使って試してみました! ゲームグッズ研究所

連載第387回

闘うための刃、HORI「ファイティングエッジ刃」最新版を試す
各部の高品質さ、プレイ中の手触りの良さが光る、あらゆる面で好印象のアケステ

 当連載は、ゲームライフに役立つグッズを発掘し、実際に使用してみようという試みをレポートするものである。ネタに困ったときはお休みしてしまうかもしれないので不定期連載である。ちょっとした投資や工夫で、よりよいゲームライフを送っていただけるよう、鋭意努力していく所存である。

 カプコンより「ストリートファイターVアーケードエディション」が登場し、格闘ゲームの祭典「Evolution」の日本版となる「EVO Japan」が開催されるなど盛り上がりを見せるなか、HORIよりアーケードスティック「ファイティングエッジ刃」の最新版が発売された。「リアルアーケードプロ」シリーズを超えるHORI最高峰のこだわりアーケードスティック「ファイティングエッジ刃」の最新版を、実際に使って試してみた。

アルミ天板を使ったソリッドなデザインに、幅広の筐体&たっぷりの重量による安定感がポイント

メーカー:HORI
価格:24,818円
発売日:1月25日

 「ファイティングエッジ刃」は前モデルのプレイステーション 3用が2012年に発売されたが、今回の新モデルはプレイステーション 4およびWindows PC用。外観や中身などもモデルチェンジされている最新版だ。

 なお、HORIの「リアルアーケードPro.V」などの他のアーケードスティックと違って、PS 3には対応していないので、その点はご注意頂きたい。

 筐体は横長形状、手前側に傾斜のつけられたビューリックス筐体切り出し型。同社の「リアルアーケードPro.V」シリーズに近いシルエットではあるが、天板にはヘアライン加工の施されたアルミ製のパネルが使われていてデザインもシンプルかつソリッド。高級感があり、より本格的なプロ仕様を感じさせる外観となっている。前モデルにあったLEDライトが光るような機構は全てなくなって、よりストイックな印象になった。

 全体のサイズは約475×285×115mm (横幅×縦幅×高さ [スティックレバー含む])となっており、「リアルアーケードPro.V HAYABUSA(2017年モデル)」と比べると幅や奥行きは一回り大きい。そのぶん天板も広くて手を置く余裕があり、全体サイズの大きさから設置しての安定性も高い。

 筐体の幅は大きいものの厚み(高さ)は「リアルアーケードPro.V HAYABUSA(2017年モデル)」と同等になっているので、全体に薄いように感じる平べったい形状になっている。

 重量をみると、こちらも約3.5kgと、「リアルアーケードPro.V HAYABUSA(2017年モデル)」の約2.2kgより約1.3kg増していて、アーケードスティック製品の中でも最も重量のある部類となっている。筐体サイズの大きさと、この重量によって、レバー操作で全体が動いたりするこのない安定性を実現している。

 底面には、天然ゴムを素材に使っているという大きな滑り止めマットが貼られている。テーブル設置時の滑り止め効果があるだけでなく、膝上に置いて使用するときにも筐体金属面の冷たさが伝わらないようになっている。

手前に傾斜のついたビューリックス筐体切り出しなデザイン。天板はアルミ素材で、ヘアライン加工が施されている。筐体の幅は大きいが、厚みは「リアルアーケードPro.V HAYABUSA(2017年モデル)」とほぼ同等になっている

 レバーやボタンは、搭載されている主要パーツはHORIオリジナルのHAYABUSAユニット。メインボタンは8ボタンで、右下がりに並ぶノアール配置。天板には、右斜めのスミにオプションボタンが、左斜めのスミにPSボタンを配置しているが、誤操作のないように操作部から距離を離している。

レバーとメインボタン以外は、距離を離した筐体のスミにPSボタンとオプションボタンをレイアウト。その他のサブボタンは側面に配置している

 筐体の右側面には、SHAREボタン、R3ボタン、L3ボタン、スティック機能の割り当てを買える切替スイッチ(レバーを方向キー、左アナログスティック、右アナログスティックの操作に切り替えられる)、アサインモードスイッチ、トーナメントモードスイッチを搭載。

 アサインモードスイッチは、ボタンに別のボタンの機能を割り当てられる機能で、○/×/△/□/L1/L2/L3/R1/R2/R3ボタンへと、同じく各ボタンに加えて「方向キー(上 / 下 / 左 / 右)」、「左スティック(上 / 下 / 左 / 右) / 右スティック(上 / 下 / 左 / 右)」、「タッチパッドボタン」の機能も割り当てられるようになっている。

 トーナメントモードスイッチは、ONにすることで、「PSボタン」、「SHAREボタン」、「OPTIONSボタン」の機能が無効になるというもの。対戦中の誤操作を防ぐ、名前のとおり特に大会などで使用するときに重宝するボタンだ。

 こうした格闘ゲーム向けの大会仕様な機能が搭載されている一方で、格闘ゲームには使わない(大会などで使用が制限される)連射機能は搭載していないのもまた特徴的だ。

 このほか、奥側の側面にタッチパッドと、接続用のUSBケーブル(約3m)とその収納ボックスが備えられている。また、手前側面にはステレオヘッドフォン/マイク端子を搭載している。

