レビュー
「NINJA GAIDEN 4」レビュー
変わらない「NINJA GAIDEN」らしさと新しさが融合して、忍者アクションがさらに進化
2025年10月21日 08:00
- 【NINJA GAIDEN 4】
- 10月21日 発売予定
- 価格:8,900円〜
長い沈黙を破り、Xbox Series X|S/プレイステーション 5/PCで10月21日に最新作がリリースされる、最高峰の忍者アクションゲーム「NINJA GAIDEN 4」。
アクションゲームを得意とするプラチナゲームズとTeam NINJAがタッグを組んだことで「NINJA GAIDEN」らしさを踏襲しつつ、全く新しいアクションが加わったまさに新時代の「NINJA GAIDEN」になっている。
発売に先駆けて、今回「NINJA GAIDEN 4」のXbox Series X|S版をプレイすることができた。じっくり遊んで見えてきたプレイフィールをはじめ、変わらない「NINJA GAIDEN」感と、これまでにはなかった本作ならではの新たな魅力をお届けしよう。
これまでにない、新主人公・ヤクモならではの新生忍者アクション
主人公、鴉一門の若き天才忍者「ヤクモ」が、東京を呪いから解放するため、祠にある封印を黒龍の巫女「セオリ」とともに解き、元凶である黒龍を滅ぼすというのが本作の目的だ。
敵対組織である龍神党との黒龍を巡る戦い。過去作の主人公であり、龍神党に力を貸す超忍「リュウ・ハヤブサ」の真意。そして、目的は不明だがヤクモと共に黒龍の封印を解いて回るセオリなど、本作の物語やキャラクターに謎が多く、プレーヤーを「NINJA GAIDEN 4」の世界にグイグイ引き込んでいく。
ストーリーも引き込まれる要素がかなり強いが、やはり「NINJA GAIDEN」の醍醐味といえば、片時も油断ができないヒリヒリ感のあるバトルと爽快感のあるアクションである。
いかなる時でも気を抜いていたらゲームオーバー一直線の硬派な難易度は最新作でも健在。プレーヤーと敵が互いにフェアな攻防を意識して作られているだけあり序盤に登場するザコ敵であってもただのサンドバッグではなく、しっかりこちらの攻めをいなすような戦い方をしてくる。敵の動きを見て、固い守りをどう崩すかを考えて立ち回るといった、まさに対人戦のような熱い攻防が楽しめる作りになっているのだ。
ゲームバランスはおなじみの「NINJA GAIDEN」といった感じだったが、アクション面は主人公がハヤブサからヤクモにチェンジしたことで大きな変化が生まれている。
ヤクモは「烏の型」と「鵺の型」という2つのバトルスタイルがあり、戦闘中にこの2つのスタイルを瞬間瞬間で切り替えて戦うのが基本の戦い方となる。
烏の型がいわゆる通常の状態で、このスタイルで戦っているときは過去作のアクションとそれほど大きな違いはない。しかし鵺の型を使うことでバトルの面白さが一変する。
デフォルト設定だとLTボタンを押している間はゲージを消費しながら鵺の型が発動する。鵺の型が発動中は武器が変化するという特徴があり、双刀が太刀、剣がドリル、棍がハンマーなど、全くの別物になる。
ヤクモの武器は双刀や棍といった近距離武器が中心ではあるのだが、手裏剣や爆薬などのあらゆる暗器を使った「秘器・影蛭子」という遠距離武器もある。
最初は、敵に近づかずに戦える影蛭子が最強武器なんじゃないか? と思ったが、実際に使ってみると武器ごとの強い部分と弱い部分がしっかりしていた。
ノーガードの敵なら烏の型の投擲攻撃で一方的に倒せるのだが、敵によっては防ぎながら距離を詰めてきたり、遠距離武器だけあって近づかれると少々厳しいといった面があった。1つの武器だけを使って戦い抜くのももちろん可能だが、状況によって武器を使い分けて戦いを有利に進められるのも本作の面白いポイントである。
武器の種類の多さに加え、バトルで手に入れたお金を使って様々な技を習得することができる。覚えられる技はかなり豊富で、恐らく全てのアクションを使いこなすのは不可能じゃないかと思えるレベルだ。
誰もが一度触ったら引き込まれるであろう本作のバトルの魅力は、なんといっても“圧倒的な爽快感”と“アクションの自由度の高さ”という点だ。
