【第23幕】
Report / manga:ジョン・カミナリ
logo design:フランチェスコ・アッカッターティス

電遊。辞書に載っていない造語である。電気的な遊び。いわゆる、テレビゲーム。道。その道を、自分の価値観だけを信じて最後まで歩むのが、侍精神である。電遊道は、妥協を許さないサムライゲーマーが歩むべき道。他人に影響されることなく、自分のゲーマーとしての信念を貫き通せばいい。たとえ、ゲームが別の道に進んでも、自分の好きな道をずっと信じ続けるのみ。たとえ、“これこそがゲームの未来形だ!”と言われても、自分の好きなゲームライフを思う存分楽しむのみ。

 この連載記事では、毎月1回、僕のゲーマーとしての物語、そしてゲーマーとしての哲学や信念を独特なスタイルで紹介していきたいと思う。日本のゲームに大きく影響を受けた僕のゲーマー人生を、イタリア人としての個性を生かして面白く語りたいと思う。あるときは、話題沸騰中のニュースについて掲載ギリギリのところまで正直な感想を書いたり、またあるときは、今でも心に大切にしまっている過去の作品を振り返ってみたいと思う。

 1番注目して欲しいのは、「イタヲタのレトロなゲームライフ」というコーナー。僕のオタクとしての青春を文章と漫画を交えて懐かしく振り返りたいと思う。連載の途中で新しいコーナーも生まれるのかもしれない。回を追う毎に中身が変わったり増えたりするのかもしれない。とにかく、サプライズたっぷりの連載を目指しているので、末永くこのページの中で付き合って欲しい!

ジョン・カミナリ(芸名)
国籍:イタリア 年齢:36歳
職業:俳優、声優、タレント、テレビゲーム評論家
趣味:テレビゲーム、映画鑑賞、読書(山田悠介)、カラオケ
主な出演作品:銀幕版スシ王子!(ペぺロンチーノ役、デビュー作)、大好き!五つ子(アンソニー・ジャクソン役)、侍戦隊シンケンジャー(リチャード・ブラウン役)、ピラメキーノ(テレビ東京、月曜~金曜 18時30分~19時放送中)
ブログ:ジョン・カミナリの、秘密の撮影日記
Facebook:http://www.facebook.com/johnkaminari
 イタリアで6年間テレビゲーム雑誌の編集部員として働いたあと、新しい刺激を求めて2005年に大好きな日本へ。子供の頃から夢見ていた役者の仕事を本格的に始める。堤幸彦監督の「銀幕版スシ王子!」で個性的なマフィアのボス、ぺぺロンチーノを熱演。現在もTVドラマやTVゲームなどで、俳優・声優として活躍中。日本語を勉強し始めたのは23歳のとき。理由は「ファイナルファンタジーVII」や「ゼノギアス」などのRPGの文章を理解するため。好きなジャンルはRPGと音楽ゲーム。「リモココロン」のような個性的なゲームも大歓迎。お気に入りのゲームは「ゲームセンターCX」と「ワンダと巨像」。芸名はイタリア人の友達に、本人が雷のように予想不可能なタイミングで現われるからという理由で付けられた。将来の夢は、「侍戦隊シンケンジャー」に出演した時から大好きになった戦隊モノにまた出演すること



【もくじ】
一刀両断~話題のゲームニュースについて鋭くコメントしちゃうぞ!~
傑作の如く~期待している新作TOP5~
過去の宝物~こよなく愛した過去の思い出の作品をピックアップ!~
イタヲタのレトロなゲームライフ~ハプニング満載のオタク人生~



■ 一刀両断 ~話題のゲームニュースについて鋭くコメントしちゃうぞ!~

話題のニュースや注目のテーマをピックアップして僕の率直なコメントを載せたいと思う。また、現在のゲームが抱えている問題を解決するアイデアや提案も、このコーナーを通じて考えてみたいと思う。ゲーマーの皆が納得できる未来のために!

其ノ一:3DS XLがイタリアでも発売!イタリア人の反応は?

 今、ローマのゲームショップのショーウィンドーを、発売されたばかりの3DS XL(3DS LL)が占領している。任天堂ゲーム機のユーザー、そしてファンとして、喜びを感じたと共に、昨今のゲームマーケットが、20年前と比較してどれだけ変わってきたのかについて考えさせられた。

 メガドライブやスーパーファミコンの時代には、新しいゲーム機が発売されたら、誰もが迷わず購入していたが、現在は「もしかして半年後に大幅値下げされるのでは?」、あるいは「1年後にはもっとコンパクトで使いやすいモデルが発売されるのでは?」という思いが強くなってきたため、発売日に購入するのをためらうユーザーが必然的に増えてきているのではないかと思う。

