【第10幕】
Report / manga:ジョン・カミナリ
logo design:フランチェスコ・アッカッターティス

 電遊。辞書に載っていない造語である。電気的な遊び。いわゆる、テレビゲーム。道。その道を、自分の価値観だけを信じて最後まで歩むのが、侍精神である。電遊道は、妥協を許さないサムライゲーマーが歩むべき道。他人に影響されることなく、自分のゲーマーとしての信念を貫き通せばいい。たとえ、ゲームが別の道に進んでも、自分の好きな道をずっと信じ続けるのみ。たとえ、“これこそがゲームの未来形だ!”と言われても、自分の好きなゲームライフを思う存分楽しむのみ。

 この連載記事では、毎月1回、僕のゲーマーとしての物語、そしてゲーマーとしての哲学や信念を独特なスタイルで紹介していきたいと思う。日本のゲームに大きく影響を受けた僕のゲーマー人生を、イタリア人としての個性を生かして面白く語りたいと思う。あるときは、話題沸騰中のニュースについて掲載ギリギリのところまで正直な感想を書いたり、またあるときは、今でも心に大切にしまっている過去の作品を振り返ってみたいと思う。

 1番注目して欲しいのは、「イタヲタのレトロなゲームライフ」というコーナー。僕のオタクとしての青春を文章と漫画を交えて懐かしく振り返りたいと思う。連載の途中で新しいコーナーも生まれるのかもしれない。回を追う毎に中身が変わったり増えたりするのかもしれない。とにかく、サプライズたっぷりの連載を目指しているので、末永くこのページの中で付き合って欲しい!

ジョン・カミナリ(芸名)
国籍:イタリア 年齢:35歳
職業:俳優、声優、タレント、テレビゲーム評論家
趣味:テレビゲーム、映画鑑賞、読書(山田悠介)、カラオケ
主な出演作品:銀幕版スシ王子!(ペぺロンチーノ役、デビュー作)、大好き!五つ子(アンソニー・ジャクソン役)、侍戦隊シンケンジャー(リチャード・ブラウン役)
ブログ:ジョン・カミナリの、秘密の撮影日記
 イタリアで6年間テレビゲーム雑誌の編集部員として働いたあと、新しい刺激を求めて2005年に大好きな日本へ。子供の頃から夢見ていた役者の仕事を本格的に始める。堤幸彦監督の「銀幕版スシ王子!」で個性的なマフィアのボス、ぺぺロンチーノを熱演。現在もTVドラマやTVゲームなどで、俳優・声優として活躍中。日本語を勉強し始めたのは23歳のとき。理由は「ファイナルファンタジーVII」や「ゼノギアス」などのRPGの文章を理解するため。好きなジャンルはRPGと音楽ゲーム。「リモココロン」のような個性的なゲームも大歓迎。お気に入りのゲームは「ゲームセンターCX」と「ワンダと巨像」。芸名はイタリア人の友達に、本人が雷のように予想不可能なタイミングで現われるからという理由で付けられた。将来の夢は、「侍戦隊シンケンジャー」に出演した時から大好きになった戦隊モノにまた出演すること



【もくじ】
一刀両断~話題のゲームニュースについて鋭くコメントしちゃうぞ!~
傑作の如く~期待している新作TOP5~
過去の宝物~こよなく愛した過去の思い出の作品をピックアップ!~
イタヲタのレトロなゲームライフ~ハプニング満載のオタク人生~



■ 一刀両断 ~話題のゲームニュースについて鋭くコメントしちゃうぞ!~

 話題のニュースや注目のテーマをピックアップして僕の率直なコメントを載せたいと思う。また、現在のゲームが抱えている問題を解決するアイデアや提案も、このコーナーを通じて考えてみたいと思う。ゲーマーの皆が納得できる未来の為に!

○ 家庭用ゲーム機の常識を変えるWii U。欧米の反応は?

