素晴らしきかな魂アイテム

【魂レビュー】「METAL ROBOT魂 デスティニーガンダム」、動かして超楽しい、グッと力の入ったポーズが楽しめる、アクションフィギュアの最高峰!

題字:浅野雅世
【第44回魂アイテム】
「METAL ROBOT魂 <SIDE MS> デスティニーガンダム」、5月25日発売、価格は14,580円(税込)。これまでもインタビューで取り上げていた本商品がついに発売となった。小西氏、坂埜氏のこだわりがこもった本商品は、動かすと楽しさがこみ上げてくるアクションフィギュアだ

【ライター:勝田哲也】

超合金と洋ゲーを愛するライター。10月、11月の魂ネイションズのラインナップはまさに欲しい商品が目白押しだ。しかしリソースは限られており、何に割り振るか大いに迷った。今回脳内会議で決まったのが「クロスボーンX2」。こちらもレビューでお伝えしたい(絵:橘 梓乃)

 デスティニーガンダムは好きなMSだ。筆者の場合、最初はゲームでこの機体が好きになった。そしてSDガンダムのプラモデルで大いに気に入った。デスティニーは、ライフルにシールドという“ガンダムの基本”に加え、大剣、大型のビーム砲そして必殺技と言える手のひらからビームを放つ「パルマフィオキーナ」、さらに光の翼と、ギミック盛りだくさんなのだ。実に“玩具映え”する機体だと言えるだろう。

 そのデスティニーをBANDAI SPIRITSコレクターズ事業部の小西諒氏と、原型師の坂埜竜氏がMETAL ROBOT魂で商品化する。アニメ版のデザインを再現しながら、エッジを利かし、そして何より可動にこだわった「METAL ROBOT魂 <SIDE MS> デスティニーガンダム」は、遊んでいて楽しく、そのカッコ良さに魅入ってしまうアイテムだった。触ったからこそわかる楽しさ、盛りだくさんのギミックを紹介していきたい。

赤と黒の翼、灰色がかった基本色に、エッジの効いたデザイン。デスティニーは、ダークヒーロー的な雰囲気をまとった機体だ


動かすほどにポテンシャルに驚愕する可動域と、ポーズ付けの楽しさ

 デスティニーは、アニメ「機動戦士ガンダムSEED DESTINY」に登場するMSで、主役の1人シン・アスカが登場する機体だ。物語の中の大きな勢力であるザフトの最高の技術を結集して開発された機体であり、シンの激しい感情をそのまま具現化したような、激しく、そして強烈な印象を与える戦いを繰り広げる。

 「機動戦士ガンダムSEED DESTINY」は主要メカの“圧倒的な強さ”を楽しむアニメといえる。まさに一騎当千、デスティニーをはじめとした主役級のMSは他の敵をバッタバッタと、圧倒的な力でたたきつぶしていく。その鬼神そのものの強さは強い磁力を持っている。デスティニーやストライクフリーダムなど、「ああ、このMSの立体物が欲しい」と思わずにはいられない。「SEED DESTINY」及び「SEED」のメカの人気を筆者もアニメを見て改めて実感した。

アニメのデザインを再現しながらディテールの描写、細かいマーキング、さらにマットやグロスなど質感も変えた塗装で、非常にリッチな雰囲気がある

 デスティニーは高い評価を受ける立体物が多いMSだ。プラモデルで非常に人気のモチーフだし出来がいい商品が多い。その中で筆者が強く思い入れを持つのが、「METAL BUILD デスティニーガンダム」だ。筆者が持っているのはカラーバリエーションであるハイネ機だが、かなり満足のいく商品だった。

 そんな中、筆者が「METAL ROBOT魂 <SIDE MS> デスティニーガンダム」の購入を決めたのは“坂埜氏が原型を担当しているから”である。筆者は「METAL ROBOT魂 ダブルオーライザー」で坂埜氏が提示する可動範囲の広さと、それによるポーズ付けの楽しさに魅了されていた。その坂埜氏がデスティニーにどう取り組み、盛りだくさんのギミックをどう表現するのか、そこに大きな期待感があったのだ。

 実際触ってみると、やはりその可動とポーズ付けの楽しさは格別だった。股の付け根、肩の可動、首の可動、羽根の基部……全てが非常に良く動き、金属パーツによる堅牢さでポーズをしっかりと固定できる。腰をひねり、上半身をかがめさせ、首をぐいっとひねる、躍動する人体さながら、ロボットが勢いを感じさせるポーズをとることができる。

足を広げ、手を動かし、腰をひねり……可動範囲の広さと可動部位の細かさがポーズ付けの楽しさを大きく増してくれる。ポーズをつけた後も「後ほんの少しここを動かせば……」という感じで、際限なく動かし、こだわりたくなる

 デスティニーはその派手なポーズが大きな特徴だ。アニメでも主役MS達は、キャラクターの感情が機体に乗り移ったかのような、力の入った大きく見得を切るポーズを見せていた。「METAL ROBOT魂 <SIDE MS> デスティニーガンダム」の面白いところは、動かすだけで、それっぽくググっと力はいったポーズがとれるところにある。

 それは「関節の自由度」と「細かい可動カ所」がある。肩は引き出せるだけでなく幅広いボールジョイントのおかげで、力を込めたときグッと肩が上がり首に寄せられるような表現ができる。首は元のデザインを活かし首を覆うように襟が立っているのだが、そのデザインを保ちつつ首が引き出せ、動かすことができる。さらに腰アーマーは間に接続パーツがあるので、本体から浮かすことができ、腿の可動を妨げない。

 本当に動かして眺めるのが楽しいアイテムだ。1つのポーズをとらせて、「もう少し肩を入れよう」、「つま先を動かそう」、「首をこう曲げて」、「一気に腰を大きくひねらせるのはどうか?」など際限なく動かしたくなる。そしてデスティニーは様々なポーズを求められる多彩なギミックを持っているのである。かなり長く遊べる玩具を手に入れた、そうい実感が触ることでますます大きくなるのだ。

そしてデスティニーと言えばその大きな羽である。羽を広げることで機体の迫力が大きく増し、ポーズにさらなる派手さを加える


大剣、大型ビーム砲、パルマ……デスティニーならではのギミックを満喫!

