PS4版「Stellaris(ステラリス)」レビュー
Stellaris
宇宙に歴史を刻む“4Xストラテジー”。奥深いシステムとコダワリの世界観が魅力!
- ジャンル:
- 4Xグランドストラテジー
- 発売元:
- DMM Gmaes
- 開発元:
- Paradox Development Studio
- プラットフォーム:
- PS4
- 価格:
- 5,800円(税別)
- 発売日:
- 2020年8月27日
2020年8月20日 18:00
DMM GAMESが8月27日に発売を予定しているプレイステーション 4用リアルタイムシミュレーション「Stellaris(ステラリス)」。Paradoxが開発した本作は、宇宙を舞台としたストラテジーゲームで、Steam版がリリース当初から高い人気と評価を誇っており、スペースストラテジーの代表作的な立ち位置にあると言ってもいい。今回DMM GAMESから発売されるのは、そんな本作待望のPS4日本語版。今までMODを入れない限り日本語でのプレイは不可能だったので期待している読者も多いだろう。今回はそんな本作の先行プレイの機会を得たので、早速プレイレポートをお届けしたい。
なお、今回プレイしたものはまだ開発段階のものであり、製品版とは仕様が異なる場合がある。特に画像では文字フォントが小さく見えるが、これは製品版では改善される予定とのことだ。
創造性がフルに発揮できる自由度の高いキャラメイク
まず、本作の特徴は宇宙を舞台にした”4Xストラテジー”だということ。4Xとは「探索(eXplore)」、「拡張(eXpand)」、「開発(eXploid)」、「殲滅(eXterminate)」の4つの要素のことを指している。本作はこれらの要素をしっかりと踏まえた硬派なストラテジーゲームだ。
また、Paradoxのゲームの多くがそうであるように、本作も勝利条件を満たすことではなく、ロールプレイ性を重視した自由度の高いものとなっている。本作はゲームの勝利条件こそあれどさほど重要なものではなく、宇宙をどのような帝国・種族で探検し、どのように歴史を作っていくかに焦点が当てられている。一言で説明するのは難しいゲームだが、かなり大雑把に説明するなら「自分で惑星に住む種族や、惑星を統治する帝国をつくり、宇宙船を飛ばして周囲を開拓しながら星々を自分の領土にしつつ、他の異星人と協力したり戦争したりするゲーム」といったところだろうか。
そんな本作の自由度の高さが顕著に表れているのがゲーム開始前に行なえるキャラクターメイクだ。キャラクターメイクは、まず自分の帝国の種族を選ぶことから始めるのだが、その種類からして豊富。我々人類のような哺乳類から、爬虫類人、鳥人,虫人、両生類のような軟体人、そして菌類まで設定可能で、外見も豊富に用意されている。また、種族の長所や短所も設定可能だ。
次に設定するのはその種族の母星。乾燥している岩石惑星や、殆どが海洋の惑星など9種類の中から選ぶことができ、ゲーム中に入植できる・しやすい惑星はこの設定で決まる。そして、最後に行なうのが帝国の設定。「政府と志向」の項目では、その帝国が平和主義なのか、それとも攻撃的なのかといった志向的な特徴や、政策の大まかな方向性である国是を設定できる。その帝国がどのような価値観で運営されているのかを大まかに決めることができるのだ。平和主義の帝国ならば安定した運営が可能で、軍国主義的な帝国なら宇宙船の発射速度が上昇する等の恩恵を得ることができる。
こうした帝国の設定はゲームプレイの様々な要素に影響を与えるのは勿論だが、ゲームを有利に進められる強力な設定は少なく、マイナス補正のかかるものでも後から改変することが可能なので自由にキャラクターメイクをするといいだろう。どんな星に、どんな種族が住んでいて、どんな思想を重んじているか……筋道を立てながら想像してみることで、キャラメイクをがっつり楽しむことができる。また、キャラメイクの自由度はその帝国がどのように銀河に進出していくか、ロールプレイの楽しさにも繋がってくる。
勿論、プリセットの帝国も豊富に用意されているので、気軽にゲームを開始することも可能。プリセット帝国には地球をベースにした初心者でも使いやすい設定のものも用意されている。
まずは広大な宇宙を探索・拡張!