欧米の大手メーカーからも高品質のゲーム開発を確保するのが、成功に繋がる大きなファクターと言える(写真はEAのCEO、John Riccitello氏)

 今年のE3の任天堂カンファレンスでは、Wiiの後継機「Wii U」が公開された。Wiiまでの任天堂のポリシーは、ライバルと直接競合しない独自のコンセプトに基づいたゲーム機を開発することだった。

 しかし、Wii Uは初めてライバル機を意識していると思う。ライバルゲーム機に匹敵(凌駕?)するハイデフグラフィックスが、任天堂のポリシーからすれば、最も革命的な特長だと考えられる。アイディアだけではゲーマー人口が圧倒的に増えない。それを懸念し、任天堂はハイデフ世界への参戦を決断したのかもしれない。

 任天堂の岩田社長も明言した。「コアゲーマーも意識することが大切」。そのコアゲーマーが求めているのは、これまでの任天堂ならではのアクションゲームでもあるし、そしてサードパーティーがほかのゲーム機で開発してきたハイデフ大作でもある。メーカー側も、任天堂が“ハイデフ族”に入ることを望んでいたのではないかと思われる。任天堂カンファレンスのEAのCEO、John Riccitello氏の初参加が、任天堂で大きな変化が進行中であることを示唆していた。

 実機に触れたわけではないが様々な情報から察するに、Wii UはこれまでのWiiユーザーだけでなく、これまでWiiに対して興味を示していなかったコアユーザーも獲得するポテンシャルを持っていると思う。さらに、タッチパネル付きの新型コントローラーが遊びの可能性を広げることは間違いないだろう。

 個人的には、携帯ゲーム機が据え置きゲーム機と合体したような印象を受けた。DSの上画面が、自宅の大きなテレビ画面に置き換えられると考えてもいいだろう。そして、タッチパネル付きコントローラーがタッチスクリーンの役割を担い、操作を補う為のインターフェイスとしても使えるし、あるいはメニューなどを表示させるのに利用できる。その柔軟性が開発者の想像力を刺激することは確かだ。

 タッチパネル付きのコントローラーをテレビの代わりに使える点も革新的だ。お父さんが野球の試合にチャンネルを変えた瞬間に、ゲームの映像が手元のタッチパネルに映し出される。詳細は謎に包まれているが、岩田社長の話によると、本体からコントローラーへの送信は遅延なく行われるそうだ。この特長もすごいとしか言いようがない。

 岩田社長もアピールしたように、Wii Uのコントローラーは携帯ゲーム機の部類に入らないという。従って、3DSやPS Vitaと競合することはない。そのことについては賛否両論あるだろう。せっかくの高性能コントローラーを外で携帯ゲーム機として使えないのはもったいないと思った人も少なくないはずだ。あるいは、発売されたばかりの3DSをWii Uのコントローラーとして使えたら、価格がもっと抑えられたのではないかという見方もできる。

 個人的にはWii Uのコンセプトに完全に納得している。唯一気になるのはその価格だ。これほど高性能なハード、しかも、6.2インチのタッチスクリーンを搭載したコントローラーをセットで売るとしたら、その価格はいくらになるのか少し心配している。理想は30,000円以下だが果たして?

 そしてもう1つ懸念しているのは、ソフト提供のバランス。任天堂のゲームだけが売れるというイメージが強かったWiiに対して、Wii Uではどういったバランスが成り立つのだろうか。ライバルのハイデフゲーム機と全く同じラインナップが主流になったら、任天堂のゲーム機ならではの個性が薄くなるのではないだろうか。

 言うまでもなく、カギはタッチパネル付きコントローラーの活用にあると思われる。ほかのゲーム機で体験できるエンターテイメントに、Wii U独自の操作性を加えることによって、付加価値となりゲームの面白さも倍増すると予想できる。Wii Uの成功と普及率はサードパーティーの努力次第でもある。いかにタッチパネル付きコントローラーをゲーム性に繋げられるかが、これからの課題になるだろう。

大きなテレビで遊んだ後、布団の中でもゲームを続けられる。依存率は高くなりそうな気もするが、何事もバランスが大切だ画面が1つ増えたことによって、据え置きゲーム機の常識が大きく変わることになるだろう。ライバルメーカーの反応がどうなるのか気になる


