「コットン リブート!」レビュー
コットン リブート!
2021年2月25日 12:00
「X68000」モードはドット絵のAC版をベースにリフレッシュ!
「コットン リブート!」の「X68000」モードは、X68000版をベースにAC版から大幅なアレンジが施されたバージョンだ。なお、X68000モードでは左右に黒ぶちがあり、画面上下のスコア表示部や残機表示のエリアも黒ぶちになっているため、ゲーム描画画面をワイド解像度に寄せたやや変則的な解像度のようだ。ステージ全体の構成はワイド画面に合わせて細かい調整が施されており、特に緩やかな傾斜が増え、ステージ全体が横長に伸びたような印象を受ける。
また、X68000モードではステージ道中の敵キャラはあくまでもAC版コットンと同じ物しか出現しない。一方でその動きや配置の工夫でアレンジ感が存分に演出できている。また同じキャラクターであっても、ビジュアルの修正などが随所で行なわれており、懐かしさと同時に斬新な気分も味わえる。例えば、不気味な顔の雲のオバケの表情が出現時はにこやかに笑っているなど、かなりソフトなタッチに変更されていたり、色数の少なかった敵の妖精がカラフルに変更されていたりする。
さらにはボスの調整や入れ替えなどで、AC版コットンとの差別化がかなり行なわれており、ドット絵のビジュアルも相まって同じタイトルなのに別のタイトルになったかのような不思議な感覚でプレイできる。
「コットン リブート!」らしいアレンジは各ステージの中ボスとボスの変更が大きいが、その一方であまり変化のないボスもいる。例えばステージ1に登場する中ボスのハニワ、ボスの石像ともに大きな変化は感じられない。行動パターンは微妙に変化しているが、軽めのアレンジという印象だ。
大きく変化したのはステージ2のボスのスケルトンだ。AC版では頭と体と腕でそれぞれ独立して行動してきたものが、常時合体したままで行動するようになった。それに伴い、これまで追跡弾の発射と体当たりだけだった攻撃パターンがレーザーのような光線やゾンビ召喚、亡霊召喚など色々な技で攻撃してくるように変更された。
他にもステージ3の中ボスの炎の獣は、見た目はほとんど変化がないが、頻繁に飛び回るなど、より派手に動くようになっているし、ボスのヘビの騎士についても基本的な攻撃パターンはヘビが固まって飛び出すようになった以外はあまり変わらないが、画面全体がスクロールするようになり、ビジュアル的にはかなり変化が感じられる。
ステージ4の中ボスの種を飛ばしてくる花の魔物については、以前は画面上部に埋め込まれて、回転する種を飛ばしてくる以外はつぼみの部分が少し動く程度の動きだったのが、本作ではかなり自在に動き回れるように進化しており、前後に動き回ったり、飛び跳ねるようになった。
また、ここで新たにハチの群れが出現するようになり、ハチたちと接触しても自機がやられる事はないが、移動の自由を奪われ、花に引き寄せられるため、早めの撃退が必要になるなど、単調さがなくなっている。また、ボスは完全に別物となり、画面上をグルグルと飛び回るヘビのような敵が出現するようになった。AC版では稼働部分の少ないスフィンクスが出現していたが、スフィンクスの腹から出てくる火を吐くヘビが独立した姿なのかもしれない。
ステージ5の中ボスの2匹の巨大ガニは以前よりは戦いやすくなっており、移動速度が大分緩やかになったほか、ハサミから放つ白い弾を撃ち返せるようになった事もあり、撃破しやすくなっている。そしてボスも完全に別物で、AC版では壁に埋め込まれた草の化身のような巨大な魔人が相手だったが、今回はやたらと動き回る謎の獣が相手となる。画面は左方向への逆スクロールのため、アイテムなどが登場してもすぐに右サイドに流されてしまうのがくやしい。巨大な獣は絶えず左に向かって走り続け、たまに立ち止まったかと思うと大ジャンプで前に飛んでくるため、左端で固定して戦っていると危険だ。
ステージ6のボスのドラゴンについても、基本的な行動パターンは同じなのだが、口から放つ火炎の動きなどがかなり変化しており、避けにくさが増している。
最終ステージのラスボス戦、悪魔の女王は行動パターンが大幅に変化した。AC版ではコットンの位置を元に、法則にしたがってワープし、誘導弾を何発か放ち、再びワープ、という単調なパターンのみだったが、今回はワープ後にちょこまかと移動するようになった。また誘導弾を発射しない代わりに、パンプキンヘッドを大量に自身の周囲に放出し、それがグルグルと女王の周囲を回転して王女を援護するようになった。また何度かワープした後は、隕石を落とす魔法も使うようになり、パターン化していたラストバトルが一気にハードな戦いと変化している。
全ステージのボスを中心にX68000モードの変化について紹介してみたが、ステージ全体が再構成し直されているため、従来のコットンとは全く異なる別ゲームとしての攻略パターンが必要になっており、遊び甲斐があるのは間違いない。
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