「新サクラ大戦」レビュー

新サクラ大戦

ファン納得の“サクラ感全開”! 待ちに待ったシリーズ最新作

ジャンル:
  • アクション・アドベンチャー
発売元:
  • セガゲームス
開発元:
  • セガゲームス
プラットフォーム:
  • PS4
価格:
8,800円(税別、通常版)、14,800円(税別、初回限定版)
発売日:
2019年12月12日

 セガフェス2018での衝撃発表から1年半、待望の新作であるドラマチック3Dアクションアドベンチャー「新サクラ大戦」が、セガゲームスよりプレイステーション 4で12月12日に発売される。ナンバリングタイトルの「サクラ大戦V~さらば愛しき人よ~」から約14年。シリーズファンとしてはまさに2019年最大の期待のタイトルである。

 90年代アニメのようなドタバタ感、少年漫画のような熱い展開こそが、多くのユーザーを虜にした「サクラ大戦」の魅力だ。シリーズ復活は純粋に嬉しいが、その反面“サクラらしさ”がしっかり表現されているのか? という不安は正直0ではない。

 登場キャラクターやゲーム性が一新され、どのような形に生まれ変わったのか――。シリーズを懐かしみながら「新サクラ大戦」に触れていきたいと思う。

過去作をリスペクトした、新しくも懐かしいゲーム性

 本作は、過去作で活躍した帝国華撃団、巴里華撃団、紐育華撃団が「降魔大戦」と呼ばれる戦いで姿を消してから十年後の、太正二十九年が舞台。旧花組の意思を継ぐ、新生「帝国華撃団・花組」が世界の平和のために戦う――というのが物語のあらすじ。ファンとしてはこの時点で衝撃の設定だ。

思い入れの深い華撃団が消滅したという世界。かなり挑戦的な設定である

 ゲームを起動するや、これまで何度聴いたか分からない、OP「檄!帝国華撃団」のイントロでテンションブチ上がりだ。イントロ明けの“引き裂いた闇が吠え”の歌詞を脳内でスタンバイしていると、全く新しい歌詞とメロディが流れ、「全然別物じゃん!」と思わせたところで原曲のメロディに戻るという曲調は、さすがの田中公平氏。本作で収録された「檄!帝国華撃団<新章>」は、新たなステージに進みつつも、過去のファンのことも忘れていない名曲だ。

ゲームを起動する度に見入ってしまうOPムービー。曲も最高である

 ゲームは、帝国華撃団の隊長「神山誠十郎」となって、「アドベンチャー」と「バトル」の2つのパートを繰り返し、ヒロインたちとの絆を育みながらストーリーを進めていくという、これまでのシリーズ同様の形式。ゲームの良さはそのままに様々な面でパワーアップしている。

 アドベンチャーパートは、従来のキャラクターの立ち絵とテキストで進行する形ではなく、3Dで描かれているキャラクターならではの、躍動感あるイベントシーンでゲームが進んでいく。キャラクターたちの感情などがプレーヤーにダイレクトに伝わるようになった。演出面が圧倒的に強化されたが少し気になった部分もある。以前までのテキスト形式ではあまり気にならなかったのだが、キャラクターに動きが追加された分、ボイスの無いイベントシーンは、初めのうちは少し違和感を覚えた。

キャラクターに動きが付き、物語への没入感が増した
戦闘パートは、シミュレーションからアクションへと大きな変更があった

 「サクラ大戦V」から生まれた、自由にフィールドを散策できるシステムは今作でも踏襲。これまで帝都を舞台にした作品では行動範囲が大帝国劇場内のみであったが、今作では劇場の外にも行けるようになり、行動範囲が格段に広がっている。

 神山が携帯する通信機のスマァトロンでは、キャラクターの居る場所や、メインイベント・サブイベントの発生場所が一目で分かる親切設計となっている。過去作のように、その場所に行かないと誰が居るか分からないといった不便さが解消されており、ヒロインイベントの取りこぼしをする心配もなくなった。