 3DS XLが発売された日からずっと、イタリアのゲームサイトに寄せられたユーザーからのコメントをチェックしているが、コメントの中でもっとも目立つのは、早すぎるペースで新型モデルを発売していくゲーム機メーカーへの不信感だ。この不信感が強くなるほど、新しいゲーム機が発売されるときに、次のモデルまで待つという常識が定着するかもしれない。もしそうなったら、ゲームメーカーにとっては大きな問題となるだろう。


ローマのショッピングモールでは3DS XLの体験コーナーが設けられていた。任天堂から選ばれたスローガンは「これまでの任天堂ゲーム機の中で最も大きい画面が実現!」というものだった家電量販店の中でも3DS XLの大きなポスターや看板を発見した。お客さんのための体験コーナーも設置されていた

 3DSの時もそうだったように、もちろんこの3DS XLに関してもイタリア人ユーザーの評論は大きくわかれている。まず、画面が大きくなったことで、グラフィックスが3DSより楽しめることを褒めている。解像度が向上したわけではなく、ただ全体的に画面のキャラクターたちが大きく映っており、ゲーム性にも良い影響を与えたと思うユーザーも少なくない。

 さらに本体のサイズが大きくなったことによって、例えば、L / Rボタンが重要な役割を持つ「Kid Icarus Uprising」(新・光神話 パルテナの鏡)のようなゲームで操作性が圧倒的に向上したという意見が多かった。僕も試してみたが、そのユーザーたちの意見に賛成だ。

 確かに、西洋人は手が大きい。重量が重くなったとはいえ、通常モデルより3DS XLのほうが、ずっと持ちやすいと断言できる。ただ、僕のような左利きのユーザー向けの改良が何も施されなかったことに関しては、不満を抱かずにはいられなかった。

 イタリアのゲームサイトで最も熱く討論されていたのは、2つめのサークルパッドについて。多くのユーザーが3DS XLに2つ目のサークルパッドが導入されることを期待していたようだ。それが必要不可欠と思われるゲームは、「Resident Evil Revelations」(バイオハザード リベレーションズ)と「Monster Hunter 4」だ。そういう意見があるのもわからなくはないが、3DS、3DS XLが、2つ目のサークルパッドの必要性をあまり感じさせない携帯ゲーム機として設計されたことを忘れてはならないとも思う。

 確かに、カプコンのゲームの操作性は据え置きゲーム機ならではの特徴を受け継いでいるため、携帯ゲーム機で快適に操作するには、2つ目のサークルパッドが確実に役立つ。しかし、それが不可欠となるタイトルは実際のところ極めて少ないので、周辺機器で補ったほうがより多くのユーザーが納得できると思う。

 正直に言うと、3DS XLに2つ目のサークルパッドが追加されていた場合、発売日に最初の3DSモデルを購入したユーザーに対して失礼だったと思う。したがって、僕は操作システムに関して何も変わらなかったことが、ベストチョイスだと確信している。

某チェーン店では充電器と「New Art Academy」(新 絵心教室)を同梱した非公式パックがお得な価格で販売されていた

 また、イタリアのゲームサイトでほぼすべてのユーザーが指摘していたのは、本体のパッケージに充電器が同梱されていないことだ。3DS XLのイタリアでの価格は199ユーロ、日本円で約19,300円(8月9日11時現在の外国為替レート「1ユーロ97円」で換算。以下同)。これで既に、日本での価格18,900円と比べると400円ぐらい高い。充電器も購入するとなるとさらに約10ユーロ(日本での価格は1,000円)が必要になる。個人的には、携帯ゲーム機の購入価格が200ユーロを超えるのは望ましくないと思う。やっぱり、充電器を含めて200ユーロ以下の価格がベストだろう。

 もちろん、DSi/DSi LL/3DSと共通の充電器を利用することはできるが、イタリアではほとんどのユーザーが3DSを売って(下取りに出して)、3DS XLを購入する。例えば、手持ちの3DSをゲームショップに買い取ってもらう場合は、充電器も付属しなければならない。つまり、3DS XLを別売りの充電器と一緒に購入する必要があるのだ。

 そんな中、大手家電量販店では既に189ユーロという価格も実現している。さらに、某ゲームショップチェーン店では、中古の3DSと2本のゲームソフトを下取りに出し、それに加え69ユーロを支払えば、3DS XLと交換できるというシステムがあり、とても人気を集めているようだ。不景気が続くイタリアだからこそ、安く買いたい人に選択肢が提供されることはポジティブなことだと思う。

 イタリアでの販売台数についても調べてみたが、現段階では正確なデータは不明だ。一方イギリスでは、初日の販売台数について、3DS XLが3DSの2倍ぐらいの数字を記録したというニュースが出回ったが、その直後に否定され、3DSの10分の1という数字に訂正された。データの信ぴょう性が低い欧州マーケットだが、任天堂もヨーロッパでの売上データは公開しないだろうと考えられている。