 アメリカのユーザーの感想についても調べてみた。ハイデフへの参入は快く受け入れられている。ただし、ほかのゲーム機のラインナップとの一致が心配の種でもあるようだ。任天堂の個性的なソフトや、Wiiリモコンと新型コントローラーを併用するマルチプレイゲームの開発が重要なカギを握っているというのが、主な意見だ。

 さらにコントローラーのサイズが大きすぎて操作しにくいのでは?という声もあった。これについては、実機のデモを体験したアメリカ人のジャーナリストが、新型コントローラーの意外な軽さや操作性を高く評価したので、ユーザーも安心したようだ。

 発売日が遅いのではという意見もあった。2012年に発売される頃にはPS3やXbox 360の後継機が公開され、Wii Uの販売に何らかの影響が出るのではないかと思うユーザーも少なくないようだ。ユーザーのほとんどが、2011年内の発売を期待している。価格を公開して欲しかったという声もあった。携帯ゲーム機がシェアを圧倒的に占めている昨今では、手頃な価格で提供されるPS Vitaもライバルとして考えたほうがいいだろう。

 さらに、イタリア人ゲーマーの反応についても調査してみた。小鳥が飛ぶハイデフグラフィックスのデモの評価が高かったが、果たして本当にゲームでもそのグラフィックスを簡単に実現できるのかという疑問を持つユーザーが多かった。PS3やXbox 360に代表される次世代機の誕生から6年が経った今、同じような性能のゲーム機を公開するのは遅すぎるのではないかという批判の声もある。

 もし、2年後にPS3の後継機が発売されるとしたら、その時点でWii Uのハードが既に古くなったと考えられる。サードパーティーがFPS大作を開発するにあたり、性能の低いWii Uをプラットフォームとして選ばないかもしれない。移植作業がややこしくなることが心配されるからだ。

 新型コントローラーに関しては、感激したという声が多かった。タッチパネル付きコントローラーを持つプレーヤーと、Wiiリモコンで遊ぶほかのプレーヤーとの役割分担が、新たな形のゲームの誕生に繋がると大いに期待されている。テレビ画面の領域を拡大させるタッチパネルの使い方次第では、プレーヤー心をくすぐる斬新な遊びが生まれることが予想されている。

 デモで特にイタリア人ユーザーの注目を引いたのが、タッチパネル付きコントローラーをゴルフ場の地面に見立ててゴルフゲームをプレイしているシーン。床にコントローラーを置き、タッチパネルに表示されたボールをWiiリモコンで打つという発想が天才的だという、賞賛の声が多い。

 アメリカ人と同じくイタリア人ユーザーも価格が気になっている。このほか、バッテリーの継続使用時間がどのぐらいになるのかも疑問に思っているようだ。個人的には、高性能なスマートフォンと見立てればそれほど心配する要素ではないと推測している。

 最後に今回の任天堂カンファレンスについても、ユーザーの受けた印象を交えてコメントしたい。以前の任天堂カンファレンスと比較すると今回公開されたWii Uの情報が明確さに欠けているという印象を受けた。つまり、カンファレンス中は新型コントローラーが、本体として誤認されたケースが多かった。

 それ以降の追加情報で疑問は払拭されたが、カンファレンス中でも本体と新型コントローラーの区別をもう少しはっきりさせたほうが、視聴者の誤解を招かなかったと思う。なお、筆者も最初、本体の存在に気付かなかった。

 おそらく、本体の形はこれから変わることも考えられるだろう。確実なものはタッチパネル付きの新型コントローラーのほうだ。それこそが主人公だから、本体に注目を向けさせる必要がなかったと、今回任天堂が判断したのかもしれない。

 いずれにせよ、E3がスタートで、ここからがWii Uのポテンシャルをアピールするための勝負となる。東京ゲームショウが開催される時期には、Wii Uのさらなる情報が公開されると思われる。その時、名シリーズの新作を試せればと願っている。



【ゲームショップインタビュー】

 ローマを代表するゲームショップで街頭インタビューを行なった。イタリア人のユーザーにWii Uについて以下の簡単な質問に答えてもらった。

1:Wii Uの気に入ったポイントは?
2:逆にWii Uの気になったポイントは?
3:Wii Uの期待しているゲームは?