「NINJA GAIDEN」といえば“バイオレンス表現”が売りの1つでもあり、敵に斬撃を与えたときの流血量が尋常ではなく、1回の戦闘が終わったときにはヤクモが返り血で赤く染まってしまうほどだ。
部位欠損の要素ももちろんあり、腕や脚などが千切れた敵には一撃でトドメを刺す「滅却」が発動する。この滅却の演出がド派手で、人間だろうがバケモノだろうがバラバラにぶった斬るのが痛快である。
バトルスタイルの切り替えはどんなタイミングでも素早くチェンジでき、このシステムのおかげでコンボなどの自由度が格段に上がっている。
例えば烏の型で敵を打ち上げて、空中で鵺の型にチェンジして強力な技で追撃をかけるといったような、自分だけのオリジナルコンボで敵を蹴散らせることができるのだ。
シリーズの中でもここまでの自由度の高いアクションは初めてであり、アクション自慢のプラチナゲームズイズムを色濃く感じられた。
登場する敵はどいつもこいつも強く、基本的には常に緊張感のある戦いが続いていく訳だが、そんなプレッシャーから解放される新要素も用意されている。
敵を攻撃すると溜まっていく乱殺ゲージがマックスになると一定時間「乱殺状態」になることができ、乱殺状態中は鵺の型で特定の攻撃を食らわせることで「血殺」が発動。なんと敵を即死させることができるのだ。
さらに、周囲にいる敵をまとめて血殺する「乱血殺」というアクションもあり、大量に襲いかかってくるタフな敵たちを一瞬で全滅させられるのは爽快の一言。ヒリヒリした戦いを強いられる本作において、まさに唯一の癒しともいえる新アクションである。
リュウ・ハヤブサから感じる、不変の「NINJA GAIDEN」らしさ
前項ではヤクモのアクションをはじめとした「NINJA GAIDEN 4」ならではの新しさを紹介してきたが、ここからはシリーズの不変的な魅力であるリュウ・ハヤブサに触れていこう。
「NINJA GAIDEN」の象徴といえる超忍のハヤブサは、本作では主人公というポジションではなくなったものの、物語の重要なポジションとして活躍する。
今作ではヤクモとハヤブサは敵対関係にあり、初対面の場面では多くを語らず刃を交えることになる。鴉一門ではトップクラスの実力を持つヤクモを圧倒する展開は、超忍の凄まじさをまざまざと見せつけ、シリーズファンをシビレさせるはずだ。
鴉一門と対立する立ち位置ではあるが、プレイアブルキャラクターとしてハヤブサを操作することができる。
ハヤブサの操作感や手触りはプラチナゲームズの開発陣もかなり気を使った部分のようで、動く姿から立ち姿、攻撃のモーションに至るまで過去作で見せたアクションの再現度はとにかく高かった。操作した感触も過去作のハヤブサと本当に遜色のない触り心地で、開発の深いリスペクトが感じられた。
ヤクモと共通の技もあるが、シリーズファンとしてはハヤブサの代名詞とも言える「首切り投げ」や「飯綱落とし」といった鉄板の必殺技の数々が今作でもまた見られるのも感慨深く、“「NINJA GAIDEN」が帰ってきた”という感覚を改めて実感した。
これまでのハヤブサはヤクモのように様々な武器を付け替えることができたが、今作ではハヤブサの魂とも呼べる龍剣1本で戦うというバトルスタイルになっている。
鵺の型に代わるハヤブサのアクションには「閃華」があり、閃華状態では光の速さで強力な連続斬りを放つことができる。そして乱殺に相当するものに「真・龍剣状態」があり、この状態で発動できる「真・滅却」も敵を一撃で倒せる大技となっている。
ヤクモならゲージを使う用途は鵺の型だけになるが、ハヤブサは閃華の他にゲージを使って4種類の「忍法」を使用できる。威力の高い「火炎龍」や、バリアのようにハヤブサの周りに火の鳥が舞う「鳳凰焔舞」など効果はさまざまだ。過去作では忍法の使用回数に制限があったが、本作では時間経過で回復するゲージを消費するだけなので気軽にバンバン使える設計になっている。
様々な武器や型を切り替えて戦うヤクモと比べるとやれることの自由度はやや低いものの、その分、コンボなどの難しいテクニックを必要とせず、圧倒的なパワーや強力な忍法で敵を蹴散らせるという、これまでの「NINJA GAIDEN」同様の体験が味わえる。