 どちらにしても、結論を言うにはまだ早すぎる時期だし、8月下旬にイタリアでも発売される「New Super Mario Bros. 2」が、3DS XLの販売台数を圧倒的に伸ばす絶好のチャンスになることは間違いない。8月はイタリア人の99%がゲーム機と無縁の夏休みを過ごしており、何処かのビーチで日光浴&海水浴を繰り返している。経済がまた本格的に動き出す8月末から再びテレビゲームに関心が集まるようになり、その時、3DS XLが注目の的になる可能性が高いと思われる。


□関連情報
【2012年7月28日】任天堂、「ニンテンドー3DS LL」発売レポート
大画面で立体視映像がパワーアップ!
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20120728_549863.html




其ノ二:「ドラゴンクエストX」は欧米でも期待されているのか?

 日本で国民的という形容詞に最も当てはまるRPG「ドラゴンクエスト」の10作目が発売された。プロジェクトが初公開された頃から、欧米でも話題を呼んだ。言うまでもなく、最も注目されたのはこれまでの伝統を打ち破るオンラインゲームであるということだった。もちろん、制作中のWii U版ではより洗練されたグラフィックスが期待できるだろう。

 僕は、日本の名作RPG「ファイナルファンタジー」、「ドラゴンクエスト」で育ち、日本語はそれらのゲームから教わったと言ってもおかしくないほど、すべての住人のセリフを勉強し、知らない表現や漢字が出たら、辞書を調べつつ遊んでいた。プレイ時間を気にすることなく、僕はいつも1人で遊んでいた。1人のプレーヤーとして、開発者たちが作った優れたファンタジー世界と、そのキャラクターたちのセリフを楽しんでいた。

 何故、この前置きを書いたのかというと、僕は「ドラゴンクエストX」に限らず、オンライン化に対していつも疑問を持っているからだ。オンラインにしたほうがいいゲームがあれば、オフラインのほうがいいゲームも存在すると思う。これまで、後者の部類に入るRPGの代表作はまさに「ドラゴンクエスト」だったのではないだろうか?

 先日、「ドラゴンクエストX」をプレイしている日本人プレーヤーのユーザーレビューを読んだが、その中で僕が考えさせられた言葉があった。「僕は人間の相手に気を遣ってしまう……」。なるほど。思ってもいなかったことだった。

 従来の「ドラゴンクエスト」に登場するキャラクターは、開発者たちが作ったキャラクターだ。だからこそ、プレーヤーがそれに対して気を遣うことはない。オンラインゲームを中心に遊んでいる日本人はともかく、1人用の「ドラゴンクエスト」を愛してきた昔からのファンたちは、オンライン化に対して戸惑いを覚えただろう。

 欧米での発売は未定のままだが、「ドラゴンクエストX」の新情報が欧米人からどのように受け止められているのか調べてみた。まず、WiiでMMORPGを作るというのは、性能面で無理なのではないかという疑問が多かった。「ハードディスクを備えていないWiiでどうやって実現するの?」という声が相次いでいた。

 最初の大きな問題は、16ギガのUSBメモリーという工夫のお陰で克服されたが、グラフィックスがやや地味である点は今でも指摘されている。欧米で発売されたら、迷わずWii U版を買うだろうというコメントが多いことが、オンラインRPGというジャンルにおいてグラフィックスも大事な要素だという裏付けになっていると思う。

 現在、欧米のユーザーが実際に遊んでいるわけではないが、最近公開された10分の紹介動画は観ている。それを観た感想として、町やフィールドが広大すぎるのではないかと感じたユーザーが多い。多くのプレーヤーが世界を共有するからフィールドが広大になるのは仕方ないが、従来の「ドラゴンクエスト」の魅力の1つは、絶妙なコンパクトさを持った村やダンジョンがあったことだ。

 正直に言って、僕がオンラインゲームを好まない主な理由はフィールドが必要以上に広大だからだ。新しい秘密や宝を求めてフィールドを縦横無尽に歩き回るのは好きだが、歩きすぎは疲れる。せっかくの美味しいカクテルに、味を薄める余分な氷を入れるのと同じだ。

 欧米では、「このゲームは誰のためにあるの?」とコメントしたユーザーがいた。「ドラゴンクエスト」のファンのためだったら、オンライン化は不可欠な要素ではなかったと考えられるだろう。オンラインゲームのファンのためだったら、もっと性能の高いハードを選び、グラフィックス重視の緻密な世界を構築したほうが良かったのではないだろうか。

