【第11幕】
Report / manga:ジョン・カミナリ
logo design:フランチェスコ・アッカッターティス

 電遊。辞書に載っていない造語である。電気的な遊び。いわゆる、テレビゲーム。道。その道を、自分の価値観だけを信じて最後まで歩むのが、侍精神である。電遊道は、妥協を許さないサムライゲーマーが歩むべき道。他人に影響されることなく、自分のゲーマーとしての信念を貫き通せばいい。たとえ、ゲームが別の道に進んでも、自分の好きな道をずっと信じ続けるのみ。たとえ、“これこそがゲームの未来形だ!”と言われても、自分の好きなゲームライフを思う存分楽しむのみ。

 この連載記事では、毎月1回、僕のゲーマーとしての物語、そしてゲーマーとしての哲学や信念を独特なスタイルで紹介していきたいと思う。日本のゲームに大きく影響を受けた僕のゲーマー人生を、イタリア人としての個性を生かして面白く語りたいと思う。あるときは、話題沸騰中のニュースについて掲載ギリギリのところまで正直な感想を書いたり、またあるときは、今でも心に大切にしまっている過去の作品を振り返ってみたいと思う。

 1番注目して欲しいのは、「イタヲタのレトロなゲームライフ」というコーナー。僕のオタクとしての青春を文章と漫画を交えて懐かしく振り返りたいと思う。連載の途中で新しいコーナーも生まれるのかもしれない。回を追う毎に中身が変わったり増えたりするのかもしれない。とにかく、サプライズたっぷりの連載を目指しているので、末永くこのページの中で付き合って欲しい!

ジョン・カミナリ(芸名)
国籍:イタリア 年齢:35歳
職業:俳優、声優、タレント、テレビゲーム評論家
趣味:テレビゲーム、映画鑑賞、読書(山田悠介)、カラオケ
主な出演作品:銀幕版スシ王子!(ペぺロンチーノ役、デビュー作)、大好き!五つ子(アンソニー・ジャクソン役)、侍戦隊シンケンジャー(リチャード・ブラウン役)、ピラメキーノ(テレビ東京、月曜~金曜 18時30分~19時放送中)
ブログ:ジョン・カミナリの、秘密の撮影日記
 イタリアで6年間テレビゲーム雑誌の編集部員として働いたあと、新しい刺激を求めて2005年に大好きな日本へ。子供の頃から夢見ていた役者の仕事を本格的に始める。堤幸彦監督の「銀幕版スシ王子!」で個性的なマフィアのボス、ぺぺロンチーノを熱演。現在もTVドラマやTVゲームなどで、俳優・声優として活躍中。日本語を勉強し始めたのは23歳のとき。理由は「ファイナルファンタジーVII」や「ゼノギアス」などのRPGの文章を理解するため。好きなジャンルはRPGと音楽ゲーム。「リモココロン」のような個性的なゲームも大歓迎。お気に入りのゲームは「ゲームセンターCX」と「ワンダと巨像」。芸名はイタリア人の友達に、本人が雷のように予想不可能なタイミングで現われるからという理由で付けられた。将来の夢は、「侍戦隊シンケンジャー」に出演した時から大好きになった戦隊モノにまた出演すること



【もくじ】
一刀両断~話題のゲームニュースについて鋭くコメントしちゃうぞ!~
傑作の如く~期待している新作TOP5~
過去の宝物~こよなく愛した過去の思い出の作品をピックアップ!~
イタヲタのレトロなゲームライフ~ハプニング満載のオタク人生~



■ 一刀両断 ~話題のゲームニュースについて鋭くコメントしちゃうぞ!~

 話題のニュースや注目のテーマをピックアップして僕の率直なコメントを載せたいと思う。また、現在のゲームが抱えている問題を解決するアイデアや提案も、このコーナーを通じて考えてみたいと思う。ゲーマーの皆が納得できる未来の為に!

其の一:「ゼノブレイド」がヨーロッパでも発売!JRPGファンの声は?