名前:モーシ
年齢:30歳
職業:ゲームショップの店長

1:画面付きコントローラーが画期的
2:サードパーティーのソフトが発売される頃には既に古くなっているだろう
3:斬新な操作性を持つ「ゼルダ」シリーズの新作



名前:ヴィットリオ
年齢:24歳
職業:大学生

1:グラフィックス的には大きな進歩を遂げた
2:コントローラーのサイズは大きすぎる
3:豪華なグラフィックスで展開する「ゼルダ」シリーズの新作



名前:キャーラ
年齢:28歳
職業:ファッションショップの店員

1:コントローラーの画面でも遊べるところが革新的
2:カンファレンスではWii U用の「マリオ」を公開して欲しかった
3:「どうぶつの森」と「Nintendogs」シリーズの新作



名前:ファビオ
年齢:35歳
職業:会社員

1:ゲームのリアルさが圧倒的に増す
2:操作方法が複雑化した
3:「Wave Race」シリーズの新作



名前:ジュリアーノ
年齢:24歳
職業:大学生

1:画面付きコントローラーでゲーム性の可能性が増す
2:複数のコントローラーで遊べないこと。そして、その価格も気になる
3:「スマッシュブラザーズ」シリーズの新作


□任天堂のホームページ
http://www.nintendo.co.jp/
□関連情報
【2011年6月10日】西川善司の3Dゲームファンのための「WiiU」3Dグラフィックス講座
Wii Uの公開スペックと実機に触れた手応えから、その実力を考察する
http://game.watch.impress.co.jp/docs/series/3dcg/20110610_451799.html
【2011年6月10日】「Wii U」デモタイトル体験レポート
スクリーン付き巨大コントローラーの魅力を検証
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20110610_452137.html
【2011年6月9日】任天堂ラウンドテーブルでUbisoftがWii U用新作3タイトルを発表
新作「アサシンクリード」、や「KILLER FREAKS」のFPSの常識を撃ち砕く新しい対戦モードなどを紹介
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20110609_451709.html
【2011年6月8日】任天堂、新型ゲーム機「Wii U」を2012年発売
6.2インチタッチパネル付きコントローラー。「スマブラ」新作も投入
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20110608_451476.html
【2011年6月8日】任天堂、Wiiの後継機「Wii U」を発表
6.2inchディスプレイ搭載コントローラーでゲームの体験が変わる?(速報版)
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20110608_451343.html



■ 傑作の如く ~期待している新作TOP5~

 僕が期待している発売前後の新作TOP5。さまざまな情報をもとに、各ゲームのシステムやグラフィックスといった要素の中で僕が魅力的に感じたところを紹介していく。必ずしもメジャーなタイトルではなくて、逆に注目して欲しいマイナーな作品をピックアップすることもある。

(C)SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved. CHARACTER DESIGN: TETSUYA NOMURA

1位:ファイナルファンタジーXIII-2
   プラットフォーム:PS3/Xbox 360
   ジャンル:RPG
   発売元:スクウェア・エニックス
   発売日:12月
   価格:未定

 自由度の欠如でRPGファンの期待を裏切った前作。だがこの続編で、開発者は“失敗”を許してもらえるに違いない。なぜなら、E3で初公開された体験版では、前作になかった自由に探索できるパートの存在が確認できたからだ。バトルがエンカウント式に戻った点も評価したい。「Mog Clock」というメーターがいっぱいになる前に逃げられるという点も新しい。

□スクウェア・エニックスのホームページ
http://www.square-enix.com/jp/
□関連情報
【2011年6月24日】スクエニ、PS3/Xbox 360「ファイナルファンタジーXIII-2」
意味深なデザインのキーアートや新イベントシーンなどを公開
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20110624_454849.html

(C)2011 Sony Computer Entertainment Inc. All Rights Reserved.