 さらに欧米人が討論していたのは、「ファイナルファンタジーXI」がオンラインゲームだと公開された時と同じだった。「本作はナンバリングタイトルとしてではなく、オンラインのスピンオフ作品として開発したほうがよかったのではないだろうか」というものだ。

 この意見には、正直に言って僕も賛成だ。これまでの「ドラゴンクエスト」シリーズをすべて遊んできたが、オンラインを好まないからという理由で「ドラゴンクエストX」をプレイせずに、次の作品まで待つのは本当に残念だ。僕と同じ考えのプレーヤーは必ずいるはずだ。

 また、欧米では金銭的な課題が挙げられた。欧米ではどのような課金システムが採用されるのだろう。1カ月1,000円は妥当な金額と受け止めたユーザーもいれば、1年で10,000円以上かかるのは高すぎると感じているユーザーもいる。もっと安く、そして性能の高いMMORPGが存在するのに、何故「ドラゴンクエストX」を選ばなければならないのかというのが主な疑問になっているようだ。

 なるほどと思いながらパソコンを消したあと、自然に僕の目は過去の名作が並んだ棚に止まった。プレイステーション用の「ドラゴンクエストVII」。僕にとっては最高傑作のエピソードだ。2012年だが、今でも最初から遊んでみたいという気持ちは強い。果たして「ドラゴンクエストX」も10年後、遊びたくなるゲームになるのだろうか。時間の経過だけが正解を教えてくれるだろう……。


シリーズ初のオンラインゲームとなった「ドラゴンクエストX」。毎日遊ばなくても手軽にレベルアップできるシステムがアピールされている。果たして、日本人は本作を受け入れられるのだろうか? 確実に言えるのは、このゲームが成功したかどうかがわかるのは、何カ月も先になるということだ

(C)2012 ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/SQUARE ENIX All Rights Reserved.

□関連情報
「ドラゴンクエストX」 記事リンク集
http://game.watch.impress.co.jp/backno/dqx/index_c383.html







■ 傑作の如く ~期待している新作TOP5~

僕が期待している発売前後の新作TOP5。さまざまな情報をもとに、各ゲームのシステムやグラフィックスといった要素の中で僕が魅力的に感じたところを紹介していく。必ずしもメジャーなタイトルではなくて、逆に注目して欲しいマイナーな作品をピックアップすることもある。

(C)2012 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.
MAIN CHARACTER DESIGN: Akihiko Yoshida.
※画面は開発中のものです。

1位:ブレイブリーデフォルト
   プラットフォーム:3DS
   ジャンル:RPG
   発売元:スクウェア・エニックス
   発売日:10月11日
   価格:6,090円(通常版)
      12,800円(コレクターズパック)
   CEROレーティング:C

 次から次へと体験版が発信される「ブレイブリーデフォルト」から、とてつもない力とポテンシャルを感じる。「ファイナルファンタジー」シリーズから継承されたジョブチェンジシステムやアビリティシステムが安心感を与えると同時に、友達のキャラクターを召喚できるという3DSならではの新システム「フレンド召喚」が、新鮮さをもたらしている。

□スクウェア・エニックスのホームページ
http://www.square-enix.com/jp/
□関連情報
【2012年8月6日】スクエニ、「ブレイブリーデフォルト」
購入特典はアニエス専用装備「正教騎士の服」
キャラ専用装備・先行配信キャンペーンを実施
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20120806_551709.html





(C)2012 Nihon Falcom Corporation. All rights reserved.

2位:イース セルセタの樹海
   プラットフォーム:PS Vita
   ジャンル:アクションRPG
   発売元:日本ファルコム
   発売日:9月27日
   価格:7,140円(通常版)
      8,925円(25周年記念パック)
   CEROレーティング:B
   プレイ人数:1人

 シリーズ生誕25周年を記念した新たなエピソードがいよいよ発売! アドル・クリスティーンの冒険は過去の作品よりもアクション性が高くなっており、2人のパーティーメンバーとの連係スキルが戦闘に戦略性を与えている。フィールドはバラエティ豊かで精密に描かれているが、キャラクターモデルがPSPっぽいのは少し気になる。

□日本ファルコムのホームページ
http://www.falcom.co.jp/
□関連情報
【2012年8月7日】日本ファルコム、PS Vita「イース セルセタの樹海」
公式ホームページでアドル役の梶裕貴さんと近藤季洋代表取締役社長の対談掲載
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20120807_551819.html





(C)2012 NBGI

3位:時と永遠~トキトワ~
   プラットフォーム:PS3
   ジャンル:アニメーションRPG
   発売元:バンダイナムコゲームス
   発売日:10月11日
   価格:7,980円(通常版)
      9,980円(初回限定版)
   CEROレーティング:C

