レビュー

「マリオストライカーズ バトルリーグ」レビュー

ラフプレイにハンドもOK!? ルール無用バトルだが、結構ガチなサッカー”風”ゲーム

【マリオストライカーズ バトルリーグ】

ジャンル:アクション、スポーツ

発売元:任天堂

開発元:Next Level Games

プラットフォーム:Nintendo Switch

CEROレーティング:A(全年齢対象)

発売日:6月10日

価格:
パッケージ版 6,578円(税込)
ダウンロード版 6,500円(税込)

 6月10日に発売予定のNintendo Switch用アクションスポーツゲーム「マリオストライカーズ バトルリーグ」(以下、「マリオストライカーズ」)。基本的なルールはサッカーと同じだが、ラフプレイ上等、ルール無用の新スポーツ「ストライク」を遊べるタイトルだ。

 この「ストライク」、「ルール無用」の名は伊達じゃない。ラグビーやアメリカンフットボールのように、ボールを手で持ち抱えて移動するキャラクターがいるほか、サッカーのスライディングタックルに近い動作もある。さらには、相手を気絶させてしまうほどのタックルから、「マリオ」シリーズではお馴染みの各種アイテムまで、本当になんでもありな新スポーツとなっている。

 というところから、「マリオカート」シリーズのようなハチャメチャ感を予想した人も多いのではないかと思うのだが(少なくとも筆者はそのようなゲームを想像した)、実際にプレイしてみたところ、想像以上に"ガチ"な戦いを求められるゲームだった。

 本稿では、本作の「ルール、なにそれ?」感とガチプレイという、一見共存しなさそうな要素を筆者なりの視点で紹介していく。

 なお、本作はおすそわけプレイにも対応しているため、Nintendo Switch本体が1台あれば、なんと最大で8人まで遊べる。たくさんの友人・知人らとみんなで楽しめるスポーツゲームだが、もちろんひとりで遊んでも充分楽しめる。オンラインプレイにも対応しているので、フリー対戦や最大20人まで登録できるクラブチーム同士で対戦する「ストライカーズクラブ」で世界中のライバルと競うことも可能となっているのだ。だが今回プレイできたのは発売前のバージョンとあって、残念ながらオンラインプレイなどの要素は体験できていない点についてはご了承願いたい。

【マリオストライカーズ バトルリーグ 紹介映像】

基本ルールはサッカーがベース。そこにタックルやアイテムなどのスパイスを追加

 重ねて言うが、本作のベースはサッカーゲームである。だが、ラフプレー、アイテム攻撃、必殺シュートといったハチャメチャさを追加したのが「マリオストライカーズ」だ。

 操作感としては非常にシンプルで、操作切り替えモードが「オート」の場合、プレーヤーチーム側がボールを所持している時は、ボールを持っているキャラクターを動かせる、相手チームにボールを持たれている時は操作キャラクターを切り替えながら相手チームからボールを奪う、というのがメインとなる。

 そこに基本的な操作として、ボールを持っている時は、Xでアイテムの使用、Bでパス、Yでロブパス、Aでシュート、Rでフェイント。ボールを持っていない時は、Xでアイテム使用は共通で、Yでタックル、Lで操作キャラの切り替えができる。

ボールを持っている時の操作方法
ボールを持っていない時の操作方法

 また、「ハイパーストライク」という必殺技のような超強力シュートもある。この「ハイパーストライク」でゴールを決めると、なんと得点が2点も入ってしまうのだ。

「ハイパーストライク」はピッチ上に出現する「Sオーブ」を取ると発動可能に
「ハイパーストライク」を打たれると、ゴールキーパーにも特別な操作が。指定ボタンを連打すると、必殺シュートを無事キャッチできることもある

 ピッチはさほど広くなく、5対5の試合がやりやすいよう調整されている。むしろちょっと狭いのでは、と感じる部分もあるのだが、1試合の時間は基本が4分のため(3分、5分、10分に変更可能)、たった4分でボールを奪い合いながら点の取り合いをするとなると、これくらいがちょうどいい。

ゴール目指して突き進んでいる時はほぼ全キャラクターが固まって、団子状態になりがちだ。うまく敵チームをかわしてゴールを決めるか、敵チームにボールを奪われてしまうか……

 チームメンバーとして選べるキャラクターは、マリオ、ルイージ、クッパ、ピーチ、ロゼッタ、キノピオ、ヨッシー、ドンキーコング、ワリオ、ワルイージの10名。各キャラクターには、「フィジカル」、「スピード」、「シュート」、「パス」、「テクニック」と5つのパラメーターがあり、得意とするプレイが異なっている。

筆者のチームのロゼッタはシュートの値が異常に高いが、これは後述する「ギア」で性能を調整しているためである

 フィジカルはタックルをした時の強さや、タックルを受けた時の抵抗力など、主にタックルに関連している。スピードは移動速度、シュートはシュートの威力やスピード、パスはパスのスピードやフリーパスの範囲、テクニックはシュートのカーブ量や正確性、ドリブルの上手さなどに影響する値となっているので、チーム編成の参考にするといいだろう。もちろん、マリオはほどよくバランスの取れた性能となっており使いやすい。だが、キャラクター愛で選んでもさして問題はなさそうに見受けられた。