2位:JOURNEY
   プラットフォーム:PS3
   ジャンル:アクション
   発売元:SCE
   発売日:2011年
   価格:未定

 「Flower」などの芸術的とも言えるタイトルで注目を浴びた、米thatgamecompanyの最新作。まず、「ICO」を連想させる幻想的なグラフィックスに心を癒されそうだ。前作の「Flower」よりもゲーム性が本格化している印象も受けた。主人公が服の破片を集めると飛翔や歌を歌う能力を身に付ける発想も面白い。癒し系ゲームの新たな傑作の登場か?

□プレイステーションのホームページ
http://www.jp.playstation.com/
□関連情報
【2011年6月12日】SCEAブースレポート、PS3の注目タイトル編
「RESISTANCE 3」、3D立体視対応版「ワンダと巨像」など
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20110612_452739.html

(C)2011 Nintendo

3位:ルイージマンション2
   プラットフォーム:3DS
   ジャンル:アクション
   発売元:任天堂
   発売日:2012年
   価格:未定

 とうとうあの名作の続編が作られた!しかも、3DSの裸眼立体視をフルに活かしたスリル満点の新作になりそうだ。今回、掃除機で吸い取ることができるものが飛躍的に増えた。オバケは言うまでもなく、部屋に隠れた様々なギミックやオブジェも吸い取れるようになった。独特なペースのゲームプレイに没頭すること間違いなし!

□任天堂のホームページ
http://www.nintendo.co.jp/
□関連情報
【2011年6月9日】任天堂ラウンドテーブルに宮本氏、青沼氏、小泉氏が登場
「ゼルダ」、「マリオ」など新作裏話が満載。今年の「ピクミン」情報は?
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20110609_451729.html

(C)2001-2011 Sony Computer Entertainment Inc.
(C)2005-2011 Sony Computer Entertainment Inc.

4位:ICO/ワンダと巨像 Limited Box
   プラットフォーム:PS3
   ジャンル:アクション・アドベンチャー
   発売元:SCEJ
   発売日:9月22日
   価格:6,980円
   CEROレーティング:B

 世界中で主要なゲーム賞を受賞した「ICO」と「ワンダと巨像」がハイデフ化し、PS3で生まれ変わる。「ワンダと巨像」は、唯一の“欠点”として指摘された不安定なフレームレートがこのバージョンで改善されたので、巨像との戦闘がより一層楽しめるようになっている。Limited Boxに封入された特製ブックレットも大きな付加価値だろう。

□プレイステーションのホームページ
http://www.jp.playstation.com/
□関連情報
【2010年6月12日】SCEAブースレポート、PS3の注目タイトル編
「RESISTANCE 3」、3D立体視対応版「ワンダと巨像」など
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20110612_452739.html
【2010年6月3日】SCEJ、PS3用「ICO」/「ワンダと巨像」発売日決定
特製ブックレット付きの限定版も同時発売
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20110603_450491.html

(C)2011 NBGI (C)2011 FromSoftware, Inc.

5位:DARK SOULS
   プラットフォーム:PS3
   ジャンル:アクションRPG
   発売元:フロム・ソフトウェア
   発売日:9月15日
   価格:7,800円

 妥協を許さないシビアなゲーム性とダークな世界観で欧米でも大人気になった「デモンズソウル」。その続編である「DARK SOULS」が、今年のE3で大好評を博した。グラフィックスはさらにダークさが増し、そして、オープンワールドの中を彷徨っている感覚がさらに味わえるという。高い難易度でプレーヤーを選ぶゲームだが、そのぶん達成感も抜群だ!

□フロム・ソフトウェアのホームページ
http://www.fromsoftware.jp/
□関連情報
【2010年6月13日】フロム、PS3「DARK SOULS」
本作の世界観を画面写真とともに紹介
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20110613_452196.html
【2010年6月8日】PS3「DARK SOULS」E3試遊バージョン、プレイレポート
甘えのないシビアさと高い達成感にシビれる!! あの最新作をついにプレイ!
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20110608_451335.html