 世界初のHDアニメーションRPGが誕生! 女性ゲーマーにも人気が出そうなロマンチックな世界観やキャラクター設定が新鮮だ。グラフィックスに関しては、動画を見ると、思った以上にアニメーションが滑らかで、単なるアニメ好きでRPGに興味がない人でも気軽に遊べそうな印象。もちろん、RPGファンが求めるやり込み要素にも期待している。

□バンダイナムコゲームスのホームページ
http://www.bandainamcogames.co.jp/
□関連情報
【2012年8月2日】バンダイナムコ、PS3「時と永遠 ~トキトワ~」
結婚式襲撃を予言した占い師とアサシンギルドを紹介
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20120802_550612.html





(C)CAPCOM CO., LTD. 2006, 2012 ALL RIGTHS RESERVED.

4位:大神 絶景版
   プラットフォーム:PS3
   ジャンル:ネイチャーアドベンチャー
   発売元:カプコン
   発売日:11月1日
   価格:3,990円
   CEROレーティング:A
   プレイ人数:1人

 欧米で絶大な人気を誇る最高傑作「大神」が、装いを新たにして帰ってきた! 今回の見どころは、言うまでもなく、グラフィックスのハイデフ化にある。オリジナル版よりずっと高精密な世界を楽しめるのが大きな魅力になっている。PlayStation Moveに対応させたことにより操作性も快適になり、手を筆に見立てることで画面に描くことがさらに楽しくなった。

□カプコンのホームページ
http://www.capcom.co.jp/
□関連情報
【2012年6月21日】カプコン、PS3「大神 絶景版」
PS2版をHDリマスターし登場
PS Moveでの操作やトロフィー機能に対応
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20120621_541657.html





(C)SEGA

5位:龍が如く 1&2 HD EDITION
   プラットフォーム:PS3
   ジャンル:アクションアドベンチャー
   発売元:セガ
   発売日:11月1日
   価格:5,229円
   CEROレーティング:D
   プレイ人数:1人

 桐生一馬伝説はここから始まった。PS2版で遊べなかった人のためにセガが、最高のコレクションを提供する。グラフィックスがHDになったことにより神室町がもっとリアルになり、看板の解像度が上がった。オリジナル版の課題だったローディング時間も短縮。さらにアイテムを預ける機能も追加。再びプレイしたくなるのは間違いなし!

□セガのホームページ
http://sega.jp/
□関連情報
【2012年7月19日】セガ、PS3「龍が如く 1&2 HD EDITION」
シリーズ第1作と2作がHD化して甦る
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20120719_547811.html





■ 過去の宝物 ~こよなく愛した過去の思い出の作品をピックアップ!~

ゲームは技術的に進化する。グラフィックスが綺麗になる。ポリゴンの数が増える。ゲーム内の景色が実写と見間違えるほどリアルになってきている。しかし、時代が変わっても必ずしも進化しないものがある。それはゲームの面白さだ。昔のゲームはグラフィックスはシンプルだが、面白さでは今のゲームに負けていない。いや、それに勝る特別な何かを持っている作品もある。秋葉原のゲームショップや家庭用ゲーム機のオンラインストアで安く購入できる過去の傑作は山ほどある。このコーナーでは、僕が愛した昔のゲームをピックアップしていきたいと思う。具体的なゲーム内容よりも、僕のその作品に対しての気持ちを伝えることができればと願っている。

【魂斗羅スピリッツ】

プラットフォーム:スーパーファミコン
ジャンル:アクション
発売元:コナミデジタルエンタテインメント
発売年:1992年
CEROレーティング:A
プレイ人数:1人


 今回は、コナミデジタルエンタテインメント(以下、KONAMI)が1992年にスーパーファミコンで発売した「魂斗羅スピリッツ」だ。当時、頑張って貯めた貯金を使い、ローマの日本版ソフトを扱っていたゲームショップで購入したことをまだ鮮明に覚えている。価格は欧州版よりずっと高かったが、KONAMIの新作を遊ぶためなら、お金を惜しまないゲーマーだった。

 残念ながら、現在スーパーファミコンのカートリッジはもう持っていないが、代わりにWiiのバーチャルコンソールで購入し、メイン画面に常時「魂斗羅スピリッツ」のチャンネルを表示させている。久しぶりにそのチャンネルを起動させた瞬間、20年前にタイムスリップしたかのような、とても懐かしく、気持ちいい感覚が甦った。

 当時「魂斗羅スピリッツ」は、シリーズの中で最もクオリティの高い作品として絶賛されていたが、今実際に遊んでみると、ゲームを構成する6つのステージにはアクションを愛するゲーマーを幸せにするあらゆる要素が凝縮されている。

