トピック

【特別企画】曲面ディスプレイ採用の本格ゲーミングモニターAOC「AG322FCX/11」でゲームの世界観を味わい尽くす

~大画面による没入感とブレない表示性能で快適なゲーム体験

 ゲーミング向け曲面ディスプレイモニターのラインナップが増えてきている。

 曲面ディスプレイは、画面そのものが表示面側に向かって緩やかな曲面を描いている。そのメリットは、適切な距離をとって画面と相対することで、ディスプレイを見ているときの歪みが少なく感じられることだ。通常のディスプレイよりも視線を動かす距離が短く、長時間使っても疲れにくい。またゲーム体験の向上に寄与する性能としては、視界に占める画面の割合が通常のモニターよりも大きくなることで、映像に対する没入感が増すように感じられる点が挙げられる。

 何をもって「ゲーミングモニター」とするかについては明確な定義は存在しないが、ゲーミング向けの曲面ディスプレイの現行機種を眺めてみると、おおむね「リフレッシュレート」や「応答速度」の性能が一般的なモニターと比べて高いことが特徴になっている。画面サイズは27型と34型がボリュームゾーンで、高性能かつ大画面な分、価格が割高になる傾向が強い。

 今回ご紹介するAOCの「AG322FCX/11」は、「ゲーミング」を謳う曲面モニターの中でも、比較的安価に購入できる製品だ。31.5型の大画面を持ちながらも、最高144Hzのリフレッシュレートと最速で4msの応答速度、FreeSync対応という、いまどきのゲーミングモニターとして必要十分な基本スペックを備えている。

シンプルなインターフェイスと操作系、薄型ベゼルですっきりとした設置感

AOC「AG322FCX/11」
AOC「AG322FCX/11」スペック
画面サイズ31.5型
最大解像度1,920×1,080ドット(16:9)
応答時間21ms(オーバードライブ時4ms)
最高リフレッシュレート144Hz
コントラスト比3,000:1
輝度250cd/平方m
パネルタイプVA
入力端子DisplayPort 1.2×1、HDMI 1.4×1、DVI×1、D-Sub×1
ディスプレイ同期FreeSync
HDR-
VESAマウント
スピーカー-
発売時期2017年5月24日
実勢価格(税別)3万6,000円前後

 30型を超える大型モニターには21:9のアスペクト比を採用するモデルも多いが、本機は一般的なモニターと同じく16:9を採用している。曲面ディスプレイの良さがより活きるのは21:9型とされるが、16:9型でも曲面の効果は十分に感じられる。

 操作ボタンは画面下部のボタン1個のみで、押し込み操作でOSDメニューを表示でき、ジョイスティックのように前後左右方向へのメニュー操作が可能。OSDメニューでは「FPS」、「RTS」、「レース」といったゲームジャンル別の表示モードに加え、3つのユーザープリセットが設定できる。このほか画面全体の明るさを持ち上げる「シャドウコントロール」、オーバードライブ、色調整、ブルーライト軽減、LED(シーンライト)表示色などの設定を変更可能。画面下部を帯状に使うユニークなUIを採用しており、思いの外直感的に操作できるのが好印象だった。

モニター下部に唯一設置されている操作ボタン
画面下部から帯状にポップアップするOSDメニュー
ゲームモードは「FPS」や「RTS」など6種類
ボタンはジョイスティックのようにも動き、OSDメニューのショートカットのような働きもする

【LED発光ギミック】
画面下部のLED発光の設定。赤、緑、青を3段階の強さで光らせることができる
赤色に光らせているところ
緑色に光らせているところ
青色に光らせているところ

 このほか、本体背面上部に備えた棒状の「ヘッドフォンフック」を備える。ゲームをしている途中に席を外さなければならないとき、意外とヘッドフォンやヘッドセットの置き場所には困るものだが、AOCのゲーミングモニターのいくつかの機種では、このヘッドフォンフックを装備することで、ゲーマーのちょっとしたお悩みの解決を図っている。

 表示性能では、ディスプレイ同期技術のFreeSyncに対応し、ゲーム内のフレームレートが十分に出ていないときでも、カクつき(スタッタリング)や分断表示(ティアリング)を回避している。

 またオーバードライブ時の応答時間は4msで、1msも珍しくないゲーミングPCの中では一見やや見劣りするようにも思えるが、曲面ディスプレイの現行ゲーミングモニターとしては標準的な数値だ。