 ヨーロッパがアメリカを超えた。なぜか?答えは“JRPGファン”だ。ヨーロッパで年々増え続けるJRPGファンの熱い“ラブコール”が、任天堂の心に届いたようだ。1年3カ月という長い年月が費やされたが、大事なのはグッドエンディングかどうかだ。

 日本での発売の時点で既に伝説となったあの「ゼノブレイド」が、いよいよ、イタリアを含めたヨーロッパの国々に進出することになった。しかも、情報によるとクオリティの高いローカライズ作業が行なわれたそうだ。イタリアでの念願の発売日は9月2日。タイトルは「Xenoblade Chronicles」だ。

 スクウェア・エニックスももちろんそうだが、ヨーロッパでJRPGのメーカーとして絶大な人気を誇っているのがモノリスソフトだ。ヨーロッパでは発売されなかった「ゼノギアス」を手掛けた高橋哲哉氏の新作RPGが公開される度に、必ずと言っていいほど話題になる。

 「MONADO」という名称で始動した「ゼノブレイド」も例外ではなかった。日本でのユーザーレビューの満点に近い平均点が、その圧倒的なクオリティーを裏付けた。ヨーロッパでも発売されるのだろうかと、つい最近までJRPGファンは祈る毎日を送っていた。そして“奇跡”が起きた。イタリアでも、今の世代のベストなJRPGとして絶賛されている「ゼノブレイド」を遊べる日がやってくる。

 しかし、スキャンダルとも呼ぶべき事件が起きた。ヨーロッパでの発売日が決まった一方で、アメリカでは「ゼノブレイド」の到来が未定のままだ。大手ゲーム情報サイトでのユーザーの不満の声が相次ぐ中、Nintendo of Americaが米国で本作を発売する予定はないと発表したようだ。これも“プロモーション”の戦略の1つ?と思ってしまうが、これから要望の数が増えればアメリカでも発売される可能性が高くなるかもしれない。

 なぜ、欧米で同時に発売されないのか本当に不思議に思う。ゲームアナリストの一説によると、アメリカでのJRPGの人気が衰えてきたと言われているが、本当にその理由でこの結果になったのだろうか。どういう事実が隠されているのか、気になって仕方がない。おそらく、この記事が掲載される時期には状況が進展しているかもしれない。本作のさらなる普及の為にもそう思いたい。

 ヨーロッパでの発売まであと1カ月。すでにイタリアのゲーム雑誌などにファーストインプレション記事が掲載された。イタリア人ジャーナリストも本作の高いゲーム性を褒めている。昨今、自由度が減りつつあるJRPGというイメージが強くなる中で、「ゼノブレイド」は本来のJRPGが持つべきすべての特徴が揃っているという。Wiiという、今では“性能的に古くなったハード”で遊んでいることを忘れさせてくれるゲームだというのが共通の意見だ。ゲームフィールドの広大さ、サブクエストの豊富さ、戦闘システムのわかりやすさと武器成長システムの柔軟さなど、絶賛されている特徴は後を絶たない。

最初から自由度を感じられるMMORPGらしいオープンフィールドが、欧米のプレーヤーに支持されている探索する楽しさを再認識させられた「ゼノブレイド」。秘密の洞窟や小島を目指して海や湖を自由に移動できる点も高く評価された音楽にも注目が集まっている。景色の美しさを引き立たせる曲のスタートするタイミングが絶妙だという
※画面写真はすべて日本版のものです

 たまにインプレッション記事の中で、「犠牲にする」という表現も使われた。広大なフィールドを処理落ちさせずに展開させる為には、キャラクターのモデルを犠牲にする必要があった。つまり、プレイステーション 2の時代を連想させるような少ないポリゴン数でできているということだ。しかし、全体的には最高のバランスが実現したと評価されている。

 難しいセリフとゲームのリズムを損ねる長いシネマティックシーンが多いこれまでの高橋哲哉氏の作品とは違い、「ゼノブレイド」はシンプルなストーリー展開を見せている。これも大いに絶賛された。高橋哲哉氏の作品のトレードマークである王道ファンタジーとSFのミックスはもちろん健在だが、そのバランスが大きく変わり、実際にキャラクターを操るゲームパートがメインになっているので、ゲーム性が圧倒的に増したという評価も多く見られた。

 ユーザーのコメントでは、発売日に必ず購入するというのがもっとも多かった。JRPGは好きだがWiiを持っていない人が、これでWiiを購入するかもというコメントも見られた。

 日本での発売日から1年以上経過したが、やはり良いゲームはずっと忘れられることはない。確かにグラフィックスはハイデフではないしキャラクターのモデルも古さを感じるかもしれないが、JRPGファンが求めているのは自由度と奥の深さだ。そして、モノリスソフトならではの“クラシックとモダン”を1つの世界観にまとめ上げる技だ。