 本作の主人公はライフゲージの概念がなく、敵に触れると死んでしまう。久しぶりの最初のプレイは、ライフストックを7に上げ、難易度をEASYにしてみた。それでも、全方向から現われ容赦なく襲いかかってくる無数の敵に苦戦した。

 最初のステージはシリーズの伝統に従い、サイドビューを使用する。同時に2つの武器を使い分けることができ、手前の敵や場面によって、的確な武器を選択することが勝敗を分ける。一瞬アクションだけのゲームに見えるが、実は戦略性も高く、6種類用意された各武器の特徴を知ることが勝利のカギを握る。

戦車に乗って、大砲で正面の敵や障害物を壊していく敵が戦闘機で爆撃してきた。ステージは火炎の燃え盛る地獄へと豹変する!プレーヤーは、苦戦しながらステージを進んでいく

とにかくボスは巨大!攻撃をかわしつつ、点滅する敵のコアを狙って連射しよう

 アクションのテンポは非常に速い。ステージが終わるまで、一瞬も手を休めることなく、汗を滴らせながら進んでいくことになる。ポーズ機能はあるものの、逆にゲームを止めるとリズムを失い、ポーズを解除したら即死の連続という悲しい結果に繋がる可能性が高い。だからこそ、ボスを倒すところまで一気に遊ぶことで、最大限の満足感を得ていた。

 ファーストステージが終わると、ハリウッドのあの有名なアクションスターがモデルになったと言われている主人公「ビル」のイラストが全画面で表示される。今では何とも思わない地味な演出かもしれないが、当時の僕たちはそのイラストのことを、ステージを頑張ってクリアしたことに対する最高のご褒美として感じていた。これで、次のステージも頑張れるぞ!という気持ちになっていた。


各ステージをクリアした時に挿入されたイラストを見ることが、僕にとって大きな楽しみだった

 セカンドステージでは、当時の僕を驚かせた斬新な演出が楽しめる。ステージはトップビューになり、スーパーファミコンのウリの1つだった拡大縮小機能が大活躍する。目標は5か所に位置された特殊な敵を倒すことだった。LとRボタンでプレーヤーの向きをコントロールするのではなく、背景を回転させていた。

 しかも、この特別なステージは2人で挑むとスプリットスクリーンになり、ゲーム友達と盛り上がっていたことが、今でも最高の思い出になっている。目標物をすべて排除すると、またモード7をフルに活用した巨大なボスとの戦闘が待っていた。予想不可能なサプライズの連続で、僕はずっと感激していた。

フィールドが上空から表示され、まず降下地点を選択しなければならない目標の敵は地面の穴から攻撃してくる。全部倒すと、ボス戦へと移るボスは回転したり、上空に向かってジャンプしたりする。このダイナミックな場面で冷静さを保てるのはゲーマーのみ!

 ステージ3以降も、見たことのないような場面や演出に心が奪われていった。パイプに掴まったまま、周囲を飛行するエイリアンの群れを火炎放射機で必死に倒そうとする場面。ボスを倒し、奥の壁を壊し、出現する巨大なロボットに絶妙な緊張感を味わう場面。エアバイクで走行しながら戦闘を進める場面。ミサイルからミサイルへと飛び移りながら浮遊するボスを倒そうとする場面。アクションや場面のバラエティに関しては、本作はたぶん、今でも他に類をみないだろう。

ビルは、壁に掴まりながら攻撃してくる蜘蛛のようなロボットと戦っている。新鮮な場面の連続だったボスを倒したと思ったら本当のボスが出現。この瞬間がKONAMIのアクションゲームのお約束の1つだったのではないだろうか?ステージ4は、未来的なバイクに乗った状態でスタート。当時、グラフィックスがスムーズすぎて(特にスーパーファミコンのハードの制限を考えると)、目を疑うほどだった

 本作をクリアするのに大した時間は必要ない。クリアするには時間ではなく、遊ぶことによって少しずつ向上していくプレーヤーとしての熟練度だけが必要だ。そして、クリアしたらもう遊ばないではなく、次の難易度を選んで、またクリアしてみせるぞ!というのが、当時の僕たちの当然の気持ちだった。

 傑作アクションゲームには相応の優れた音楽が必要だ。「魂斗羅スピリッツ」の音楽は当時流行っていたハリウッドアクション映画からインスピレーションを受けつつ、日本人としての独特な感性も併せ持っていた。音楽によって各場面の緊張感が増幅され、映像と音楽とで、絶妙な一体感が生まれていた。

 「魂斗羅スピリッツ」が、時間の経過やゲーム機の進化と関係なく、普遍的な価値とゲーム性を持っているということは断言できる。「魂斗羅」シリーズの中で、1つだけ孤島に持っていけるとしたら、僕は間違いなくこの作品にする。


(C)1987 1992 Konami Digital Entertainment Co., Ltd.

