レビュー
「ROG Phone 5」レビュー
ROGの因子を受け継ぐ最強ゲーミングスマホは「ウマ娘」も超快適!サクサク動いて育成時間が短縮
2021年5月26日 18:30
- 【ROG Phone 5(ZS673KS-BK256R16)】
- 開発・発売元:ASUS
- OS:Android
- 国内発売日:5月28日(メモリ12GBモデルは6月4日、メモリ18GBモデルは今夏予定)
- 価格:
- 【12GBモデル】99,800円(税込)
- 【16GBモデル】114,800円(税込)
- 【18GBモデル】149,800円(税込)
ASUSは同社のゲーミングスマホ「ROG Phone」シリーズの最新モデル「ROG Phone 5」を5月28日より順次発売する。搭載メモリと本体カラーの違いで5モデルを用意。メモリ12GB搭載のローエンドモデルは99,800円で6月4日から、メモリ16GB搭載モデルは11万4,800円で5月28日より発売する。どちらもストレージ容量は256GB、本体カラーはファントムブラックとストームホワイトの2色をそれぞれ用意する。
また、搭載メモリを18GBと大幅に増加し、512GBストレージを搭載したハイエンドモデル「ROG Phone 5 Ultimate」も用意。価格は14万9,800円で、夏季発売予定となっている。こちらの本体カラーはストームホワイトのみとなる。
海外では3月に発売が開始していたASUSのゲーミングスマホ最新モデルが国内展開を開始する。本稿では、メモリ16GB搭載モデル(型番:ZS673KS-BK256R16)を事前にお借りして、各種ゲームの動作などについてあれこれ触れてみたので、最新「ROG Phone 5」の感触について語っていきたい。
シンプルな外箱とゴージャスな本体、そして復活のイヤフォン端子
製品を収納する外箱は過去の「ROG Phone」シリーズに見られたようなユニークな形状の外箱ではなく、非常にシンプルな外箱となった。開閉も容易に行なえ、扱いやすくなっているのは好感触で個人的には好みのデザインだ。
本体デザインは背面に備えるドットマトリックスのLEDが点滅するなど、ゲーミングスマホらしさを演出する作り。また前モデル「ROG Phone 3」で1度廃止した3.5㎜のステレオイヤフォン端子が復活しているのも大きな特徴だ。同社によると、前モデルでイヤフォン端子を省略したところ、ワイヤレスイヤフォンを利用した「音ゲーユーザー」から僅かな遅延が気になるから戻してほしいという要望が多く寄せられたため、それに応えたとしている。
外観でもう1つ気になるポイントは、本体側面に備えた2つの接続用端子だ。これらの端子は主に同社「ROG Phone」シリーズ定番の外付け冷却ファン「Aero Active Cooler 5」や同社純正アクセサリー接続専用の端子となる。「ROG Phone 5」では、旧モデルからの変更点としてポゴピンが少し端末内部の奥まった位置に移動しており、後述の「Aero Active Cooler 5」の接続性が向上した。さらに側面のUSB-C端子は充電専用として単独でも使用できる。
そして別売の「Aero Active Cooler 5」にも大きな変化が見られた。スマートフォンと固定するための上下のスライドギミックがなくなり、そのままの形状で装着できるようになったのだ。そのため、ちょっと圧がかかる状態で装着する必要があるが、ポゴピンの位置を奥に調整することで、端子部の損傷なども起こりにくい作りになっているという。
また、「Aero Active Cooler 5」には新たに2つの物理ボタンが装備された。ゲーム内のバーチャルボタン上にセットすることで、物理キーとして利用が可能だ。これらボタンは同社「ROG Phone」シリーズに備える、本体側面のタッチ部分がゲーム用の疑似ボタンとして利用できる「Air Trigger」とも併用できる。
その他の本体スペックは、2021年のゲーミングスマホの定番ともいえるハイエンドSoC「Snapdragon 888」を搭載、GPUはAdreno 660。ディスプレイは6.78型、2,448×1,080ドットのフルHD+解像度で、リフレッシュレート144Hz、タッチサンプリングレート300HzのSamsung製AMOLEDディスプレイを搭載。内蔵ストレージはUFS 3.1規格に準拠する。
バッテリー容量は6,000mAhで最大65W入力のQuick Charge 5.0、USB PD 3.0にも対応する。本体サイズは77×173×9.9mm(幅×高さ×奥行き)、本体重量は実測で243g。
早速各種ベンチマークスコアを計測してみた。まずは定番のベンチマークソフト「AnTuTuベンチマーク」だが、こちらのスコアは82万804ポイントを記録、前モデル「ROG Phone 3」と比較しても1.3倍ほど性能が向上している。先日レビューしたZTEの「Red Magic 6」の81万と比べてスコアが高めになっているが、今回試用した「ROG Phone 5」のメモリ容量16GBの効果が大きいと思われる。
その他にも、AnTuTuのストレージテストやAndroid版3DMark、PC Mark、ストレージテスト、秒速20連打まで可能な連射装置「SMATCH」によるPure Water氏作成「ただ、連打するだけ。」なども試したが、いずれも高スコアを記録しており、スペックから見える性能については文句のつけようがない。