■ 過去の宝物 ~こよなく愛した過去の思い出の作品をピックアップ!~

 ゲームは技術的に進化する。グラフィックスが綺麗になる。ポリゴンの数が増える。ゲーム内の景色が実写と見間違えるほどリアルなものになってきている。しかし、時代が変わっても必ずしも進化しないものもある。それはゲームの面白さだ。昔のゲームはグラフィックスはシンプルだが、面白さでは今のゲームに負けていない。いや、それに勝る特別な何かを持っている作品もあると思う。秋葉原のゲームショップや家庭用ゲーム機のオンラインストアで安く購入できる過去の傑作は山ほどある。このコーナーでは、僕が愛した昔のゲームをピックアップしていきたいと思う。具体的なゲーム内容よりも、僕のその作品に対しての気持ちを伝えることができればと願っている。

【ガンスターヒーローズ】

プラットフォーム:メガドライブ
ジャンル:アクションシューティング
発売元:セガ
発売日:1993年9月10日(メガドライブ版)
    2006年2月23日(PS2版 SEGA AGES 2500シリーズ)
    2006年12月2日(VC版)
    2009年6月10日(XBLA版)
価格:6,800円(メガドライブ版)
   2,625円(PS2版 SEGA AGES 2500シリーズ)
   600Wiiポイント(VC版)
   400MSP(XBLA版)

 発売から18年が経過した現在も「ガンスターヒーローズ」の魅力は色あせていない。当時、イタリアで発売された時、ゲームの開発を手掛けた「トレジャー」という名称があっという間に広がった。今でも、2Dアクションシューティングゲームの雄として世界中のプレーヤーたちに崇められている。個人的な発想だが、“シューティングゲームのトレジャー”という呼称もぴったりだと思う。

 これまでに多くのアクションシューティングゲームが発売されたが、「ガンスターヒーローズ」は既にこのジャンルの完成形と言えるほどの資格を持っている。ステージや武器などの種類の豊富さ、そして次から次へと変形する手強いボスの数々。トレジャーと言えば、個性溢れるボスが何よりも印象に残っている。なおイタリアでは、トレジャーの作品のことを“ボスシミュレーター”と呼ぶファンもいた。

何回も変形するボスがトレジャー作品のトレードマークだ。本作では、ロボットや巨大な銃など7つの形態を持つボスも存在する。そのスピード感とスムーズなアニメーションは、18年が経ったことを忘れさせる

 とにかく「ガンスターヒーローズ」のスピード感は圧倒的だった。たとえ、画面がキャラクターで埋め尽くされても処理落ちしなかった。当時のメガドライブでは難しいとされていた、回転や縮小といったエフェクトを使ったボス戦でも、速さがずっと保たれていた。その開発力はまさに神業だった。

 「ガンスターヒーローズ」は、斬新な要素を数多く備えていた。例えば、2つの武器を組み合わせることによって、両方の武器の特徴を使った“合体ショット”を撃つことができた。場面によって武器を適切に組み合わせることでいち早く勝利できるため、いつもベストなセットを考えながら進んでいくことになる。特にボス戦では正しい武器の選択が勝敗を大きく左右する。アクション性の強いゲームだが、戦略の要素も適度に含まれているのだ。

 主人公は武器を使う以外にも、敵兵にダメージを与えられる様々なアクションを身に付けていた。例えば、敵に挟み撃ちされている場面で重宝するスライディング、さらに敵に囲まれたときに便利な掴みなどがそうだ。掴みでは、まさに格闘ゲームのように敵を掴み遠くへ投げる。今では当たり前と思われるアクションだが、当時はシューティングゲームとファイティングゲームの組み合わせが革新的だった。

全部で4つの武器が用意されている。貫通性に優れたレーザーや接近戦に向いた火炎放射まで、場面によって使い分けるのが重要だ最初の4つのステージをクリアすると(クリアする順番は自由)、ほかのステージに進むことができるようになっている。中には、ゲームのジャンルが微妙に変わる特別なステージも存在したトロッコに乗り高速で進むステージもある。ジャンプボタンを2回続けて押すと、床から天井に移ることもできる

敵の可愛いらしさもトレジャー作品の大きな特徴の1つと言える

 トレジャー作品の魅力を語るのに外せないのが、キャラクターたちの愛らしさ。主人公はもちろんのこと、敵役のキャラクターも憎めない面々ばかりだ。倒された後のコミカルなリアクションや可愛らしいアニメーションも本作の大きな見所と言える。ネタばれになるから言わないが、最後のステージの独特な演出は今でもほかに類を見ないと思えるほどアイディア満載の展開となっている。本当に必見だ!