□コナミデジタルエンタテインメントトのホームページ
http://www.konami.jp/
□VC版「魂斗羅スピリッツ」のページ(KONAMI)
http://www.konami.jp/products/dl_wii_contra_spirits_vc/
□VC版「魂斗羅スピリッツ」のページ(任天堂)
http://www.nintendo.co.jp/wii/vc/vc_cs/




■ イタヲタのレトロなゲームライフ ~ハプニング満載のオタク人生~

僕のゲーマーとしての人生を懐かしさたっぷりで語っていきたい。毎回、特定の時代をセレクトして、自分の記憶への冒険をしたいと思う。最終的には1つのストーリーになる。僕というオタクのストーリー。僕という和ゲー好きゲーマーのストーリー。文章だけでなく、クライマックスのシーンをもっとダイレクトに伝えるために漫画も使うことにした。とにかく、日本ではありえないシチュエーションについてたっぷり語っていくぞ!

今回の時代設定:1993年
イベント:ローマの漫画専門店で謎の男に出会う
ハプニング:彼の自宅はゲームセンターそのものだった!!

 僕は、メガドライブとスーパーファミコンの幸せな所有者だった。もうこれ以上、ゲームは進化しないだろうと、これ以上のグラフィックスは実現しないだろうと、ゲーマーとして最高の喜びを感じていた時代だった。「スーパーマリオワールド」や「ソニック」で日本のプラットフォームゲームの素晴らしさを知った。

 前者がスローなゲームだったのに対し、後者は躍動感のあるスピーディーなゲーム性で僕を魅了した。当時のイタリアのゲーム雑誌ではどちらが良いかという討論が激しくなり、マリオの熱烈な支持者が多くいれば、ソニックの勝利を謳歌していた読者も沢山いた。僕はどちらからも最高の満足感を得ていたが……。

 ゲームと同じくらい大好きな趣味は、漫画を読むことだった。当時のローマでは漫画専門店が1つ、またひとつとオープンし、コミックス業界の大ブームが記録された。土曜日になると、漫画好きの若者たちがローマの有名な漫画専門店の前に集い、好きな新作について楽しい会話を交わすようになった。

 僕も、ゲーム友達のエマちゃんと一緒によく漫画専門店に行っていた。もちろん、新作漫画を購入するために行っていたし、新しい友達を見つけるためにも、そして、熱い会話を交わすためにも、とても楽しみにしていた時間だった。当時の漫画読者はほとんどが男性で、女性を1人でも見つけたら驚くような時代だった。

 バスに揺られること1時間。今週の土曜日も僕やエマちゃんが常連客になっている、ローマの観光名所「コロッセオ」から近い漫画専門店に到着した。週末に多くの新作が発売されることもあり、店の入り口の前で、漫画が詰まったビニール袋を持った青年たちが会話していた。

「エマちゃん、今日、何を買う予定?」

 財布に入った所持金を確認してから、エマちゃんは答える。

「士郎正宗の新作があったら、買おうかなと思う」

 エマちゃんはSF漫画とファンタジー漫画が特に好きだった。僕のお気に入りジャンルは、高橋留美子の「うる星やつら」や「めぞん一刻」のようなコメディーだった。もちろん、「北斗の拳」や「ジョジョの奇妙な冒険」も毎月欠かせない作品だった。

 店の入り口に向かって歩き出したその時、僕の目の前に謎の男が現われた。

「君たち、初めて見かけたよ。僕はカルロと言う。よろしく」

 僕たちより5歳前後年上に見える男性が短く自己紹介した。無精ひげを生やしていて、一見ちょっと怪しい雰囲気を放っていたようにも見えた。どういうふうに応対すればいいか、一瞬戸惑ったが、名前を名乗ることにした。

「僕はジョン。彼は友達のエマちゃん。漫画とテレビゲームが大好きで、毎週通っているけど……」

 カルロと名乗った男性は重たそうなリュックを肩から下げていた。その中に一体何が入っているんだろうと、頭の中でいろんな可能性を想像し始めた。



「よかったら、カセットテープを買ってくれない?いっぱい持っているよ」
「カセットテープ?何のカセットテープ?」
「日本のアニメのサウンドトラックが収録されたカセットテープだけど」

 そう聞いた途端、エマちゃんと目があった。興味深いといわんばかりの表情だ。僕たちの反応を見てから、カルロは話を続けた。

「どんなサウンドトラックでも持っているよ。カセットテープに入れて、安く売ってあげるよ」

 話を詳しく聞くと、衝撃の事実が浮かび上がった。カルロは日本からアニメのサウンドトラックCDを買って、それをカセットテープにダビングし、ローマのアニメファンに売っているそうだ。当時の漫画ショップにはCDがほとんどなく、日本のアニメの音楽を聴くための方法は他になかったと言ってもいいだろう。