 最後に、筆者の想像をくすぐったイタリア人読者のあるコメントを紹介する。

「『ゼノブレイド』のフィールドは広大でこのままでも十分に綺麗だと思うけど、Wii Uだったら、どんなにすごいものができるのだろう。高性能なハードにモノリスソフトが挑戦したら、すごいゲームが生まれることは間違いない」。

 正直にいうと、僕の頭にもその願望がよぎった。きっと、すでに、任天堂の貴重なパートナーであるモノリスソフトの社内ではWii U用の大きなプロジェクトが動き出しているのではないかと思う。欧米でもこんなに話題になった「ゼノブレイド」だからこそ、次がないはずはないと考えてもいいだろう。

 しかし、ハードの性能がよくなるほど難点も増える。制限の中で最高の結果を生み出すのが、すごいプログラマーの証だと思う。つまり、すごいJRPGを作る為にハードの性能はあまり関係ないということだ。もちろん、ハイデフな「ゼノブレイド」もありだと思うが、フィールドの広大さやゲームの構造に支障が出るようであれば、妥協したほうがずっといい結果が出ると確信している。


【ゲームショップインタビュー】

 今回もローマを代表するゲームショップで街頭インタビューを行なった。「Xenoblade Chronicles」について、イタリア人プレーヤーに以下の簡単な質問に答えてもらった。

1:「Xenoblade Chronicles」に期待している部分は?
2:他にヨーロッパで発売して欲しいJRPGは?
3:これから続編や移植作を作って欲しいJRPGは?



名前:ダニエーレ
年齢:26歳
職業:プログラマー

1:最近失われつつある、従来のJRPGの雰囲気をたっぷり感じられそう。
2:「THE LAST STORY」の発売も待ち遠しい。
3:プレイステーションで愛した「FINAL FANTASY VIII」の続編で遊びたい。



名前:ラッファエレ
年齢:22歳
職業:大学生

1:幻想的で広大なフィールドに没入するのを何よりも楽しみにしている。
2:2012年にイタリアで発売される予定の「THE LAST STORY」にも期待大。
3:「ゼノギアス」のリメイクか正式な続編が実現するのをずっと前から夢見ている。



名前:アンドレア
年齢:33歳
職業:会社員

1:高橋哲哉RPGならではの物語の“どんでんがえし要素”に期待している。
2:ファンの要望を取り入れた「FFXIII-2」も早くプレイしたい。
3:個性的な戦闘システムが魅力だった「バテン・カイトス」シリーズの新作を作って欲しい。


□任天堂のホームページ
http://www.nintendo.co.jp/
□モノリスソフトのホームページ
http://www.monolithsoft.co.jp/
□「ゼノブレイド」のページ
http://www.nintendo.co.jp/wii/sx4j/
□関連情報
【2010年7月20日】Wiiゲームファーストインプレッション「ゼノブレイド」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/review/20100720_381880.html


其の二:欧米の評価が分かれた「シャドウ オブ ザ ダムド」の真の価値とは?

 ユーザーが、新作ゲームを購入する前に雑誌やインターネットのレビュー記事を読む人も多いだろう。個人的には、なるべく沢山のレビューを読んでおくのが大切だと思う。なぜなら、いくら客観的にゲームを評論しようとしても、僅かにライターの好み(主観)が混じるからだ。おそらく平均点が、“真実”に近い評価だと思う。

 なぜこの前置きを書いたかというと、欧米で先に発売された須田剛一氏(以下須田氏)&三上真司氏(三上氏)のコラボ作品「シャドウ オブ ザ ダムド」の評価が賛否両論だったからだ。よくあることだが、5点と採点した雑誌もあれば、9点以上で褒め称えたライターも少なくなかった。

 実は僕も「シャドウ オブ ザ ダムド」をプレイすることができた。そしてプレイした後、自分の印象をインターネット中のレビューと比べてみた。僕の感想はその中間にある。なお、本作のストーリーや特徴を知りたい読者は弊誌に掲載されたインタビュー記事を参考にして欲しい。

闇という“触れない敵”の独特な表現方法に注目して欲しい闇の中を移動している時は主人公がダメージを受けてしまう。光に向かってひたすら走るしかないのだ扉にはグロテスクな子供の顔が付いていることがある。特定のアイテムを使用すると解除できるようになっている