物語が進むにつれ、移動できる場所が増えていく
表示されるアイコンでイベントの種類まで把握することができる

 アドベンチャーパートの華といえば、やはりLIPS(時間制限式選択肢)によるヒロインとの触れあいだろう。選択の答えによってヒロインの信頼度が上下し、この信頼度の高さがその後に訪れるバトルパートに大きく影響してくる。ゲームを進めるうえでとても重要な要素だ。

ヒロインたちの気持ちを汲み取って答えよう

 信頼度を上げて、ヒロインたちと親密な関係になると新モードとなる「コミュニケーションモード」に突入する。カーソルを動かしてヒロインの気になる部分を見る、触れるなどして様々なコミュニケーションが取れる夢のモードだ。今回の「新サクラ大戦」はヒロインがどれも可愛い過ぎという問題点がある。これまでのシリーズ通りなら、後半でヒロイン一人を選んで個別のルートに突入するのだろうが、正直、1人だけを選ぶなんて無理な話だ(ダメ隊長)。

ヒロインたちのリアクションがいちいち可愛過ぎである

 LIPSでは、普通に考えたら信頼度を下げるような選択肢を選ぶメリットは全く無い。無いのだが、選択肢の中に必ずと言っていいほど“信頼度は下がるが、その後の反応が面白そうな選択肢”が用意されているのがニクいところなのだ。「選びたいけど、選んでしまうと信頼度が……」という、プレーヤーの葛藤を煽ってくる悪ノリのネタが今作でも数多く用意されている。楽しさを取るか、堅実さを取るか悩まされるところだ。

信頼度を引き換えにしても選びたくなる、魅惑の選択肢

 シリーズ伝統の悪ノリといえば“お風呂場のシーン”だ。今作を含む「サクラ大戦」シリーズの主人公は、真面目で正義感が強い紳士というのが定番。しかし、お風呂場で女性の気配を感じると、“体が勝手にお風呂へと向かってしまう”のだ。勘違いしてもらっては困るが、間違っても主人公は変態の覗き魔ではない。自分の意思とは関係なく(?)体が勝手に動いてしまうのだ。

 今回もお風呂場でのイベントに遭遇したが、「体が勝手に」の選択肢が出現するとやはり無条件で選択してしまう。いわゆるセクシーシーンを楽しむというよりは、普段は真面目な主人公が女湯を覗くというギャップが最高に面白いイベントだ。女湯に忍び込んだ先でどんな展開が待っているのか、それはぜひ自分の目で確かめてもらいたい。ただ言えることは、真面目一徹軍人の神山のリアクションは本当にバカ過ぎて笑える。そして信頼度はもちろん激減する。

シリーズ定番のネタ。コレがあってこその「サクラ大戦」だ

爽快感とスピード感が凄い! 新しく生まれ変わったバトルシステム

 続いてアドベンチャーパート後に待っている、ストーリーの締めくくりとなるバトルパートについて語っていこう。これまでのバトルシステムは、初代~2が王道のシミュレーション、3~Vはシミュレーションバトルに自由度が加わったARMSシステムを採用。シリーズを重ねるごとにバトルシステムが進化している「サクラ大戦」だが、今作ではシミュレーションという前提を覆し、シリーズ初のアクションバトルへと生まれ変わった。ここは正直前作までのARMSシステムの完成度が高過ぎたこともあり、発表されてから筆者が一番気になっていた部分だ。

 バトルパートは、霊子戦闘機を操って出現する敵を殲滅して進んでいく。戦闘がアクションになったため、これまでのように花組メンバー全員を操作することはできない。神山とヒロイン1人が出撃し、戦闘中は操作キャラをチェンジすることができる。近接向きや遠距離向き、攻撃アクションなどもキャラクターごとに異なるので状況に応じて使い分けが重要。出撃するヒロインは、基本的にストーリーごとの固定メンバーとなっている。

 操作はシンプルで弱攻撃と強攻撃の組み合わせで連続攻撃が発動する。押し寄せてくるザコ敵をバタバタなぎ倒すのは爽快だ。霊力ゲージが溜まれば、ド派手な演出とともに強力な必殺攻撃をくり出すことができる。広範囲かつ威力が大きいので、大量の敵を一気に一掃できるのだ。