「ええ?沢山のCDを持っている?!この目で見てみたいな!」

 僕は見たこのないそのCDを見たくなり、カルロに見せてくれるように懇願した。

「いいよ。家はここから近いし、僕のスペシャルコレクションを見せてあげるよ」

 満面の笑顔でウインクしてから、カルロは家に向かって歩き出した。僕たちは彼の後に付いた。10分もしないうちに、団地に似たような住宅地に到着した。この建物の中にカルロの家族の自宅があるようだ。エレベーターに乗って3階まで昇った。カルロはドアを開き、僕たちを中へと招き入れた。

「僕の部屋は、廊下の1番奥だ。お祖母ちゃんが寝ているから静かにしてね」

 カルロは家族と一緒に住む22歳の大学生だった。お小遣いを貯めるために、カセットテープを売っていた。今の常識で考えると海賊版問題だが、当時のイタリアでは法律が曖昧だったし、僕たちはあまり綺麗でないことをしているという意識がまったくなかった。

「ここが、僕のスペシャルルームなんだ!」

 カルロの口癖は「スペシャル」だった。何でもスペシャルになっていた。でもよく見ると、言葉通りこの部屋はすごいじゃないか! 棚は漫画、CD、ゲームでぎっしりで、僕たちの通っている漫画専門店よりも品揃えがずっと豊富だなと思った。

「カルロ、ここ天国のような部屋だね! 引っ越したいぐらいだよ!」

 その時の僕たちの目は輝いていた。海賊だったら、海原に隠れた孤島にある秘密の洞窟の奥で、ずっと探し求めていた宝を発見したかのような感激ぶりだった。

「そして、これが僕のスペシャルゲーム機だ。ダダーン! NEO-GEOだ!」

 実は、NEO-GEOの存在は既に知っていた。僕の住んでいたマンションの管理人が持っていたゲーム機だったし、ローマのゲームセンターでも流行り始めていた業務用ゲームシステムだった。

 グラフィックスはすごかったが、カートリッジの価格が平均的な給料の半分ぐらいだったため、手の届かない人が多かった。当然、高校生だった僕たちが購入できるはずがないということだ。ゲームセンターではワンコインでNEO-GEOのすごい格闘ゲームでいつも遊んでいたが、家で遊べる未来はずっと来ないと思っていた。

「すごいだろう」

 カルロの目は最愛の赤ん坊を眺めているかのように、潤んでいた。

「最新の格闘ゲームをすべて持っているんだよ。この棚を見て!」

 カルロはNEO-GEOのゲームが並んでいた棚を手で示してくれた。この間、ゲームセンターで遊んだ「サムライスピリッツ」や「餓狼伝説2」もコレクションに入っていた。

 さらに、部屋の壁を見ると、白い壁は隠れて見えなくなっていて、90%以上がSNKの格闘ゲームのキャラクターたちのポスターで占められていた。その瞬間、僕の頭の中で、あるあだ名が思い浮かんだ。カルロに別名を与えようと思ったのだ。彼に最も相応しいあだ名といえる、“Lord SNK”だった。

 結局、あの日ゲームに夢中になってカセットテープの話を完全に忘れた。あの部屋を見た後、僕が願い始めたのは、僕もお金を貯めて、いつかNEO-GEOを買おうということだった。あの日以降も、土曜日になるとカルロと例の漫画専門店で会い、最新の格闘ゲームの話で盛り上がっていた。

 そして、奇跡の日が訪れたのだ。価格の手軽なNEO-GEO CDが発売された! これで、僕も家でゲームセンターの格闘ゲームが遊べるようになる! ただし、1つだけ業務用システムと違うところがあった。それは、ローディング時間だった。ローディング画面に現われる“あの猿”は、とても憎い存在となった……(笑)。


【番外編】

 カルロは今も元気にしていた!

 先日、彼が店員として働いているローマのショッピングセンターの中にあるゲームショップに行ってみた。皺は増えたが、印象はあれからまったく変わっていない。今も日本のゲームを支持している。

 店内のPS3では、日本の最新作の予告動画を常時再生している。アニメファンであるカルロが今、最も楽しみにしているゲームは「真・北斗無双」だ。サイバーコネクトツーが開発する「ジョジョの奇妙な冒険 オールスターバトル」も発売されたらすぐ購入したいと言った。

 もちろん、現在もNEO-GEOの大ファンだ。時代は変わったが、傑作の魅力はずっと変わらない。それをモットーにし、カルロは今日も日本のゲームで楽しく遊んでいる。





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(2012年8月10日)

[Reported by ジョン・カミナリ ]