タッチパッドボタンは奥側の側面に搭載している

プレイ中の安定性、しっかり配慮されたサブボタンのレイアウト、改善が重ねられているというHAYABUSAユニットなど、あらゆる面でバランスの優れているアーケードスティック

 実際に「ファイティングエッジ刃」を使ってみた。

 まずはプレイ前の設置などセッティングや取り回しだが、さすがに筐体サイズの大きさから“設置が手軽”とは言えないものの、側面にある持ち運びのための持ち手にしっかりとした溝がつけてあって持ちやすい。

 ゲームプレイでは「ストリートファイターV アーケードエディション」を中心にプレイしてみたのだが、余裕を持って腕ごと手を置ける天板の広さ、力の入った操作をしてもズレない安定性の高さが好印象だ。

 また、余計な飾りのないデザインに、頻繁に使うオプションボタンとPSボタンを両スミに、その他サブボタンは横、タッチパッドは奥と、きっちりとわけてレイアウトされていて、押し間違えないのが嬉しい。

 レバーとボタンはHORIオリジナルのHAYABUSAユニットが搭載されている。

 HAYABUSAユニットのレバーとボタンの特徴としては、レバーはスイッチが押し込まれるカチカチとした感触はあるが反発が軽く、硬さも柔らかい。抵抗が少ないのでスピーディーな入力ができるが、そのぶん繊細なコントロールが求められる傾向がある。また、ボタンもストロークが浅めで反発が控えめ。やはりスピーディーな入力ができるが、押下感が少し軽め……というのが当研究所でこれまでのHAYABUSAユニット搭載アケステを試してきた感触。若干ピーキーなユニットという印象だ。

 ただ、この「ファイティングエッジ刃」では、昨年の製品に搭載されていたHAYABUSAユニットよりも入力の手応えや硬さがほどよくあり、バランスが良くなったように思えたので、これについてHORIのスタッフの方にお伺いしてみた。

 HAYABUSAユニットは継続的に細かな改善もしているほか、この「ファイティングエッジ刃」ではボタン枠にメッキパーツを使っていたり、筐体そのものの違いからくるフィーリングなどもあるので、そのあたりから手触りが変わって来ているのではないかということだった。

 いろいろな要因が考えられるのだが、結果として「ファイティングエッジ刃」のHAYABUSAユニットは手触りや感触がよくて、好印象となった。これまで試してきたHORIのHAYABUSAユニット搭載アーケードスティックの中でも最も良い。

 入力遅延について。「リアルアーケードPro.V HAYABUSA(2017年モデル)」と並べて使い比べてみたのだが、「RAP V HAYABUSA(2017年モデル)」は電子回路の設計が見直され以前のモデルよりも入力応答速度が早くなっており、同社のそれ以降のアーケードスティックもそれに準じて入力遅延が少なくなっている。今回の「ファイティングエッジ刃」もほぼ近い結果で、同じく遅延は非常に少ない。

 これについてもHORIのスタッフの方に伺ったところ、開発順としても「RAP V HAYABUSA(2017年モデル)」より「ファイティングエッジ刃」が最新になっており、内部の制御回路もより最新のものになって、わずかではあるがさらに遅延を軽減できているということだ。

 この他に気になったところとしては、冬場だとアルミの天板が冷えてしまい、使い始めに少しひやっとするというものがある。素材と、試している時期(1月)を考えれば当然の話ではあるのだが、例えば、帰宅直後だったりで天板がキンキンに冷え切った状態で触ると、思わず「つめたっ!」っと声が出るぐらいの冷たさになっていることも。すぐに体温で暖まるので我慢できなくもないが、できれば何かで少し暖めてから使うなどの工夫をした方がいいかもしれない。

 もう1点は、HORIの公式サイトにもこちらに製品サポートが掲載されているが、「プレイステーション 4本体起動後、本製品のPSボタンを押しても反応しない不具合」というものがあった。

 この不具合は当研究所で試していた個体でも確認されていたのだが、公開されたファームウェアアップデートを行なったところ、しっかりと改善されるのが確認できた。一部製造ロットが対象のようなので、「ファイティングエッジ刃」を購入した人、購入予定の人はしっかりとチェック頂きたい。

底面の金属板を外して内部を確認。封印シールがあり、剥がすと保証の対象外になるので自己責任で行なって頂きたい。ボタンはファストン端子になっているので、パーツ交換も容易に行なえる

 2012年以来の発売となった「ファイティングエッジ刃」最新版だが、安定性を徹底重視したサイズと重量、広い天板で安定して触れるレバーとボタン、実際のプレイを考慮したサブボタンの配置など、あらゆる面で非常に好印象となった。

 剛性の高いアルミ天板を広く使っての手の置きやすさ、天板と手がこすれるときの
滑りの良さ、それらが生むプレイの快適さは、他のアーケードスティックにはあまりない良さ。トータルバランスに優れ、高い満足感の得られるアーケードスティックだ。