キャラクターによって操作感がガラリと変わるのも面白い
爽快感抜群のアクションバトル。必殺技演出もカッコいい

 「ジャスト回避システム」もバトルの面白さを加速させている。敵の攻撃が当たる直前にタイミング良く回避行動を取るとジャスト回避が発動。自機以外のすべての動きが一定時間スローになり、無防備となった敵を一気に叩くことができる。最初は狙うのが難しかったが、慣れれば簡単にジャスト回避を決めることができて爽快だ。

ジャスト回避が簡単に成功できるようになると、上達が実感できてとても気持ち良い

 バトルで重要となる「絆レベル」についても触れておこう。絆レベルが高ければ高いほど自機と僚機の攻撃力と防御力が上昇し、戦いが有利になる。絆レベルは戦闘中の行動によって上下する。敵を撃破するごとに上昇し、ダメージを受けると下がってしまう。アドベンチャーパートで信頼度を高めておくと、絆レベルが高い状態からバトルに突入できるという特典がある。なので、お風呂ばっかり覗いてヒロインたちの信頼度を下げていると戦闘で痛い目を見るのだ。

絆レベルの高さで、パラメーターが大きく変動する

 「サクラ大戦」といえば、もちろん「合体攻撃」も欠かせない。シリーズを重ねるたびに攻撃演出の尺が長くなり、そして、もはや果たして攻撃かどうかも分からない意味不明なシチュエーション(誉め言葉)の技へと進化してきた。今作でもそのバカっぷりに磨きが掛かっているのでファンは安心してもらいたい。合体攻撃演出を見るのも「サクラ大戦」の楽しみの1つだと思うので、あまりネタバレしない程度に、ほんの一部シーンを少しだけ見てもらいたい。2点の画面写真で空気感が伝わるハズだ。

画面は初穂とあざみの合体攻撃。相変わらずのカオスさに安心した

 東京ゲームショウ2019でも短時間ながら試遊はしていたが、今回改めてじっくりとバトルパートをプレイしてみて、アクションゲームとしての面白さをとても強く感じた。アクションゲームは「単純過ぎてもつまらない」、「複雑すぎても面倒くさい」という難しいゲームバランスだが、本作はそのさじ加減も絶妙でプレイしていて退屈さを感じさせない仕上がりだ。「サクラ大戦3」では「光武ナックル」というアクションモードがあったが、そんなものとは比にならないほど高い完成度であった。

「サクラ大戦V」までのバトルシステムも好きだったが、今作のアクションバトルも過去作に引けを取らない

 物語の進行とは関係のないオマケ要素もある。今作でも大帝国劇場の売店では花組たちのブロマイドが売られており、ブロマイド収集が楽しめる。さらにフィールドのいたるところに売店では手に入らない特別仕様のブロマイドが落ちていることもある。その絵柄は過去の帝国華撃団や巴里華撃団など、ファンにはたまらないアイテムとなっているのだ。

ブロマイドは1度に1枚しか購入できないので、自由行動ごとに忘れずに購入するのがコレクターの基本
筆者がもっとも好きな巴里華撃団。こんなものが用意されていたらコンプしたくならない訳が無い

 前作から約14年振りに、新作の「サクラ大戦」をプレイして、1番最初に感じたのは懐かしさだ。アレンジはされているが、大帝国劇場のBGMが今作でも「時は忘却の中に」だったことや、総司令となった神崎すみれが過去の仲間たちのことを語る場面は、ファンとしては感慨深いものがある。

 物語に引き込む力も過去作同様のパワーがある。各国の華撃団同士がぶつかり合う世界華撃団大戦の行方、謎の降魔・夜叉の正体、そして本当に帝都・巴里・紐育の華撃団メンバーは消滅してしまったのか? など、とにかく先の展開が気になりっぱなしだ。

【謎の降魔・夜叉】
この女性の正体はいつ明らかになるのだろうか……

 OP曲の歌詞に“夢は甦る”という一節があるが、まさにあの頃夢中になった「サクラ大戦」が戻ってきた。「新サクラ大戦」から始めるユーザーにも全力でオススメできる作品だが、過去に「サクラ大戦」シリーズをプレイしてきたファンは是非プレイして、懐かしさと新しさの両方を味わってもらいたい。

【物語はまだまだ続く】