 なお原則、同じチームに同じキャラクターは入れられないが、例外としてキノピオとヨッシーだけは何名まででも入れることが可能だ。

自チーム、全員キノピオとかも可能。ちなみにキノピオは素早い動きと正確なパスが得意なスピードタイプだ

 ゴールキーパーは両チームとも、ブンブンで固定。ブンブンはプレーヤーが操作できないキャラクターとなっており、自動的に動くため実際にプレーヤーが動かすのは自身のチームの4名となる。そのため、サッカーゲーム初心者でも操作の切り替えが簡単で、シンプルに遊べるのだ。

 また試合中は、興奮したサポーターがピッチに「ハテナブロック」を投げ込んでくれる。ハテナブロックの中には「マリオ」シリーズでおなじみのアイテムが入っており、両陣営が自由に取れるハテナブロックのほか、片方のチームしか取れないハテナブロックも存在する。自チームのハテナブロックをあえて取らず、しばらく温存することも可能。どこで何を取って、出てきたアイテムをどう使うかも、戦略のひとつとなる。

自チームしか取れない「ハテナブロック」は、ボールを持っていない状態で相手からタックルを受けると出現する

 登場アイテムは、キノコやバナナ、ミドリこうら、アカこうら、ボムへい、スターなど。キノコはダッシュ効果があり、ミドリこうらはピッチを右往左往し続けて、当たると敵味方関係なく転倒してしまう。一方のアカこうらは敵だけを狙って転倒させることが可能だ。このように自チームを有利にするアイテムもあれば、敵チームの妨害をするもの、はたまた敵にも味方にも当たってしまうお邪魔アイテムもある。しかし、「マリオカート」シリーズのように、アイテムによって露骨に勝敗が左右されるようなことはないように感じた。

投げると爆発し、相手のキャラクターをふっとばすことができる「ボムへい」
「マリオカート」でも登場する「ミドリこうら」など、「マリオ」シリーズおなじみのアイテムが登場する

 とりあえず「ボールを手に持って走るキャラクターがいる」、「体当たりどんとこい」、「タックル次第で気絶させることも簡単にできる」、「壁に敵をぶつければ感電させられる」、「必殺技シュート」、「アイテムで有利に」などなど、"ルール無用"な部分は少し遊べばすぐにわかるほどに顕著でありつつも、ベースはあくまでサッカーである。

 ゲームをはじめたら、まずはトレーニング(チュートリアル)やフリーバトルで、パスの回し方、シュート、相手チームにボールを持たれた時のタックルでの挙動などを覚えていくのがいいだろう。

 しかし、本作は中々に要素が多く、トレーニングでその全てを1度に覚えようとするのは大変だ。もちろん、トレーニングをまったくやらなくていいというわけではない。特に「基本動作とシュート」、「パス」、「タックル&フェイント」、「アイテム」までは最初にプレイしておくとスムーズだ。

 そのほかのテクニックは、ゲームに慣れてから覚えていくのが混乱しにくい。だが、パワーを溜めて打つ「チャージシュート」と、シュートの方向に狙いをつけて打つ「エイムシュート」だけは非常に重要な要素であるため、「基本動作とシュート」の項目でマスターしておきたい。

初回プレイ時はトレーニングを推奨される
ズラっと並ぶトレーニング一覧。1度に全て覚えようとせず、基本動作以外は少しずつ習得していくのがいいだろう
かなり重要なテクニックとなるエイムシュート。マスターしないと、点を取るのが難しい

思った以上に"ガチ"さが求められる

 アイテムなども使用できるルール無用なゲーム、というところから筆者はてっきり本作を"アイテム次第で勝敗も左右されがちな運要素の強いゲーム"という印象を持っていたのだが、本作はトレーニングの項目から察することができるように、想像以上に"ガチ要素"が強い。

 が、もちろん、ハチャメチャな部分は多くある。とりあえずタックルの威力が強いクッパあたりでひたすらタックルをかまして相手を無理やり押し込み、ピッチの周囲を取り囲む壁に当てて感電させることで気絶させ、その間にシュートを叩き込む、といったような通常のサッカーではあり得ない戦法も行なえる。

 だが、これも筆者が今回のプレイの中で「こうしたらもう少し勝ちやすくなるのではないか」と考えたプレイであり、こういったプレイが必勝法ではない。これはあくまで下手すぎてなかなか勝てなかった筆者が、「自分の中で勝ちを拾いやすくするためのひとつのテクニック」として編み出したものだからだ。

 一方、とことんトレーニングを積んだ後、パス回しを工夫したりスライディングやタックルをきちんと行ない、フェイントやチャージ、インターセプト、正確なタイミングでボタンを押せば繰り出せる「パーフェクトアクション」と呼ばれる強力なシュートやタックル、パスをするようなテクニックや、フリーパス、チームタックルといった上級テクニックなど様々な機能を使いこなせば、より深い対戦を楽しめる。また、試合前の設定でアイテムやハイパーストライクをオフできるため、さらにガチプレイを求めることも可能だ。

 思っていたよりもちょっと難しいけれど、「マリオ」シリーズらしい手軽さや楽しさもしっかりと残っているタイトルだ。

ユニフォームやスタジアムなどのカスタマイズは、さすがのマリオ!

