コーラス大柳の「ためにならないインディゲームレポート」
まもなく「台北ゲームショウ 2018」!
2018年1月18日 18:28
久しぶりに当連載っぽい話題です。今年も台北ゲームショウ2018の時期がやってきました。中華圏の正月前に開催されるこのイベントには、主要メーカーが出展し一般来場者が楽しめるB2Cゾーン以外に、私たちのような中小規模の独立系パブリッシャーや開発者が集うB2Bゾーンのフロアが用意されています。
B2Bゾーンはその名の通り国内外のスタジオやパブリッシャーおよび関連企業が集うビジネス専門フロアで、BitSummitやTokyo Indie Festのような日本国内イベントでは見ることのできないインディタイトルが多数出展されているのが特徴です。
会場は台北世界貿易センター(台北世貿)という施設で毎年行なわれておりホール1の1階部分がメインとなるB2Cゾーンで大手メーカーが出展し一般来場者を迎える場所となり、B2Bゾーンは2階の一部フロア使っておこなわれます。
台北ゲームショウ2018では、インディタイトルだけで173社の企業や個人がタイトルを出展しています。
内訳としては以下の通りです(台北ゲームショウ2018の出展社リストの中でインディデベロッパーとして登録した出展社を抽出した結果です)。
【参加インディデベロッパー:173社(あるいは個人)】
PC:88社(以下同上)
コンソール:32社
Android/iOS:93社
出展社(者)によっては複数タイトル出展していたりするため、出展社(者)数=タイトル数という訳ではありませんが、今年もなかなかの規模を期待できそうです。今から新作ゲームを見るのが楽しみになってきました。個人的にはPCとモバイルの比率が大体半々なのが気に入りました。モバイルも変わらず元気ですが、最近調子がいいのは実はPCゲームです。コンソールよりも先んじてデジタル配信がメインとなり、日本単独の市場にこだわらなければSteamをはじめ様々なストアが存在するPCはやはり魅力的です。
国別で言うと地元・台湾勢が多いのは当たり前として、場所柄か中国、韓国、シンガポール、香港、インドネシア、マレーシア、インドなどアジア諸国からの参加が多いのが特徴と言えます。ここでは日本や欧米勢は少数派です。逆に言うと台北ゲームショウの醍醐味は、アジア発の新作ゲームを気軽に発掘・体験できることにあります。
台北ゲームショウB2Bゾーンの傾向としては、複数年出展しているタイトルが目立つことが挙げられます。(特に地元・台湾制作のもの)個人や少人数で開発しているためなのか、開発期間がやたら長いタイトルが多く感覚的には2年連続は当たり前、中には3年連続というのもありました。初めてみた時は「おっ、これは……」と思うようなタイトルも時間が経過しすぎて旬がとうに過ぎてしまうもったいない事例も。
また運営が必要なオンラインゲームはほとんどありません。そういうジャンルを開発・運営できる体力のある企業は併設のB2Cゾーンに出展しており、B2Bをターゲットにしていません。また純台湾製のオンラインゲームというのはほとんどなく、その手のタイトルは中国・韓国製が日本以上に猛威をふるっています。(ついでに言うとインディゲームジャンルも年々中国・韓国勢が勢力を増しています。)
オンラインゲームは、まれにインディデベロッパーでも手がけているケースもありますが、私の知っている限りリリースにこぎ着けることができても、大体半年~1年以内にクローズしているのが現状です。このジャンルの新作を「台北ゲームショウ」には求めるのは期待薄と言えます。
実際のところ出展タイトル群をまだ見ていないので、今回は注目タイトルのピックアップを控えますが、昨年様々なインディゲームイベントの賞を総なめにした「Old Man’s Journey」(邦題:おじいちゃんの記憶を巡る旅)を開発したBroken Rules、こちらも多数の賞を受賞している「Cat Quest」のThe Gentlebros、地元台湾からはロマンチックな探索ゲーム「OPUS」がヒットしたSIGONOなど多数の有名デベロッパーも名を連ねており、期待が膨らみます。今年は昨年以上に日本からの参加も増えているようです。ちなみに弊社「RPGolf」を開発したArticNetも新作を出展予定です。私としてはジャンルやプラットフォームにとらわれず、新作ゲームを堪能してきたいと考えています。
次回は帰国後に個人的注目タイトルをピックアップしてみたいと思います。