 NTSC比85%の色域を表示できるというところにも注目したい。リフレッシュレートと応答時間で性能を出すことが重要なゲーミングモニターでは、色表現という部分が軽視されがちだ。例えば同社の従来モデルでは表現可能な色域がNTSC比72%だった。色表現への改善を施したことで、映像表現に力を入れているタイトルのプレイにも向いた機種であると言えよう。

退席時などにヘッドセットなどを引っ掛けておける「ヘッドフォンフック」
ヘッドフォンを引っ掛けてみたところ

 曲面ディスプレイは画面が湾曲している分だけ奥行き方向の接地面積を取る点がネックだが、本機はVESAマウントにも対応しており、モニターアームを使えば設置の自由度は比較的高い。ただ重量は9kgと重めなので、使うアームは選ぶ必要があるだろう。

 画面のアールは1800R。実際の見え味としては、さすがに31.5型の画面にフルHD解像度を表示しているだけあって、かなり見やすい印象だ。ユーザー側に湾曲した形状の画面ということで「糸巻き型に歪んで見えてしまうのでは?」という心配もあろうかと思うが、画面から適切な距離をとれば(筆者の場合はだいたい50cmくらい)、まったく曲面という形状を感じさせないし、むしろ四隅への視認性の高さが実感できる。

 湾曲した特殊なディスプレイ形状、144Hzのリフレッシュレート、そしてゲーミンググレードの4msという応答時間は、「画面の視認性」という一点において相乗効果がある。描画の速度に関与するリフレッシュレートや応答時間はキャラクターの動きを滑らかに描写し、曲面ディスプレイの形状は、画面全体を見渡す負荷を軽減する。

 画面の視認性がよく、高いリフレッシュレートと高速な応答時間という表示性能はあらゆるゲームと相性が良い。例えば「Fallout 4」で細部にいたるまで作り込まれた世界観に没頭することもできるし、「Cuphead」でシビアなアクションを楽しむのにも向いている。あるいは「PUBG」で高い視認性を活かして先に敵を見つけて有利に立ち回るのもありだろう。

1800Rの曲面を描いている
VESAマウント対応
出力端子

曲面ディスプレイと高速表示の相乗効果で快適なプレイ感覚

 ここからは、上で挙げたタイトルを実際に遊んでみての所感をお伝えする。

「Fallout 4」(Bethesda Softworks)

 「Fallout 4」の魅力のひとつは、レトロフューチャーなテクノロジーと様々な化物が混在する、カオスながらも美しいポストアポカリプスの世界観だろう。本筋のメインストーリーそっちのけで、飽きるまでそこらの廃墟に落ちているガラクタを漁ったり、NPCをおちょくったりできるゲームプレイの自由度は、オープンワールドタイトルの醍醐味でもある。

 作品世界を存分に味わうにあたっては、やはり大画面で景色やキャラクターを眺めたいところ。本機の31.5型という画面サイズは、そうした楽しみ方をするのに十分なサイズだが、さらに曲面ディスプレイを備えることで、映像を見て感じる没入感も高い。これは大画面というだけでなく、画面が湾曲していることによって画面の四隅に目が届きやすいということも影響していると思う。筆者もはじめは気のせいじゃないかと思ったのだが、一般的な平面モニターで遊んだときと比べて、明らかに画面の中に集中できる感覚があった。

 分類上、「Fallout 4」はシューターに属するので、リフレッシュレートや応答時間の速さも、敵/味方キャラクターの動きを把握し、戦闘を有利に運ぶことに活きる要素だ。ただし、「Fallout 4」の場合は「V.A.T.S.」と呼ばれる戦闘支援システムが存在し、これを使うことで敵の動きが一時的にスローモーションになり、弱点部位を狙いやすくなるので、V.A.T.S.を使う限りは、戦闘というよりも、非戦闘時のNPCの動きなどを観察するときなどに活きる性能ではないだろうか。