 本作の楽しさはやはり「マリオ」シリーズならではの細やかなカスタマイズにもある。例えばフリーバトル時は、ユニフォームも好きなものを選ぶことができる。

左側のチームと右側のチームで、選べるユニフォームが変わる。自身がどちらのサイドを取りたいかも選ぶことができるし、敵のユニフォームも決められる。

 スタジアムも、自身の陣営ごとに組み合わせられる仕組みとなっている。選べるスタジアムは、「ラバキャッスル」、「ホラーマンション」、「リゾートジャングル」、「マッシュルームヒル」、「プリンセスキャッスル」と数こそ少ないものの、自分の陣営がリゾートジャングルなら相手はプリンセスキャッスル、といったような組み合わせも可能。

左がマッシュルームヒル、右がラバキャッスル。試合が始まる時は、毎回スタジアムの成形演出からスタートする。(スキップ可能)
自分のチームと相手チームの入場演出がある。中央に一番大きく表示されるのが、いわゆるリーダー枠と考えていいだろう。キックオフ時にボールを持つのがリーダー。相手チームのキックオフ時に、最も相手陣地寄りのポジショニングになるのもリーダーだ。そのため、リーダーキャラクターだけは、真面目に考えて選んだほうがいい。開幕からいきなりボールを奪えるチャンスだ

 「ギア」はヘッド、アーム、ボディー、レッグの4部位に装着でき、大抵は「シュート+2、フィジカル−2」のように、何かのパラメーターを伸ばす代わりに何かのパラメーターが下がるようになっているようだ。

苦手なパラメーターを補うこともできれば、得意な部分をさらに伸ばすこともできるので、どのように使っていくかはまさにプレーヤー次第
筆者の場合、元々シュート値の高いロゼッタのシュートをさらに伸ばし、完全にフォワードとしての役割に特化させた

 ギアを手に入れるためのコインは基本的に試合に勝つことで入手できる。

コインを稼ぐために、トーナメント戦やクラブ対抗戦をこなしていこう

 フリーバトルでは、残念ながら1回勝っても大したコインはもらえない。ギアを購入できるコインを貯めるためにはとてつもない数をこなしていかなければならない。

 しかし、「カップバトル」というモードで行なわれるトーナメント戦は、様々なチームと戦い、勝ち上がっていくことで大量のコインを手に入れられるので、遊び方がわかってきたら積極的にカップバトルにチャレンジしてみてほしい。

筆者はあまりに腕がショボく、今回のチャレンジでは2回戦目までしか進めなかったのだが、1回戦で勝てただけでも嬉しい。コインもおいしい

 他にも「ストライカーズクラブ」は、クラブに所属して世界中のストライカーたちとオンライン対戦で競い合うクラブ対抗のバトルリーグとなっている。今回筆者は体験できなかったモードだが、MMOで例えるならばギルドのようなものだろう。ひとつのクラブには最大20人まで所属できる。シーズンマッチ中にシーズンポイントを稼いでクラブの昇格を目指し、報酬のクラブコインでクラブスタジアムをアップグレードしたりすることができる。

 シーズンが開催されていない間はフリーのクラブ戦(オープンマッチ)を行なうことが可能で、コインなどを稼げる。フリーバトルに慣れてきたらこのストライカーズクラブを中心にプレイしていくことになりそうだ。

 さらにストライカーズクラブには、自身の分身ともなるキャラクター「マイストライカー」をひとり登録できる。登録するキャラクター自体はいつでも変更可能なのだが、シーズンマッチもオープンマッチにも、登録したマイストライカーが出場することとなる。逆に自身が登録したマイストライカーは他のクラブメンバーが使用することもある。どのキャラクターにどういったギアを装着すれば、クラブのみんなに使ってもらえるようなキャラクターにできるかを考えていかなければならなさそうだ。

 ちなみに「ストライカーズクラブはギルドのようなもの」と前述でも紹介したが、当然ながら設立した人(オーナー)と、そこに参加するクラブメンバーとがいる。オーナーにはクラブの管理者という役割に伴い様々な権限がある反面、責任も伴うだろう。自身がオーナーになりたいのか、それともひとりのメンバーとしてプレイしたいのか、さらにはメンバーの中でもクラブの昇格などに積極的に貢献したいのか、まったりと遊びたいのか、自分の遊び方にあった距離感を保っていこう。

 様々な楽しみ方ができそうな反面、色んな意味で「どこまでガチるか」に左右されそうなタイトルだ。やりたいことをやれそうなモードで、のんびり楽しむも良し。より極めていくのも良し。非常に任天堂らしいバランスである作品なのは、間違いないだろう。