戦闘システムは、過去の名作ホラーアドベンチャーを思い起こさせる。それは決して短所ではないと思う

 欧米においてグラスホッパーの作品はカルト的な人気を集めている。その人気ぶりには、アクション性の高さもそうだが、過去の名作ホラーへのオマージュである演出やキャラクターの描写が大きく関わっている。この「シャドウ オブ ザ ダムド」も例外ではない。須田氏ならではの爽快感たっぷりのアクションに、名作ホラーゲームを制作してきた三上氏のアイディアが加わった。その結果“オールドスクール”の味がたっぷり醸し出される異色作が誕生した。賛否両論の理由がもう既におわかり頂けたと思う。

 つまり、アメリカの大手ゲームサイトのレビュー記事では、10年前のアクションゲームによく似たオールドスクール的なゲーム性を短所として指摘している。一方で、意図的な未熟さと呼称できるものを、逆に本作の長所として評価するべきという意見もある。

 具体的には、敵に照準を合わせて撃つ時の操作がやや直感的ではないということ、今どきのゲームはもっとユーザーフレンドリーであるべきだということだ。これについてオールドスクールなアクションゲームで育ってきた僕は、ゲームがプレーヤーに合わせるのではなく、プレーヤーがゲームに慣れる必要があるという考え方を支持している。須田氏&三上氏のショーティングゲームに対して抱いている哲学が、現代の流行に屈しなかったのだ。ルックスは、確かに現代のスタンダードに似合う豪華さを持っているが、操作方法やゲーム性が過去の基準にしっかりと従っていると自分も思う。

 ボスとの戦闘も容赦しない。成功するまで何度も挑戦する覚悟が必要だ。これこそが、アクションを求めるプレーヤーにとって重要な要素だと思う。昔のゲームを思い出して欲しい。コンティニューの回数も限られていたし、ヒントといったものもほぼ存在しなかった。自分とボスだけが、戦場として選ばれた1つの部屋に存在していた。もちろん、本作にはチュートリアルやヒントが随所に用意されているが、妥協を許さない難易度であることも事実だ。

 10年前のようなゲーム性が“賛否両論の原因”になっている「シャドウ オブ ザ ダムド」。果たしてそれは本当に問題として指摘するべき点なのだろうか。確かに10年前からゲームの常識や流れは大きく変わったが、10年前のゲームが好きなプレーヤーもまだ多くいるはずだ。難しいバトルに挑戦している時のあの絶妙な緊張感が、この「シャドウ オブ ザ ダムド」で蘇る可能性が高い。それは、他のゲームでは得がたいとても貴重な感覚だと思う。

□エレクトロニック・アーツのホームページ
http://www.eajapan.co.jp/
□「シャドウ オブ ザ ダムド」のページ
http://damned.jp/
□関連情報
【2011年7月24日】EA、PS3/Xbox 360「シャドウ オブ ザ ダムド」
日本版限定の特典はグラビア付き雑誌「PLAYBOX」ほか
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20110714_460670.html



■ 傑作の如く ~期待している新作TOP5~

 僕が期待している発売前後の新作TOP5。さまざまな情報をもとに、各ゲームのシステムやグラフィックスといった要素の中で僕が魅力的に感じたところを紹介していく。必ずしもメジャーなタイトルではなくて、逆に注目して欲しいマイナーな作品をピックアップすることもある。

(C)2011 Marvelous Entertainment Inc.

1位:グランナイツヒストリー
   プラットフォーム:PSP
   ジャンル:ファンタジーRPG
   発売元:マーベラスエンターテイメント
   発売日:9月1日
   価格:5,229円
   CEROレーティング:A
   プレイ人数:1人~∞人(ネットワーク対応)

 精密な2Dグラフィックス技術で世界中のプレーヤーを魅了し続けるヴァニラウエア開発の新感覚RPG。キャラクターメイクのオプションの豊富さにびっくり。すごろく感覚で展開するクエスト&イベントマップも新鮮。湾曲したバトルステージで繰り広げられる「スフィアリール・バトル」が独特な魅力を持つ。オンラインプレイの充実ぶりにも感動!