帝国の設定を終え、宇宙への第一歩を踏み出すと目に前には広大なフィールドと、手持ちに母星と数隻の宇宙船が手元にあるのみ。ぱっと見では何をしていいがわからないが、本作はゲーム開始前の設定でチュートリアルのオンオフが可能になっている。ストラテジーゲームの経験者でも、初プレイではオンにすることをお勧めする。
本作のチュートリアルはかなり丁寧に作られているので、指示に従いながらゆっくりプレイすればおのずとゲームへの理解も深まっていくはずだ。また、本作はリアルタイムストラテジーではあるが、一時停止して指示を出すことも可能。最初のうちは迷うたびに時間を止めるといいだろう。
また、一見複雑に見えるUIも慣れてくるとわかりやすくまとまっており、画面上部に保有資源等の情報、下部にお知らせ、左にある「帝国管理メニュー」では政府や軍隊などの管理、右に各惑星や宇宙船等へのアクセスに加え、一目でその状況を把握できる「アウトライナー」といった風に分かれているのでいったん把握してしまえば感覚でプレイすることが可能になる。
さて、序盤の流れを簡単に説明していこう。まず最初にプレーヤーが行なうことになるのは星系の調査。雇った科学者を載せた調査船を外宇宙に送り出し、資源のある場所や植民可能な環境の惑星を探すことになる。
本作でユニットは星系と星系をつなぐ「ハイパーレーン」と呼ばれる道のような物を使用して移動する。ハイパーレーンで繋がっていない星系は近場にあっても調査することが不可能だ。何をするにもまずは外宇宙の状況を把握しなければならないので、明らかになったハイパーレーンを確認しつつ、効率よく調査を行っていこう。
探索する中で見つけたいのが居住可能な惑星だ。本作は資源のある惑星は多いが、居住可能な惑星は少ないのでいち早い発見が序中盤のプランニングに直結する。
また、時に見つかる「アノマリー(異常)」は、調査船に載った科学者に研究させることもできる。アノマリーを解き明かせば資源の入手や帝国の科学技術の進歩に繋がる。時には大規模な研究プロジェクトが立ち上がる一方で、マイナスイベントが起きる時もあるが基本的には研究しておくのがいいだろう。ただし、アノマリーの研究をしている間は星系の調査はできないので、最序盤は一旦スルーして後回しにしたほうがいい。
調査船で探索をしつつ、調査をし終わった星には作業船を送り込み拡張を進めていくことになる。作業船は調査の終わった星に「星系拠点」を建設することができ、拠点ができた星系は自帝国の領土となる。領土となった星系の惑星に資源がある場合、研究ステーションや採掘ステーションを建設することで資源を得ることができる。また、入植可能な惑星なら入植戦を送り込むことで植民地にすることが可能だ。
序盤に惑星から手に入る資源は「エネルギー通貨」と「鉱物」が中心となる。エネルギー通貨は惑星の地表にある工場など施設や、宇宙船等、あらゆる固定資産の維持費となる、序盤から終盤にかけて必要であり続ける資源だ。一方の鉱物は施設の建設に使用したり、専用の施設で他の消費財に変換される資源、時間がたつごとに価値が下がり最終的には余ってくる資源ではあるが、再序盤では鉱物がないと動けなくなるので注意が必要だ。
さて、拠点を作る際のポイントは、飛び地に作らないことと、立てる場所に優先順位をつけることだ。星系拠点は無料ではなく、鉱物から変換して作れる「合金」と「影響力」という資源を使用して建設する。中でも影響力は特殊な資源で、施設からは生産できないため序盤では貴重で無駄遣いはできない。
星系基地を飛び地に建設するとコストが跳ね上がるため、領土と隣り合った星系に基地を建てることは殆ど必須といえる。次に重要なのが複数のハイパーレーンにつながっている星系と、居住可能な惑星だ。前者は効率的な拡張のために、後者は数が少なく貴重なため、それぞれ優先して自国の領土にしていきたい。
探索と拡張は、他の帝国と会うまでは順調に進むが、出会ってしまうとそこからは両帝国の間の星系をどれだけ確保できるか、椅子取りゲームのような取り合いとなる。両帝国が完全に隣接しきった場合、主に戦争か外交によって新たな領土を確保することになる。
多くのストラテジーゲームがそうであるように、本作でも土地の広さが資源の多さや人口発展の下地になるため、総合的な帝国の強さに直結してくる。探索と拡張をいかに効率よく進めるかで帝国の明暗が分かれるので、一時停止を活用しながら慎重にことを進めるといい。資源に余裕ができたタイミングで、2隻目の調査船や作業船を造船することも必要となってくる。
先の見えないテクノロジーの開発
外宇宙で探索と拡張をしつつ、同時進行で内政や研究開発を行なう必要がある。まず、母星や入植した居住惑星では食料を生産し、住民を増やしながら資源を施設で活用することとなる。