 最後にどんなメーカーよりも尊敬するトレジャーへのメッセージだ。昨今、ハイデフグラフィックスのFPSや戦争ゲームが市場のほとんどを占めており、昔懐かしいアクションシューティングゲームの需要がどんどん減ってきている。「ガンスターヒーローズ」のようなゲームを求めるファンはずっといるだろうが、今が転換期であることも否めない。

 しかし、トレジャーは絶対に変わってはいけない。世界に愛される独自のゲーム性をずっと貫いて欲しい。グラフィックスがハイデフ化するのは良いことだが、ゲームのコンセプトはそのままでいい。そのままで完璧だ。18年前のこの「ガンスターヒーローズ」も既に完璧だった。

【グッジョブ!】【異議あり!】
ボスがすごいやや短い
爽快感抜群 
武器の組み合わせが面白い 
ステージ展開が革新的 

(C)SEGA

□セガのホームページ
http://sega.jp/
□VC版「ガンスターヒーローズ」のページ
http://vc.sega.jp/vc_gunstar/
□PS2版「SEGA AGES 2500シリーズ Vol.25 ガンスターヒーローズ ~トレジャーボックス~」のページ
http://ages.sega.jp/vol25/
□XBLA版「ガンスターヒーローズ」のページ
http://marketplace.xbox.com/ja-JP/Product/%E3%82%AC%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%92%E3%83%BC%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%82%BA/66acd000-77fe-1000-9115-d802584109a6
□関連情報
【2006年3月14日】「SEGA AGES 2500シリーズ Vol.25 ガンスターヒーローズ ~トレジャーボックス~」
~奥成プロデューサーに再びインタビュー!~
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20060314/ages.htm
【2005年10月7日】GBAゲームレビュー「ガンスタースーパーヒーローズ」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20051007/gsh.htm



■ イタヲタのレトロなゲームライフ ~ハプニング満載のオタク人生~

 このコーナーでは僕のゲーマーとしての人生を懐かしさたっぷりで語っていきたい。毎回、特定の時代をセレクトして、自分の記憶への冒険をしたいと思う。最終的には1つのストーリーになる。僕というオタクのストーリー。僕という和ゲー好きゲーマーのストーリー。文章だけでなく、クライマックスのシーンをもっとダイレクトに伝える為に漫画も使うことにした。とにかく、日本ではありえないシチュエーションについてたっぷり語っていくので、本当に面白いコーナーになると思うぞ!

今回の時代設定:1987年
イベント:話題のコンピューター「Amiga 500」が発売!
ハプニング:ゲームをコピーしても大丈夫な電気店があった!?

 日本の家庭用ゲーム機とまだ無縁の時代だった。当時のイタリアではファミコンなどの日本のゲーム機よりも、アメリカ製のコンピューター「Amiga 500」が流行っていた。手頃な価格でフロッピーディスクに収録された多種多様なゲームが楽しめるシステムだった。

 僕もそのユーザーの1人だった。宿題が終わったら、ゲーム友達のクリスティアーノを家に呼んで、一緒に遊ぶのが日課だった。今、振り返ると恥ずかしいことだが、当時の僕たちは海賊版ソフトも買うことがあった。そもそも当時のイタリアでは海賊版ソフトの意識がなく、むしろゲームショップではオリジナル版のほうがほとんどなく、怪しさ満点の手書きラベル付きカセットテープやフロッピーディスクが、公衆の面前で正々堂々と売られていた。

 例えば、性能面で日本のファミコンに似た「Commodore 64」というコンピューターがあった。当時のイタリアではゲームにおいての著作権がきっちり決められておらず、雑誌や新聞を売っていたキオスクでも、名前を微妙に変えた有名なゲームの海賊版が問題なく販売されていた。有名なアクションゲームのキャラクターや背景の色を少し変えただけで、その内容はオリジナル版とまったく同じだった。