□マーベラスエンターテイメントのホームページ
http://www.mmv.co.jp/
□関連情報
【2011年6月17日】マーベラス、PSP「グランナイツヒストリー」
各プレーヤーの戦績が反映されるネットワークプレイを公開
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20110617_453944.html

(C) CAPCOM CO., LTD. 2011 ALL RIGHTS RESERVED.

2位:謎惑館~音の間に間に~
   プラットフォーム:3DS
   ジャンル:立体音響アドベンチャー
   発売元:カプコン
   発売日:発売中(8月4日)
   価格:4,800円
   CEROレーティング:C
   プレイ人数:1人

 3DSの特長をフルに活かす前代未聞のゲームが誕生!独特なグラフィックスはもちろん、導入された新しい音響技術「オトフォニクス」にも注目している。ミニゲーム感覚で展開する謎は、ジャイローセンサー、モーションセンサー、マイクなどの3DSのすべてのデバイスを活用している。特に、パロディホラーテイストの謎に期待大。

□カプコンのホームページ
http://www.capcom.co.jp/
□関連情報
【2011年7月15日】カプコン、3DS「謎惑館~音の間に間に~」
最新動画とスペシャルコンテンツ「猫男の部屋」を公開
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20110715_461043.html

(C) SEGA

3位:RISE OF NIGHTMARES
   プラットフォーム:Xbox 360(Kinect専用)
   ジャンル:体感ホラーアドベンチャー
   発売元:セガ
   発売日:9月8日
   価格:7,329円
   CEROレーティング:Z
   プレイ人数:1人

 セガがホラーアドベンチャーというジャンルを発展させようとしている。話題のKinectを使用してすべての操作を体の動きで行なう。恐怖感をより一層ダイレクトに感じられることは確実だろう。足を動かすことで移動すると知った時は不安だったが、自動的に進むAUTO機能も付いているので安心した。アダルトな雰囲気のキャストも本作の魅力だと思う。

□セガのホームページ
http://sega.jp/
□関連情報
【2011年7月27日】セガ、Xbox 360「RISE OF NIGHTMARES」
「身体で感じる本物の恐怖」を味わえる体感ホラーアドベンチャー
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20110727_463306.html

(C) SQUARE ENIX CO.,LTD. All Right Reserved. Developed by indieszero Co.,Ltd.

4位:THEATRHYTHM FINAL FANTASY
   プラットフォーム:3DS
   ジャンル:シアターリズムアクション
   発売元:スクウェア・エニックス
   発売日:未定
   価格:未定

 高品質な音楽が魅力の「FINAL FANTASY」シリーズがとうとう音楽ゲームになった!制作協力を担当するインディーズゼロがレトロ系ゲームの分野でハイクオリティのソフトを制作してきたので、これも傑作になるだろう。FFの代表的な曲が入っているし、ステージをクリアするとキャラクターがレベルアップするのでRPG要素も健在。早く発売して欲しい!

□スクウェア・エニックスのホームページ
http://www.square-enix.com/jp/
□「ファイナルファンタジー」シリーズポータルサイト
http://www.finalfantasy.jp/
□関連情報
【2011年7月22日】スクエニ、3DS「THEATRHYTHM FINAL FANTASY」
2012年に25周年を迎える「FF」シリーズ初の音楽ゲーム
ナンバリングタイトルの主人公が総出演!!
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20110722_462065.html

(C) 2011 GRASSHOPPER MANUFACTURE INC. Shadows of the Damned is a trademark of GRASSHOPPER MANUFACTURE INC. EA and the EA logo are trademarks of Electronic Arts Inc. All other trademarks are the property of their respective owners.

5位:シャドー オブ ザ ダムド
   プラットフォーム:PS3/Xbox 360
   ジャンル:アクションアドベンチャー
   発売元:
   発売日:9月8日
   価格:7,329円
   CEROレーティング:Z
   プレイ人数:1人

 須田剛一氏と三上真司氏の頭が合体すれば、秀作が生まれることは間違いなし。「シャドー オブ ザ ダムド」には日本のホラーアドベンチャーのすべてが凝縮されていると言っても過言ではない。光と影を使った謎解きが新鮮さに溢れている。過去の名作へのオマージュが散りばめられているのも面白い。あの「魔界村」を彷彿とさせるワールドマップも必見!