惑星では地表に区域や施設を建設することができ、そこに労働者が配置されることで産出が行なわれる。区域はエネルギー通貨を生産する発電区域や、食料を生産する農業区域などが存在する。区域スロットは地表の障害物を取り除くことにより増やすことができるが、障害物の除去を行なうには対応するテクノロジーを研究しておく必要がある。
一方の施設には鉱物を合金に変換する合金工場や、後述の研究を底上げする施設を建設することができる。合金やのちの時代に使用可能になるエキゾチックガスなどの資源は主に施設から産出することになるので、適切なタイミングでの建造することで拡張をよりスピーディーに行なうことが可能となる。ただし、区域も施設も労働者が存在しなければ稼働しないため、人口を見ながら建設することが大切だ。建設するのにも鉱物を消費し、維持費としてエネルギー通貨を使用するので、不要な地表の開発は命取りとなる。
なお、施設のスロットは人口が一定以上になると解禁されていく。農業区域で食料を生産して人口を増やしつつ、施設を建設・稼働させていくと効率的だ。
さて、内政における重要な要素として研究が挙げられる。本作の研究は物理学・社会学・工学に分かれており、各1つのテクノロジーを同時進行で研究できる。各研究のポイントは、惑星資源や施設から入手することができるほか、アノマリーやプロジェクトの研究でも得ることができる。どの分野の研究ポイントが多く手に入るかは毎回ランダムなので、ゲームごとに研究の進み具合も異なってくる。
また、本作のテクノロジー研究はストラテジーゲームにありがちな「ツリー化」がされておらず、次に研究できるテクノロジーはランダムで選ばれた候補の中から選択することになる。あるテクノロジーを研究していなければ出現しない進んだテクノロジーや、出現率の低いレアテクノロジーなども存在する。
他のストラテジーをプレイしていると、どうしても技術開発は戦略に合わせて最適化されていくが、本作の研究開発はこうしたランダムな要素から、所謂「お決まり」のようなテンプレがなく、ゲームを新しくプレイするたびに研究の順番も変わってくる。そのため、何度プレイしても「次に何を研究するか」を考えることとなり、リプレイ性が非常に高いのは好評価だ。
テクノロジーの研究によって解禁されるのは資源の収入をあげる施設や、宇宙船や基地のパーツから惑星の環境や種族の特性を変更するもの、政策に関するものなど様々だ。何かに特化すればいいというわけではなく、バランスよく研究することが重要なので、次に何が必要か・何が足りないかを考え、与えられた選択肢の中から研究するテクノロジーを選択する必要がある。
また、テクノロジーの開発とは別に、施設から得れる「統合力」が一定まで溜まると「伝統」を取得できる。伝統はテクノロジーとは異なりランダム要素はなく、軍事や経済、外交といった分野ごとで分けられたツリー状になっている。1つのツリーをすべて取得するとコンプリートボーナスに加え強力な「アセンションパーク」を一つ取得できるので、1つの伝統をコンプリートするまで取得していくのが効果的だ。
伝統選択は帝国の大まかな方針を決定づける。「拡張」の伝統を選択すれば領土を広げやすくなり、「発見」を選択すれば研究がより速く進む。どの伝統を選択するのが自帝国にとって望ましいかは一考の余地がある。
他国と協調するか、戦争するか
さて、探索や拡張・内政で得られた資源やテクノロジーを守るためにも、軍備の拡張が必要になってくる。外宇宙では宇宙海賊や古代の生命体が徘徊しており、時にはこちらの拠点へ攻めてくることもある。こうした勢力とは序盤から遭遇するので、資源に余裕がでてきたらすぐさま戦艦などを造船、艦隊を形成するといい。また、星系拠点をアップグレードし防衛拠点とすることも可能なので、重要な立地には防衛施設と造船所を建設するといい。
本作の戦闘はフルオートで行なわれる。敵艦隊より戦力が2~3割高ければ勝つことができるので、これを目安に艦隊を生産するといい。倒した敵ユニットや、敵の基地からは資源が入手出来たり、敵の残骸で研究プロジェクトを行ないテクノロジーを進めたりすることができる。
また、上述した通り中盤以降は探索と拡張を行なっていると他の帝国と出会うことになる。初めて出会う異星人は「不明なエイリアン」として扱われるが、研究プロジェクトを進め、言語を翻訳できるようにすればで外交が行なえるようになる。
他文明と友好的に接するか、敵国として争うかはプレーヤー次第だが、AI帝国にも政治形態や志向が存在し、似た文明ならば友好的に接してくるが、異なれば仲良くすることは難しい。その文明が好戦的かつ、自領土と隣接していればその付近はいつ戦争が起きてもおかしくない火薬庫状態となる。