 ちなみに任天堂のあの看板タイトルをパクったソフトもあった。確か、タイトルは「The Great Giana Sisters」だった。後で、任天堂がそのメーカーを告訴したことを知った。店頭から消えたその幻のソフトが、今でもヨーロッパのオークションで高値で落札されているらしい……。

 僕とゲーム友達のクリスティアーノも、海賊版ソフトを買ったことがあった。当時は買って悪いという意識がなかった。そもそもオリジナル版が存在することを知らなかった。そのゲームを買う為に家の近くの電気店に通っていた。テレビやビデオデッキなど、あらゆる電気製品が販売されていた。

 店長はブルーノというおっさんだった。レンズが曇ったメガネをかけており、いつも謎めいた雰囲気を醸し出していた。そして、右耳には必ずと言っていいほど鉛筆を挟んでいた。いつでも合計を計算できるように。

 僕たちが入店するなり、彼のナポリなまりのセリフが聞こえてくる。

「またあのガキかよ!」

 何も買わず、興味本位でその店によく来ていた僕たちのことをブルーノが鬱陶しいと思っていたに違いない。そして、カウンターに近付くと、魔法のランプから出てきたジーニーかのように、こう尋ねてくる。

「今日はどんなゲームが欲しいのじゃ?」

 僕たちが欲しいゲームのタイトルを告げると、ブルーノはカウンターに積まれたフロッピーディスクの山から一枚を取って、奥のコンピューターでコピーを始める。作業が終わり、カウンターに戻ったブルーノは微妙な微笑みで僕たちにいつもこう言っていた。

「君たちだから、10,000リラじゃなくて、7,500リラで大丈夫じゃ」

 いつも値引きしてくれていた。ちなみに10,000リラは日本円に換算すると、600円ぐらいだ。

 当時、日本のゲームを移植していたフリーランスのプログラマーも多くいたらしく、その店では特にそういうゲームが売られていた。しかし、ほとんどの場合、ゲームセンターのオリジナル版と比べるとクオリティーがあまりにも低かった。パララックスエフェクト(背景が手前のフィールドと違う速さで流れるエフェクト)がないケースが多く、処理落ちやアクションの遅さも目立っていた。

 ブルーノのゲームを家に持ち帰って遊んでみると、満足することはほとんどなかった。その日の夜、ゲームセンターのオリジナル版を夢で見ていた。

「家でゲーセンと同じクオリティーのゲームが遊べる時代が来るのだろうか」

 夢の中で、よくそのセリフが響いていた。スプライトが回転や拡大縮小するエフェクト。レーシングゲームの奥行きのある空間を高速に走行する感覚。あの素敵なエフェクトや感覚を自宅でも満喫できる未来が来るのだろうか。

 そして、その2年後に、夢が叶った。僕にとっての初めての日本製ゲーム機「メガドライブ」が家にやってきた。あの日から僕のゲーマー人生が大きく変わり始めた……。

【番外編】

 あの店はまだ存在するのだろうか?そして、ブルーノというオッサンがまだいるのだろうか?あの伝説の電気店があった場所に行ってみた。すると……店名は変わっていたが、電気店はまだあった。

 入ってみると、怪しいゲームの姿が消え、秋葉原にあるような電気部品を中心に正当な商品を販売する普通の店になっていた。ブルーノがいるのだろうかと思った矢先、現われた!白髪になっていたが、あれは紛れもなく彼だった。あれから24年が経った今、僕は気恥ずかしくて声をかけることができなかった。しかし一瞬、ブルーノと目が合った。ばれたと思い、僕はすぐに店を出た。

 今は昔のように、変な商品を置いていなかった。何故なら現在は、そういう商品を売ってはいけないという法律がちゃんと定められているからだ。





 電遊道では、みなさんに取り上げてほしいネタなどを随時募集します。ドシドシと編集部までメールを送って下さい(編集部)

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(2011年7月1日)

[Reported by ジョン・カミナリ ]