□エレクトロニック・アーツのホームページ
http://www.eajapan.co.jp/
□関連情報
【2011年7月14日】EA、PS3/Xbox 360「シャドウ オブ ザ ダムド」
日本版限定の特典はグラビア付き雑誌「PLAYBOX」ほか
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20110714_460670.html



■ 過去の宝物 ~こよなく愛した過去の思い出の作品をピックアップ!~

 ゲームは技術的に進化する。グラフィックスが綺麗になる。ポリゴンの数が増える。ゲーム内の景色が実写と見間違えるほどリアルなものになってきている。しかし、時代が変わっても必ずしも進化しないものもある。それはゲームの面白さだ。昔のゲームはグラフィックスはシンプルだが、面白さでは今のゲームに負けていない。いや、それに勝る特別な何かを持っている作品もあると思う。秋葉原のゲームショップや家庭用ゲーム機のオンラインストアで安く購入できる過去の傑作は山ほどある。このコーナーでは、僕が愛した昔のゲームをピックアップしていきたいと思う。具体的なゲーム内容よりも、僕のその作品に対しての気持ちを伝えることができればと願っている。

【PARASOLSTARS】

プラットフォーム:PCエンジン
ジャンル:アクション
発売元:タイトー
発売日:1991年2月15日(PCエンジン版)
    2008年8月19日(VC版)
価格:6,798円(発売当時)
   600Wiiポイント(VC版)


森や海、楽器、ロボットなど、それぞれのワールドにはテーマがあり敵の特徴も変わる

 ゲームが、1つのカラフルな枠の中で展開していた時代があった。可愛いらしい敵をバブルやレインボー、パラソルで倒す時代があった。それは、大人になったゲーマーが、日本のゲームの全盛期として認めたくなる時代だった。

 タイトーは、日本製のゲームというユニークなブランドを世界で広めたメーカーだと思う。「バブルボブル」、「レインボーアイランド」、そしてこの「PARASOLSTARS」で、世界中で絶大な人気を誇る新ジャンルの草分け的な存在として認められた。

 今回感想をお届けする「PARASOLSTARS」は、高価な宝石として評価するべきだ。サブタイトルが表わす通り、本作は「バブルボブル」シリーズの3作目である。しかし前作と違って本作は、ゲームセンター用ではなくPCエンジン用に開発された続編だった。手に入りにくい幻の続編としても知られていた。

 こういうゲームは、夏のバカンス先で海水浴をした後、海の家の中の小さなゲームセンターで遊ぶ為に、お祖母ちゃんに小銭をせがむ、あの懐かしい気持ちを思い起こさせる。海のゲームセンターで遊んでいたのは「バブルボブル」だったが、武器が違うとはいえ全体的な流れやルールはとても似ていると思う。

 前作のバビーとボビーが、レインボースターに平和を取り戻した。しかし、悪はまだ残っていた。隣の星々からSOSが次々と発信される。バビーとボビーが、授かった魔法のパラソルを使って、各7ラウンドで構成された8つのワールド(プラス秘密のワールド)を全制覇しなければならない。

ステージで現われるバブルは水、火、雷、星の4種類だバブルはパラソルで拾って、敵に向かって投げることができるパラソルで5つのバブルを拾うと大きなバブルになり、敵に大ダメージを与えることが可能。雷のバブルの場合は、大きな雷になり投げた方向の敵を倒す
水の場合は、大量の水が下へ流れ途中の敵を巻き込んで倒す。あの「バブルボブル」とまったく同じ流れだ

 「PARASOLSTARS」のすごさは、その奥の深さだと思う。ルールがシンプルで、誰でも簡単に覚えられるようになっているのに、さらにパラソルの使い方をマスターすれば、各ラウンドですごいことができるようになる。

 例えば、ラウンドの何もない空間に向かってバブルや敵を投げると、スコアが飛躍的に上がるボーナスアイテムが現われることがある。「バブルボブル」が初めて提示した伝統ともいえる遊び方だが、すぐ敵を倒さずにステージに留まってみると、すごい恩恵を得られるスペシャルアイテムが現われることもある。

大きなバブルを2回以上使用すると、次のラウンドで神秘の紋章が現われる神秘の紋章を3つ集めると、奇跡が起こりラウンド内の敵を一気に倒せるといった貴重なチャンスがもらえる時間が経ちすぎると、主人公を執拗に追いかける無敵のスカルが現われる。スカルが現われた場合は、ラウンドで残ったザコ敵をできるだけ早く倒したい