 「Fallout 4」では一人称視点と三人称視点を切り替えられるが、一人称視点で遊んでいる際に「酔いやすい」という指摘が多く見られる。一説には視覚と平衡感覚の不一致が3D酔いを引き起こすとも言われているが、確かにフレームレートが出せない環境では画面がカクつき、乗り物酔いのような感覚を受けることはある。これはリフレッシュレートが低い場合でも同様だ。「AG322FCX/11」では144Hzまでの高速書き換えが可能なので、その分カクつきが軽減できる見込みがある。Fallout 4は描画負荷の重いゲームだが、3D酔いが気になる向きには、ぜひフレームレートを稼げるPC構成、環境設定を詰めて遊んでほしい。

核戦争後の荒廃した世界でたくましく生きる人類の生活を覗き見るのに、没入感の高い曲面ディスプレイはもってこいだ

「Cuphead」(Studio MDHR Entertainment)

 「Cuphead」は、20世紀前半の米国カートゥーン風のビジュアルに反して、きわめて高い難易度が話題になった横スクロールアクションゲームだ。

 いわゆる「ロックマン」のように自キャラが弾丸を放って敵を倒しながら進むタイプのゲームだが、序盤でも足場に敵や罠が配置されていたり、かわしにくい挙動の敵がいたりと、ちょっと気を抜くとすぐにミスをしてしまう難易度が持ち味ともなっている。

 本作のようにシビアな操作を求められるタイトルでも、リフレッシュレートと応答時間による表示のなめらかさは活きる。たとえば敵が飛ばしてくる弾丸や、高速で体当たりを仕掛けてくる敵などは、きちんと視認して撃ち落とすかかわすかしないといけないわけだが、こと高難易度のアクションゲームでは、「この動き以外で対処しようとするとミスする」という一種の覚えゲー的な動きが求められるため、敵の動きがきちんと把握できる、あるいは動く敵でも鮮明に視認できることは攻略するうえでもメリットになるし、長時間プレイした際にも目が疲れにくい効果が期待できる。

苛烈な攻撃をかわしながら敵キャラを撃ち落として進む、シビアな操作が要求されるCupheadでは、一瞬の操作ミスが命取りになる

「PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS(PUBG)」(PUBG Corporation)

 多人数が同じ戦場で戦うバトルロイヤル「PUBG」では、誰よりも先に敵を発見し、対処する立ち回りが求められる。144Hzのリフレッシュレートと高速な応答時間、曲面ディスプレイの相乗効果で得られる「画面視認性の良さ」というのは、画面内に捕捉した敵を見逃さないという点でメリットがある。

 「何をそんな当たり前のことを」と思われるかもしれないが、画面内には捕捉しているが、プレーヤーの方がそれに気付かず、先に発見されてやられてしまうということもしばしばあるのがこのゲームだ。敵を視認してもおかしくない位置にいるのに、その時は見落としてしまっていることに、リプレイを見て初めて気づいたことも1度や2度ではない。

 まあそれは筆者固有のトンチキなのかもしれないが、少なくとも視界の隅々まで目を配る負担が少ない、画面が滑らかに動く、キャラクターがボヤけないという要素は、「PUBG」のようにシビアなバトルロイヤルを遊ぶ上で有利に働くのは間違いない。そのためにも、きちんとフレームレートが出せるマシンパワーのPCを調達したいところである。

正面ばかり見ていると、意外に画面内の敵を見逃しがち。画面端までの視線移動を必要とするタイトルには、曲面ディスプレイが有利だ

ハイコストパフォーマンスな湾曲ゲーミングモニターの決定版

 繰り返しになるが、曲面ディスプレイのメリットは、プレーヤーに向かって画面が湾曲していることで、画面の端々まで目を配る際の視線移動が少なく済み、また歪みが少ないことによって、目の疲れが平面モニターよりも少ないことだ。微々たる差のように思えるかもしれないが、ことゲーミングにおいて、プレーヤーはモニターを見つめている時間が極めて長い。たとえ数ミリ秒でも視線移動が少なければ、その積み重ねで蓄積する疲労は大きく異なる。

 また本機は曲面ディスプレイを採用するゲーミングモニターとしては比較的安く手に入る位置付けであり、また本格的なゲーミングモニターとしてもコストパフォーマンスはきわめて高い。

 あえて言うなら広めの設置スペースが必要(実測で横73×奥行き27cm)のフットスタンプを使うのがネックだが、これは曲面ディスプレイのモニター全般に言える問題だ。コストパフォーマンス重視の曲面ゲーミングモニターをお探しであれば、文句なしにおすすめの一品である。