 デスティニーは非常に立体物向けの派手でわかりやすいギミック満載のMSである。そしてポーズ付けが楽しい「METAL ROBOT魂 <SIDE MS> デスティニーガンダム」だからこそ、各ギミックの楽しさが際立つ。

 ビーム・ライフル、シールドという「ガンダムの基本装備」でも、「機動戦士ガンダムSEED DESTINY」らしい、足を開き、大きく手足を伸ばした決めポーズがとれる。ライフルはグリップとスコープが可動するので両手持ちもできる。シールドは前部分がスライドし、防御面積が増やせる。

ライフルは両手持ちが可能
シールドは前部がスライド防御面積が増える

 劇中で大型MSであるデストロイのビームさえ防ぎきった強力なビーム・シールドは手甲の黄色の部分を取り外してはめられる。クリアパーツが使われており、厚みもあってリッチな雰囲気だ。両肩に装備されている「フラッシュエッジ2 ビームブーメラン」は本商品の可動を活かし投げるときの決めポーズにこだわれるのが楽しい。エフェクトパーツはかなり長めだ。もちろんビーム・サーベルとして使うためのエフェクトも同梱されている。

ビーム・シールド。パーツが厚めで防御力が高い雰囲気になっている
ビーム刃が長めのフラッシュエッジ2 ビームブーメラン
ビーム・サーベル用の刃も付属

 そしてパルマフィキオーナである。デスティニーはこの手のひらについたビーム砲で相手の意表を突く攻撃ができる。「METAL ROBOT魂 <SIDE MS> デスティニーガンダム」においてはこのパルマフィキオーナにこだわりが感じられ、指をそらした形で広げたパーツとつかみかかるようなパーツが用意されている。さらに手から光を放つエフェクト付きパーツまで用意されているのだ。ポーズ付けのアクセントにも、パルマフィキオーナのトリッキーな使い方をイメージしての使用も面白そうだ。

平手パーツは2種付属。どちらもパルマフィキオーナ使用ポーズに似合う
発射エフェクトがついた手。左手用も付属
パルマフィキオーナもデスティニーらしい派手な武器だ

 デスティニーを象徴する武器と言えば、パルマフィキオーナに加え、背中に背負った2つの大型武器だ。左に高エネルギー長射程ビーム砲、右にアロンダイト ビームソードこのド派手な武器によりデスティニーは様々な領域で高い攻撃力を持つ。折りたたまれた武器が展開し、本体より長い武器となるその姿は、とても派手だ。

 ビーム砲はスナイパーライフルのようで楽しいが、やはりアロンダイト ビームソードだろう。ロボットに大剣は“お約束”といえるもので、赤と黒の翼を全開にし、長く大きな長剣を構えるデスティニーはやはりカッコイイ。振りかぶり、ぶった切る。突進力を活かして突き刺す、敵の攻撃を受け止める。全てのポーズがド派手になる。翼と大剣が、やはりデスティニーの最大の魅力と言える。

その長さが印象的な高エネルギー長射程ビーム砲。いささかシンプルなデザインだが、マーキングで情報量が増している

 「METAL ROBOT魂 <SIDE MS> デスティニーガンダム」は文句なく楽しいアイテムだ。ただ手足を動かすだけでも力の入った感じのポーズとなり、そこからさらにこだわることでより迫力が増す。多彩な武器とギミックは、ポーズの基準となってくれるため飾っていても頻繁にポーズを変えたくなる。遊んでいてとても楽しいアイテムだ。

 ちょっとした難点は手甲パーツが外れやすいところ。自由度を確保するために中間パーツをかませているのだが、動かしていると外れてしまう。武器を構える際は手首を交換する必要があり、そのたびに手甲パーツを取り外すこととなる。手甲パーツと中間パーツをなくさないように注意したいところだ。

やはりロボットに長剣は似合う。デスティニーは羽も相まって非常に派手だ

 最後に「光の翼」に触れておきたい。デスティニーの大きな特徴として発進時や、アロンダイト ビームソード、パルマフィキオーナなど大加速で移動する際や見得を切る際に、デスティニーは翼から粒子状の光を放出し、光の翼を形成する。「METAL ROBOT魂 <SIDE MS> デスティニーガンダム」は残念ながらこのエフェクトパーツがない。今後発売されれば、手に入れたいところだ。

 今回、“おまけ”要素として、筆者のおもちゃ箱を引っかき回して発掘した「RG デスティニーガンダム用 拡張エフェクトユニット“光の翼”」をつけてみた。6年の前の商品であり、規格的に合ってなく、上下の翼に引っかけただけだが、さすが当時キットとは別に販売された豪華なパーツだっただけに、派手な感じになった。しかし、ちょっとした振動で外れてしまう。やはり専用パーツが欲しいところである。

筆者が6年前に購入したプラモデル用オプションパーツ「RG デスティニーガンダム用 拡張エフェクトユニット“光の翼”」。RGと翼の構造が違うため、中央が全然合っていない上外れやすいが、エフェクトそのものは非常に豪華で、ぱっと見とてもゴージャスだ。本商品専用のパーツが欲しくなる