ボスステージの曲は違う。世界でよく知られている「ランバーダ(ランバダ)」に似ていると思う

 「バブルボブル」と共通点の多い本作だが、新要素も沢山ある。例えば、最初のワールドのラウンドは固定画面で展開するが、ワールド2以降は左右へとスクロールするラウンドも用意されている。

 音楽についても特筆すべき点がある。最後のワールドとボスラウンドを除けば、すべてのステージで同じ音楽が流れる。耳が疲れるだろうと思うかもしれないが、実はこの音楽が病みつきになる。電車の中で口ずさみたくなる。ずっと聴いているのに、ゲーム機の電源を消すとまたすぐ聴きたくなって、ゲーム機の電源を点けたくなる。そういう魔法を起こす、すごく陽気な曲だと思う。ストレスが溜まっていたら、この音楽を聴けば元気になることは間違いなし。

 「バブルボブル」や「PARASOLSTARS」のようなゲームがまた遊べて、本当によかったと思う。日本が世界に誇る“電気的遺産”なので、これからも携帯ゲーム機、あるいはオンラインマーケットで低価格で提供して頂きたい。昔のままのグラフィックスの、まったく新しい続編が作られることも願っている。

【グッジョブ!】【異議あり!】
ルールがシンプル難易度が選べない
奥が深いヒントがない
秘密が多い 
音楽が最高 

(C)TAITO CORP.1991-2008

□タイトーのホームページ
http://www.taito.co.jp/
□ハドソンのホームページ
http://www.hudson.co.jp/
□VC版「PARASOLSTARS」のページ
http://vc-pce.com/jpn/j/title/parasolstars.html



■ イタヲタのレトロなゲームライフ ~ハプニング満載のオタク人生~

 このコーナーでは僕のゲーマーとしての人生を懐かしさたっぷりで語っていきたい。毎回、特定の時代をセレクトして、自分の記憶への冒険をしたいと思う。最終的には1つのストーリーになる。僕というオタクのストーリー。僕という和ゲー好きゲーマーのストーリー。文章だけでなく、クライマックスのシーンをもっとダイレクトに伝える為に漫画も使うことにした。ちなみに漫画は、今イタリアで注目の若手漫画家に描いてもらった。とにかく、日本ではありえないシチュエーションについてたっぷり語っていくので、本当に面白いコーナーになると思うぞ!

今回の時代設定:1990年
イベント:家庭をゲーセンに変えるNEOGEOが発売!
ハプニング:マンションの管理人が、謎の男と接触!?

 15歳だった。アメリカ版のメガドライブが(Genesis)家にやってきて、ゲーム友達のクリスティアーノと一緒にこれまでにない楽しい気分を味わっていた。メガドライブのグラフィックスはゲームセンター版に近付くケースが多く、ゲーマーとしてとても充実した毎日を送っていた。

 僕がメガドライブを持っていたという噂が、僕の住んでいた地域に広がり、他のマンションから知らない子供が来て、僕の家のインターフォンが押されることがよくあった。

 「クリスティアーノの友達の弟の友達ですけど、僕にも遊ばせてくれるかな?」のような展開が、しばしばあった。断るわけにもいかなかったので、僕の部屋はいつもラッシュアワーの満員電車のようだった。しかし、知らない間に、僕の“異国のゲーム機を所持している”という記録が、ある人に抜かれようとしていた……。

 マンションの管理人を務めていた、フランス出身のジュリオ。当時、40歳ぐらいだった。20センチのリーゼントがトレードマークだった。そして、日本語をまったく知らないのに、漢字だらけのシミュレーションRPGにハマっていた。ちなみに、メガドライブの「アドバンスド大戦略」が彼のお気に入りだった。

 1990年のある日。宿題が終わり、いつものようにメガドライブで遊ぼうと、机を準備し始める。まず、隣のマンションに住んでいるクリスティアーノを呼びに行かないと。駆け足で1階に下り、マンションの扉をくぐると、異様な光景が目に飛び込んできた。マンションの管理人のジュリオが、ブラックスーツに身を包んだ怪しき人物と接している。まるでマフィア映画の密売シーンを思わせる光景だった。

 よく見ると……ジュリオの手に大きなカートリッジが握られていた。メガドライブのカートリッジとは明らかに違う、サイズの大きい物だった。何だろうと思っていると、ジュリオが謎の人物と別れ、自分の家へ帰っていった。このタイミングでクリスティアーノのところに行くと、謎を解明しないまま日を終えることになる。ダメだ。ゲーマーとして真理を追究しないと!謎の多いジュリオの持っていたカートリッジは新しいゲーム機用のものに違いない!