いずれにせよ、他帝国と国境が接した時点でその方角へ国境を広げることは難しくなる。そのため、中盤以降に帝国を発展させるためには内政に加え他国との外交や戦争が不可欠となってくる。
好的な文明とは研究協定や移民条約を結んだり、連邦を組むことが可能。拡張せずとも資源や研究ポイントを貰えるので、友好的な帝国とは積極的に行ないたい。特に距離が離れていて争う予定がない帝国は狙い目だ。また、友好的ではない帝国が相手でも、外交次第では長い時間をかければ信頼を築くことが可能だ。
一方、敵対的な文明はこちらを侵略する機会を伺っている。特に国境が近い場合はこちらの軍事力が低いと容赦なく攻めてくるので戦争を考えていなくとも最低限の軍備は必要。逆に相手の帝国の軍事力がこちらより低い場合はこちらから宣戦布告するチャンスといえる。
本作では宣戦布告時に征服や属国化といった戦争目的を示す必要がある。開戦後、敵との交戦で勝利すればポイントを獲得でき、これが一定以上になれば和平時に要求を呑ませることが可能となる。もちろん、要求を呑ませずに停戦することもでき、その場合は現状追認(現状の惑星の占領状態で終了)となる。また、戦争中に時間とともに溜まっていく戦争疲弊が一定以上になると強制和平となり、現状追認の形で和平が行なわれる。
戦争疲弊によって現状追認の形で和平した場合、こちらが戦力で勝っていたのにもかかわらず、戦力を集中させていなかった辺境にある星系が敵に奪われること等に繋がりかねない。そのため宣戦布告の際は、長期戦にならないように立地や戦力を考慮して戦争目的を決定する必要がある。
本作は戦争の操作自体はどこに艦隊や地上部隊を向かわせるかを決定するだけで、複雑な操作は必要ない。注意することがあるとするならば地上部隊の生産し忘れだろう。戦争では星系基地を占領することで、その星系も占領状態になるが、入植済み惑星がある星系では惑星に地上軍を送り込み、地上戦で勝利する必要がある。地上を占領する部隊は惑星で生産できるが平時は全く役に立たないので宣戦前に生産することをオススメする。
占領後の惑星をどうするかも本作の肝だ。占領した惑星には、自帝国とは全く異なる種族が住んでおり、統治は困難を極める。場合に寄っては反乱を起こしたり、他の帝国に亡命しようとする。そのため、その種族を追放・根絶・奴隷化したり、属国として扱うことで安定を図ることになる。前者は他帝国の反感を招くが、好きなように惑星を利用できるようになる。後者は、惑星どころか資源も得られないが、戦争時に自分とともに参戦させることが可能になる。
総評:自由に宇宙の歴史を刻めるストラテジー
本作の大まかな紹介は以上となるが、紹介しきれていない細かい諸要素やシステムは少なからず存在する。また、本作にはDLCも存在しており、導入すれば巨大構造物の追加や、外交面での追加要素などが適用される。
本作をプレイしてみて感じたのは、その圧倒的な自由度だ。新しくゲームを始めるたびに、前回のゲームとは異なる経験ができ、違った判断を必要とされる。冒頭でも述べたように勝利条件に縛られないプレイが可能で、帝国がどのような歴史を銀河に残すかはプレーヤーに委ねられている。
余談ではあるが、本作の自由度は舞台が宇宙に設定されていることに依拠している部分が多いと感じた。同じParadox開発の歴史ストラテジー「Hearts of Iron」シリーズなどでは、元となる史実という比較対象があるためにシステム面でも、プレーヤーの想像力という面でも制約を設けてしまっている(勿論、史実を基にしたゲームにも特有の良さはある)。
本作の舞台である宇宙というフィールドは、よりプレーヤーの想像力に訴えかけてくる。どのような種族で、如何にして銀河に爪痕を残すか(あるいは残さないか)に答えはない。他国と連邦を組み、協定のもとで成長し、悪の独裁文明に打ち勝つもよし。逆に自らが侵略国となり、銀河を手中に収めようとしてもいい。
最初に設定した種族の設定に準じてロールプレイを行ない、その結果帝国がどうなっていくかを見守ることもできなくはないし、一度成長した帝国で悪政をしき、プレーヤーの手で衰退させるなんてことも不可能ではない。遊び方はプレーヤーの数だけ存在する。
複雑なゲームではあるが、一度ハマってしまったら何度でも歴史を刻みたくなる。本作はそんな魅力が詰まった作品だ。実際、筆者はこの記事を書くに当たって本作をSteam版のローンチ以来久しぶりにプレイしたが、結果2日間寝ず、執筆段階では昼夜が逆転している。是非、ストラテジーファンならプレイしてほしい一作だ(ただし、日常生活に悪影響が出ない範囲で)。
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