魅惑のゲーム機能の数々、「Air Trigger」もさらに強化
「ROG Phone」シリーズではおなじみの多機能ゲームランチャー「Armoury Crate」は今回も搭載され、新たにバックグラウンドのCPU使用率を強制的に制限する機能や、3Dグラフィックス性能をチューニングできるカスタム機能などが追加になっている。
他にもワンタッチで超省電力モードなど用途に応じて予めチューニングされた設定に準じたシステムモードに切り替えられるプリセットを用意。ゲームのための使いやすさだけでなく、普段使いのスマートフォンとしても使いやすくなるような仕組みが用意されている。
「Air Trigger」は最新バージョン「Air Trigger 5」へとアップデートされた。前述の「Aero Active Cooler 5」に備えるクーラーボタンの設定が可能となったほか、従来の「Air Trigger」も通常のタップだけでなく、新たに1つのボタンを左右の2か所に分けてそれぞれにボタンの機能を割り当てる「デュアルパーティションボタン」の機能が追加となった。
デュアルパーティションボタンの機能は画面内に多量のボタンを備えるゲームでは重宝しそうな機能なので、実際に「原神」の各種機能にボタンを割り当てて使用してみた。ところが筆者の感覚的にはこれはちょっと使いにくいと感じた。
タッチエリア内の左右という場所を意識して左右の疑似ボタンをタッチする分には十分活用できそうな機能なのだが、いざゲームの実戦で活用しようとすると、特に仕切りも何もないタッチエリアの右と左をプレイしながら判断するのが非常に難しく、誤操作を連発してしまったからだ。「原神」のようにスマートフォンを横持ちして遊ぶタイプのゲームの場合、「Air Trigger」のボタン操作はどうしても指の腹の部分で操作するようになる。単体のタップならあまり場所を見失うことなく、操作が行なえるのだが、これがボタンの中をさらに左右分けて操作するとなると、慣れるのに非常に時間がかかる印象を受けた。
「Aero Active Cooler 5」背面の2ボタンについても同様で、ここのボタンにまで指を伸ばして常時操作するのは、なかなかクセが強い持ち方となるため筆者にとってはちょっと使いにくかった。ただし、リアルボタンを使っているため、ボタン自体のクリック感は最高だった。「Air Trigger」との併用だと厳しいのでこちらだけで単体で使うなど有効活用の道は色々ありそうだ。
同社の新たな機能拡充に対するチャレンジは毎回挑戦的で意欲的だ。今回初登場のこれら機能が、次の「ROG Phone」シリーズでどのような形で昇華していくかが楽しみだ。
ちなみに、専用アクセサリーの充実が魅力の「ROG Phone」シリーズだが、今回もアクセサリー類は充実している。前述の「Aero Active Cooler 5」のみ「ROG Phone 5」専用のアクセサリーとなるが、他にも「ROG Phone 3」対応の「Kunai Gamepad II」や「KunaiI 3 Gamepad」については「ROG Phone 5」でも利用が可能だ。なお、「Kunai 3 Gamepad」についてはBluetooth接続でワイヤレスコントローラーとして使う場合はそのまま利用できる上に、別売のバンパーカバーを購入することで、本体に直接取り付けることも可能で、既存ユーザーにも嬉しい仕様となっている。
どんなハードなゲームも快適動作。発熱が気になる場面も……
その他のタイトルも一通りプレイした。「Air Trigger 5」による単体タップ機能を使った設定は「Call of Duty Mobile」や「PUBG Mobile」では相変わらず使いやすく、バーチャルショットボタンに「Air Trigger 5」のボタンを割り当てることで、サクサクと対人バトルが満喫できた。
また最大144fps対応のゲームについても、定番の「PAC-MAN 256」やシューティングゲーム「1945 Air Force」なども問題なく最大144fpsのフレームレートを維持しつつ、ゲームの動作は快適そのもの。「Minecraft」も標準設定であれば144fpsを維持できた。
今回は「ウマ娘 プリティーダービー」もガッツリプレイしてみたが、こちらもスムーズにサクサクと育成が捗った。フレームレートはゲーム側の最大値である30fps前後だが、UFS 3.1ストレージ採用による内部データの読み出しや展開が高速になるため、筆者が所有する普通のスマートフォンと比べてみると、格段に育成スピードが速くなる。
今回も「ウマ娘」を用いてベンチマークを実施した。実際にはフルの育成トータルでかかる時間を計測しており、そのためのレギュレーションも設定して実行しているが、動画では時間の都合上、最初の目標「ジュニア級メイクデビューに出走」を完了して次の目標が提示されるところまでの時間をカウントしている。タイマーは「育成開始」を押してオープニングデモが表示されるところからスタートして、終了は全レース終了後の最終ステータスと最後のスキル選択の画面が表示されたところでタイマーストップしている。たとえサポートカードを固定しても、実際の育成内で発生するイベントはランダムのため、それによる時間の差異が発生することは承知の上でのベンチマークであることはご理解頂きたい。