高難易度ながら誰でも遊べる絶妙なゲームバランス
本シリーズは、プレーヤーを本気で殺しに来る高難易度が売りのゲームでもある。今作ではシリーズの味である硬派なゲーム性はそのままに、現代的な遊びやすさを重視した調整が施されている。
まず、ゲームオーバーになった際のストレスがかなり緩和された設計になっている。過去作ではゲームオーバーになったら最後にセーブしたポイントからの再開となり、場合によってはかなり戻されることもあったが、本作では細かいチェックポイントが用意されているのでやられた場所からほとんど戻ることなく再開できる。かなりの頻度でゲームオーバーになるゲームだけにここは嬉しいポイントだ。
ザコ戦でも苦戦必至の難易度だが、ボス戦はそのさらに上の地獄が待っている。ボスの攻撃力はとにかく高く、一撃でこちらの体力をゴッソリと奪ってくる。そして特に厄介なのが、アーマー状態でこちらの攻撃も防御も全て無視して大ダメージを与える「強攻撃」だ。今回筆者がプレイを始めたときは序盤のボスに強攻撃を連発されて完膚なきまでにやられ、当初は勝てる見込みが立たず正直絶望した。
やられてもボス戦からすぐにリトライできるので、テンポ良く何度もリトライを重ねているうちに“強攻撃がボス戦で注意すべきポイント”というのが理解でき、その強攻撃を繰り出してくるパターンもおおよそ分かってきた。
強攻撃が来る直前は敵の体が白く発光するので、そのタイミングで鵺の型や閃華の攻撃を繰り出すと「崩撃」となり、相手の強攻撃を中断させて動きを止めることができるのだ。敵の強攻撃が来るのを読んで崩撃をして、怯んでいる間にとにかくダメージを与えるというパターンが大体のボスに共通で有効な立ち回りであった。
どのボスにも毎度苦戦させられるものの、連戦をしていればプレーヤースキルが徐々に向上して必ずクリアできるバランスになっていると感じた。あまりにも連敗をしていると仲間の忍であるタイランから回復アイテムもじゃんじゃん貰えるという温情仕様となっているので、アクションゲームがそれほど得意ではない人でも問題なくプレイできる内容となっている。
「NINJA GAIDEN 4」のアクションはバトルだけではなく、様々な忍具を使った特殊なアクションもある。ワイヤーアクションや気流に乗った空中飛行、サーフボードのような忍具に乗って水上を高速移動できたりと面白いアクションが用意されている。
さらにステージ中の仕掛けも満載で、細いレールの上を走って進む高速スクロールパートが随所に差し込まれる。
進行ルート上には様々な罠が待ち受けており、足を引っかける程度の軽いものや、時には前から電車が走ってくるといった危険なトラップが襲いかかることもある。瞬時の判断でトラップを回避して進んでいくのはプレイしていて楽しいのはもちろん、見ているだけでも絵的にも非常に面白い。様々なアクションやギミックをこれでもかと詰めて、マンネリにならないゲーム設計はさすがプラチナゲームズと感心させられた。
今回、実に13年振りの新作をプレイしたが“かつて楽しんでいた「NINJA GAIDEN」が帰ってきた”という懐かしさとともに、“こんなスタイリッシュな忍者アクションは体験したことがない”という相反する2つの感覚が押し寄せてきた。
過去作を熱心にプレイしてきた人ならすんなりと新作に馴染むことができ、逆にシリーズを一切プレイしたことがない人も新時代の忍者アクションに夢中になれるはずだ。
クリア後のやり込みモードの「チャレンジミッション」や、先日早くもDLCが2026年初頭に配信されることも発表され、かなり遊び込める作品になりそうだ。
先日、「DEAD OR ALIVE」シリーズ、「NINJA GAIDEN」シリーズを手がけてきた板垣伴信氏の訃報が発表された。1作目のキャッチコピーである“凄すぎて何が悪い”の精神は「NINJA GAIDEN 4」でもしっかりと継承されている。板垣氏が亡き後にも忍者アクションゲームの最高峰である「NINJA GAIDEN」シリーズが末永く続くことを願っている。
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