をお伝えする。Acer「Nitro VG0 VG240Ybmiix」の場合は、「応答速度」という基本スペックが、これより長いモニターと比べて体感的にどのくらいの違いを生むかという点に主眼を置いている。
比較に使ったモニターは、筆者が長年使っている三菱電機のベストセラーモデル「RDT261WH」(2006年11月発売)。解像度は1,920×1,200ドット、リフレッシュレートは60Hz、応答速度は15ms。かなり古い機種だが全く壊れる気配がないので、まだ現役で稼働している。なお、ゲームプレイ自体は別のゲーミング向けモニターで遊んでいる。
「League of Legends(LoL)」(Riot Games)
「LoL」は、チャンピオン(操作キャラクター)がスキルを発動するタイミングが重要だ。多くのスキルは味方と連携して発動させると相乗効果が得られることが多いため、コンマ数秒スキル発動のタイミングがズレただけで、戦闘結果に大きな影響を及ぼす。敵が攻勢をかけてくる際には明らかに間合いや挙動が不自然になるタイミングがあるので、素早く変化を察知して反応する意味では、少なくとも応答速度は速い方が良い。
純粋に応答速度を比較するため、「Nitro VG0 VG240Ybmiix」と「RDT261WH」のリフレッシュレートを60Hz固定で交互に試したところ、体感上でもチャンピオンの見え方が明らかに違う。応答速度が遅いとブラーがかかったようなぼんやりとした見え方になり、プレイするうえで支障はないが、ぼやけたキャラクタを長時間凝視していると目が疲れる。その点、「Nitro VG0 VG240Ybmiix」は常にシャープな描写を実現していた。
「Counter-Strike: Global Offensive(CS:GO)」(Valve Software)
「CS:GO」の勝負は、敵を瞬間的に捉えて一発でも多く弾を叩き込むことなので、AIM力がモノを言う部分が大きい。エイミングは個人の反射神経や操作の正確性によるところが大きいが、それだけにモニターの応答時間は重要な性能のひとつとなる。同程度の実力を持つプレーヤー同士が相対したときに、ハードウェアがボトルネックになって撃ち負けるということが起こりやすい領域だ。
「CS:GO」において、応答速度はエイミングの瞬間的な判断に影響を与える。「CS:GO」のキャラクターはそれほど高速に動くわけではないが、それでも左右に動いて回避行動をすることは多く、応答速度が速い方が動きの捕捉はしやすい。応答速度が遅いことによって生じるモーションブラーが大きいと、そもそもどこに敵がいるのか正確に把握できないので、エイミングにもブレが生じやすい。その点では、応答速度の速さは有利に働いた。
「Fortnite」(Epic Games)
「Fortnite」は「PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS」(PUBG)と双璧をなすバトルロイヤル系タイトルだが、プレイ感覚は全く異なる。その最も大きな違いは、プレーヤー自ら建築物をつくれる点にある。
建築物は足場や盾のように使えるので、プレーヤーは何もない場所から垂直、あるいは斜め方向に動くことができる。1度作られてしまった遮蔽物を壊すのは弾がもったいないので、勝負が決まるような「最後の最後」までは放置されることも多い。つまり、敵が身を晒しているタイミングで弾を当てることが重要な立ち回りのひとつとなる。
本作はひとつの場所に長くとどまることがあまり良策ではないため、動き回る敵を狙うことが多い。応答速度の速さは動くキャラクターを中長距離から狙うのに役立つ。もちろん、応答速度の遅いモニターでも狙えないことはないが、動き回るキャラクターの表示が常に微妙にブレていて、正確な位置が掴みにくい。応答速度が速いことによって得られる恩恵は、FPSやTPSのように、「敵に狙いをつける」タイプのゲームで共通の部分が多い。
「フォートナイト バトルロイヤル」(PS4版、Epic Games)
コンソール機のタイトルを最近のPC向けゲーミングモニターで遊ぶメリットは、モニター側の応答時間でコンソール機のタイトルを遊べるという点だ。少なくとも「ゲーミングモニター」として売られているものであれば、リフレッシュレートが60Hz未満の製品はほとんどないし、コンソール機の側でも60Hzのリフレッシュレートをサポートし始めたのは最近のことだ。マルチプレイ環境という面でいえば、全プレイヤーが使っている入力機器もほぼ共通であり、映像や音響の設備以外に差がつきにくい天井の低さがある。
PS4を「Nitro VG0 VG240Ybmiix」に繋いでFortniteを遊んでみたところ、テレビに繋いでプレイしたときと最も大きく違いを感じたのは、キャラクターが動いたときの鮮明さだった。テレビで遊んでいるときは、敵と撃ち合いになった際に回避行動として左右に動かれるとかなり狙いにくかったのだが、本機に接続して同じようなシチュエーションで戦った際は、もう少し狙いをつけやすいように感じた。そのほかにも、スナイパーライフルで遠距離の敵を狙う際、視認性が上がっていることで、いつもよりも立ち止まった瞬間をつかみやすくなった感覚があった。この辺は主観をお伝えするしかないのがもどかしいところだが、少なくともシューターをプレイする場合には、一般的な液晶テレビよりも、エイムのしやすさが如実に上がったのは間違いない。
お手頃価格とまとまりのよい性能が魅力
モニターしかり、マウスしかり、「ゲーミング」と付くPCデバイスは、同じカテゴリに属する一般的なデバイスと比べ、総じて性能が高い代わりに、相応の価格で販売されているケースがほとんどだ。
それは本来「人対人」の勝負であるゲームの世界において、デバイスがボトルネックになってはならないという発想からくる高性能だが、ユーザーのお財布がそれについていけるとは限らない。
「Nitro VG0 VG240Ybmiix」を買う最大のメリットは圧倒的なコスパである。解像度はフルHD止まりだが、今のところeスポーツシーンはすべてフルHDであり、1msという応答速度もほぼ最高水準と言って差し支えない。その他のスペックもゲームを遊ぶうえで十分な性能だし、シンプルな端子類や内蔵スピーカーの搭載で「とりあえず繋いでおけば遊べる」お手軽な取り回しも魅力のひとつだ。とかく高価になりがちなゲーミングデバイスの中にあって、必要な性能を持ちながらも手を出しやすい価格に収まった製品として貴重な存在だろう。