検証は「ROG Phone 5」と、同じくSnapdragon 888を搭載するZTEのゲーミングスマホ「RedMagic 6」、一般的なスマートフォンとして筆者が普段使用しているLGエレクトロニクス製の「LG G8X ThinQ」を用いて比較した。この動画では、所要時間は「ROG Phone 5」が1分54秒80、「RedMagic 6」が2分24秒85、「LG G8X ThinQ」が2分41秒40という結果となった。ROG Phone 5が圧倒的に早すぎる結果となっているが、理由は明らかでイベント発生が他と比べて明らかに少なかった。イベントの発生状況次第では「RedMagic 6」と順位が入れ替わるケースもあったが、いずれも「LG G8X ThinQ」より短時間で育成を完了できる結果となっていた。
「ROG Phone 5」については内部ソフトウェアの完成度や本体の洗練されたデザインなど、全体的に非の打ちどころのない完成度の高さを実感できる。一方で1点気になるポイントがあった。それは発熱の問題だ。今回搭載するSoC、Snapdragon 888はパフォーマンスについては申し分ないが、発熱量がかなり高く感じる。
「ROG Phone 5」は画面上にリアルタイムの温度状況が表示できるが、今回試しに「Aero Active Cooler 5」を装備しない状態で、「原神」の最高画質、フレームレート60fps設定でマクロも併用しながら5分ほどフィールド内をウロウロとさせてみたところ、最高で56℃まで高くなった。マクロ動作だったので、画面操作はほぼしていなかったが、手に持った端末がかなり熱くなっているのが感じられた。
ここで「Aero Active Cooler 5」を装着してみたところ、本体温度は下がっていき、最終的に51℃くらいまでに落ち着いた。外部冷却ファンの重要性を再認識した次第だ。5℃くらいの違いだが、手に持った感じの体感温度はもっと低く、かろうじて持ったままでもプレイできそうな温度に感じられる。
ところが温度低下に安心して、この状態でマクロをオフにしてゲームプレイを再開してみたところ、今度は画面が熱くて操作が厳しい。もちろん画質設定を下げるなどして、調整すればこういった事態は発生しにくくなるので、実際の利用時には、本体の温度に十分注意して設定を行なうのがいいだろう。
シリーズを経て洗練されたゲーミングスマホの決定版
2020年9月に「ROG Phone 3」を発売してから半年ちょっとでの「ROG Phone 5」の発売。このスピーディーな商品展開について同社では「最新の最強SoCが発売されたので、それに合わせて設計した。常に最高の物を提供したかった」としている。
また4代目ながら、ナンバリングが4ではなく5となった理由について同社では「4は日本では“死”を暗示する縁起の悪い数字だからスキップした」としており、日本の不吉な数字を回避するゲン担ぎとのことだ。ゲーミングスマートフォンという最先端デバイスのネーミングとしてはユニークな発想だと感じた。
さて、こんな感じで一通り国内発売直前の「ROG Phone 5」をあれこれ色んな角度から見てみた。単純に高性能なSoCを内蔵して終わりではなく、専用ソフトウェアもさらに使いやすく洗練され、ユニークな新機能も含めて、細部まで調整が施されている。
例えば「ROG Phone 5」では本体設計を新たに1からやり直し、本体中央部にCPUが来るようになった「センターCPU配置」を採用。別売オプションの冷却ファン「Aero Active Cooler 5」の冷却効果がより有効に働くようになったとしている。
他にも「ROG Phone 5」のバイブレーション機能については、内蔵しているデバイス自体はこれまでと同じ物だが、振動のチューニングを施しているという。さらに効果的にユーザーに振動が伝わる作りになっているため、別物のような振動を体感できる。
このような内部の再設計だけでなく、本体の外観や外箱などのデザインから本体背面のLED点灯の演出、ホーム画面のビジュアル含めて、ゲーミングデバイスとしての気配りが随所に感じられるのが「ROG Phone」シリーズの魅力の1つだ。特にコントローラーをドッキングできる「Kunai 3 Gamepad」が継続して利用できるなど、こうした魅力的なアクセサリーの充実も「ROG Phone」シリーズならではの魅力といえる。
今回はこうした高性能なゲーミングスマートフォンで、あえていつも手元で遊んでいるゲームで応用するアイディアを色々試してみた。結果は今までのんびりと手元で遊んでいたゲームがこれまで以上に楽しく、快適に遊べるようになることが再認識できた。やっぱりそろそろ購入するべきかと、これまで以上にゲーミングスマートフォンの導入を検討したくなってしまった。
普通のスマートフォンでもそこそこ楽しく遊べている人たちも是非1度試して、その性能差とゲーミングスマートフォンならではのゲームに特化した機能を体感してみては如何だろうか?
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