 ピンポ~ン。勇気を振り絞って、ジュリオのインターホンを鳴らした。そうすると、フランス語なまりの独特な声が聞こえてきた。

 「どしらさまどすか?」

 いつものように「ち」の音が、「し」になっていた。いつ直るのだろうと思いながら返事した。

 「ジョンですけど……」

 中々、次の言葉が出ない。

 「しょん、どうしたの?」

 「あの……新しいゲームを持っているかなと思って、インターホンを押してみたんですけど……」

 しばらく間が開いた後、扉が開いた。

 「どうそ、中で待っているよ。今、超忙しいから」

 1階にあるジュリオの家の前に立った。扉は既に開いていた。

 「お邪魔しま~す!」

 薄暗いリビングルームが姿を現わした。ジュリオはテレビの前のソファに座っており、いつものタバコを口に貼りつけたまま、見たことのないジョイスティックで遊んでいた。

 「すんごい、これ!!!」

 明らかに興奮していた。すごいゲームで遊んでいるという気持ちがすぐに伝わってきた。

 階段を下りると、テレビの前の小さなテーブルに置かれたゲーム機の存在に気づく。そのゲーム機にはNEOGEOというロゴが入っていた。どうやら、僕の知らなかった新しいゲーム機のようだ。

 「この兵士たちめ、しつこいな。連射だあああ!!」

 実際に戦場にいるかのように、ジュリオは大きな声でテレビの画面の人達と喋っている。話しかけても反応がない。完全に釘付け状態だ。

 ゲームの名前は「NAM 1975」だった。あら!僕の誕生した年と一致している。ゲーム画面を見ると、「地獄の黙示録」のような雰囲気が醸し出されるベトナムを舞台にしたアクションゲームのようだった。しかも2Pモードもあるようだ。

 それより、グラフィックスはなんてすごいんだろう。ゲームセンターを超えるクオリティーなのではないだろうか。背景の鮮やかなカラー、スプライトの豊富なアニメーションパターン、そしてリアルな音響効果から実現する臨場感。口をぽかんとしたまま、画面に見入っていた。

 「しょん、すごいだろう?これ、NEOGEOと言って、日本の新しいゲーム機だよ。パワーフルだろう?」

 「何なんだよ、このおっさん!」と、一瞬羨ましさに襲われた。そして、その気持ちを抑えてから、ジュリオに聞いてみた。

 「高いんでしょう。なんか、ゲームセンターが家にやってきたみたいですね!」

 僕の第一印象は正しかった。NEOGEOが、手頃なゲームセンター用システムとして開発されたことを後から知った。家庭で遊ぶとなると、1つのゲームにつきイタリアの当時の平均的な給料の半分を失う覚悟が必要だったという話も聞いた。

 僕はメガドライブというすごいゲーム機を持っていたが、あの夜から、夢の中でNEOGEOが頻繁に出てきたことも事実だった……。

【番外編】

 子供の頃に住んでいたあのマンションで、ジュリオはまだ管理人をやっているのだろうか?さっそく現場へ足を運んでみた。すると……。

 ジュリオはまだいた!相変わらず、タバコをくわえたまま庭の手入れをしていた!ハゲたかなと、心配していたが、トレードマークのリーゼントは健在だった!鮮やかさとボリュームが少し減った気がしたが……。

 ゲームについて聞いてみると、「もしろんまだ遊んでいるよ」と答えてくれた。まだメガドライブやNEOGEOかと思いきや、やっぱり彼にとっても時代が変わった。今、ホラーアクションゲームの「バイオハザード」シリーズやアメリカ製のアドベンチャーゲームにハマっているという。

 彼もずっと、あの頃の素敵な思い出を心にしまっているのだと。ゲーマーの道は世界共通だと、感じた瞬間だった。





 電遊道では、みなさんに取り上げてほしいネタなどを随時募集します。ドシドシと編集部までメールを送って下さい(編集部)


(2011年8月5日)

[Reported by ジョン・カミナリ ]